田村隆一のレビュー一覧

  • 死者のあやまち

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    1956年発表。エルキュール・ポワロシリーズ第27作。準レギュラーであるミステリ作家、オリヴァ夫人登場作。典型的なお金持ちの邸宅を舞台に、よくわからないお祭り、異国からやってくる怪しげな男、芝居っ気たっぷりの展開など、王道をこれでもかと見せつけてくる。やはり今作もポワロの老いは感じられるが、見える景色が変わったからこそ、登場人物の心や悲しみに寄り添うことができているようにも感じる。トリックについてはやや肩透かしな感もあるが、ゾッとさせるオチとどんよりとしたラストの数ページは印象に強く残る。

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    2024年10月29日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』BBCドラマ2022全3話(3h)で。とても面白かった。先ず主人公や親友、ヒロインのキャラが良い。そして瀕死の男の最期の言葉=タイトルの謎と解決が素晴らしい。タイトルが秀逸で賞。思ったのだが、この謎解きは同作家の『猟人荘の怪事件』に近い。「なぜ、~しなかったのか?」アレンジや筋を変えると全く別作品としてどっちも面白くなるんだなぁ。

    クリスティの作品では『5匹の子豚』『コックを探せ』『ABC』『エンドハウス』『復讐の女神』と本作を新たにお気に入りに追加。

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    2024年09月22日
  • 死者のあやまち

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    【ポアロ】
    1956年クリスティー66歳の作品。
    催し物の「殺人犯人探しゲーム」で、賑やかなパーティーは一転して悲劇へと変わってしまう…。

    『ハロウィンパーティー』でも出てきた女性ミステリー作家のオリヴァ夫人は、どことなくクリスティーを思わせる。

    今回の事件はポアロでさえも考え込んでいる。いつも自信満々のポアロがこんなにも悩んでるんだから、私にわかるはずがない。

    徐々にポアロがパズルを1つずつはめていく。
    次第にパズルが埋まり、全てがピタッとハマった時の気持ちよさと面白さが楽しめる。

    大胆過ぎる伏線、ミスリード、キャラクター、想像できない結末。
    全てがちょうど良いバランスで熟練の技を感

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    2024年09月09日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ネタバレ

    崖下へ転落し瀕死の状態の男を偶然発見したボビイ。男が息を引き取る直前にボビイに告げた一言「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」が気になり、女友達フランキーと共に事件の真相を突き止める物語。

    エヴァンズの正体にびっくりし、黒幕の正体にもこれまたびっくり。
    表題にもなっているエヴァンズって誰?と、こちらはずっと気になっているのに肝心の2人がエヴァンズからどんどん離れていくので焦ってしまった。
    怪しい人も次々に登場するし犯人説も二転三転。ラストに向かっての怒涛の展開に、もう一度最初から読み返してしまった。

    主役の2人が若者だけあって、今までのクリスティーものと違い全体が軽快に進んだ。ポアロやミ

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    2024年09月08日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    【ノンシリーズ】
    もう何この面白そうなタイトル!
    タイトルで1番気になっていたけど、冒険ものが苦手なのでなかなか読めずにいた。

    ボビィは崖下に落下した溺死の男を発見した。男は「なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?」と一言だけ残して息を引き取った…。

    この謎を解くために若い男女が潜入捜査する。
    潜入捜査で思い出すのは『パディントン発4時50分』の何でも完璧にこなすルーシー。
    この作品のフランキーも勇敢でカッコいい女性という点でルーシーに似ている。

    さらにフランキーは伯爵のご令嬢で、ベントレーを乗り回す怖い物知らずの魅力的なお嬢様キャラクター♪
    このフランキーのおかげで楽しくて一気読みだった

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    2024年08月26日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    クリスティの本を、文庫の新刊で読めるというのがいいですね!90年も前に書かれたとは思えない構成の緻密さ。この作品を発表した時の英国の読者たちの 驚く顔が見えるようです。

    もちろん今の時代に読むと「ン?」という箇所もありますし、翻訳ものなので、英国の90年前の文化をよく知らない私たちにとっては分かりづらさ もあるのですが、それを差し引いても、このミステリーの二転三転する構成や、終盤にわかる真相は面白いです。予想外の人間が犯人であることも。

