名取佐和子のレビュー一覧

  • ひねもすなむなむ

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    タイトルから、もっとほのぼのした話かと思っていたけれど、命や人や人生に向き合うことの難しさとか、大切さとか、いろいろと考えさせられたり、感じさせられることの多い話だった。⁡
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    お寺が舞台の話だけに、仏教の教えが折りに触れ出てくる。難しく教えを説いている訳ではなく、仁心という一人の若者の人生のとある期間に寄り添っている話なので、宗教や仏教に造詣が深い人でなくても、胸を打たれるような言葉も多いのではないかと思う。⁡
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    仁心の心の中には鬱屈したものがあって、それが仁心が僧侶であることに自信をもてない理由でもあるんだけど、それ故に、仁心の言動に理解し難いところもあるのだけれど…。徐々に変わっていき居場所をみつけていく様に、あぁ、僧侶も一つの職業であって、人間なのだと、当たり前のことに気づかされる。⁡
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    小説そのものの感想からはちょっと逸れるけれど…⁡
    舞台となるお寺は、岩手県にあるという設定で、東日本大震災も物語のキーになっている。⁡
    未だ見聞きするのも辛いという人もいるたろうけれど、次の世代にどのように伝えていくことができるのか。⁡
    時間が経つにつれ、マスメディアで報じられる機会が少なくなっていくことは避けられないのだろうけれど、こういう形で残し、伝えていくという方法もあるかと。⁡
    リアルタイムに知らない人に、震災の記憶を繋いでいくという意味でも、ぜひ読んでもらいたい一冊。⁡

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    2023年04月19日
  • ひねもすなむなむ

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    ネタバレ

    人を赦すこと。それが難しく、ささくれ立っていた主人公が、様々な人と出会ってその心をほぐされていく…今を見つめる事、変化を受け入れる事の尊さが、じんわりと心に染み渡るようでした。優しくてあったかいお話に、自分の心もほぐれました。

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    2022年02月14日
  • ひねもすなむなむ

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    暖かい高知県の大きな寺から、岩手の小さな寺の募集広告を見てやってきたのは、仁心(にしん)。
    そこは30代後半ほどのすらっとしたお坊さんがたった一人いる寺だった。
    檀家総代の桜葉という高齢の元気で押しが強い男が待っていた。

    ここで、知らせたのは恵快という名前の住職が余命1年ということだった。
    引き継ぐために募集したようだった。

    乳児院から孤児院育ちの仁心(にしん)は、居場所が欲しかったというだけで僧侶になった。それが故に常にコンプレックスがあった。
    高知の寺は有名な大きな寺で、僧侶の人数も多い。
    人付き合いが苦手な主人公はそこから逃れるように岩手の小さな寺へ、いわば逃げてきたのだった。

    だが、檀家の人々と知り合ううちに、日々の生活を先輩の僧侶と会話が増えるたびに、だんだん変わってゆく。

    軽い感じで読めると思っていたが、ページが進むうちにこれは生きること。人生その物だと感じ始める。
    読むうちに癒され、暖かいぬくもりを登場人物を通して感じるだろう。

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    2021年12月08日
  • シェアハウスかざみどり

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    お試しキャンペーンでシェアハウスに集まる4人と管理人の物語。シェアハウスにしては年齢層が高め。無愛想なのに大事なところで住人の助けになってくれる若い管理人。最後にいろいろ明らかになるが、それがなくても十分楽しめる良い作品だった。自分の言動が他人に影響与えるって覚えておこう。

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    2021年11月07日
  • 逃がし屋トナカイ

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    ポップな表紙絵とタイトルの割に、
    内容はおもくそハードボイルドだった(^ ^;

    少年時代の暗い過去を引きずる弱小運送屋の社長と、
    一緒に住み込みで働く「相棒」の若者、それに
    主人公の幼なじみである熱血弁護士の女性の三人が、
    自らの正義感に従って様々な苦労を背負い込んでいく、
    というのが大まかな流れ。

    様々な「ひどい目に遭ってる人」が出てきて、
    主人公たちはそれぞれの悩みに寄り添い、
    救いの手を差し伸べていく。

    連作短編集だが、全体で一つの大きなストーリーがある。
    現代社会の闇の部分、逆らえない巨悪に翻弄されつつ、
    窮鼠は猫に噛みつき、蟻の一穴をこじ開けていく。

    アメリカンコミックのヒーローとは違い、
    あくまで一般人の主人公たちは、暴力にはからきし弱い。
    「巨悪」との圧倒的な力の差にズタボロにされながら、
    それでも最後の最後まで諦めずに信念を貫く。

    それには、主人公の少年時代の暗い過去が絡んでいる。
    ちょっとオカルト要素と言って言えなくは無いが、
    鼻白むほどではなく、十分納得できる範囲内。

    一応はハッピーエンドを迎えるが、
    「巨悪」のアタマをつぶせた訳では無し、
    トナカイが「逃がした」人々の「その後」も気になるし、
    読後も長く余韻が残る感じの一冊。

    全く予備知識なしに手に取った一冊だが、
    大当たりでした(^ ^

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    2021年07月06日
  • 江の島ねこもり食堂

