坂木司のレビュー一覧
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和菓子屋みつ屋でアルバイトとして働く杏子。通称アンちゃん。シリーズもの。
新しい店長との出会いや、お客様とのやりとりから色んなことを吸収して成長していきます。
今回は印象に残ったのは、女性社員が多い職場の課長が、頑張ってくれてる社員たちのために毎週末の土曜にお茶会を開く、って話。
お菓子を手作りしてきた子がいて、それならば、と、みつ屋で和菓子を買って手作りだと持ち寄ったら、半分くらいのメンバーが勿体無いから家で食べる、と、持ち帰った、嬉しかったよーって話してくれたという話。
このことについて、まず、毎週の週末に自由参加とはいえ召集をかけるのは、週末忙しい若い女の子達にはパワハラに当たるのではな -
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アンシリーズ3作目。
これまでの和菓子を中心とした謎解き、という主軸は変わらないものの、アンちゃん自身が20歳となり(執筆された当時の)成人式を迎え、これまでとは違うものの見方や、より深く考えていく、と言ったまさに大人になるためのステップを登っていく過程が丁寧に描かれていたと思います。とくに今回の話の中には、生きていく上で何度も経験する「出会いと別れ」がテーマの話もあり…
また、この本だけではなく、シリーズ全体食べ物の描写が美味しそうで、上生菓子に至ってはそのビジュアルも浮かんできて、実際に目の前にしているかのよう。
物語でありながら、身近さを感じる、そんな一冊でした。 -
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小さい頃に歯医者で痛い目に遭い、その後、歯医者に行かなくなった大学2年のサキ。夏休みのバイトに母に騙されて叔父の勤める歯医者の受付をすることになった。
単純なお仕事小説かと思ったが、通って来るお客様(患者)の人知れずの悩みやトラブルを解決する推理小説のよう。3人の医者と3人の歯科衛生士と技工士などの皆んなで雑談しながら進めて行く。特に中心となるのは凄腕の技工士。何気ないお客様の仕草や言動から見抜いて行く。サキも受付で会話を通して解決に導く。
サキも含めて、いくつかの恋愛進行もドキドキさせられながら読み進められた。一ヶ月だけの夏休みのバイトなのでギュッと濃縮された感がある。 -
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みつ屋で働き始めてから色んなことを経験して、仕事ももちろんだけどまたこれを読んでさらにさらに成長してて、立花さん同様少し寂しいし嫉妬しちゃった。全然なにも変わってないように思えて周りから見たらすごく輝いていて置いてかれてる気分になっちゃうんだよね。今回は立花さんの気持ちにも共感してしまった。アンちゃんの優しい気持ちは変わらず、友達として、仲間として仲良くいたいという気持ちもすごくわかって切ないね。椿店長は異動しちゃったけど、離れてた時間を忘れるくらい心の距離が縮まってて、なんかいいなぁ〜と思った。春は出会いと別れの季節だって言うけどその通りで、それを転機ととらえて、いいご縁に出会えるといいな。
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あなたは、『あんこ』が好きでしょうか?
“小豆などの豆類を煮て砂糖を加え練り混ぜたもの”を指す『あんこ』という食材。和菓子に欠かせない『あんこ』は、私たちの生活に喜びを与えてくれる大切な食材です。『あんこ』をご飯の上に乗せて食べるのが好きですと話す同僚には驚きましたが、私も『あんこ』は大好きです。そもそも『あんこ』が嫌いという方に出会ったことがありません。
そんな『あんこ』は小説家の皆さんにも人気の食材のようです。お話を伺ってみましょう。
“昨年も何回か、あんこに助けられました。ものすごく疲れて、お腹がへって、でもしばらく立ち上がれないような気分のとき。大ぶりでふかふかした虎焼きにかぶ -
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あなたは、突然目の前に現れた小学生にこんなことを言われたらどうするでしょうか?
『初めまして、お父さん』
いやいや、これはまずいでしょう。そもそも、『お父さん』に、『初めまして』なんて言葉がつくこと自体意味不明ですし、そんなことを言われる側が、当人を知らないなんてことはあり得ません。
しかし、そこが人間というものです。自分の名前をフルネームで当てられてしまった暁には動揺も走ります。もちろん、なんの心当たりもなければ動揺する必要など全くありませんが、そうでない方もいらっしゃるでしょう(笑)。では、もしですよ。もしもあなたに何かしらの心当たりがあったとしたら、あなたはそんな小学生になんと声 -
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ミックスのいじめられっ子(この呼び方、初めて知った)が沖縄でバイトして、いろんな宿泊客の謎を解きつつ埋もれてた才能が見つかるとか、新しい人生が開ける話かと思ったら違った。
沖縄がただ観光地として素晴らしいと言うわけでは無く、ところどころ長い間培われてきた風習の闇があったり、最後の方で昔からの友達や沖縄の友達?から突き放されて、自分だけが取り残されたのだけが分かるのはこっちも胸が痛かった。
これからどう変わるのか(もしかした変わらないかも)分からないけど、殻を破るまではいかないけど一皮、それも薄皮が剥けたかなーという感じ。
読後感は良かった。
前作の「ホテルジューシー」を知らなかったので、そっち