    ポワロもミス・マープルも出てこないけど、フランキーという伯爵令嬢と、牧師の息子ボビイがバディとなって事件を追っていくスリリング さは見ものです。

    ダイイ

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    2024年07月28日
  • 予告殺人

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    【マープル】
    マープルのイメージをつかむためにPrime Videoでドラマ版を観たら大大大正解だった!
    Audibleで自分が想像していたマープル像は完全に間違っていた…

    ドラマのマープルは、知的で上品で、優しくて、控えめで品格があって、頼りになるとっても可愛い素敵なおばあさんだった!

    Audibleの声のイメージから、私は勝手に生意気で噂好きな少し下品なおばあさんを想像していて、完全に正反対のイメージを持ってしまっていた。

    マープルの姿も知らなくて、小説も読んでいないのに、いきなりAudibleで聴いてしまったのがいけなかった…
    なぜならAudibleのマープル役は男性がやっているか

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    2024年07月19日
  • ねじれた家

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    1949年発表、ノンシリーズの一作。作者自薦のベスト10にも挙げられる屈指の名作。なんだろう、ものすごく尖ったところがあるわけではないが、2度と忘れることができないような、重く鈍い衝撃と余韻がある。謎解きの苦味と、語り手の底抜けの馬鹿らしさと愚かさ、ねじれたまま元に戻らない無情さ、それらの一体感。それら苦味こそ、本書の旨みかもしれない。

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    2024年07月08日
  • 魔術の殺人

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    中編ぐらいでもよかったかも?と思うけど、面白かったのでよし。
    相関図が複雑なので、家系図をつけてほしいと思った。

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    2024年06月26日
  • 魔術の殺人

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    1954年発表、ミス・マープルものの第5作。非行少年たちの更生施設が隣接するストーニーゲートで起こる不可解な事件。イリュージョンといえば聞こえはいいが、派手さはなく、登場人物たちの証言もあやふやで推理ゲームとしての旨みはそこまでない。しかし推理劇としての面白さは別格。人間性から犯人、結末、真相を読み取ることができるか、マープルとクリスティに試される一作。

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    2024年06月22日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ボビィとフランキーの謎解き冒険!アガサ・クリスティの代表的な探偵はポアロとミス・マープル。名バディといえばトミー&タペンスの名が上がるだろう。もちろんそれらの作品群は言わずもがなの面白さだが、クリスティの長編ノンシリーズも負けず劣らず面白い。クリスティを好きな人もあまり知らない人も一読するとその絶品の味に舌鼓をうつに違いない。

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    2024年06月18日
  • 死者のあやまち

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    オリヴァ夫人と言えば登場する度にポアロを煙に巻くような発言をしていつの間にか事件の渦中へと導いていく印象が有るのだけど、今回は何も起きていない状態から「腑に落ちないおかしな点がある」という理由だけでポアロを呼び出すのだからとんでもない話
    けれど、結論として実際に殺人事件が起きて、ポアロにも容易に解けない難題へと変化していくのだから面白い

    本作の事件は犯人探しゲームとして企画された謎解きで死体役と成った少女が本当に殺されていたタイプの事件
    犯人探しゲームが本物の犯人探しへ、と言うと構図は判り易いように思えるが、現実的に考えてお祭りの最中に少女団のマーリンを殺そうなんて思う人間が居るのかと動機が

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    2024年05月29日
  • ねじれた家

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    再読。犯人と、ものすごく意外性があってすごいミステリーだなぁと感心したことは覚えていたけど、内容はすっかり忘れてました…。
    途中までは、犯人がわかってるし、あんまりかなぁーって思ってたんですが、途中から夢中になってしまった…。やっぱり、すごいミステリー小説でした。
    アガサクリスティはだいたい語り手に惑わされてしまうんですが、この小説もそんな感じ。それ以上は、語らない方がいい!
    読む方には、何の予備知識無しに読んで欲しい。

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    2024年05月18日
  • リスタデール卿の謎

