金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
望んで結婚したはずなのに、ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女を描いた小説。登場人物たちは30代中心で、私はもう通過したせいか(^^)、世代が違うせいか、境遇が違うせいか、あまり響かなかった。
それでも共感出来たのは、英美と由依。
英美の場合は、英美自身に共感出来たというよりも英美と母親との関係と英美と息子との関係。仕事でやむを得ず帰りが遅くなる娘にテレビのほうを向いたまま「子供がいるんだから、もっと早く帰れるようになんとかならないの?」という母親。同居して大切にしてもらえるのかと思っていたら晩御飯を作らされたりして、「家政婦のように扱われている」と文句を垂れる母親。夫が浮気症でいつ別れるか分からないから、一人でも子供を育てていけるように無理してパティシエの仕事を続けているのに、一人で何も出来ない母まで養っているのに、そんな娘の気持ちをまるで理解しない母に、英美はいらつき「うっせえ!ババア!」と言う。「あんただって浮気ばかりされてたくせに。あんな夫に頼るしか脳がなかったくせに」と。
“母と娘”はいつから“女と女”になるのだろう?仕事と子育てで無我夢中、夫婦関係が上手くいかず苦しんでいる中、上から娘を批判してくる母親に、「あんたは女としてなんぼのもんじゃい!」という気持ちになるはず。母と子はいつまでも聖母子像のようでいるはずがない。
そして、もう一つは息子との関係。小さい頃からよその子に暴力的だったり、口の悪い子の影響を受けやすかったりする小学生の息子。朝ご飯に出されたサンドイッチの中のキュウリを「こんなものいらねえよ」と床に投げ捨てた。その瞬間、英美は息子の首を右手で掴んで椅子ごと押し倒して、息子に馬乗りに「もう一回言ってみろ!」と怒鳴りつけた。
いや、やり過ぎ。やり過ぎだけれど、共感はできる。
一億総活躍だとか言って“働く女性”を歓迎する一方、子供を一人で留守番させるだけでも「虐待」という自治体も出てくるようなわけの分からない社会。働けば、ストレスが貯まるのは当たり前、夫婦関係だって多かれ少なかれギクシャクもする。母親だって、母である前に人間なのだ。人間として最低なことをした我が子に対して、人間としての怒りをぶつける母に「その怒り方は虐待だ」と批判する社会は、女性に対する「イジメ」だと思う。いやもちろん、女性(母)に対してだけではなく、男性(父)に対しても社会は厳しい。
世の働く世代の親達に対して、“活躍”と“理想の親像”を勝手に求める社会は、ポテトサラダを買おうとしている母親に「ポテトサラダぐらい自分で作ってあげれば?」と後ろから批判してくるオッサンと何ら変わらない。
つい、日頃の疑問をぶつけて、脱線してしまった。
もう、一人共感できると書いた由依は、「昆虫のような目をして何考えてるか分からない」と言われるが、19歳(?)でモデルを目指して単身フランスに渡るなど、一番自分の夢に向って正直に生きている。
感情が無いようだけど、子供を死産してしまった時にちゃんと我が子に会って抱き、その後は決して妊娠しないようにした行動から、悲しみを表に出さず、人に安々と同情されたり勝手に共感されたりするのを拒む、芯の強い人のように見える。私も表情に乏しいと言われるので、由依のことが少しは分かる気がする。それこそ、勝手な共感だけれど。だけど、理解出来ないのは、桂と結婚したこと。どうして「犯された気がした」人と結婚したのか。その時には由依には投げやりになる理由があったのだが、「投げやり」で結婚するなんて相手に対して失礼だ。
そして、一番分からないのは、由依の妹、枝里。枝里は自分でも自覚出来るほど「可愛い」のに、その「可愛い」を無駄遣いして(活用して?)パパ活している。パパ活しながら、出会い系アプリでせっせと出会いを求め、しかしながら本音はホストのヒロムとずっと一緒にいたい。「俺はやっぱり枝里やないとダメなんや」と言いながら本当は何人もいる彼女(客)の一人に過ぎないと分かっていながら、どうしてもヒロムのことを忘れたくて婚活アプリを始めた。ヒロムに「枝里が一番や」と言われたことの中毒になり、嘘だと分かっていても「俺の一番や」と言われたい。ヒロムでなければどうでも良くて、下ネタだらけのツイッターで知り合った仲間とのオフ会に参加して本当は軽蔑しているのに盛り上がって散々な目に合ったり、デブで気持ち悪い“パパ”とお茶するだけで二万円のパパ活したり。枝里は“メンヘラ”で承認要求が人一倍強いと自覚している。それも家庭環境が原因なのかな?
世の中には理解出来ない人も沢山いる。私は「可愛さ」にも恵まれなかったかわりに地道に、割と平穏に生きてきたからかな?それとも平穏でなかったことは都合よく忘れたオバサンになったのかもしれない。
でも、世の中の人も全てを理解するなんてムリ。
多分多くのブク友さんと逆で私は金原ひとみさんより先にお父さんの金原瑞人さんのほうを先に知った。「月と六ペンス」の翻訳で。多分、金原ひとみさんもすごい才能なんだろうけど、私とはあんまり交わらないかな?
