田村隆一のレビュー一覧

  • 魔術の殺人

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    ミス・マープルもの。

    旧友・ルースから、彼女の妹・キャリイの家の様子を見てきてほしいと頼まれた、ミス・マープル。訪れたその邸は、敷地内に民間の少年院のような施設があり、本宅の方もキャリイの親族やら居候やら、複雑な関係の老若男女が共に暮らしている状況です。
    そんな中、妄想癖のある青年が、キャリイの夫・ルイスに襲いかかるというハプニングと同時に別の人物が実際に殺されてしまうという事件が勃発します。さらに、キャリイの命も狙われているかも?と、いう疑惑まで出てきて・・。
    まるで魔術のトリックのような事件の真相に、ミス・マープルの人間観察力を絡めた推理が冴えわたります。
    ミステリとしての構成もさること

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    2020年08月01日
  • ねじれた家

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    前半1/3くらいまでは和訳にやや違和感があった。
    英語を文頭から文末までそのまま訳した感じ。
    やっぱり原文のままで読めた方が楽しいんだろあなぁなんて考えながら、とりあえず読み進めたら後半からすごく面白かった。
    映画はまだ観てない。
    一番オススメしたいポイントは、なんと言っても一緒に推理していける事。
    伏線もしっかりはられている。よく、(本当によく)考えたら分かるように。推理小説が好きな人の、欲しがってる部分を埋めてくれる感じ。
    読み進めていく中で感じる違和感は、やはり必ず重要な部分なのだと再認識。
    1940年代に書かれたなんて信じられない。あまりにも色褪せない。
    1940年に生きようと2020

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    2020年05月03日
  • 詩人の旅 増補新版

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    30年ぶりの増補新版、 饒舌で、きらいじゃないです。軍歌のくだりは正直わかりません。何か屈折したものがありそうです。詩は端正です。今は観光地になっている隠岐、若狭、伊那、奥津、越前などを廻ります。

    『地上の旅以外にも、内面の旅がある。それを「遊」と云う。書物との出会い、知らないことを学ぶ。たとえば、戦前では「学に遊ぶ」と云った。留学とは云わないで「遊学」。遊そのものに、旅という意味がある。』あとがきにかえて

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    2020年04月18日
  • 詩人の旅 増補新版

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    20台半ばごろ、つまり30年以上前に読んでいる。
    その三十余年前は、一人旅の山陰本線の車内で、タムラさんのように堺港から隠岐に渡ろうか、出雲に行こうか考えていたりもした。

    僕の記憶では、タムラさんが鎌倉の自宅か散歩中にふと思い立って、西脇順三郎の詩集だけを手にして、旅に出る場面があったはずなのだが。

    タムラさんは何処に行っても、酒が欠かせないし、その文章は軽々して柔らかい。この文章を丸谷才一が名文とした「文章読本」も読んだことある。確かにクダケテいるのに何とも品がある。
    最近、タムラさんのエッセイを本屋で見ることが少なくなった。復刻して欲しいとおもう。

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    2019年11月17日
  • 死者のあやまち

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    ナス屋敷で屋外パーティが開かれ、余興に殺人犯探しゲームが行われる。筋立ては小説家のオリヴァ。ポアロは賞金渡し役にと呼び寄せられる。ところが犯人役の少女が本当に殺されてしまう。そしてナス屋敷の主人の妻、ボート小屋の老人までも殺される。

    書かれたのは1956年で、お屋敷が売られてユースホステルになっている、とか、ユースホステルの客が皆外国人で北欧とかイタリアとかでしかもショートパンツ姿、などという当時の状況が興味深い。そして古くからあるナス屋敷の女主人は息子二人が戦死して相続税で家を失ったが、新しく買った人の好意で庭さきの番小屋に住んでいる、という設定。戦後の社会の変化を取り込んだ作品。

    これ

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    2019年10月31日
  • 詩人の旅 増補新版

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    「荒地派」と呼ばれる現代詩の一大潮流を築き上げた詩人、田村隆一が日本各地を酒(特にウイスキー)を片手に巡り歩く旅行記。

    私が最も好きな作曲家の一人が武満徹であるのだが、彼の「My way of Life」という作品では、田村隆一の「私の生活作法」というエッセイがテクストとして利用されている。
    その中で特に次の一節が記憶に残っている。

    ”「時が過ぎるのではない 人が過ぎるのだ」
    とぼくは書いたことがあったっけ
    その過ぎてゆく人を何人も見た
    ぼくも
    やがては過ぎて行くだろう”

    このテクストからも明らかな通り、田村隆一の文章は平易な言葉で綴られている。本書では旅行記、という性質もあるのかもしれ

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    2019年10月27日
  • ねじれた家

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    映画が公開されるということなので、興味本位で読んでみた。

    冒頭に殺人事件が描かれているにも関わらず、それ以降はミステリらしくない展開が続く。飽きるかと思いきやそうではなく、一族のスキャンダルがストーリーのベースになり、これはこれで面白い。第二の殺人が起きる後半からはギアチェンジして鋭いロジックを見せつけられるのだが、前半の人間模様が作品の雰囲気と合ってたので、このまま人間ドラマで終わってもいいかなと思ってみたり。

    とは言ってもさすがはクリスティー。きちんと伏線を回収して、意外な犯人と意外な着地で読み手を翻弄する手は緩めない。実はなかなか重い真相なのに読後感が悪くないのは、ほどよいボリューム

