辻村七子のレビュー一覧
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第一部、完・結!
大丈夫、第二部はすでに始まっている。
正義の苦しい過去と彼の毒親が登場する。
正義はどれだけ苦しんできたんだろう。
彼は法律上は大人であっても、まだ学生、また「子供」なのだ。
正義の父親はDV親父でギャンブラー、父親であることだけを傘に、金を実の息子からせびる。
正義は大好きな大切な人たちを苦しめたくなくて、心配をかけさせたくなくて、何もいわなかった。
だけど隠すのが下手だから、バレてしまうのだ。
それで良いんだよ、頼ってよ。
次の言葉は、虐待サバイバーたちに当てた著者からのメッセージと思う。
「人間は、日々、思い悩み、苦しむものですが、あなたは明るい道を選び続けた。
楽なほうでもなく、捨て鉢な時に衝動的に選びたくなるほうでもなく、明るい方を。
私はそれをとても尊いことだと思います。
頑張ってきたのですね」(261頁)
あなたは頑張ってきた、生きてるだけで尊いのだ、そう伝えてくる言葉は、
言葉だけでは救われないこともあるけれど、どこかで誰かの救いになってくれることを祈るような言葉だと感じる。
本シリーズは、ジュエリーという美しいものを通じて、同じくらい美しい、人との出会いや想いを感じられる。
押し付けがましくなく、過剰に何かを礼賛することもなく綴られる物語は、
読者の心を磨き、美しいものへと仕上げていく。 -
Posted by ブクログ
5つの物語とエピローグからなる。
第3シリーズ2冊目、通算13冊目。
今回の主な舞台も横浜。
28歳になった中田正義に加え、中1の男の子二人、女の子一人が加わって、物語は思春期の心をも描いていく。
モデルをしている真鈴はクラスの中では浮いている。
それは仕事が忙しいからで、決して同級生を見下しているわけではないのだが、はっきり物を言う性格が彼女を苦しめているようだ。
一方、みのるはみのるで問題を抱えた母親に育てられたのと、生来の性格もあり、自分に自信がない。
大人からすればもどかしく、また、そんなことで、と思うこともあるが、彼、彼女らは中学1年生。
子供なのだ。
羨ましく、そして物語を安心して読み進められるのは、リチャードや正義をはじめとした信頼できる大人たちがそばにいるから。
子供たちは自分の力で気付いていく。
真鈴には、こうアドバイスする。
「あなたのことを相手が好いていようが、いまいが、そんなことは何も関係がない。
誰にも(中略)あなたに不本意な行動を強いる権利などない。
『嫌だ』と思ったことには毅然としてノーを告げましょう。
それがあなたを守ることに繋がります」(100頁)
みのるは、母が暴れるのが怖くて、自分のやりたいことを我慢していた。
けれど、顧みられなかった方の自分の心をそのまま出せる大人を得たことで、「自分」を取り戻していく。
大人とは、こういう人物でなくてはならないな。
手出ししすぎず、しかし受け入れ、道を共に探っていけるような。
そんな理想の大人であるためには、大人自信が自分に自信を持っていなければならないし、寛容で賢くなくてはならない。
搾取したり、思い通りにしようとしないこと、せめてそれぐらいはできる大人でありたい。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第2部完結!
結末に、「わあああ」と心の中でうめいた。
大切な人に心が伝わる瞬間は、奇跡というしかなくて、共に歩もうとするその瞬間は、かけがえのない、まさに宝石の輝き。
さて、本作では絶えず二人に試練を与えてきたオクタヴィア嬢と対峙する。
大切な人は欲しくない、そう考える少女の心を溶かすのは難しい。
大切な人が先に逝ってしまったから。
ちっぽけな自分を守るために死んでしまったから。
この意固地な人間…どこかでみたことがある…そうだ、『鬼滅の刃』霞柱、時透無一郎だ…
「あなたがいた『せい』ではなく、あなたがいて『くれた』から」(218頁)
これは誰かのために、自分のために、生きようとする人に対する著者からのエールだ。
心を伝えること、とてもむずかしいから、一生の課題にしないといけない。
だからこそ、誰かの心が現れた言葉を私は噛み締める。
積み上げて、自分になった言葉を、心を、誰かが必要な時に届けてあげられるように。
常には寄り添えないから、私の代わりに、その人の支えになれるように。
本作がずっと語ってきた宝石の名は、ずっと「人の心」だった。
リチャード、正義、さよならなんて言わないよ…
だって、第三シーズンがあるから!続きは明日!