辻村七子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
正直に告白すると、同姓の別の有名作家の作品だと勘違いをして読み始めた。読み終わってから、それなりに評価されているシリーズでアニメ化もされていることを知った。
タイトル(と作者の姓)だけを見て、流行のパターン、つまり、さまざまな職業の人を素人探偵に据えて、その職業の特殊性や専門知識をうまく絡めながら、日常的な謎を解いていく、といった連作短編だと決めつけて読んだ。そういうのは嫌いではないので、それなりに楽しみにしていた。
ある部分は期待通りだったし、ある部分は(良い意味で)裏切られた。宝石商という、こっちの日常とはギリギリ接しているけどなじみがあるとはいえない職業の世界を取り上げていること。お客さんが宝石と共に謎を持ち込み、その解決を通して短編1つがきれいにまとまっていること。「ホームズ」と「ワトスン」の造形なども、まさに「構えたミットに直球が投げ込まれた」という感じで、あまりの真っ直ぐさがすがすがしいほどだ。もちろん、宝石に関する蘊蓄もうまく盛りこまれていて興味深い。
ただ、名探偵が快刀乱麻のごとく謎を解き明かす、という感じとはちょっと違っていて、そこに好感が持てた。語り手である「ワトスン」の方がむしろ解決に向かって進んでいく感じが強い。「ホームズ」の方は真相を解き明かすために推理するというよりもむしろ(・・・ネタバレ・・・)というあたりが、ミステリでありながら、ミステリっぽくない所以だろう。ミステリを読んでいるというよりも、「いい話を読んだな」と思う読書感の方が強かった。
登場人物は、やや(主人公はわざと?)劇画的だけど魅力的だ。多様性への言及やルッキズムに関する警句もよく効いていて、時々ハッとさせられる。大変楽しく読ませていただいたけど、シリーズの先に自分が読み進めるかどうかは微妙。魅力的だけど、もっとつきあっていきたいかというと、この一冊でしっかり完結していて(そして、この一冊を読み終えた自分がしっかり満足してしまっていて)、この先を読んでも「おなじようなことが続くかな」とつい感じてしまった。読み続けなかったことを後悔するような気もするが(これはあくまで個人的な感覚で、作者や熱心な読者の方々には大変失礼とは承知しているけれど)。 -
Posted by ブクログ
前に読んだ辻村七子氏の別シリーズ第1巻。
こちらは大学生の中田正義が宝石商の中田正義を助けたところから始まる。
それぞれの宝石の名前がついた複数の章に分かれており、読みやすい。
また、宝石のことも説明があり、なんだか知った気になれる。
主人公はいいやつなんだけど、少し自分よがりというか、人の役に立ちたいが先行しすぎるところがちょっと気になる。あと少しBLっぽいかも。
でも全体的に読みやすくて面白い。
↓↓↓良かったところ↓↓↓
話を聞くというのは、相手の過去を少し引き受けることだ。 別にそれで相手の荷物が軽くなるとは限らない。でも話せば何かが、形にならないままわだかまっているものが、 光をあてられたおばけのように、姿を現すかもしれない。姿がわかれば、重さがわかる。重さがわかれば、多分背負いやすくなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回得た知識は、キャッツアイは猫目になっている石の総称でありクリソベリルキャッツアイはものすごく高い、ガーネットは比較的安価で色んな色がある、天然エメラルドはインクルージョンが多くきれいなものは珍しい、ユークレースは脆くて優秀なカッターしか研磨できない、などなど…。プロットレスバレエも初めて知った。
エメラルドの話でようやく謎解きっぽくなってきたぞと思ったけれど、エメラルドと麻薬の歴史的背景を知らなければならず、特にトリックなどもなかったのでやはりこの物語は謎解きではなく人情ものとして読むほうが良いなと思った。オパールの話はなにが言いたいのかよく分からなかったけど…。
リチャードは正義のこといつの間にこんなに意識するように?美しいとか言われ慣れてるだろうに…。と思いつつ、リチャードのキャラも段々わかってきて2人のやりとりシーンはなかなか微笑ましく読めた。このままBLにならないといいな。それにしてもロイヤルミルクティーが飲みたくなる小説。 -
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本当は3.5くらいだけどいつも通り切り下げ。
本屋さんで平積みになっていて、中国の骨董が面白そうだったので購入。
全部で5章の連作短編集。それぞれ骨董品をメインにして話が進んでいくので、少し骨董のことを知ることができるのが楽しい。
バイトを転々としている白澤容が、京橋で骨董屋を営む黒岩と出会って、骨董屋で働くことになる。
骨董のことを詳しそうなのに、その世界から抜けたような描写からなにか過去にあったのだろうと思われたが、そこも明かされてなるほどと思った。
