野田サトルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「日露戦争終結直後の北海道周辺を舞台とした、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画」も早4巻。
まずは、二瓶鉄造との闘争、決着。
杉元の戦闘力の高さは果断な決断力と生に対する執着によるものでしょうか。特に接近・格闘線になると無類の強さを発揮するようです。
戦況は二転三転。特にアシㇼパさんと異能者のいる杉元チームの戦いぶりが、緊迫感の中にも笑いがあって楽しいものです。バトルのラストは、逆転であり二瓶鉄造の「狼はすでに絶滅している 数がこれから回復することは無い」の主張をも引っ繰り返すものでもあるという意味で大どんでん返し。
囲みにある「エゾオオカミ最後の確認例は1896年に函館の毛皮商である松下熊槌によって「毛皮を数枚扱った」という記録に過ぎない……」という締めくくり、いいですねえ。
こういう消息不明って、有名な「義経生存説」や大河ドラマでも採用された「明智光秀生存説」など各種の生存説と、逃げ延びてジンギスカンになったり南光坊天海になったりする貴種流離譚の始まりにつなげられそうです。まあ狼だから貴種ではありませんけどね。
なお、この「記録」、ちょっと検索してみたら<「1896年に函館の毛皮商が数枚の毛皮を扱った記録を最後…」レッドデータ日本の哺乳類』文一総合出版 p.96,97,215>が出典のようですが、その記録自体にはたどり着けませんでした。松下熊槌さんも実在して毛皮を扱っていたようです。
日露戦争は1905年に終わっていますので、おそらくゴールデンカムイの世界は1906年の春。人間が最後に確認した後も10年にわたり血脈は受け継がれ続けていた…。その後の可能性も含めて胸熱ですね。
歴史ロマンってやつです。
ちなみに同じ手をもう1回使ってます。
さて、疾走感満点だったストーリー展開もようやく一段落しました。
現状の解説と情報の整理が行われて物語はいったん落ち着いたように見えます。
瀕死の谷垣を連れた杉元達は、治療に向かったアシㇼパのコタンで、アシㇼパのフチから聞いたウパㇱクマ(言い伝え)と谷垣の情報から、アイヌの隠された金塊は当初聞いた量の1000倍、2万貫らしいこと、そして鶴見中尉の目論見を聞きます。
杉元達はもちろん、ここに来て読者もようやく事態を俯瞰することができました。
杉元達が呑気にオオワシを捕まえて食べるエピソードで1話使っているのがストーリーが一段落した証拠。
巨大鳥がアシㇼパを捕まえて飛び去ろうとしているのに見開きを使っているのがいいですね。
あと、ニホンオオカミの時と同様に、囲みで「明治末期…… 釧路原野で巨大な鳥が馬車を襲い農夫に反撃されこん棒で打ち殺された その巨大な鳥は迷い鳥として大陸から渡ってきたハゲワシであろうといわれている」「現在でもその剥製が釧路の高校の理科室に所蔵されているという」がまたまた歴史ロマンです。
こちらも当たってみました。釧路市立博物館に問い合わせた人がいて、話の出所は1954年4月20日発行の釧路博物館新聞No.28だそう。剥製の行方の情報は不明だそうです。ネットって、普及する前の情報については極端に手薄ですよねえ……。
話は一転して土方らの動向へ。
軍資金と愛刀和泉守兼定のため小樽の銀行を襲撃した土方と対応に出た鶴見は互いの存在を認識します。そして白石はこの襲撃時にすれ違った牛山辰馬のアジトを後日捜索し、発見したものの逆に捕らえられて土方の前に引き出され、取引を持ち掛けられます。
これまで杉元達とも第7師団とも直接のかかわりがなかった土方らがつながりを持った瞬間です。
