田村隆一のレビュー一覧

  • ねじれた家

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    1949年発表、ノンシリーズの一作。作者自薦のベスト10にも挙げられる屈指の名作。なんだろう、ものすごく尖ったところがあるわけではないが、2度と忘れることができないような、重く鈍い衝撃と余韻がある。謎解きの苦味と、語り手の底抜けの馬鹿らしさと愚かさ、ねじれたまま元に戻らない無情さ、それらの一体感。それら苦味こそ、本書の旨みかもしれない。

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    2024年07月08日
  • 魔術の殺人

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    中編ぐらいでもよかったかも?と思うけど、面白かったのでよし。
    相関図が複雑なので、家系図をつけてほしいと思った。

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    2024年06月26日
  • 魔術の殺人

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    1954年発表、ミス・マープルものの第5作。非行少年たちの更生施設が隣接するストーニーゲートで起こる不可解な事件。イリュージョンといえば聞こえはいいが、派手さはなく、登場人物たちの証言もあやふやで推理ゲームとしての旨みはそこまでない。しかし推理劇としての面白さは別格。人間性から犯人、結末、真相を読み取ることができるか、マープルとクリスティに試される一作。

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    2024年06月22日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ボビィとフランキーの謎解き冒険!アガサ・クリスティの代表的な探偵はポアロとミス・マープル。名バディといえばトミー&タペンスの名が上がるだろう。もちろんそれらの作品群は言わずもがなの面白さだが、クリスティの長編ノンシリーズも負けず劣らず面白い。クリスティを好きな人もあまり知らない人も一読するとその絶品の味に舌鼓をうつに違いない。

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    2024年06月18日
  • 死者のあやまち

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    オリヴァ夫人と言えば登場する度にポアロを煙に巻くような発言をしていつの間にか事件の渦中へと導いていく印象が有るのだけど、今回は何も起きていない状態から「腑に落ちないおかしな点がある」という理由だけでポアロを呼び出すのだからとんでもない話
    けれど、結論として実際に殺人事件が起きて、ポアロにも容易に解けない難題へと変化していくのだから面白い

    本作の事件は犯人探しゲームとして企画された謎解きで死体役と成った少女が本当に殺されていたタイプの事件
    犯人探しゲームが本物の犯人探しへ、と言うと構図は判り易いように思えるが、現実的に考えてお祭りの最中に少女団のマーリンを殺そうなんて思う人間が居るのかと動機が全く見えてこない
    むしろ事件と同時に姿をくらましたハティ夫人の消失こそ何らかの動機を見る事が可能で、そうなるとマーリンが死んだのもハティ夫人絡みという事になるが、ハティ夫人が何処へ行ったのか皆目検討が付かないという五里霧中
    探すべきは明確なのに、何処を探せば良いか全く判らない


    本作が面白いのは微妙に要素をずらしてくる点だね
    動機が見えない殺人は珍しいタイプではないけれど、同時に動機が見える失踪が絡む事で殺人と失踪という2つの事件の真相を同時に考えなければならない

    また、読み終わってみればクリスティ作品では珍しくもない要素を絡み合わせた作品なのだと判るのだけど、読んでいる最中は要素が巧妙に隠されていたり、トリックの肝と言える要素の傍に別の目立つ要素が配置されている為に良い具合に騙される仕組みになっている印象。
    それによりポアロの推理が披露されるシーンまで真相に気付くのが難しい構成だと感じられたよ

    それでいて、真相を知った状態で幾つかのシーンを読み直すとこれが真相であると示唆する文章に出会えるのだから余計に面白い
    名作とまでは呼称できなくても良作と言って差し支えない作品でしたよ

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    2024年05月29日
  • ねじれた家

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    再読。犯人と、ものすごく意外性があってすごいミステリーだなぁと感心したことは覚えていたけど、内容はすっかり忘れてました…。
    途中までは、犯人がわかってるし、あんまりかなぁーって思ってたんですが、途中から夢中になってしまった…。やっぱり、すごいミステリー小説でした。
    アガサクリスティはだいたい語り手に惑わされてしまうんですが、この小説もそんな感じ。それ以上は、語らない方がいい!
    読む方には、何の予備知識無しに読んで欲しい。

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    2024年05月18日
  • リスタデール卿の謎

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    短編でこんな次々驚きの展開だせるっていう凄すぎん??
    ナイチンゲール荘がこうくる!?って感じで驚いた。

