田村隆一のレビュー一覧
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ネタバレ祭りの催しとして開催された推理ゲームで、被害者役の少女が殺害されるというショッキングな事件が発生。さらには会場であるナス屋敷のスタッブス夫人が行方不明に。ポアロたちは、スタッブス夫人はすでに殺害され、少女はその現場を目撃したために殺されたのだと推理する。夫人の行方も掴めない中、今度は渡守の老人が殺される。
ポアロは盟友オリヴァ夫人の創作術をヒントに、犯人がスタッブス夫人の夫・ジョージであることを突き止める。実はジョージは、ナス屋敷の前の所有者であるフォリアット夫人の息子だった。戦死したものと思われていたが生きていたのだ。その事実を隠してジョージとして屋敷に戻ってきた彼はハティと結婚するも、実は既婚者だった。そこでジョージはハティの財産を奪って殺害し、自分の妻をハティに成りすまさせることに。だが、ジョージがフォリアット夫人の息子であることを知る者が二人いた。一人は長くここに暮らしていた老人で、もう一人はその孫である少女だった。そのためジョージは、口封じのために二人を殺したのだった。
●名言
「よろしいですか、マダム、エルキュール・ポアロは断じてあきらめないのです」
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ミスリードがふんだんに配置されているので、読み進めるのが結構大変だった。あからさまにミスリードだと解るものがあちこちにあるので、それに引っかからないように考え考え読んでいると……時間がかかることかかること……
登場人物の数も多く、犯人と目される人物が同年代で外見もどこか似ているという設定のため、人物の区別がまたちょっと難しい。最新の科学捜査のネタも入っているし、これでもかこれでもかと詰め込んだ状態で、最後はあっけないどんでん返しで、やや拍子抜けしたりした。
作中にアガサ・クリスティ本人をモデルにしたらしい推理作家がいて、あれやこれやのドタバタ劇の様相もあるので、本当に詰め込めるだけ詰め込んだ話だと脱帽した。
若干の残念さは、被害者ふたりについての掘り下げが浅くて、事件のために殺された感がやや強いところだろうか?
ラストはハッピーエンドだが、ビターな感じはいなめない。 -
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ノンシリーズの短編集。
「クリスティーの短編はイマイチ」なんて仰る方もおられますが、いやいや、どのお話も収め方がうまい。わりと似たようなパターンが続くにも関わらず、一気読みしても飽きない面白さがありました。
収録作品の中で既読は「ナイチンゲール荘」のみ。
『世界推理短編傑作集』に収められていたのは「夜鶯荘」の名前でしたが、しっかり筋を覚えているにも関わらずやっぱり面白かったですね〜。電話のシーン、あまりに機転が利きすぎる。
一般人が突然犯罪に巻き込まれるパターンが多いのですが、その中で勇気を振り絞ったり慎重さを発揮したりして、いい意味で人生を逆転させる構成になんだかスッキリしました。
表題作の「リスタデール卿の謎」もそうですが、「あなたが幸せならよかった」と言いたくなるような微笑ましい結末の作品が多い印象。特に、作者から「君付け」される男の子たちが奮起する姿がいじらしかったですね。
「イーストウッド君の冒険」は、”死体のわきにあったもの”がなんなのか、ぜひ知りたくなりました!
そんな、どこかほのぼのした作品が多い中で、掉尾を飾る「白鳥の歌」の存在感が一層際立ちます。
オペラは詳しくないのでいまいち掴みきれていない部分も多いのですが、演劇好きでもあるクリスティーの本領発揮といいますか、長編で読みたかったと思わされるほどの迫力がありました。クリスティーにナツォルコッフのインスピレーションを与えたのは、どのプリマドンナだったのでしょう?
正直、ミステリ長編のロマンスには「またか」感があるのですが、不思議と本書にはそんな悪印象を持つことなく、楽しい読書を終えることができました。
ドラマの復習もしたいし、次は『ポアロ登場』を読もうかしら。『死人の鏡』や『教会で死んだ男』もいいな……。
ところで解説に、本書が刊行された1934年には『オリエント急行の殺人』『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』『パーカー・パイン登場』『三幕の殺人』『未完の肖像』の5冊も上梓されている……とあって目を疑いました。そんなクリスティーの速筆ぶりが最大のミステリーでは?? -
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ポアロの旧友スペンス警視は、マギンティ夫人を撲殺した容疑で間借人の男を逮捕した。服についた夫人の血というたしかな証拠で死刑も確定した。だが納得がいっていない警視はポアロに再調査を依頼。未発見の凶器と手掛かりを求め、現場に急行するポアロ。しかし死刑執行は刻々と迫っていた。
登場人物が多くて序盤は混乱しがちでしたが、最終的にポアロが介入してからも1人亡くなってしまう事件の展開で舞台向けだなあと思いながら読んでいました。クリスティの作品は戯曲に近いというか、人の心の機微以外に効果的な場面が多くて舞台映えしそうな展開にわくわくします。マギンティ夫人が死んでから物語が始まるので、他人から語られる姿しかなくて、ちょっと物足りない気持ちもあった。殺人の動機がめちゃくちゃ怖くて、そんなことで!?というレベルなんですが、一回逃げおおせると繰り返しても平気に思えちゃうのかなあ。 -
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ネタバレ「ミステリな建築 建築なミステリ」(篠田真由美(文)、長沖充(イラスト)/エクスナレッジ/2024)によれば、「Yの悲劇」に対するアガサ・クリスティの応答として書かれた小説らしい(これは、ミステリーの古典を読んでいる人なら常識?)。
確かに、この2冊は似ていた。館ミステリである点や、犯人像や、その顛末のほかにも、「Yの悲劇」における“不思議の国のアリス”と「ねじれた家」における“マザーグース”とか。はたまた、「Yの悲劇」における病気と「ねじれた家」における気質の遺伝とか(どちらも現代の価値観からしたら納得しがたい考えと思うけれど)。
はっきりと違うのは、主人公の役割。「Yの悲劇」のドルリー・レーンは探偵として“やり過ぎ”だったのに対し、「ねじれた家」のチャールズは探偵として機能していない(両極端…)。探偵役だと思って読んでいたら、あまりにもポンコツでげんなりする。 -
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ネタバレクリスティ自選ベスト10に入るほど自信作とのこと。派手な展開はないものの、レオニデス一家の特殊な背景や人間模様を楽しむいぶし銀みたいな作品だったかな。もし発表年代順に読んでいくと、徐々にこういう類の作品に傾倒していく様が読み取れたりするんかな?と妄想。
あと某作が与えた影響は計り知れないなあと。実は私も事前情報でネタバレの如きものを喰らっていたが、読んでいるうちに「この作品じゃなかったのかなあ?」と徐々に自信をなくし、仕舞いには完全にミスリードされるという(笑) ネタバレまでも貫通してミスリードするこの手腕はさすが女王。というか自分がアホなだけか?