2万貫、8千億円とも言われるアイヌの金塊をそれぞれの目論見で追う3チーム。
当面のマイルストーンは金塊のありかを示す刺青人皮集め。そして次の刺青人皮は、無差別殺人を続けているらしい辺見和雄。
ストーリーは辺見との闘争に移ります。
その辺見和雄はニシン漁のヤン衆として潜伏しているのではないかと想定されます。
折からニシンを狙って沿岸に来たクジラを捕まえるためアシㇼパの叔父マカナックルが海岸に行っていることもあり、杉元らはアイヌのフンペ(クジラ)漁に加わり、杉元を付け狙う辺見と出会うのでした。
命を狙われている相手をそうと知らずに助ける杉元。辺見は変態かと思いきや、サイコパスでシリアルキラーでした。この先、サバイバルバトルというよりホラーを思わせる展開が待っているのでしょうか。待て次巻。
毎度楽しみにしている料理、今回はユㇰオハウ(鹿鍋)、鮭のルイペ、オオワシの鍋が登場しました。初めて自分が食べたことがある料理が登場。ルイベ美味しいですよね。
あとアシㇼパさんがすっかり味噌にハマっているのが笑えます。「杉元…… この鍋にまた…… オソマ入れなきゃいいけど……」チラチラッからの「ええ~? またか? 杉元ぉ お前……オソマ好きだな~ 杉元は本当にオソマが好きだなぁ?」「オソマおいしい」の流れで爆笑。
オオワシの鷲鉤猟、クジラ漁の様子なども描かれていて、本当に何でも獲ったんだと思います。さすが「狩る!戦う!食べる!」のマンガですね。
第28話 錯綜
第29話 老人と山
第30話 言い伝え
第31話 二〇三高地
第32話 怪奇!謎の巨大鳥
第33話 呪的逃走
第34話 接触
第35話 求愛
第36話 役立たず
第37話 初春
第38話 フンペ -
Posted by ブクログ
「狩る!戦う!食べる!生きて輝け!!
北の大地で繰り広げられる五感震えまくりエンターテインメント」たるゴールデンカムイ。
背中を焙られるような疾走感に追い立てられて早くも3巻。
第7師団の鶴見中尉に捕らえられた杉元は、アシㇼパ、白石、レタㇻの助力を得、二階堂兄弟の弟浩平を斃して脱出、鶴見の追跡をも振り切り、虎口を脱します。
山中で獲物を追っていた杉元達は、脱獄囚の一人で刺青人皮の持ち主二瓶鉄造が小樽に現れたとの情報を入手します。
「冬眠中の羆もうなされる悪夢の熊撃ち」と称される猟師である彼は、1巻でレタㇻに足を折られた谷垣を助けて同道し、アイヌ犬リュウを連れて最後のエゾオオカミであろうレタㇻを狙っています。
山中で遭遇した彼らの闘争はヒートアップします。
一方で配下に加えるべく盗賊団のアジトに向かった土方、牛山らですが交渉は決裂し、土方は盗賊団を全滅させたうえ、金塊を得て蝦夷地を独立させると自分の目的を語るのでした。
と、粗筋を書き出してわかるとおり、次から次へと闘争に巻き込まれるストーリーの疾走感は相変わらずです。二階堂兄弟との私闘を切り抜けた後、桜鍋を囲みユㇰ(エゾシカ)を追い、生きようと抗うユㇰに杉元が自らの姿を見る展開に少しクールダウンしたかと思いきや、二瓶鉄造の登場でとうとうギアはトップに入ります。
二階堂兄弟がしつこく杉元を殺そうとする様子、二瓶鉄造がレタㇻに向ける情熱、そして鶴見中尉や土方歳三の北海道独立にかける想い、もちろん杉元の金塊に対する執念、そんな登場人物の胸中の熱さだけが、物語の全体像がまだ曖昧模糊としていて誰が誰と組むのが得なのかわからない中、ぶつかり合う様が疾走感につながっているのではないかと思うのです。
そして、熱に突き動かされる登場人物はみな変態です。
