名取佐和子のレビュー一覧

  • ペンギン鉄道 なくしもの係

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    無くし物を返したり、見つけたり、「預かってくれる」とある海沿いの鉄道の無くし物係を取り巻く人たちのお話。
    無くし物は信頼だったり、思い出だったり、、
    「繋がり」をペンギンと守安が取り繕ってくれる。
    心が折れた人を立ち直る手助けをする心温まる短編集4篇
    後半のお話で前話の登場人物のその後を見れる。
    最終話は誕生秘話となっており必見

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    2021年10月11日
  • 逃がし屋トナカイ

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    ポップな表紙絵とタイトルの割に、
    内容はおもくそハードボイルドだった(^ ^;

    少年時代の暗い過去を引きずる弱小運送屋の社長と、
    一緒に住み込みで働く「相棒」の若者、それに
    主人公の幼なじみである熱血弁護士の女性の三人が、
    自らの正義感に従って様々な苦労を背負い込んでいく、
    というのが大まかな流れ。

    様々な「ひどい目に遭ってる人」が出てきて、
    主人公たちはそれぞれの悩みに寄り添い、
    救いの手を差し伸べていく。

    連作短編集だが、全体で一つの大きなストーリーがある。
    現代社会の闇の部分、逆らえない巨悪に翻弄されつつ、
    窮鼠は猫に噛みつき、蟻の一穴をこじ開けていく。

    アメリカンコミックのヒー

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    2021年07月06日
  • 江の島ねこもり食堂

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    ネタバレ

    江ノ島にある、100年続く食堂の過去と未来が描かれる。
    それぞれの時代を生きた、すみゑ、筆、容子、現代の麻布まで。
    ねこもりという、江ノ島に暮らす猫の世話をすることが、食堂の女性に課せられた役割だった。「半分亭」という店は、最初茶店だったのが、名物ツブ貝を使った丼「江ノ島丼」を生み出し、宿泊もできるように発展してゆく。
    そこへ夜逃げしなければならない事情が生まれるのだが、それも理由があった。

    「半分亭は、猫とお客さんに助けられてつづいてきた店」

    と代々受け継がれてきた。そこにはある猫が必ず現れている。
    最後に気になっていたことがぜんぶ明かされて、気持ちの良い終わり方。続編をあれこれ想像して

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    2021年03月29日
  • 江の島ねこもり食堂

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    江の島で代々、島の猫たちのお世話をしている女性たちの100年に渡るお話。
    「ねこもりさん」と呼ばれる彼女たちは、先祖代々猫のお世話をしているが、猫たちの方からもきちんと認められていて、ある時は島中の猫たちに見送られ、ある時は島中の猫たちに出迎えられる。そんな先祖代々の女の血筋‥‥「魔女の宅急便」や「コーヒーが冷めないうちに」を思い出しました。中には、ねこもりなんてやってられない!江の島を出たい!というのもいたりして、これは「あまちゃん」を思い出しましたね笑。
    大正から平成まで四世代の女性たちの生き様、とても胸を打たれました。個人的には「あまちゃん」タイプの溶子の章では泣かされました。「言ってく

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    2020年09月30日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    今回も最終章でボロボロ泣きました。
    電車で読まなくてよかった。

    前回に引き続き、読み終わった後に気持ちがホッコリ。
    今回も、それぞれ別のストーリーに見えて、みんな繋がってるのがよかったです。

    前のシリーズ読み直してから、リターンズを読んだので、感動もひとしおでした。

    また、続編出たらいいのにな。

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    2019年10月12日
  • 江の島ねこもり食堂

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    一度は行きたい江の島!戦前から続く食堂兼民宿の「半分亭」の女性は島の猫を見守る役目を担っている。その「半分亭」と、「半分亭」と「ねこもり」を引き継ぐ戦前、戦後、現代にわたる四世代の女性の話。猫たちもほんの少し手助け。序章で訪れる一家の悲劇。大事に続けてきた「半分亭」がなぜそんな事に…?の答えが戦前からの「半分亭」の家族達の生き方や、時を越えて絡み合う不思議な人と人の縁から導き出される。筆さんの章が1番好き。とても印象に残る作品。

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    2019年04月22日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    ネタバレ

    いろいろな形の「きょうだい」が出てきます。

    確かに、年の近い「きょうだい」とは、親子とは違う不思議な距離感がある。
    あねとおとうと、あにといもうと、あねといもうと、そして…
    この作品に出てくる、素敵なきょうだいたちは、みんな本物のきょうだいだと思います。

    そして、そんな「きょうだい」たちの間に神出鬼没のモヒカン君が異彩を放っているわけですが、彼にも彼の物語があり…


    窓から海を見ながら、電車に揺られて行きたくなります。
    寒いホームで、ベンチに座ってレッグウォーマーに首を埋めながら、一日に何本もない電車を待っていたくなります。
    大切ななくし物を待ちながら…
    ん?
    まず、何を失くしたのか考え

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    2019年01月21日
  • シェアハウスかざみどり

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    とても良かった。
    神戸の街を舞台なのも(名称は変えてるけど)好きだし、物語がとても優しく柔らかいのがなんとも言えない。
    読んでいて「あー本好きだなぁ」と何度思ったか。
    麻矢の話が1番好きだった。

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    2018年04月27日
  • 江の島ねこもり食堂

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    タイトルで選んだ初めての作家さん。
    江の島で長年営業してきた半分亭。その女主人の親子3代にまつわるお話。それぞれの主人公の若い時の話を中心に人と人のつながりが描かれています。猫との関係性も面白い。
    最初はどうなる事かと思いましたが、章立てを見ていたので安心して読み進めることが出来ました。
    個人的に江の島関連の本が続きましたし、母娘の三代葛藤話が続きました。
    こういう時代を超えてつながる話好きです。
    最後はうるっときちゃいます。お勧め。

