田村隆一のレビュー一覧
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Posted by 読むコレ
Yの時点で60越えのおじいちゃん主人公だったドルリー・レーンに、心ならずも温かい眼差しを送っていたものですが・・まさか、本作がその10年後になっていようとは(笑) もう、温かいを通り越して介護の視線でした。
ついでに相棒のサム警部も定年となっては、さしものクイーンも読者の視線を気にしたのか、突如サム警部の娘というにはいささか苦しいハタチの女の子、パットが現れ、しかも何と物語がパットの可愛らしい一人称で進むという・・もう、大変なことになってます。80年前の本ですよ・・これ。
肝心な物語。クイーンに老人をいたわろうなどという気持ちはないのか、物語の80%は追い詰められて苦しんでました。そ -
Posted by 読むコレ
自分は正直言うと、古典ミステリは苦手です。特に、殺人事件を、関係者のインタビューによって解決していくタイプは苦手で、とてもページをめくらせる力があると思えない。クリスティもヴァン・ダインも、イマイチ積読から抜け出せないのはそういう理由からです。
本書も、スタートはその臭いが漂っていましたが、途中の裁判のシーンから劇的に変化し、指に力が込められるようになりました。ドルリー・レーンが痛快と思える推理を見せ始めたところからです。
結果として、自分的上位に入る本とはなりませんでしたが、古典を読むきっかけにはなりそうな気がしました。すでにYも積読済み。頑張ろう! -
Posted by 読むコレ
Xのときもそうですが、我慢して我慢して、ある種修行のような前半の黙読を経て辿り着いた後半戦の勢いと言ったらなんでしょう、この作家の特徴なんでしょうか。。しかも最後の結末と言ったら!偉そうに予想していた結末を完全に覆されて、ただただ唖然とするばかりでした・・面白かったです。
ただ、ここからはネタバレになりますが、このトリックはちょっとズルい気もしました。これを使えば、大抵の人は犯人をできてしまうでしょ。
また、この展開なら、もっと「Y」が犯人と思わせるギミックが多くあっても良かったのでは?あれ、死んだはずなのに・・まさか・・?的な疑心が生まれたら、もっと面白かったような気がします。
・・ク -
Posted by ブクログ
朝刊に殺人をお知らせ申し上げます、という衝撃的な広告が載る。何かのパーティーだと思った村の人は、広告に載っていた家に実際に向かうが、その場で本物の殺人が起こる。大胆不敵な事件にミス・マープルが挑む。
さりげない会話の中に巧みに伏線をしのばせるのはクリスティーの得意技ではあるのですが、今回はそのさりげない会話が中盤に多すぎたようにも感じます。そのためにちょっと中だるみ感を感じてしまいました。
でもやっぱりそのしのばせ方は巧いの一言に尽きます。途中違和感を感じたところがあったのですが、それが最後のマープルの推理披露できっちりとそのモヤモヤが明かされた時の快感は、やはりクリスティー作品だか -
Posted by ブクログ
ずいぶん前に読みかけたまま放っておいたので、前半部分はほぼ内容を忘れてしまった。
それでも、最初の3編(「味」「おとなしい兇器」「南から来た男」)はその饒舌な語り口とともに、なんとなくその内容を覚えている。特に「南から来た男」はその上手さに舌を巻き、なんとまぁ恐ろしい話だろう、と思うと同時になぜだか愉快になった記憶がある。
対して、中盤あたりに収録されている話はどうにも印象が薄く、語り口だけで引っ張っていたような気がする。
ダールの語りは上手い。しかしそれはいわゆる、淡々とした、いろいろなものをそぎ落としたタイプの上手さではないと、私は思う。
どちらかというと、ダールは「饒舌」に、「掻き立て -
Posted by ブクログ
1979年の作品だそうで、
その頃にしてみると、夢物語的な題材を扱ったものになるんだろうけれど、
2008年の現在、そうでもなくなってきている。
強壮剤に○○○○。
ネタばれになるから書きませんが、現在、そんな突拍子もないことにならなく
なっていても、面白く読めました。
過去の偉人たちが登場しますが、彼らをそんなにいじくりまわして
いいのかな、なんて気がしました。これを発表したときにクレームが
こなかったのかね。
大人の童話と、帯かなにかに書かれていましたが、
そうですねぇ、性にまつわることばかりなので、そういうコピーを
つけられたのかもしれません。そんな、童話チックでもないのよね。 -
Posted by ブクログ
短編集です。
以前同じ作者さんの「チャーリーとチョコレート工場」を紹介しましたが、これは大人向け。
全体に流れる雰囲気は「世にも奇妙な物語」と「古畑任三郎」を足してニで割ったような感じ。
どのお話も、不思議で奇怪な雰囲気が漂っていて、中には背中がぞっとするような怖いものもあります。最後の最後に、「あれっ」「あらっ」という感あり。
ブラックユーモアというのか、この作者さんのセンスってすごいなって思います。
タイトルは「あなたに似た人」だけど、タイトルと同名のお話はありません。
解説によると、「あなたがたの中にも、こういったところがあるんじゃありませんか」と問いかける、つまり、
「あな