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Posted by ブクログ
成人式を迎えても、大人になった実感のないアンちゃん。「みつ屋」で働きながら、他店舗の同世代との出会いや百貨店の催事、友達との金沢旅行を通して、また少し新しい世界へ踏み出していくシリーズ第3弾。
自分とは正反対の桐生さん。その長所ばかりが目に入り、自分の良さが見えなくなってしまうアンちゃん。でも催事を通して見えてくるのは、優劣ではなく、それぞれに得意なことがあるということ。まさに適材適所。二人が互いの良さに気づける場所を作った椿店長たちの温かさもいい。百貨店の催事の裏側を知る楽しさもあり、仕事小説としても面白かった。
友達との金沢旅行では、仕事を離れたリラックスしたアンちゃんが新鮮。昔の彼女を知る友達だからこそ見える変化があり、本人が思っている以上にちゃんと成長しているんだな、と嬉しくなった。
食、和菓子、仕事、職場の人たち、お客さん、友達、新しく知る世界。アンちゃんの周りには、いつの間にかたくさんの「好き」が増えている。そして、ひとりの人に向ける感情。好きなのに素直になれない、自分でも認めきれない、だからうまく言葉にもできない。そんな名前をつけきれない感情の揺れを、無理に言葉にしてしまわず描いているのが絶妙で、物凄く共感した。
そして物語は、シリーズ最大とも思える転機へ。詳しくは書けないけれど、ここは泣けた。好きなものが増えることは幸せだけれど、大切なものが増えるほど、変わってしまうことは寂しい。楽しく優しいだけでは終わらせないところに、この物語の深みを改めて感じた。
愛情にも、いろいろある。誰かに向けるもの、誰かから受け取るもの、気づかないうちに育っているもの、そして自分でもまだ名前をつけられないもの。そんな様々な愛情を描くからこそ、このシリーズが好きなのだと思う。次巻がどうなるのか、気になって仕方がない。
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小説・文芸
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