一冊完成として良かったが、ぜひ続編も期待したい。
また、他の宝石商のシリーズも読んでみたい。 -
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深緑野分作品の中には雑誌で発表しているが本になっていない作品がいくつかある。今回は「石のスープ」が収録されていると言う事で即買いした。帯には「人類と食にまつわる8編のSF小説アンソロジー」と書かれてあった。しかも、この本には人間六度と新井素子の書き下ろしも収録されているのでお得感満載。他の5人は初めて見る作家。書き下ろし作品以外は全て「集英社WebマガジンCobalt」で公開されたものとのこと。このマガジン名は初めて知った。また帯には「豪華執筆陣が贈る空想科学ごはん小説」と書かれてあった。私の知っている3名以外の人も豪華執筆陣なのか。知らなかった、後で読んでみよう。
〇 石のスープ/深緑野分
SFなので、石の機能発現の理由なんて特に説明する必要はないが、元々の素材の味よりも悪くなる理由は知りたかったかな。普通は食材の組み合わせで味が良くなったり悪くなったりもするし、スープの濃さも味の旨さに影響する。単にこのような事は言わなくとも、十分にあり得ることなのかもしれない。しかし、栄養素はあるのだから、あとは調味料でなんとでも味をごまかせると思うのだが。この時代はアミノ酸の合成技術がなかったのだろうか。それよりも、この石に振り回される人たちの心の動きに着目した方が遥かに面白い。全く人間って奴は愚かなのかな。愚かだから本作品は面白いのか。
〇 敗北の味/人間六度
食生活は子供の頃と現在ではまるで異なる。今や野菜ばかり食べていても生きていける。油だけ飲んでも生きていける。体はうまくできているもので、炭水化物を全くとらなくても生きていけるので健全に痩せることができる。食に関する知識が桁違いに増えているからだ。どの様な形でも、食物からエネルギーを得ることで生きていけるが、エネルギーへの変換効率は実に悪い。従って、直接電池でエネルギーを取り込むことができれば生きていくために効率はこの上ない。
味だって、食品は化学物質の集合体なので、成分分析が完璧であればどんな食材の風味を完全コピーできる。食品会社の研究所ではそれが現実化している。そもそも味とか匂いとかなくても生きていける。点滴だけでも生きていける。実際、コロナに罹患した時も味覚が全くない状態で食事をしたし、酢の一気飲みもできたし、CoCoイチの10倍カレーも問題なく食べることができた。
これら食事の究極の形が電池なのだが、人間の体の細胞には記憶が眠っていたようだ。生物はいくら進化したとしても、脳には昔の記憶が片隅に残っていたのだろう。最近、鯨の刺身を食べたが、昔たくさん食べていた頃の記憶が一輝に蘇った。涙は出なかったが、脳全体にビビビと電気が走って、瞳孔が一気に開いた気がした。
〇 切り株のあちらに/新井素子
新井素子のデビュー作、勿論オンタイムで読みましたよ。でも、それ以降は全く読んでいない。何故かというと、新井素子の文体を全く受け付けないから。これは生理的レベルの嫌悪感と言える。それにも拘わらず今回読んだのは、歴史を経てさすがに文体が変化しているだろうと考えたから。しかし、昔と全く変わっていなかった。勿論この文体が良いと思う読者はいる訳だが、私は花粉症レベルのアレルギーがある。もうくしゃみをしたくないので、今後も読まないだろう。新井素子さん、ごめんなさい。
他の作品を一つ読んでみたが、どの作品とは言わないがちょっとレベルが違い過ぎるので残りの作品を読むことを諦めた。途中で諦めるのは、宮内悠介の「スペース金融道」以来だ。 -
Posted by ブクログ
前の巻から、もはや中学生男子みのるくんの成長物語となっているこのシリーズ。
そういうお話しだと割りきればおもしろいのだけれども、それにしちゃみのるくんの周囲の大人が全員破格すぎるんだよなぁ……(笑)
もともと厳しい生い立ちをテーマにしているのに、次はこのきらびやかさwww
この世のものとも思えない美貌の男性が何人もいるわ、世界を代表するセレブだらけだわ、って、そんなのに囲まれてる時点で、一般的中学生の成長ものではありえない。
正義とリチャードの物語は、ほぼほぼ大人のおとぎ話だったからこそ、気楽に無責任に、美しく楽しめた。
ひるがえってこの章に入ってからは。みのるくんの中学校生活などはビミョーにリアルで、読んでいて立ち位置をどこに焦点をしぼればいいか、入り込めない。
とはいえ、みのるくん自身が頭もよく、いろいろなことを真摯に考えるので、彼の思考をたどるだけでおもしろい。
また今回は、突然乱入してきたヨアキムさんがいい味出していた♪
本編で、ヨアキムさんはちょっと出てきただけで、いまいちキャラがつかめないままだったので、今回キムさんの魅力を発見できて楽しかったです♪