あらすじ
2035年、「一人暮し世帯」が1846万世帯となる。逆に、かつて主流だった「夫婦と子ども世帯」は1153万世帯に減る。平均的だと思っていた日本の家族像というものは、もはや過去のものになりつつあるのだ。個人化・孤立化が進む中、日本の消費はどう変わっていくのか。モノを買わない時代、人々は何を求めているのか。キーワードは「シェア」と「共費」。さまざまな地域や企業の取り組みを紹介しつつ、日本社会のゆくえを予測する。
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Posted by ブクログ
おひとりさま世代が今後高齢者になることを見越して、どんな消費傾向になるかアンケートや各種統計情報から読み解く一冊。
ちょっと統計情報の分析深度は浅めだが、いろいろと実感する点は多い。
これからコミュニティの存在は大きくなるのは間違いないと思う。
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「日本人はこれからコミュニティ商品を買う」というと商業主義っぽいけど、一人暮らしが増えていく将来の社会を生きる人間がお互いを「ケア」しながら「人と人のつながり」を作っていくのを助ける事こそ、これからの地域社会や企業に求められる役割、という意味だと思われる。
「シェアハウス」はインターネットを通じた「知縁」が住民相互の「ケア」と「人と人のつながり」を支える好例だが、縁のない一人暮らしの「おひとりさま」同士が「地縁」を通じてコミュニティ形成できる場が地域社会にはない。三浦展はそうした地域社会のための「コムビニ(community-convenience store)」を提案している。
前作『東京は郊外から消えていく!』もそうだったけど、統計・アンケートを基にした分析が丁寧なので、きちんと読むと方法論を盗める。議論が多少大雑把な舵取りに見えるのは、新書の想定する一般人読者には取っ付きにくいとして「仮説・検証」を直接見せなかった結果だろうね。そういう読みも楽しみ方としてありだと思うし、調査報告の一形態として参考になる読み物だと思うので、星4つ。
(蛇足)老若男女の消費傾向の差が縮まっているという分析があった。老若男女に共通のニーズがこれからの主流になっていくのだとしたら、市場のターゲッティングも無意味化するのかなぁ、なんて思ってしまう。高度発達したITが市場分析を正確にするも皆だいたい一緒の買うから無意味!みたいな未来だったら、それこそ皮肉っぽいなぁ。もはや人間の属性なんて関係なくて、明日台風だからコロッケ売れるとか、人のつながりと動きの中で生まれる消費が中心になっていくんじゃないかなぁ。レビューからどんどん離れていっちゃうからここまで。
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2010年の一人暮らし世帯数は、1679万世帯。これは「夫婦と子どもの世帯」1477万世帯よりも多い。さらにこれが2035年には、1846万世帯に増加する。結論としては、当たり前だが、消費の大きな特徴は個人化、、孤独化である。物の消費がほとんど伸びておらず、消費の対象がサービスに向かっているというのは一般に言われていることだが、消費支出全体に占めるサービス消費の割合が男女ともに若い世代ほどサービス消費の割合が高いというのは意外であった。
高齢化が進む中、「ちば地域再生リサーチ」の取り組みは興味深い。1970年代に開発された千葉市の大規模団地が直面する課題を解決する取り組みである。主な活動の柱は6つ。
?住まいのリペア・リフォーム
?コミュニティ・暮らしサポート
?団地学校
?コミュニティ・アート
?エリア経済の活性化サポート
?住まい・町再生サポート
コミュニティ・コンビニエンス・ストア(=全国にくまなく広がっているコンビニをもっと地域に密着させ、地域住民とのコミュニケーションを図り、コミュニティの形成に貢献しうる業態に転換していったもの)という業態が今後求められるという提言も面白かった。
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結論から言うと、日本人はモノではなくサービスを買う。と、いうのが本書の論旨。
少子高齢化。超高齢化。そんな現状で、おひとりさま、未婚、離別、死別、子供の独立による一人暮らし世帯が2010年では1679万世帯。2035年には1846万世帯と予測される。
2035年には一人暮らし世帯の3分の2が50歳以上になる。
と、まぁ、序章は統計的な数字がずらっと並ぶわけですが。
読み通すと、暮らしのありかた、地域の在り方が、昔に戻りつつあるように感じる。
働き方もサラリーマンだけじゃなくて多様化なんて言うが、高度経済成長期前は、勤め人も入れば、夜勤も日勤も、魚屋も、桶屋も色んな時間帯のライフサイクルがあったわけだ。
