田村隆一のレビュー一覧

  • リスタデール卿の謎

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    アガサ・クリスティーの短編集。あとがきの言葉を借りると「主人公が疑惑を追求するもの」「主人公が犯罪に巻き込まれるもの」「重厚な犯罪にまつわる悲劇」の話が収録されていて、様々なテイストが味わえた。
    『ナイチンゲール荘』と『事故』がハラハラして好きです。
    ※収録作※
    リスタデール卿の謎
    ナイチンゲール荘
    車中の娘
    六ペンスのうた
    エドワード・ロビンソンは男なのだ
    事故
    ジェインの求職
    日曜日にはくだものを
    イーストウッド君の冒険
    黄金の玉
    ラジャのエメラルド
    白鳥の歌

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    2024年01月08日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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     サスペンススリラーであり、主人公ボビィと幼馴染の伯爵令嬢フランキーが活躍する作品。主人公は医者の友人とゴルフのラウンド中、ふとした事で崖の下の今にも死にそうな男を発見する。彼を看取るが、亡くなる間際、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか」といい残し、それを聞いていた主人公は後々様々なトラブルに巻き込まれる。
     幼馴染の令嬢フランキーはかなり行動的で権力を持っており、彼女自身の魅力も手伝い様々な組織が協力的である。警察に行けば情報を得られるし、様々な細工をしてくれる医者の友人もいる。重鎮の弁護士であっても多少の無茶は許してくれる。魅力的な二人を中心に大きく物語は進行していく。
     クリスティ作品の魅力の一つは作品の導入部分であり、読者に大きな疑問を提示する事により作中へ引き込むわけだが、今回は死に際の男が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか」と呟き亡くなる事で、「エヴァンズ」とは何ものか、いつ登場するのかと興味を引き立たせる。エヴァンズの謎が明らかにされた際には思わずニヤついてしまったが、この様な仕掛けによって作品に読者を集中させることもクリスティ作品の楽しい点だ。
     今作はあくまで読み物として楽しむ方が良い。リアリティやシリアスさを求めると少し物足りない。若い二人の行動は無茶苦茶だし、フランキーは後先考えないし、ボビィも行動が危なっかしい。特に犯人捜査中に探偵役が周りに色々と打ち明けたり相談したりすれば、絶対に上手くいくわけがなく。まぁ、少し設定が古いという事と、あくまで読み物であり漫画的な印象がある作品と理解すれば充分に面白い作品だ。
     犯人の手口が過去のものと類似して傾向が一緒など、クリスティ作品の本格ミステリーの土台はきちんと当てはめられており、犯人が誰かという楽しみと発覚した後の驚きも感じる事ができる。
     シリーズ化してフランキー&ボビィと真犯人(名前は出さない)でも面白そうだ。悪役のシリーズかがあっても楽しめるだろう。
     今作のMVPはバジャーで決まりだろう。絶対絶命からの逆転劇は色々あるが、今回は流石にご都合主義では(笑)。こうなるしかない状況だった為に納得は出来るが少し強引か(笑)。バジャーに果たして商材があるのかどうかは別筋として気になる。
     最後は洒落た形のハッピーエンドだ。身分違いは今の時代ではイメージがわかないし、海外なら尚更だが、お似合いの二人だ。トミーとタペンスでも良さそうだが、フランキーとボビィも魅力的なペアだ。

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    2023年12月15日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    裕福でもなければ名声もない掃除婦のマギンティ夫人が殺された。
    スペンス警視は一人の青年を逮捕するが、何故か納得できない。
    そこでポアロに再調査を依頼する。
    彼女の身辺を調べる中で浮上したのは、過去の四つの事件と四人の女性。
    この事実が今回の殺人事件にどう関わってくるのか。そこを探る過程が面白い。

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    2023年12月11日
  • 魔術の殺人

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    プロットはよくできていると言えばよくできているが、トリックは凡庸。登場人物も類型的で「らしくない」一冊。正直なところ、私設少年院という筆者が(おそらく)あまり馴染みのない舞台を選んだがために臨場感が薄れ、物語に深みを欠いたのではないかと推測。

    これでミス・マープルが登場する長編12作のうち 6作を読んだ/読み返した計算。あと 6冊だし、まあ読むか。

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    2023年11月25日
  • 詩人の旅 増補新版

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    雑誌スピンで紹介されていた本。

    昭和時代の旅話なのに、なぜかむしろ新鮮に感じるし、この時代の電車旅を羨ましく思う。

    そういえば、若い時に小海線で清里に行ったことを思い出したが、どういう経路か全く思い出せず、今はその通りに電車ではいけない。
    若狭の水、今でも美味しいのか同じ旅をしてみたい。

