三浦展のレビュー一覧
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東京近郊の”街”をテーマとした本を同時期に続けて読んでみました。一つはこの本、もう一つは「街間格差」(牧野知弘著)です。同じテーマでありながらも好対照な内容になっています。「街間~」は不動産事情に詳しい著者ならではの視点で東京、特に23区に絞って今後の趨勢について語った内容になっており、いかにして(自分にとって)良い街を選ぶか、というスタンスです。対して本作は社会デザイン研究者である著者ならではといいますか、前半は統計データの羅列で少々退屈な場面も多かったのですが後半は衰退してゆく街を再生させるための施策が語られており著者の”熱量”を感じることができました(施策の良し悪しは別として)。住まいさ
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中の下ぐらいの人々を「下流」として扱い、格差の広がる日本社会を分析。
第1章 「中流化」から「下流化」へ
第2章 階層化による消費者の分裂
第3章 団塊ジュニアの「下流化」は進む!
第4章 年収300万円では結婚できない!?
第5章 自分らしさを求めるのは「下流」である?
第6章 「下流」の男性はひきこもり、女性は歌って踊る
第7章 「下流」の性格、食生活、教育観
第8章 階層による居住地の固定化が起きている?
著者はマーケティング・アナリストという職業らしく、この本も多くが消費者をどのように切り分けるか、という視点が多い。
下流に属する人、下流に属する人がどのような価値観を持ち消費行動を -
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格差社会という言葉が、TVのバラエティ番組や女性週刊誌などでも取り上げられるほど一般的な言葉になり、ワーキングプアや下流などといった言葉と共にブームの感すらある。そのブームに著者曰く火を注いだのが、前著の「下流社会」であった。ベストセラーとなり出版社も気を良くしたのか、出てきたのがこの第二段である。今回は、男性の年収、雇用形態別に様々な切り口から格差を、調査データのエビデンスを以って論じている。
本質的なメッセージは前著や著者の他の著作と変わらず、格差の本質は意欲の差であるということである。新たな価値提言は特に見当たらず、あえて第二弾を読むことの意義は感じられなかったので★2つ。 -
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産業革命後の消費社会が第四の段階に入ったというのが本書のテーマ。
・ニーズからウォンツへ
当時、西武百貨店の取締役店長であり、87年のロフト開業の陣頭指揮を執った水野誠一は、著書『ロフト・グラフィティ―「ほしいもの探し」の時代』でこう書いている。
『顧客が成熟してきている』という言葉をしばしば聞くようになった。だが、実感として、『顧客の成熟化』とは何をさしていうのか、本当にわかっている人は少ない。として、「『衣・食・住』足りて、ひと息いれようとしたところで起こったオイルショックは、ある意味で単純な『所有の時代』の終焉の引き金になる事件」だったと指摘し、「『マズローの五段階欲求』ではないが -
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2010年の一人暮らし世帯数は、1679万世帯。これは「夫婦と子どもの世帯」1477万世帯よりも多い。さらにこれが2035年には、1846万世帯に増加する。結論としては、当たり前だが、消費の大きな特徴は個人化、、孤独化である。物の消費がほとんど伸びておらず、消費の対象がサービスに向かっているというのは一般に言われていることだが、消費支出全体に占めるサービス消費の割合が男女ともに若い世代ほどサービス消費の割合が高いというのは意外であった。
高齢化が進む中、「ちば地域再生リサーチ」の取り組みは興味深い。1970年代に開発された千葉市の大規模団地が直面する課題を解決する取り組みである。主な活動の柱は -
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「下流社会」の著者。下流社会ほどではなかったが、本書も着眼点が著者らしく、面白かった。
住みたいまちの上位といえば、田園都市線沿線のイメージがあるが、最近の調査によれば、実は中高年には人気だが、若い世代にはそうでもないらしい。著者はこう分析している。
「高校卒業、大学入学時点でバブルがはじけ、以来ずっと長期不況を経験してきた団塊ジュニアやそれ以降の若い世代にとっては、イメージはよいが値段が高い東急田園都市線沿線はブランド品のようなものであり、そう簡単には手を出さない。コストパフォーマンスが悪く感じるのである。
どうせ値段が高いなら、都心に近いほうがコストパフォーマンス的に見て実質的であり、 -
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10年前、日本社会における貧富の差が明確になり始めたころ、評判になった本。
東京帰りの空港で読んだ。
一億総中流だった日本の社会が階層分化して、圧倒的多数を占めていた「中の中」グループのうち、上昇意欲の強い一部のグループは中の上に移行するが、それ以外の大部分は「中の下」あるいはそれ以下に転落しつつあるのが日本の社会である、といったようなことを述べた本。
なかなかおもしろい。
とくにアンケート結果のデータ分析の仕方は参考になる。
こういうアンケート結果の報告書に書いてある解説は、「何々が何%で一番高い」というような、結果の数字をそのまま文章にしただけのものが多いのだが、ここでは、これから読み -
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結論から言うと、日本人はモノではなくサービスを買う。と、いうのが本書の論旨。
少子高齢化。超高齢化。そんな現状で、おひとりさま、未婚、離別、死別、子供の独立による一人暮らし世帯が2010年では1679万世帯。2035年には1846万世帯と予測される。
2035年には一人暮らし世帯の3分の2が50歳以上になる。
と、まぁ、序章は統計的な数字がずらっと並ぶわけですが。
読み通すと、暮らしのありかた、地域の在り方が、昔に戻りつつあるように感じる。
働き方もサラリーマンだけじゃなくて多様化なんて言うが、高度経済成長期前は、勤め人も入れば、夜勤も日勤も、魚屋も、桶屋も色んな時間帯のライフサイクルがあ