三浦展のレビュー一覧
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尊敬する方から勧められた本。大正から現在(平成20年代)を30年ごとの区切って、それぞれの期間での消費の在り方を分析し、今後の消費の在り方(2005~2035)がどうなっていくのかを分析している本。内容は面白いが、文章が堅いので個人的には読み辛かったです…。本書に記述されている消費の、大きな流れを抽出すれば
■消費の大きな流れ
・占有⇒シェア
・大型⇒小型
・大量⇒少量
・低価格⇒ブランド・エコ・健康
・家族⇒個人⇒社会
となると思います。こう言うと傲慢に聞こえますが、大きな驚きを発見するというより、確認作業のような感覚で読み進めました。
驚いたのは、著者の洞察力と分析力。時代の流れに対 -
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「日本人はこれからコミュニティ商品を買う」というと商業主義っぽいけど、一人暮らしが増えていく将来の社会を生きる人間がお互いを「ケア」しながら「人と人のつながり」を作っていくのを助ける事こそ、これからの地域社会や企業に求められる役割、という意味だと思われる。
「シェアハウス」はインターネットを通じた「知縁」が住民相互の「ケア」と「人と人のつながり」を支える好例だが、縁のない一人暮らしの「おひとりさま」同士が「地縁」を通じてコミュニティ形成できる場が地域社会にはない。三浦展はそうした地域社会のための「コムビニ(community-convenience store)」を提案している。
前作『東京は -
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近代から現在までの消費やその社会背景をざっとつかむ分には、とても分かりやすく良書だと思います。当時のコピーも分かりやすく具体例として使われていて、第一から第四の消費の時代に移行しているというのも、突いているなあ、と感じました。
インタビューも面白いです。無印良品の社長さんへのインタビューや建築家のかたへのインタビューなど、新たな取り組みがいろいろとはじまりつつあることが分かります。
ただ第四の消費の「つながり」という点はよかったと思うのですが、それがすぐに愛国とか地方への愛着、エコリズムにつながるという点はうなずけなくもないのですが、ちょっと根拠に欠けるかな、という感じがしました。 -
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著者の消費、差別化、下流といったテーマの本の現在のところの集大成と思われる。消費活動の流れ、分類の仕方も良くわかり、共感できるところが多い。また、第4のシェアという考え方は、まさに時代とマッチしていると感じる。
本書の構成、後半部分には、対談が多い。これは本の性格上、不要なのではないかと思う。
・消費、物を買うという行為は、マスコミによって作られてきた、と感じる。マイホーム、3種の神器を始めとして、ブランド志向へ。まさに家⇒個へ
・消費の影で、コピーライター杉山豊志の死は何を物語るのか?夢がないのに夢売れぬ。
・Have⇒Beへ
人と同じものを持つ⇒自分がどうありたいか
・分衆 金魂巻
まる -
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ネタバレ第四の消費社会とは?
国民の意識の流れは、national(国家重視)→family(家族重視、家族と一体の会社重視)→indeividual(個人重視)→social(社会重視)。
第三消費社会から第四消費社会への変化の特徴。
1、個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2、私有主義からシェア志向へ
3、ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
4、欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5、「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ。
普段、身の回りから、自分自身の感覚として感じていることが、歴史も含めてわかりやすく書かれている。
モノ -
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本書は、長年消費と社会の関係を分析してきたという筆者が、昭和からの大衆消費のトレンド(第一~第三の消費)を振り返りながら、今後の消費(第四の消費)の展望を述べたもの。
<ポイント>
①第一の消費(1912~1941年)
○大都市に限定した「モダン」化(e.g. モボ(モダンボーイ)、モガ(モダンガール))
・大正の三大洋食:カレーライス、とんかつ、コロッケ
・カルピス発売(19年)、新宿三越(29年)、新宿伊勢丹(33年)
②第二の消費(1945~1974年)
○近代工業化の進展による家庭への大量製品の普及 (「大きいことはいいことだ」)
・三種の神器-昭和30年代:洗濯機 -
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これまで首都圏や郊外に住んできた人、これから住もうと思っている人にお勧め。先読みした地域選びの参考の一つ。
個人的には、だから今後どうするか、というところを、もっと具体的かつ広範に考えていきたいところ。
・東京圏の住宅地の今後の問題は、ひとことで言えば団塊世代の老後の問題であり、死後の問題であり、その子ども世代(団塊ジュニア)のこれからの問題であるということが言える。
・1980年ニュータウン:団塊世代の典型的な核家族がどの家にも住んでおり、同じようなマイカーを所有。
2010年オールドタウン:子供二人が独立し夫婦だけに。その後父が死去し、母一人暮らしの家などに。
2040年ゴーストタ -
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「ものを買えば幸せになれる時代」が終わり、「つながりに幸せを見出す(第四の消費)社会」へ変化している。
●第一の消費社会(1912~1941)
【社会背景】
日露戦争勝利後から日中戦争まで
東京・大阪などの大都市中流
中流の誕生
【人口】
人口増加
【出生率】
5
【高齢者率】
5%
【国民の価値観】
National
消費は私有主義だが、全体として国家重視
【消費の志向】
洋風化
大都市志向
【消費のテーマ】
文化的モダン
【消費の担い手】
山の手中流家庭
モボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)
●第二の消費社会(1945~1974)
【社会背景】
敗戦、復興、高度 -
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新書にありがちな時代の一部を分かりやすく切り取るだけの内容ではなく、消費論と言える密度があった。
この方の本は「ファスト風土化する社会」の印象が強く、また「これからのシェアの話をしよう」(未読)という本を出したのを見て、「あー時代に乗るだけの本を書いてしまったのか」と誤解してしまっていた。とても恥ずかしい。
戦後の消費が、都市部を中心とした消費、家族で大量生産品を手に入れていく消費、個人化していく消費、そしてシェアによる消費、と変わってきた、特にシェアの話は色々な所で語られ始めてきている。
しかしこの本は、それぞれの時代背景の綿密な考証とともに消費の変化が語られるので、とても説得力があり、 -
Posted by ブクログ
老齢化、人口減少、ライフスタイルの変化によって郊外にマイホームを持つという20世紀後半の「人生モデル」が崩壊して、今や郊外は陸の孤島化しつつある。その現状をどう打破するかを考えた本。
私が小学生のころは「ドーナツ化現象」という言葉が盛んに言われていて、地方都市の中心地に住んでいた私の学区は生徒が少ないのが問題になっていた。でも、最近は、中心地にも高層マンションがどんどん建設されて、ドーナツの穴が少しずつ小さくなっている感じはあった。
その実感をこの本では多角的なデータによって実証している。今や、郊外のマンションは300万円で投げ売りされている状態だとか。多摩ニュータウンの老朽化のニュー