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    2019年06月30日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ポワロシリーズを読んでいて、初めてポワロの「老い」を感じた。話の内容としては、先が気になってとまらない、というようなものではなかったし、登場人物も今までよりもそれぞれが存在が薄いような印象だった。といっても、疲れているときに読んだから、自分の想像力がそれほど働かなかったのも影響しているような。

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    2017年11月18日
  • 死者のあやまち

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    田舎屋敷の園遊会で、おなじみの女性作家オリヴァが企画した犯人探しゲームで実際に起きる殺人事件。冒頭の事件のエピソードから興味深く、いかにも怪しげな人物配置、捜査の課程で判明していく様々な謎や人物間の心理的な関係など、とても引き込まれる内容の作品。
    ポアロが事件を防止することができず、真相もなかなか見通せずに、ジグソーパズルに興じながら、焦燥に駆られる場面が印象的だ。
    複雑でひねりのある真相。オリヴァの企画した犯人探しゲームの中に真相が暗示されているのが何とも面白い。数々の「なぜ?」に答える真相だが、素直には納得しがたい。真相説明で過去のある出来事が明らかになるのだが、そんなことが実際に起こりう

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    2016年07月05日
  • ねじれた家

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    ねじれた家族に発生する、ねじれた殺人事件。
    2件の殺人と1件の殺人未遂が発生するが、いずれも特別なトリックが使われているわけではないし、事件関係者の全員が犯行を行いうる状況であったため、アリバイを巡る論議は一切なく、作中では動機が主な議論の対象。犯人を特定する十分な手掛かりが与えられてはいないので、本格ミステリーとは言えない。伏線らしきものがいくつか見受けられるが、それも犯人を特定するようなものではない。
    ポアロもマープルも登場しないのは、推理や捜査過程を中心に据えた物語ではないためだろうか。クリスティーが描きたかったのは、このねじれた家族関係そのものなのだろうか。
    クリスティーの十八番、お金

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    2016年06月12日
  • 予告殺人

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    ミス・マープルシリーズ
    面白かった

    他のアガサ・クリスティ作品も読んでみたくなった
    ・アクロイド殺し
    ・オリエント急行の殺人
    ・ABC殺人
    ・火曜クラブ
    ・動く指

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    2018年11月25日
  • あなたに似た人

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    ネタバレ

    ミステリ文庫ではあるものの、この本に収められている短編はいずれもミステリーではないよなぁ、という印象。

    面白い作品もそうでもない作品も入り混じってますが、共通するのが「確かにこういう人、身近にいるかもしれない」という人物が取り上げられていること。特に冒頭の『味』で登場するワインの産地をあてる美食家や、『海の中へ』で賭けに勝つために海に飛び込む男なんかは、ほかの小説でも出てきそうです。

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    2015年12月31日
  • 死者のあやまち

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    真相はなかなか大胆ですし、細やかな伏線、ある人物の証言がダブル・ミーニングになっているところなどクリスティの巧さが光ります。
    ただ、犯人と対峙し徐々に追い詰めていくというポアロの見せ場がない、全てを知っている人物が最後どうなったのか分からないなどカタルシスを感じられない展開がいまいちな印象を与えています。

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    2015年10月29日
  • ねじれた家

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    毒気はクイーンのほうが濃い。
    アレをマイルドにしてちょっとしたロマンスを加えた感じ。

    その分犯人の邪悪さっぷりが足りず、
    動機がなんだか安っぽく感じてしまう。

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    2015年09月21日
  • あなたに似た人

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    異色、奇妙な味、とよくよく表現される名作ぞろいの短篇集。

    『味』のおかしさといったらないのです。

    新訳も出ているのでそちらも読んでみたい。

    この時代の女性の台詞は本当にこう、なんていうか「あら、あなた、それってなんですの」的な、実のないからっぽな物言いばかりでついつい笑ってしまいます。

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    2015年08月25日
  • あなたに似た人

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    わー結構ブラックだなーと思いながら読み進め、最後の短編が「クロウドの犬」。
    犬が可哀想な目にあうんじゃないかと思って気が気ではありませんでした。
    まあ予想よりもマシでしたが……。

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    2015年07月19日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    調査の為にポアロが町を終始移動し続け関係者を訪ねていくハードボイルド的展開です。犯人は意外ですし、小さな謎の解決も鮮やか。ポアロが不味い料理に悪戦苦闘する様子やミステリー作家アリアドニ・オリヴァ夫人の言動などコミカルな要素もあって楽しめましたが、死刑執行前に解決しなければならないというタイムリミットものなのに緊迫した様子を感じられないのは残念に思いました。

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    2015年07月08日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    ヘイスティングズのことを懐かしんだり、若い人に自分の名前を告げても何の反応も示されなかったり、そんなポアロをみてると年をとったんだなぁ、と思う。

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    2015年05月08日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    過去の悪女たちと現在の女性関係者たちが、
    途中でこんがらがってきそうになる。

    最後に関係者全員を集めて推理を披露するくだりは、
    お約束のパターンなのだが、読んでいる方は妙な安心感がある。

    冒頭でポアロがヘイスティングスのことに言及していたが、
    相変わらず愛のある罵声で笑ってしまった。

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    2015年05月01日
  • 予告殺人

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    いきなりかなり魅力的な謎の提示で、引き込まれる。
    ちょっとその解決についてはしりすぼみ感があるけれど、さすがはクリスティだなあとうならされるのは確か。

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    2015年04月11日