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    2017年06月01日
  • 銀河の図書室

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    「図書室のはこぶね」の続編。
    高校の「イーハトー部」という、宮沢賢治作品を研究したりする同好会の物語。
    前作の記憶があまりなかったけど、新たなお話として楽しめた。

    宮沢賢治は、残念ながら全然馴染みがなく、あまり知識もないので、知っていたらもっと深く味わえたんだろうな。でもチカたちの青春の物語として、十分面白かった。

    賢治さん大好き風見さんの不登校の謎。イーハトー部員三人や、その回りの人たちが抱えた悩み。
    善きことをしたいという気持ちを持ちつづけることが、本当の幸い。
    チカの最後のビブリオトークは、心を打たれた。

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    2025年11月29日
  • 文庫旅館で待つ本は

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    名取佐和子さんのハートウォーミングストーリーですね。
    自分探しの心温まる物語です。

     避暑地の海岸近くに位置する戦前から創業九十年を超えた凧屋旅館を舞台にした、お客さんと若女将の丹家円の交流を描いた短編連作五話。
     この凧屋旅館には、数千冊の文庫の書庫があり、文庫旅館としても知られている。円の曾祖父の清の友人の海老澤から譲り受けた歴史のある文庫だ。
     ところが円は幼い頃から、本から出てくる香りを強烈に感じる体質で、本を読むことが出来ない。そして、訪れるお客さんからも香りを感じる事が出来る特異体質なのだ。
     それぞれの章で、心にうっぷんを抱えた客たちが、円が文庫から選んだ本に寄って、自分回帰を

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    2025年11月28日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    短編連作で、それぞれに散らばられた伏線を最後の話で回収するの本当にすごい。

    ペンギンが乗るペンギン鉄道乗りたい。
    昔、飼われてるペンギンが自分で魚を買いに行く動画見たな。日本で。ピングーのリュック背負ってた

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    2025年11月07日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係

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    電車での忘れ物を保管する遺失物保管所、通称・なくしもの係にいるのは赤毛の駅員とペンギン。
    短編連作で、最後にペンギンの色々など明かされて「おぉ!」となった

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    2025年11月07日
  • 文庫旅館で待つ本は

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    文庫のある凧屋旅館のちょっと鼻がきく若女将と宿泊客の物語と思ったら、なかなかに奥が深く、良い感じに凧屋の歴史が絡み、登場人物もそれぞれ役割があり、丁寧に書かれてるなーと思った
    初読みの作家さんだったがよかった

    夏目漱石とか、高校生のときしか読んでないから読み返してみたくなる

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    2025年10月14日
  • 銀河の図書室

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    人が人間として成長する瞬間が垣間見えて、自分の中の可能性が広がるような気がした。
    何言ってるんだと思ったら読んで体感してほしい。

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    2025年10月03日
  • 銀河の図書室

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    高校生課題図書。青春小説かと思ったが謎解きもある。野亜高校のイーハトー部は名前の通り宮沢賢治の作品を読んだり研究をする部活。部活の先輩が修学旅行で宮沢賢治記念館に行った後から不登校となる。先輩は1人だったのか、何があったのかの謎解きをする。宮沢賢治の物語や詩が読みたくなる。賢治の作品「星めぐり」が短いけど素敵だと思った。

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    2025年09月21日
  • 銀河の図書室

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    「ほんとうの幸いは、遠い」

    高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった先輩は、なぜ突然「ほんとうの幸いは、遠い」の言葉を残して消えてしまったのか。

    「ほんとうの幸い」とは?

    高校生たちは、宮沢賢治が残した「風の又三郎」
    「銀河鉄道の夜」「宮沢賢治全集」などなどをひもときながら、先輩の謎を追っていく。
    ーそれぞれの事情を抱えながらー

    そんなに本を読んでこなかった私の高校時代を思いだし、思わずこれらの本をちゃんと読みたくなってしまった。

    そして おくらばせながら 私も「ほんとうの幸い」をじっくり考えてみたい。



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    2025年09月21日
  • 銀河の図書室

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    主人公含め、主な登場人物それぞれ心に重く抱えている事案があり、物語の進行過程で少しずつ浮き上がってくる。終盤で、自分が善意の気持ちでとった行動が全ての人にとって善きことにはならず、悪いことになる場合もあるという事を、カンパネルラの呟きに重ねている。そのあたりから自分が一気読みしていくとになるとは、思ってもみなかった。

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    2025年09月07日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係

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    全4話のお話

    ペンギンが電車に乗ってる不思議な光景からスタート。
    全部ほんわかしてる話なんだけど、どこかに人間らしさもちゃんと合って。
    「私を慰めてくれた言葉は嘘じゃないと信じてる。」
    「僕には居場所がない。」
    「嘘をついてるようで、きちんと選んできたんだ。自分で。」
    「俺はお前が思ってるより強くない。」

    完全に覚えてるセリフではないけど
    それぞれのお話の軸になってるセリフかなと思います。

    ペンギンちゃんの描写が可愛かったー…

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    2025年09月06日
  • 銀河の図書室

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    『人間は誰だって、"ほんたうにいいこと"をしたいと思ってる。だけど、みんな間違うんだ。残念ながら、絶対  に。それは、自分にとっての善きことが、他人にとっての善きことだとは限らないから』

    宮沢賢治の作品を考察しながら、不登校になってしまった先輩の謎を探る、青春小説。
    私は高校時代図書委員だったので、読んでいる間ずっと当時の図書室に居て、そこが教室からの逃げ場だったなとか、司書の先生と仲良くお茶してたなーとか、色々思い出して懐かしくなりました。

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    2025年08月31日