短編集です。
以前同じ作者さんの「チャーリーとチョコレート工場」を紹介しましたが、これは大人向け。
全体に流れる雰囲気は「世にも奇妙な物語」と「古畑任三郎」を足してニで割ったような感じ。
どのお話も、不思議で奇怪な雰囲気が漂っていて、中には背中がぞっとするような怖いものもあります。最後の最後に
...続きを読む、「あれっ」「あらっ」という感あり。
ブラックユーモアというのか、この作者さんのセンスってすごいなって思います。
タイトルは「あなたに似た人」だけど、タイトルと同名のお話はありません。
解説によると、「あなたがたの中にも、こういったところがあるんじゃありませんか」と問いかける、つまり、
「あなたがたに似たひとたちの話をあつめた本」ということらしいです。
少しご紹介。
−おとなしい兇器−
夫の帰りを待つ妻。おなかには6ヶ月になる赤ちゃん。
「よりによってこんなときにこんな話を持ち出すのも・・・」といいながら夫が打ち明け話を切り出す。でも最後だからと食事の用意をしたいという妻。
心の中では夫に恨みを抱いている妻は、冷凍肉の塊で夫を一撃する。
警察が駆けつけるが、兇器は見つからない。
そんな警察に妻は夫に出すはずだった料理をふるまう。オーブンで焼いた羊肉。
舌鼓をうつ警官たちは、兇器について語る。
「(兇器は)この家の近くにあるにちがいないのさ」
「ああ、きっと俺たちの目と鼻のさきにあるだろうぜ・・・」
妻は声を殺してクスクス笑い出した。
−皮膚−
有名な画家にその昔刺青をかいてもらった男。
それを自慢したくて見知らぬ男に背中を見せる。
ホテルを経営するというその男は、その刺青は非常に価値があるから、自分のホテルに住んでほしいと言う。
ただ刺青を見せるだけで大金を手にできると思った刺青男はその話にのるのだが・・・。
おそろしい結末が待っています。。
このほかに、「味」「南から来た男」「兵隊」「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」「海の中へ」「韋駄天のフォックスリイ」「毒」「お願い」「首」「音響捕獲機」「告別」「偉大なる自動文章製造機」「クロウドの犬」の15編。
自分にもこんなことがあるかもしれない・・??