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    短編でこんな次々驚きの展開だせるっていう凄すぎん??
    ナイチンゲール荘がこうくる!?って感じで驚いた。

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    2024年05月09日
  • 魔術の殺人

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    ネタバレ

    依頼を受けて、旧友の妹が住む邸宅に赴いたミス・マープル。その邸には旧友の妹キャリイとその夫だけでなく、キャリイの以前の夫の連れ子や養女の娘など様々な人たちが暮らしていた。それだけでなく、隣接する施設には精神病の子どもたちも暮らしている。
    ある夜、妄想に囚われた青年エドガーがキャリイの夫ルイスを撃とうとする事件が起こる。ルイスは無事だったものの、その間に別の殺人が発生。
    騒動の裏で起こる本物の殺人、警察が一人一人事情聴取をして動機から犯人を探っていくスタイル、見え隠れする遺産相続問題と命を狙われるキャリイ、散りばめられたヒント、と王道のクリスティ作品。
    ミス・マープルの観察眼が遺憾無く発揮される

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    2024年05月07日
  • シタフォードの秘密

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    ネタバレ

    雪の降りしきるスタフォード荘で何気なく行われた降霊会で、麓に住むトリヴェリアン大佐の死が予言される。馬鹿げていると思いながらも親友であるバーナビー少佐が様子を見に行くと、本当に大佐は惨殺されていた。
    独身である大佐の遺産は妹と三人の甥・姪が相続するということで、ナラコット警部は彼らの身辺を捜査する。
    ノンシリーズなのでお決まりの探偵がいない分、エミリーやエンダビー、ミス・パーシハウスなど抜け目ない登場人物が多い。最初はてっきりバーナビーが主人公かと思いきや、容疑者となったジェイムズのフィアンセであるエミリーと新聞記者の青年エンダビーのコンビが素人探偵として奮闘する。
    犯人については予想はしてい

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    2024年05月04日
  • 予告殺人

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    エンターテイメント!説明的で、少し冷める部分も多いけど、それでも70年以上にこれを形に残せているのはすごい。そして最後まで犯人が分からなかった…は言い過ぎですが、なぜ?どうやって?は想像つかなかった。もう少しクリスティを読んでみます。次はポアロかな。

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    2024年04月08日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    ネタバレ

    父親が本好きで、実家の離れは父の書庫になっていた。窓を除く三方の壁に置かれた本棚の、一番入口に近いものは子ども用で、児童書やコミックスを並べていたのだが、その隣は恐らく、子どもにも読めるものが置かれていたのだと思う。上2段は父が集めていた少年・青年漫画のコミックス、3段目以降がハヤカワミステリ。エド・マクベインやアガサ・クリズティを、ここで読みふけったものだ。
    恐らく、本書を読んだのは中学生の頃、同じ時期に映像作品も観た。どちらが先だったかは覚えていないが、映像作品の冒頭の、ゴルフ場が崖の上の草っ原だったことに驚いた覚えがある。日曜になるとテレビで流れるゴルフの試合中継では、だだっ広い整地され

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    2024年03月30日
  • マギンティ夫人は死んだ

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    もともとの登場人物が多いうえに過去の悲劇的な事件まで出てきて、非常に入り組んだ事件。
    しかも、証拠品はほとんどなくヒントとなるのは会話や表情のみということで、何度もページを戻りながら読んだのですが……つまらないなんてことは全くなくお気に入りの一作。合間に体調を崩してしまって2,3日お休みしてしまいましたが、そうでなかったらきっと一気読みだったと思います。
    訳の上手さ、なんでしょうかね〜。冒頭から引き締まった空気が漂っていて私好みでした。

    被害者を殺しても得なんかなさそうなのに、実は犯人の秘密を知ってしまっていて……というのは、ミス・マープルシリーズにもあった気が。
    そして『ハロウィーン・パー

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    2024年03月20日
  • なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?

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    前に読んだことがあったんだけど内容を忘れて再読。
    エヴァンズに何を頼まなかったんだっけ、、、って感じで読んでたけど結局最後まで思い出せないまま初めて読んだみたいに楽しめた。

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    2024年02月12日