田村隆一のレビュー一覧
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サスペンススリラーであり、主人公ボビィと幼馴染の伯爵令嬢フランキーが活躍する作品。主人公は医者の友人とゴルフのラウンド中、ふとした事で崖の下の今にも死にそうな男を発見する。彼を看取るが、亡くなる間際、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか」といい残し、それを聞いていた主人公は後々様々なトラブルに巻き込まれる。
幼馴染の令嬢フランキーはかなり行動的で権力を持っており、彼女自身の魅力も手伝い様々な組織が協力的である。警察に行けば情報を得られるし、様々な細工をしてくれる医者の友人もいる。重鎮の弁護士であっても多少の無茶は許してくれる。魅力的な二人を中心に大きく物語は進行していく。
クリスティ作品の魅力の一つは作品の導入部分であり、読者に大きな疑問を提示する事により作中へ引き込むわけだが、今回は死に際の男が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか」と呟き亡くなる事で、「エヴァンズ」とは何ものか、いつ登場するのかと興味を引き立たせる。エヴァンズの謎が明らかにされた際には思わずニヤついてしまったが、この様な仕掛けによって作品に読者を集中させることもクリスティ作品の楽しい点だ。
今作はあくまで読み物として楽しむ方が良い。リアリティやシリアスさを求めると少し物足りない。若い二人の行動は無茶苦茶だし、フランキーは後先考えないし、ボビィも行動が危なっかしい。特に犯人捜査中に探偵役が周りに色々と打ち明けたり相談したりすれば、絶対に上手くいくわけがなく。まぁ、少し設定が古いという事と、あくまで読み物であり漫画的な印象がある作品と理解すれば充分に面白い作品だ。
犯人の手口が過去のものと類似して傾向が一緒など、クリスティ作品の本格ミステリーの土台はきちんと当てはめられており、犯人が誰かという楽しみと発覚した後の驚きも感じる事ができる。
シリーズ化してフランキー&ボビィと真犯人(名前は出さない)でも面白そうだ。悪役のシリーズかがあっても楽しめるだろう。
今作のMVPはバジャーで決まりだろう。絶対絶命からの逆転劇は色々あるが、今回は流石にご都合主義では(笑)。こうなるしかない状況だった為に納得は出来るが少し強引か(笑)。バジャーに果たして商材があるのかどうかは別筋として気になる。
最後は洒落た形のハッピーエンドだ。身分違いは今の時代ではイメージがわかないし、海外なら尚更だが、お似合いの二人だ。トミーとタペンスでも良さそうだが、フランキーとボビィも魅力的なペアだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレリスタデールという名前の響きが好きだが、話がうますぎてちょっと気持ち悪い、と思いながら次の「ナイチンゲール荘」を読むと迫力のある結婚詐欺の話で、一作目もあのままじゃ済まないよねという不安を引き起こさせる配置の妙を感じた。「ナイチンゲール荘」はサスペンスの典型的な題材ながらスピードと緊迫感がすばらしい。ただし結末はもっと普通でよかったのではと思う。「事故」が突出して後味の悪いシリアスな作品でこの中では異色作と言える。最後の「白鳥の歌」というタイトルとトスカへのこだわり、イタリア人歌手の話が出たところで結末が読めたけれど短編集の締めにはふさわしい。他は割と締まりのない似たような話が続くが「エドワード・ロビンソンは男なのだ」はなかなか楽しかった。犯罪と無縁の男の子がハードボイルドに振る舞おうとするレイモンド・チャンドラー唯一のコミカルな作品「真珠は困りもの」を思い出した。
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Posted by ブクログ
以下、引用
●そのころは、軽井沢から草津まで、草軽鉄道という高原列車があって、(中略)たしか昭和三十年代で廃線となり、それにかわってバスが運行するようになったが、乗物のコースの変化によって、風景もまた変化するのだ、ということを、痛感したものだ。いや、変化するものは風景だけではあるまい。人間も、その意識も村落もその論理も、きっと変化するだろう。交通機関と、そのコースの変化は、情報、通信、流通といったものに、大きな影響をあてずにはおかないし、その影響によって、人間の生活形態から女性のスタイルまで、変化せざるをえないのだから。
●野鳥がしきりに啼いている。カッコウ、つつどり、ジューイチ、ほととぎす、どのさえずりも北軽井沢の森のなかでおなじみのものばかり。「なんだ、まるで北軽井沢の開拓部落のあたりを散歩しているみたいじゃないか」とぼくが言うと、「でも、土の色がちがうわ」と白狐。なるほど、たしかにそのとおりだ、火山灰地の北軽井沢の土の色とくらべたら、はるかに黒く、その光沢にねばりのようなようなものがある。 -
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ノンシリーズ。
牧師の息子ボビイは、崖下に転落した瀕死の男を発見。その男は「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という一言を告げて息を引き取ってしまいます。
謎の男の、ダイイングメッセージがそのままタイトルになっている本書。
ボビイと幼馴染の伯爵令嬢・フランキー(なんだか、ごろつきヤンキーみたいなあだ名ですが、本名は「フランシス」)が、男の死をめぐる謎の真相を追う、冒険ミステリです。
若い男女の冒険モノという事で、トミー&タペンスを彷彿とさせる、ちょっと危なっかしいけどアグレッシブな二人の様子が生き生きとしていて、読んでいるこちらも一緒に謎解きやスリルを楽しんでいるような気分にさせてくれますね。
巧妙なミスリードもあって、犯人の片方はさほど意外性が無かったのですが、“もう一人”の方は完全にその仮面に騙されていました。
ラストの犯人からの手紙もなかなかいい味でていますね。
そして、微笑ましいハッピーエンドも良き良きです。お幸せに! -
購入済み
短編集です
短編集です。
いろいろなタイプの話が読めて面白いです。
短編なので少し物足りない感じもしますが
お気に入りの一編を探してみるのも悪くないと思います。