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    2024年05月09日
  • 魔術の殺人

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    ネタバレ

    依頼を受けて、旧友の妹が住む邸宅に赴いたミス・マープル。その邸には旧友の妹キャリイとその夫だけでなく、キャリイの以前の夫の連れ子や養女の娘など様々な人たちが暮らしていた。それだけでなく、隣接する施設には精神病の子どもたちも暮らしている。
    ある夜、妄想に囚われた青年エドガーがキャリイの夫ルイスを撃とうとする事件が起こる。ルイスは無事だったものの、その間に別の殺人が発生。
    騒動の裏で起こる本物の殺人、警察が一人一人事情聴取をして動機から犯人を探っていくスタイル、見え隠れする遺産相続問題と命を狙われるキャリイ、散りばめられたヒント、と王道のクリスティ作品。
    ミス・マープルの観察眼が遺憾無く発揮される。

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    2024年05月07日
  • シタフォードの秘密

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    ネタバレ

    雪の降りしきるスタフォード荘で何気なく行われた降霊会で、麓に住むトリヴェリアン大佐の死が予言される。馬鹿げていると思いながらも親友であるバーナビー少佐が様子を見に行くと、本当に大佐は惨殺されていた。
    独身である大佐の遺産は妹と三人の甥・姪が相続するということで、ナラコット警部は彼らの身辺を捜査する。
    ノンシリーズなのでお決まりの探偵がいない分、エミリーやエンダビー、ミス・パーシハウスなど抜け目ない登場人物が多い。最初はてっきりバーナビーが主人公かと思いきや、容疑者となったジェイムズのフィアンセであるエミリーと新聞記者の青年エンダビーのコンビが素人探偵として奮闘する。
    犯人については予想はしていたけどまさかそうはなるまいと思っていた結末で、『アクロイド殺し』を思い浮かべた。
    あの人は自分がいなくてもやっていけるけれど、あの人には自分がいなければだめ。ともに奮闘したエンダビーではなく、意思を貫き通してジェイムズを選んだエミリーの覚悟が個人的にはよかった。

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    2024年05月04日
  • 予告殺人

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    エンターテイメント!説明的で、少し冷める部分も多いけど、それでも70年以上にこれを形に残せているのはすごい。そして最後まで犯人が分からなかった…は言い過ぎですが、なぜ?どうやって?は想像つかなかった。もう少しクリスティを読んでみます。次はポアロかな。

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    2024年04月08日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ネタバレ

    父親が本好きで、実家の離れは父の書庫になっていた。窓を除く三方の壁に置かれた本棚の、一番入口に近いものは子ども用で、児童書やコミックスを並べていたのだが、その隣は恐らく、子どもにも読めるものが置かれていたのだと思う。上2段は父が集めていた少年・青年漫画のコミックス、3段目以降がハヤカワミステリ。エド・マクベインやアガサ・クリズティを、ここで読みふけったものだ。
    恐らく、本書を読んだのは中学生の頃、同じ時期に映像作品も観た。どちらが先だったかは覚えていないが、映像作品の冒頭の、ゴルフ場が崖の上の草っ原だったことに驚いた覚えがある。日曜になるとテレビで流れるゴルフの試合中継では、だだっ広い整地された起伏のあるグラウンド、そこかしこに意図的につくられた林や池、緑の芝生の真ん中に立てられた旗。そんなイメージしか持っていなかったからだ。

    テレビでクリスティの映像作品が放映されると、極力視聴する。23年にNHKで放映されたテレビドラマ3回シリーズの再放送を観た。
    冒頭のゴルフ場と、エヴァンズに“何を”頼まなかったのかは思い出せたけれど、あとはサッパリ。初見のようにハラハラドキドキしていた。
    クリスティの映像作品で楽しいのは、女性のファッションだったりする。それほど服には興味ある訳じゃないけれど、この時代の欧米の服装はカッコよくて好き。現代では誰も被っていないような帽子がまたイイんだよね。事故で転がり込んだ筈なのに、フランキーは着替えを何着持ってってたんだい、というツッコミはともかく、風景とか建物とか衣装とか、文章では表し切れない美しさが表現されていて、だからドラマも好きなんだ。

    話の流れも結末も知っちゃったけれど、また読むかな? 何年か経ってディテールをうっすら忘れた頃に、手に取ってみようかな。(2024-03-25NHKにて視聴)

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    2024年03月30日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    もともとの登場人物が多いうえに過去の悲劇的な事件まで出てきて、非常に入り組んだ事件。
    しかも、証拠品はほとんどなくヒントとなるのは会話や表情のみということで、何度もページを戻りながら読んだのですが……つまらないなんてことは全くなくお気に入りの一作。合間に体調を崩してしまって2,3日お休みしてしまいましたが、そうでなかったらきっと一気読みだったと思います。
    訳の上手さ、なんでしょうかね〜。冒頭から引き締まった空気が漂っていて私好みでした。

