田村隆一のレビュー一覧
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ネタバレ隠されていたあやまちは。
愛すべきオリヴァ夫人から嫌な予感がすると電話を受けたポアロは、オリヴァ夫人がお祭りのイベントとして筋書きを考えた犯人探しゲームが行われる予定のお屋敷に向かう。殺人事件を防ぐために赴いたポアロだったが、犯人役の少女が殺され、屋敷の夫人が行方不明になってしまった。手がかりのピースを集めながらもなかなか絵が描けなかったポアロがたどり着いたあやまちとは——。
クリスティーあるあるの「Aとされていた人物が実はAではなかった」パターンではあるが、ポアロが最初に疑っていて読者も気にかけていた、それこそミステリあるあるの「長い間会っていなかったのに急に訪ねてきた兄」ではないところがミソ。しかも身分を偽るパターンは2回ある。これも結構クリスティーあるあるの「真実を知っていた(けど黙っていた)女性」も、その黙っていた理由がメロドラマで実にクリスティーだと。フォリアット夫人(黙っていた人)に注目して読み返すとスタッブス夫人(偽者)に対して重たいものを抱えていることがわかるように最初から描写されていたので唸ってしまった。
同じくイベントの中で少女が殺された作品『ハロウィン・パーティー』と重なるところも多い。オリヴァ夫人も登場するので。あのときも特に意味もないように思っていた現代の若者描写が後で効いてきたけど、今回の「ユースホステルを利用する、静かな地元をマナー違反でかき回して迷惑がられている外国人の若者たち」にあんな役割があったとはと驚かされた。
英語ならfollyが「あやまち」であり「阿房宮」であるというところでラストのポアロの決め台詞が光るけれど、翻訳だとうまくいかないのが惜しい。 -
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【ポアロ】
1952年クリスティー62歳。
掃除婦が殺された。スペンス警視はどうしてもあの男が殺人犯だとは思えず、ポアロに事件の再調査を依頼する…
攻略本で高評価だけど、ずっと読めずにいたのは「ハードボイルド」と書いてあったから。
いつものような屋敷の閉じられた空間ではなく、ポアロがあちこちに動き回る。
あ〜やっぱり自分の苦手なやつだ。。。
ポアロが1人ずつ聞き込みに行くので、屋敷と違って関係者同士の繋がりも薄く、心理的な部分がなかなか見えない。
しかも登場人物が横に広がって多いので関係性が把握しづらい。
そして今までのような資産家の一族ではなく、この作品は珍しく普通の人達の話。
そこにもなかなか興味をそそられず、読んでいてもつい違うことを考えてしまい、戻ったりして時間がかかった(*_*)
やっぱり自分は舞台が狭ければ狭いほど、人間関係が濃くなって好きだなぁ。
クリスティーは100冊様々なミステリーのジャンルを書いているので、好きなタイプの作品もあれば、自分の苦手なのもわかってきた。
苦手ではあったけどクリスティーを読んでるとなぜか落ち着く。なんだか実家に帰ってきたような安心感。
クリスティーは文字も大きくて読みやすいんだよなぁ。他の小説も全部この大きさの文字サイズになって欲しい。 -
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【マープル】
1952年クリスティー62歳で、マープル長編12作品のうち5番目の作品。
マープルの学生時代の友人に「妹の身に良からぬことが起きる予感がする」と頼まれて、マープルは友人の屋敷に赴くと…。
最初の夫とその子ども、2番目の夫とその子ども、3番目の夫、実子と養女とその旦那もいて…もう人間関係が複雑過ぎるよー。
人数が多いのと魅力のある登場人物がいなかったので、誰にも感情移入できずに終わってしまった。
邸宅で非行少年ばかりを集めた少年更正施設をしていたり、妄想癖のある青年も出てくる。
もう色んなことがてんこ盛りなので、面白みが薄くなっている感じがした。
★2.5
マープル長編の未読は残りあと3作品。
執筆した順番で最後の3作品を読まずにとっておいた。
楽しみでもあり、マープルが終わってしまう寂しさもある。大切にゆっくり読もう。 -
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ポアロもの。
とある田舎の屋敷(ナス屋敷)で園遊会のようなお祭りが開催されることになり、その催し物の一つである“犯人探しゲーム”の筋書きを担当することになったオリヴァ夫人。
準備は整ったものの、オリヴァ夫人は“なんだか腑に落ちない”という奇妙な胸騒ぎがして、友人であるポアロに屋敷まで来てもらうことに。
ですが、その甲斐むなしくお祭り当日、ゲームの死体役の少女・マーリーンが殺されてしまい・・・。
いやぁ、今回ポアロは苦戦しましたね~・・・。
オリヴァ夫人の“予感”でナス屋敷に呼び出されたのに、殺人を未然に防ぐことができず、同日に起こった主催者の夫人・ハティの失踪も含めて、“何が何だか五里霧中状態”が続きます。
ただ、展開は遅いのですが、全員腹に一物あるようなクセツヨな登場人物達の動向や関係性も気になりますし、“一体何が起こっているの?”“亀の子アロハ(どんな柄やねん!)の男は何者?”等々、このクエスチョンまみれの状況の先が気になりすぎて、ページを繰る手が止まらないという、妙に引き込まれてしまう展開でございました。
で、この話のキーマンとなる、フォリアット夫人のクセ者ぶりにも注目で、お上品で優しい印象と思っていたら、会話の途中で急に冷たくなったりと“この人の情緒はどうなっているの?”と、こちらもなかなか一筋縄ではいかない感じで、彼女とポアロのやり取りも見どころだったと思います。
さて、謎を解決できないままロンドンに戻る羽目になるなど、いつになく時間がかかっていたポアロですが、
「エルキュール・ポアロは断じてあきらめないのです」
という台詞の通り、終盤で怒涛のようにパズルのピースをバチバチ嵌めていってくれたのは流石ですね。
私も“入れ替わり”があるな・・とは予想したのですが、そんな素人予想の斜め上を行くような意外な真相に、本書の序盤部分から見直して、その張られていた伏線には唸らせましたね。
ラストはスッキリとはいえませんが、“彼女”がその後どうしたのか、余韻が残る読後感でございました。
因みに、解説にもありましたが、本書のタイトルの原題(Dead Man's Folly)が秀逸で、ここにも感心した次第です~。 -
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ネタバレ牧師の四男であるボビイは、友人とのゴルフの最中に崖から転落した男を発見する。男はボビイが見守る中、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という謎めいた言葉を残して絶命する。
男の身元を示すものがないかとポケットを探ったところ、そこには女性が写った写真があった。
ボビイは、現場を通りかかったロジャー・バッシントン・フレンチに死体の番を任せるが、その間に死体のポケットの中の写真がすり替えられたことを後に知ることになる。
ロジャーの怪しい行動からこれは単なる事故ではないと見抜いたボビイは、幼馴染のフランキーとともに独自の捜査を始める。当然、潜入先はバッシントン・フレンチ家。さらにその近所に住む怪しげなニコルソン博士にも目をつける二人。だが犯人の魔の手は、逆に二人にも伸びてくる。
最後の最後までエヴァンズの正体がわからないところ、「トミーとタペンス」のような純朴な青年ボビイと上流階級の娘であるフランキーの凸凹コンビの冒険活劇、そして最後は大団円。クリスティーらしさが詰まった一冊。