    昔からこの先の旅の郷愁まで、いろいろと想像を巡らせる良本に出会った。

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    2023年10月20日
  • 魔術の殺人

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    文章自体がトリックと言ってもいいのかな。真相から目を逸らさせるような記述が多く、その結果、謎が成り立っている。

    クリスティに関しては、ポワロもの長編を全て読んでマープルものも5作目となると、もはや謎解きよりもドラマとして見てしまっているので、殺人事件が起こらなかったとしてもさして不思議ではないかもしれないが、本作もミステリである以上、事件は起こる。が、事件が起こるまでが長い…そしてその後も動きが少ない。

    しかしなぁ…何とも釈然としない。ジーナはいつもの素敵な女性枠ですね。何だか救われます。

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    2023年07月17日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    マギンティ夫人という、誰にも恨まれる覚えのない人物が殺害され、その罪である男が逮捕される。しかしその男は無実だと考える警視に頼まれポアロが真実を暴き出す。巧みな会話や描写に圧倒され、進んでいく物語。そして意外な犯人。自分は今回も最後まで犯人はわからなかった。

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    2023年07月16日
  • ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成

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     詩人として名高い田村隆一は、戦後間もない時期に早川書房編集長であり、クリスティーなどの海外ミステリの翻訳家でもあった。
     そんな田村のミステリに関する評論、作家紹介、本の解説等をまとめたもの。
     今となってはミステリに関する考え方として常識になっていることも多いが、ミステリと詩の関係を語っているところや、ユーモアが大事と強調しているところなどは成程と思った。

     編集長時代のことはあまり覚えていないと田村は言っているが、その辺り、当時部下だった生島治郎の『浪漫疾風録』が一面を覗かせてくれる。

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    2023年02月26日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    クリスティ作品にしては珍しく、女中の殺人事件。
    登場人物が多く、読んでいてあっちこっちに色々と展開してゆき、また、他作品と比べても、いやらしいミスリードが多い作品であった印象。
    しかし、最後にスッキリ解決するのはさすが。

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    2022年10月28日
  • ねじれた家

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    ネタバレ

    すらすら読んだが、犯人が以外過ぎてびっくりした。
    いろいろヒントがあったのに、見逃していたな。

    ソフィアが遺産相続して、一族を養うようにというおじいさんの遺言だったが、この一族を面倒見るのはしんどいだろうな。ソフィア頑張れ!!

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    2022年06月12日
  • 死者のあやまち

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    アガサ・クリスティー。ポアロシリーズ。知り合いの作家に推理ゲームに招待されたポアロ、良からぬ予感がするという作家に協力するが、死体役の少女が本物の死体となって現れる。事件を防げず、犯人もわからないポアロがじれている姿に老いを感じる。最終的には真相をあばくがその過程は唐突で雑に感じた。

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    2023年04月01日
  • リスタデール卿の謎

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    ネタバレ

    リスタデールという名前の響きが好きだが、話がうますぎてちょっと気持ち悪い、と思いながら次の「ナイチンゲール荘」を読むと迫力のある結婚詐欺の話で、一作目もあのままじゃ済まないよねという不安を引き起こさせる配置の妙を感じた。「ナイチンゲール荘」はサスペンスの典型的な題材ながらスピードと緊迫感がすばらしい。ただし結末はもっと普通でよかったのではと思う。「事故」が突出して後味の悪いシリアスな作品でこの中では異色作と言える。最後の「白鳥の歌」というタイトルとトスカへのこだわり、イタリア人歌手の話が出たところで結末が読めたけれど短編集の締めにはふさわしい。他は割と締まりのない似たような話が続くが「エドワード・ロビンソンは男なのだ」はなかなか楽しかった。犯罪と無縁の男の子がハードボイルドに振る舞おうとするレイモンド・チャンドラー唯一のコミカルな作品「真珠は困りもの」を思い出した。

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    2022年03月27日
  • シタフォードの秘密

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    ダートムアを舞台に、登場人物がアーサー・コナン・ドイルに言及するなど、バスカヴィル家の犬を始めとするシャーロック・ホームズ作品へのオマージュ(脱獄騒動、赤の他人の男女が血縁のふりをする、消えたブーツ、ヴァイオレットという名の女性他)が散りばめられた楽しさのある作品。クリスティ作品の中でも特に登場人物が多いほうと思われる。重婚問題などは無理に入れたかったのか回収しきれていない印象で若干散らかっているがトリックはシンプルでストンと落ちた感じ。

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    2022年03月13日
  • 詩人の旅 増補新版