    被害者を殺しても得なんかなさそうなのに、実は犯人の秘密を知ってしまっていて……というのは、ミス・マープルシリーズにもあった気が。
    そして『ハロウィーン・パーティー』ではじめましてだったオリヴァ夫人、今作ではさらに存在感を発揮していてニコニコ。きっとクリスティー自身をモデルにしてますよね……?
    どうやら初登場は『ひらいたトランプ』だそうで、これもそのうちチェックせねば。
    ちょっともう少し元気な時にしっかり読み通して、今回気付けなかったあれこれを拾っていきたい所存です。

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    2024年03月20日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    前に読んだことがあったんだけど内容を忘れて再読。
    エヴァンズに何を頼まなかったんだっけ、、、って感じで読んでたけど結局最後まで思い出せないまま初めて読んだみたいに楽しめた。

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    2024年02月12日
  • 予告殺人

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    ネタバレ

    犯行可能なのが一人しかいないが、この人は犯人であってほしくない…と読み進めていたら、そもそもの前提が間違っていた。誤植だと思っていた箇所は誤植じゃなかった。

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    2024年02月04日
  • 魔術の殺人

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    ネタバレ

    珍しくトリックと犯人は見当がついた。片付いた後のキャリイの態度が印象的だが、最初から何となく勘付いてたんだろうなとも思う。1回殺人を犯した人間は2回目以降止まらなくなるってなはクリスティでは徹底してるなあ〜。

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    2024年02月03日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ネタバレ

    過去の事件が引き金となって新たな殺人が起こる、もはや定番となったストーリーラインに、色々と導線をしかけて迷わせてくるのが良い。犯人は全然分からなかった。

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    2024年02月03日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』
    なんとも印象的なタイトルです。「どうして頼まなかったんだろう?」と誰しも不思議に思うことでしょう。個人的には『そして誰もいなくなった』『鏡は横にひび割れて』に次いで好きなタイトルかもしれません。

    この本を知ったのは、改めてクリスティーを読んでみようと思い立ち、書店の本棚を眺めていたとき。
    有名だけどまだ読んでいないタイトルがずらりと並ぶ本棚で、ふと目に飛び込んできたのが本書でした。
    購入したものの積読の列に並び……この度やっと読むことができました。うん、クリスティーは何を書いたって面白い!

    今作の主人公は牧師の息子ボビイと伯爵令嬢であるフランキー。
    たまたまボビイが崖から落下した男を看取ることになり、その謎の男が残した最期の言葉が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」でした。
    持ち前の好奇心と貴族の権力を駆使して潜入捜査を試みるフランキー。この展開は、あたかも少年少女の冒険譚といった雰囲気で微笑ましく読めました。
    「そんなにうまくいくわけない!」なんて野暮なツッコミはノンノンです。これはワクワクしながら楽しく読むものなのですから。
    いつも通り殺人事件は起こるものの、お子様が読んでもわかりやすい一冊なのではないかと思います。

    とっても可愛らしい関係のボビイとフランキー。
    今作だけのコンビなのが残念……もっと二人の冒険を見てみたかったです!
    ポアロやマープルとはまた違った雰囲気だけども、やっぱりこれも面白い。さすがです、クリスティー。

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    2024年01月12日
  • 魔術の殺人

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    魔術の殺人はミス・マープルのドラマ版を先に見ていて、その後本書を読んだ。大まかなトリックは小説もドラマも変わりないが、小説ではより深く登場人物の深層心理に迫っていて、読み応えがあった。

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    2023年12月03日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ポアロもの。

    先日、『ハロウィーン・パーティー』を読んだ時に、本文中に「ミセス・マギンティ殺人事件・・云々」という台詞と、『ハロウィーン・・・』に登場した、スペンス警視・オリヴァ夫人が“マギンティ夫人殺人事件”にも関わっていた。と、あったので、“これは『マギンティ夫人は死んだ』を先に読んでおくべきだったかな~”と少しシクッた感があった為、前後しますが慌てて手を出した次第です。

    ポアロは旧知のスペンス警視から、マギンティ夫人殺人事件の再調査を依頼されます。
    容疑者のジェイムズ・ベントリイは既に逮捕されていて、有罪が確定している状況なのですが、ベントリイが犯人とはどうしても思えないというスペンス警視・・。
    真相解明の為、事件のあった現地に赴いたポアロですが・・。