これからは大型商業施設から、地域に根差した商店街が活性すると。そこに住む住人達でお金が回り成り立つ。
少子高齢化、働き方の多様化、んでもって、これからは生活の在り方が昭和以前に戻っていくってんだから、富国強兵、資本主義、市場主義経済ってのは、沢山の弊害を生んだんだね。
気付きというより、前々から思っていたことが、やっぱりなという確信を得た一冊でした。
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個人化・孤立化が進む中、ライフスタイルはどう変わっていくのか。モノを買わない時代、人々は何を求めているのか。「シェア」と「共費」をキーワードに、様々な地域や企業の取り組みを紹介し、日本社会のゆくえを予測する。
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【第1章】これまでは一人暮らしというと若者のイメージであったが、今後は都市圏を中心に、中高年の一人暮らしが増える。原来家族中心だった日本人のライフスタイルは、一人暮らし中心のものに今後は変わり、また、単発的に友人と生活をするなどの、新しいタイプの消費スタイルも生まれてくる。
【第2章】おひとりさま消費の現状としては、一定以上の年収のある「未婚•一人暮らし」に絞って見てみると、消費者の年齢差、男女差が小さくなる傾向にあった。
【第3章】今後おひとりさま社会に必要になってくるものは、食生活を代表とするヘルスケアである。高齢男性はコンビニや外食を利用する傾向があるが、女性を筆頭に、今後食の安全性を求め、自然食品へのニーズが高まる。
また、ケアの一環として、カーシェアリングやワークシェアなどが必要になってくる。必要な時にだけ、という合理的な観念に基づき、地域住民と車を共有したり、今後病気や介護などの負担により仕事との両立を考える際、労働時間を減らし、雇用者数を増やすということが必要になってくる。
【第4章】超おひとりさま社会を乗り切るビジネスとして、今後コミニティーが重視され始める。
高齢化や人口の都市集中などの問題から、消費者の新たな需要に対応するための新しい販売業態が必要となる。それは、コンビニや自治体が行う宅配サービスであったり、コムビニという人同士の付き合いを楽しむための地域密着型のサービスを提供する場が必要となってくる。
また、働き方にも多様性がでてきて、居住地域単位で活動する場合も増えてくる。これらのコミュニティ自体が商品となり、医療、福祉だけでなく教育、文化、芸術の面からもコミュニティーサービスを考案、広げていく。
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○マーケティング・リサーチャーである三浦氏の作品。
○少子高齢社会の進展による「おひとりさま社会」を迎えるに当たって、消費動向や経済動向がどのように推移しているのかを分析した作品。
○今までの三浦氏の著作同様、実際の経済指標等を用いて、(割とネガティブに)分析・評論している作品。
○分析は、経済動向等を素直に捉えているように感じるが、論旨や結論に独自性が見られない点が残念。
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これから先の時代を生きていく難しさを感じました。現在、無制約労働者として、夜中まで仕事に追われていますが、若い世代のおひとりさまの増加は、家庭を持ち、子供を育てていくという制約をクリア出来る状態にある人が少なくなっていることを示していると考えます。
コムビニ、買い物ビジネス等のシステムづくりも大切ですが、働き方のシステム改革も必要だと感じています。
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独身で一生を過ごす「おひとりさま」が増えている上に、高齢化社会になり老人の「おひとりさま」が増える。そんな状況で、どのようなマーケティングをおこなうのが有効かについて、データを元に語る。
Posted by ブクログ
データの解釈やストーリーがやや強引(?)と感じる箇所もあるが、それが正しいとすれば結論にも納得感がある。
消費行動の変化を見ると、若い男性は「主婦化」、若い女性は「男性化」、ミドル男性は「おうち志向化」、ミドル女性、シニア女性は「アクティブ化」、シニア男性は「若者化」しており、本来、性年代で分散するはずの消費行動が似通ってきている。ユニセックスで年代を問わないユニクロの服が多く売れるように。
またこれから先、一人暮らし世帯が増えていき、一般的な夫婦と子供の世帯をはるかに上回るようになる。また働き方も多様化する。
こういう世の中に必要なのはケアすること、シェアすること。即ちコミュニティづくりが欠かせなく、それをビジネスとして取り組む必要性を説いています。たしかにシェアハウスの考え方などはよいと思う。