上官に制止されたにもかかわらず執拗に杉元を痛めつけようとする嗜虐的な二階堂兄弟も、刺青人皮を胴着に仕立てて着込んでいる鶴見中尉も、そして獲物との闘争を予期して昂る気持ちを「勃起」と表現する二瓶鉄造なんてもうそのもの。さらに言えば、そんな言動や振舞いはもちろんですが、やっぱり目先の利益や自分の命なんかより信念を優先してしまうあたりが何よりも変態だと思うのです。二瓶が投獄される原因となった事件で官憲に保護を求めた最後の一人に官憲の目前で止めを刺すような、法や秩序などというものには縛られずに自らのルールを適用するさまは、他のキャラクターにも共通するゴールデンカムイの変態っぷりの本質ですよね。
加えて、次々と登場する変態との息もつかせぬ闘争シーンはこの作品の華。
巻末近くの杉元vs二瓶はほんのさわり(誤用)だけですが圧倒的な迫力があります。さらに中盤では、ゲームだったら間違いなくZ指定になりそうなゴア表現や欠損表現が頻出します。でも作中の人間の体は本物の3倍くらいの強度がありそうで、痛覚もコントロールされているのか、キャラクターたちは刺されようが骨を折られようが指を落とされようが頓着せず戦闘を継続します。モビルスーツ同士の戦闘や、スターウォーズでの剣戟(あれも結構頻繁に手が落とされますよね)を見ているようで、不思議と目を背けたくなる感じはしません。
圧巻は土方歳三による渋川善次郎一味のアジト襲撃。右手に刀、左手にレバーアクションのライフルを持ち、くるっと回してリロード(スピンコックって言うそうです)しながら皆殺しに追い込む様子は「これが新撰組副長鬼の顔か…!!」との牛山の台詞そのものです。
続いて毎度お楽しみの料理。
この巻では杉元達側で桜鍋(馬肉の味噌鍋)、鹿の脳みそ、肺、肝臓の生食、セウリ(気管)を使ったチタタㇷ゚、塩を振って焙った背肉(ロース)、そして二瓶鉄造側で「ニヘイゴハン」として羆の心臓の丸焼きと血の腸詰が披露されています。
杉元側では、今回料理が美味しそうというより、味噌を「オソマ(うんこ)」として忌み嫌っていたアシㇼパさんが味噌で仕立てた桜鍋を口にするまでを見開き含めて4ページ使って表現したのが最高です。てか、口に肉を入れた瞬間のアシㇼパさんに見開き使うとかw。
で、思い切って口にした結果、アシㇼパさんは味噌をいたくお気に召して「オソマおいしい」と目出度く変態の仲間入りを果たしたのでした。
二瓶鉄造側は、心臓も焼き鳥で食べる(ハツ)し、血のソーセージ(ブラッドソーセージ)も一般的なようですが、全く美味しそうに見えませんw。
紹介の仕方と紹介するキャラクターでこれほど変わるものかと思います。w
ついでに、暑苦しいおっさんどもの中の紅一点、掃き溜めに鶴状態のアシㇼパさんですが、この巻では変顔のオンパレードです。水を飲むべく水筒を咥えたうえ、どかそうとする杉元に引っ張られてなっている変顔が最高w
さて、この巻も杉元と二瓶鉄造のバトル真っ最中という相変わらずの地獄のヒキで次巻に続きます。
待て次巻、ですね。
第18話 救出作戦
第19話 駆ける
第20話 喰い違い
第21話 亡霊
第22話 伝説の熊撃ち
第23話 猟師の魂
第24話 生き抜いた価値
第25話 ユㇰ
第26話 山の掟
第27話 殺しの匂い -
Posted by ブクログ
アイヌの埋蔵金を巡るサバイバルアクション。
何と言うか、このキャプションの時点で既に魅力満載です。「埋蔵金を巡る」冒険に「アイヌの」のロマンが加わったうえ、「サバイバル」ですよ。
実際に読んでみるともうこのキャプションどおり…って言うかそれだけでは伝えきれない魅力がまだまだ山ほどあります。
まずはその溢れる疾走感。
第1巻からいきなり走り出したストーリーはさらにギアが上がりました。