    いいですね~。『杉の柩 』もそうでしたが、容疑者が“ほぼ黒”状態からの逆転モノ(?)って、どのように真犯人までたどり着くのか・・・まさに、ポアロの腕の見せ所といえる内容ですよね。
    いつものように、現地住人に地道なヒアリングをしていくポアロですが、滞在先のゲストハウスが残念過ぎたり、現地での“名探偵ポアロ”の知名度が低くて何かとやりづらかったり(偶然現地で一緒になった、オリヴァ夫人の方が知名度ありましたもんねw)、さらには、せっかく容疑を晴らそうとポアロが尽力しているのに、リアクションが薄い陰キャのベントリイにイラつかされたりと、何だかトホホなポアロが笑えます。
    こんな感じで色々大変だったポアロですが、生前のマギンティ夫人が持っていた新聞の切り抜き記事の、“昔の殺人事件に関わった4人の女性達”からグイグイ真相に迫っていく展開にはワクワクさせられました。
    そして明かされる驚きの真犯人・・そう、今回も見事に騙されちゃいましたよ!
    いや、私だって“引っかからないように、怪しくない人物は逆に要注意”的な用心(?)はしていたのですが、それでも全くノーマークの人物でしたからね~。
    まぁ、ある意味トラップといえばトラップなのですが・・・やるな、クリスティー・・と今回も脱帽です。

    と、いう訳で謎解きは勿論、クリスティーお得意の“クセツヨ”住人達の人間描写もお楽しみ頂ける本書。
    秋の夜長にピッタシの一冊かと思います~。

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    2023年11月26日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ネタバレ

    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
    冒頭、ポアロの一人称から始まり彼の内面的な人物像が珍しく描かれている。もの事が正しく整理整頓されている事を好むポアロであるからこそ全てが散らかった様な環境に投じられる今作はギャップからのユーモアもありとても楽しませてくれた作品だ。
     「マギンティ夫人」というのはイギリスにある遊戯歌のようで、作中でも解説されており、女史得意のマザーグースでは無いが見立て殺人の構成だ。
     ポアロがエスカルゴ料理を堪能し帰宅すると旧友であるスペンス警視が待っており彼が担当したとある事件の相談をもちかけられる。事件は容疑者が捕まり、陪審員による有罪判決も下るがスペンス警視は逮捕されたベントリイという男が犯人だとは到底信じられず(しかしベントリイは印象の悪い人物であり、全てを悲観した様な男)、しかし自身が操作した内容のどれもが彼の犯人説を覆す物は無い(唯一は凶器が見つかっていない事)という中でポアロに相談に訪れる。
     誰が、なぜ、の部分にフォーカスがあたり、最初は何故マギンティ夫人は殺害されたのかの原因究明に。動機の目処がつきいよいよ真犯人の追及が始まる。
     過去にあった4つの陰惨な事件の登場人物、新たに起こる殺人事件、ポアロへの殺人未遂、様々な事件が一様に発生し、そして犯人は女であると推定できる環境下。全てがストーリーと交錯しながら、ポアロが真実に辿り着く。
     途中、オリヴァ夫人も登場し、前作同様、犯人を女の直感で見抜きポアロへ協力する。「マギンティ夫人事件」の真犯人を当てることは出来なかったが、別の事件の犯人を言い当てており、女の直感は恐ろしい物だと実感してしまった(笑)(クリスティのユーモアたっぷりだ。少しずつオリヴァの出場機会が考えられていったのもこの頃なのだろう。)
    今作は正統な流れを汲んだある意味で王道の推理小説で、①被害者は何故殺害されたのか②動機は何に当たるのか③捕らえられた人物以外の場合真犯人は誰か。といった見どころに整理される。特に動機ね面は素晴らしく、そこから物語を大きく飛躍させて行くアイディアは感動してしまう。真犯人も意外な人物であり、以下ネタバレだが

    作中通してずっと女性が真犯人の事件である様に見せながら実は男性が犯人であり、更には第二の殺人で殺害された息子であり、しかも彼は本当の息子では無かった為、義母に自身の本当の両親が殺人事件に関わりのある様な人物だと知られる前にそれに気づいたマギンティ夫人を殺害し、義母に勘づかれてからは王道の作品の様に財産を獲る為に殺人が起こる。

    という二転三転するストーリー構成だ。
    ポアロの行動が褒められるべきものでは無いと思うのは日本人だからか、現代人だからか。ポアロが過去の事件の新聞記事を出さなければ新たな殺人はなかったと言える反面、最大限の注意喚起はしていたのでなんとも言えないが。
    今作は未読か再読か覚えていなかったが、いずれにせよ大変楽しめた作品だ。クリスティがマザーグースや遊戯歌からどの様に作品を思い付くのか頭の中を覗いてみたい。

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    2023年09月09日