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    以下、引用

    ●そのころは、軽井沢から草津まで、草軽鉄道という高原列車があって、(中略)たしか昭和三十年代で廃線となり、それにかわってバスが運行するようになったが、乗物のコースの変化によって、風景もまた変化するのだ、ということを、痛感したものだ。いや、変化するものは風景だけではあるまい。人間も、その意識も村落もその論理も、きっと変化するだろう。交通機関と、そのコースの変化は、情報、通信、流通といったものに、大きな影響をあてずにはおかないし、その影響によって、人間の生活形態から女性のスタイルまで、変化せざるをえないのだから。
    ●野鳥がしきりに啼いている。カッコウ、つつどり、ジューイチ、ほととぎす、どのさえずりも北軽井沢の森のなかでおなじみのものばかり。「なんだ、まるで北軽井沢の開拓部落のあたりを散歩しているみたいじゃないか」とぼくが言うと、「でも、土の色がちがうわ」と白狐。なるほど、たしかにそのとおりだ、火山灰地の北軽井沢の土の色とくらべたら、はるかに黒く、その光沢にねばりのようなようなものがある。

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    2022年03月06日
  • リスタデール卿の謎

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    何かしらのミステリー風味はあるのだが、事件っぽい事件ではなく、何かしら不思議な事象が発生してそれに対して何かしらの解決が行われるよ、というような話。
    他のクリスティ作品とは大分テイストが異なり、どちらかというと本格でない、今風のミステリー作品にクリスティが挑戦してみました、という印象を受けた。

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    2022年02月16日
  • 魔術の殺人

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    アガサ・クリスティーの描く人物がすきだなあと思う。みんな魅力的で個性的。読み進めていくと、じわじわだったり突然だったりするけれど、第一印象から印象が全然変わってしまう。
    今回ミスマープルはなにか不吉なことが起こりそうだというある屋敷に潜入する。そこにはやっぱり変なひとや魅力的なひとがいて、読み終わる頃にはみんなのことがなんだか好きになっている。
    アガサ・クリスティーの作品は、ミステリーだけどヒューマンドラマでもあると思うのだ。

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    2022年01月28日
  • ねじれた家

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    ネタバレ

    面白かった。
    子供が犯人で、エラリー・クイーンのYの悲劇的な雰囲気を感じた。富豪っていうのも同じだしな。
    なんか、モヤっとした感じが残るかな。
    ソフィアのセリフとか他にもまだ全員に疑うポイントがあって...。まあそんなことないと思うが...

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    2022年01月09日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ノンシリーズ。

    牧師の息子ボビイは、崖下に転落した瀕死の男を発見。その男は「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という一言を告げて息を引き取ってしまいます。
    謎の男の、ダイイングメッセージがそのままタイトルになっている本書。
    ボビイと幼馴染の伯爵令嬢・フランキー(なんだか、ごろつきヤンキーみたいなあだ名ですが、本名は「フランシス」)が、男の死をめぐる謎の真相を追う、冒険ミステリです。
    若い男女の冒険モノという事で、トミー&タペンスを彷彿とさせる、ちょっと危なっかしいけどアグレッシブな二人の様子が生き生きとしていて、読んでいるこちらも一緒に謎解きやスリルを楽しんでいるような気分にさせてくれますね。
    巧妙なミスリードもあって、犯人の片方はさほど意外性が無かったのですが、“もう一人”の方は完全にその仮面に騙されていました。
    ラストの犯人からの手紙もなかなかいい味でていますね。
    そして、微笑ましいハッピーエンドも良き良きです。お幸せに!

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    2022年01月07日
  • リスタデール卿の謎

    A

    購入済み

    短編集です

    短編集です。
    いろいろなタイプの話が読めて面白いです。
    短編なので少し物足りない感じもしますが
    お気に入りの一編を探してみるのも悪くないと思います。

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    2021年11月23日
  • 死者のあやまち

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    ポアロ
    オリヴァ夫人が出るシリーズ。
    毎回そうと言えばそうだが、途中までさっぱりわからず、最後怒涛の展開でエーッっていう犯人だった。ちょっともう一回読んでみようと思う。
    ひとまず印象に残ったフレーズのメモ。
    「わたしも英国人のように、ロマンチックな方ではないのです。良縁を得るためには、ロマンスよりも分別というものが肝心です」(p82)結婚していないポアロの台詞なのが面白い。
    「あのひとはね、パンのどちら側にたっぷりバターがついているか、いつもよく知っているような女ですよ」(p209)どういう人なのかよくわかる悪口でよし。

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    2021年11月20日