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Posted by ブクログ
ネタバレ
身勝手で自己愛に溢れた主人公を中々受け入れられず、堪えるように読み進めていたつもりが、いつの間にか自分もこの物語のスピード感に巻き込まれて読み切っていた。
リンのセックス中心の世界は15歳まで立ち返ってもその理由となるようなものはなかったように思う。正しく愛情を享受出来なかったから、なんて安い理解はしたくない。
ただそういうものなのだろう、と思った。
直感であり宿命的なもの、それがリンの場合、極端に発出しているだけで、人は誰だって理由もなく好きなものがあり、嫌いなものがある。
22winterの最後はこれまでの生き方や呪縛から束の間解消されたように思えて印象的だった。
(束の間、とあえて書くのはきっといずれ彼女はまた誰かと出会い、猛烈に衝突することは免れられないと思うから。金原ひとみさんの他の著作での言葉を借りれば猪と衝突するように。)
16summerでもパチンコ屋で文庫本を片手に男を待つように放浪していても彼女の身近に文学があったこと、22winterでの小説家という職業
書くことで救われてきた、金原さん自身のオートフィクション、として素晴らしいと思った。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍をテーマにした、識者たちの短いインタビュー記事が集められたものだが、人間の生死について、人間どうしの関係性について、また経済について(これに関しては私自身の基礎知識がなく、よくわからなかったが…)など、コロナ禍に限らず、人間社会が抱える普遍的で本質的な事柄が多岐にわたって言及されていた。
色々なるほどと思う言葉に出会ったが、特に、世界的な傾向にある「分断」が抱える問題について、アメリカ人経済学者の言葉が腑に落ちた。彼は、それは誰か一人の責任ではなく「差異を超えて互いに話し合うことを妨げている深い分断そのもの」が問題であると語った。特定の人物に責任を転嫁させるような報道に違和感があったが、話し合い、過ちを認め合うことが「分断」から「結束」への橋渡しになると思った。 -
Posted by ブクログ
はじめて読んだ金原ひとみさんの作品。
ドラッグ、虐待、不倫、流産……なんとも重たい内容を描く作品でしたが、この本には育児で葛藤しながら1日1日を生きていく母親の姿、母親の愛、母親の苦しみが詰まっていて読んでいくうちに心苦しくなることが多い。特にユカという母親はドラッグ中毒なので幻覚する場面はいつも恐ろしさを感じるけど、本人自身それだけ苦しんでいるんだろうと思う。金原ひとみさんの喩えかたはインパクトがあって凄いと思いました。
ユカが央太の部屋に上がってDVD齧るとこやばかった。
涼子が一弥にシャワー浴びせるとこもやばかった。
読んでいて痛々しい描写もあって、読み進めるにも時間がかかりました。重たい…(泣)
最後の方の五月の章はもう、悲しすぎて……(T ^ T) -
Posted by ブクログ
金原ひとみさんの小説は定期的に読みたくなる。何故か?
そこには嘘の無い、日常の本音があるからだ。そして、それは時に残酷で、酷く汚い。ただ、何故か安心する。
それは自分の日常が幸せである一方での
冒険の渇望、生の中にある、タナトス、破滅への憧れであるのか?
安定と真逆の不安定に身を委ね、読ませてくれる数少ない作家である。
タイトルのマリアージュとはフランス語で結婚を意味するが転じて別の2つのものが
調和している状態の組み合わせのことであるが、我々人間は我儘な生き物である。
アンビバレンスな感情の中、完全な調和は困難である。…
が、そうでないと信じたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ綺麗事なんか一切なしの人間関係をみた気がした。
とても大切な友人とは思えない3人の関係
ユリがみくとの関係を
同時代を生き、空間を共有する人というように
まさにそれ。
ずっと3人それぞれ好きになれなかった
みくは不倫してバレて慰謝料とられるし
弓子は旦那に不倫されてヒステリックなるし
ユリに関しては
人の気にしてることをずけずけと言って
芯まで傷つけるのがなんて人と思ったけど
それはある意味彼女自身が自分を守るすべだったのかと。
どれが本当でどれが嘘かも分からないユリに
興味がでてた。
共感はほぼできなかったけど
3人が最後幸せで居てくれて良かったと思えた。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍を生きるあなたへ贈る、もうひとつのパンデミック。
5人の作家さんによるアンソロジー♬
『腹を空かせた勇者ども』金原ひとみ ★3.5
コロナ禍の新たな日常を送る、育ち盛りの中学生、玲奈のもとにある日突然おとずれた「濃厚接触者」の知らせ。
『オキシジェン』真藤順丈 ★2.5
顔の見えない「ジェントルマン」の声に従い、反ユートピアの物語を紡ぐ男が企てる、脱ディストピアの叛乱。
『天国という名の猫を探して』東山彰良 ★3
死者は活発に人肉を求め、生者が死んだ様に隠れて生きる暮らしで、ぼくは飼い猫を探す旅に出た
『ただしみ』尾崎世界観 ★3
ただ街を映すだけのライブカメラは、嘘のない「ただしい」世界。パンデミック禍の孤独な者たちの群像劇。
『MINE』瀬戸夏子 ★2.5
感染症を世界に撒き散らす事を計画する組織"臆病なテロリスト、臆病な殺人者"に志願したわたしが出会った、究極の人工美を備えた少女・アイラ。
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尾崎さん目当てで♡♡
非現実的なSFっぽい作品が多かった中、金原さんのだけは今の世の中とぴったりマッチした内容だった。
そうだよな〜と凄く主人公の気持ちが分かる反面、このお母さんがちょっと理解できなかった。
公認の不倫って??あげくの果てに彼氏がコロナ陽性。
悪びれもせず、娘に言う言葉があり得ないんだけど、、
面白かったけどこんな母親嫌だな
お目当ての尾崎さんは、尾崎さんらしい〜でした笑
結構好きだった。
あと東山さんのもゾンビっぽくて、でも淡々としていて面白かった。
どれもわりと難しいというか、ちゃんとはよく分からない感じだったけど、それでもなんとなく雰囲気で私は楽しく読み切れました♬