尾形の足跡を追う帝国陸軍第七師団に追われた杉元達。杉元は3名を羆を利用して斃し、アシㇼパを追った谷垣源次郎はレタㇻに足を砕かれます。彼らを退けた杉元らは、第七師団の三人と刺し違えた羆の仔をアイヌの風習に従って育てるため、アシㇼパのコタン(村)に向かいます。
案に相違して温かい歓待を受けた杉元は、アシㇼパを激しい闘争に巻き込むことを嫌い黙って一人村を離れ、小樽で刺青人皮の聞き込みを再開しますが、二階堂兄弟に捕らえられて鶴見中尉の前に引き出されます。
一方コタンに置き去りにされたアシㇼパはレタㇻを連れ、ひょんなことから途中で合流した白石に協力させて杉元を追うのでした。
…と、粗筋を抜き書きしてわかるとおり、この巻では、第七師団を中心にストーリー上の重要人物が登場するのに加え、元新選組副長の土方歳三(と牛山辰馬)も顔見世をしています。
てか、何の前触れもなく土方歳三が出てきて眼光鋭く剣を振るう時点でワクワクが止まらないジェットコースターです。
加えて、小樽の蕎麦屋に始まる二階堂兄弟との因縁と鶴見中尉の変態っぷりに、書くほうがもう先を書きたくて仕方がないような勢いを感じました。
登場人物もエキセントリックな「変態」っぷりを押し出してきます。
特に鶴見中尉。
上官たる和田大尉の指を噛み切ったうえ射殺させる、吹き飛ばされた前頭部の頭蓋骨から「興奮すると変な汁が出る」、表情一つ変えずに杉元の両頬をみたらし団子の串で突き刺す…、この巻では残虐さがクローズアップされますが、埋蔵金を追う動機を「ロシアから賠償金もとれず元屯田兵の手元に残ったものはやせた土地だけ 我々の戦争はまだ終わっていない」「北海道を手に入れる 船上では英雄だったのに故郷へ帰れば放浪生活 何か報われたか? 失ったもののほうが多くはないか?」との語りからは貧しい部下を思う気持ちが伝わってきます。
アシㇼパから脱糞王と呼ばれた白石は相変わらずの軟体っぷりを見せ、洋平浩平の二階堂兄弟は「殺そう殺そう」と連呼し、杉元は杉元ですっかりうんこ食いにされてしまいましたw。
毎度登場する獲物の料理も魅力の一つ。この巻ではウサギのチタタㇷ゚、カジカのキナオハウ、カワウソのオハウに加え、にしん蕎麦までもが登場します。
とりわけカジカのキナオハウは、「ダイコン ニンジン ジャガイモ ホウレン草に昆布 そして素焼きしておいたカジカが入っている」「カジカの濃厚でコクのある出汁がきいている たっぷりの野菜がうれしい」「カジカの塩焼きも脂がのっていて香ばしい」だそうな。アイヌ風でなくともカジカ鍋は「鍋こわし」と呼ばれるほど美味しいんだとか…。
ああ、最近はまた北海道への旅行どころか、北海道の料理を食わせる店にも、北海道物産展にすら足を運びにくくなってしまいました。早く平凡な日常が戻ってきますように…。
この巻では、他にアイヌのコタンでの暮らしと、「イオマンテ」に対するアシㇼパの考えなんかが描かれています。杉元が私たちの代表としてちょっと聞きにくいことをアシㇼパに聞いてくれている感じ。アシㇼパが「新しい時代のアイヌの女なんだ」と胸を張るのが新鮮です。
2巻は二階堂兄弟に杉元が反撃を開始したところまで。相変わらず地獄のヒキですw。刺された杉元は無事なのか、アシㇼパと白石の支援の手は届くのか。
待て次巻、ですね。
第 8話 闘争
第 9話 窮鼠
第10話 博打
第11話 アイヌコタン
第12話 カムイモシリ
第13話 憑き神
第14話 遠吠え
第15話 におい
第16話 死神
第17話 追跡者
八億円相当のアイヌの埋蔵金を巡り… 日露戦争の英雄不死身の杉元とアイヌの少女アシリパ、二人の前に立ち塞がるは… 凶悪な死刑囚集団、北の最強軍隊第七師団、巨大ヒグマ!!! 圧倒的な北海道の大自然を舞台に、繰り広げられる生存競争!!!!! 燃え盛る命! 削り合うのも命! 一攫千金サバイバル第2巻!!!!!!