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    ネタバレ

    江ノ島にある、100年続く食堂の過去と未来が描かれる。
    それぞれの時代を生きた、すみゑ、筆、容子、現代の麻布まで。
    ねこもりという、江ノ島に暮らす猫の世話をすることが、食堂の女性に課せられた役割だった。「半分亭」という店は、最初茶店だったのが、名物ツブ貝を使った丼「江ノ島丼」を生み出し、宿泊もできるように発展してゆく。
    そこへ夜逃げしなければならない事情が生まれるのだが、それも理由があった。

    「半分亭は、猫とお客さんに助けられてつづいてきた店」

    と代々受け継がれてきた。そこにはある猫が必ず現れている。
    最後に気になっていたことがぜんぶ明かされて、気持ちの良い終わり方。続編をあれこれ想像してしまう。永遠に続いてほしいお店の話。

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    2021年03月29日
  • 江の島ねこもり食堂

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    江の島で代々、島の猫たちのお世話をしている女性たちの100年に渡るお話。
    「ねこもりさん」と呼ばれる彼女たちは、先祖代々猫のお世話をしているが、猫たちの方からもきちんと認められていて、ある時は島中の猫たちに見送られ、ある時は島中の猫たちに出迎えられる。そんな先祖代々の女の血筋‥‥「魔女の宅急便」や「コーヒーが冷めないうちに」を思い出しました。中には、ねこもりなんてやってられない!江の島を出たい!というのもいたりして、これは「あまちゃん」を思い出しましたね笑。
    大正から平成まで四世代の女性たちの生き様、とても胸を打たれました。個人的には「あまちゃん」タイプの溶子の章では泣かされました。「言ってくれなきゃ、わかるわけないべ」「家族とは難しいもんだな」‥‥あ〜!泣いた!
    全編通して、潮の香りを感じました。子どもたちとよく江ノ電には乗りに行ったけど、江の島までは足を伸ばしてなかった。江の島に行ってみたくなりました。

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    2020年09月30日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    今回も最終章でボロボロ泣きました。
    電車で読まなくてよかった。

    前回に引き続き、読み終わった後に気持ちがホッコリ。
    今回も、それぞれ別のストーリーに見えて、みんな繋がってるのがよかったです。

    前のシリーズ読み直してから、リターンズを読んだので、感動もひとしおでした。

    また、続編出たらいいのにな。

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    2019年10月12日
  • 江の島ねこもり食堂

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    一度は行きたい江の島!戦前から続く食堂兼民宿の「半分亭」の女性は島の猫を見守る役目を担っている。その「半分亭」と、「半分亭」と「ねこもり」を引き継ぐ戦前、戦後、現代にわたる四世代の女性の話。猫たちもほんの少し手助け。序章で訪れる一家の悲劇。大事に続けてきた「半分亭」がなぜそんな事に…?の答えが戦前からの「半分亭」の家族達の生き方や、時を越えて絡み合う不思議な人と人の縁から導き出される。筆さんの章が1番好き。とても印象に残る作品。

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    2019年04月22日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    ネタバレ

    いろいろな形の「きょうだい」が出てきます。

    確かに、年の近い「きょうだい」とは、親子とは違う不思議な距離感がある。
    あねとおとうと、あにといもうと、あねといもうと、そして…
    この作品に出てくる、素敵なきょうだいたちは、みんな本物のきょうだいだと思います。

    そして、そんな「きょうだい」たちの間に神出鬼没のモヒカン君が異彩を放っているわけですが、彼にも彼の物語があり…


    窓から海を見ながら、電車に揺られて行きたくなります。
    寒いホームで、ベンチに座ってレッグウォーマーに首を埋めながら、一日に何本もない電車を待っていたくなります。
    大切ななくし物を待ちながら…
    ん?
    まず、何を失くしたのか考えなくては…

    第一章 きらきらデイジー
    戸籍とは関係なしに

    第二章 僕の卒業遠足
    クラスの王様にイジられ続ける兄と、男勝りの妹

    第三章 UFOと幽霊
    確かにあると思うけれど、自分の手には入らないと諦めることと…
    今度こそ妹を救いたい気持ち

    第四章 ワンダーマジック
    モヒカンくん神出鬼没の謎が今!!

    ―――――――――――――
    あの本屋さんらしき話題がチラッと!

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    2019年01月21日
  • シェアハウスかざみどり

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    とても良かった。
    神戸の街を舞台なのも(名称は変えてるけど)好きだし、物語がとても優しく柔らかいのがなんとも言えない。
    読んでいて「あー本好きだなぁ」と何度思ったか。
    麻矢の話が1番好きだった。

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    2018年04月27日
  • 江の島ねこもり食堂

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    タイトルで選んだ初めての作家さん。
    江の島で長年営業してきた半分亭。その女主人の親子3代にまつわるお話。それぞれの主人公の若い時の話を中心に人と人のつながりが描かれています。猫との関係性も面白い。
    最初はどうなる事かと思いましたが、章立てを見ていたので安心して読み進めることが出来ました。
    個人的に江の島関連の本が続きましたし、母娘の三代葛藤話が続きました。
    こういう時代を超えてつながる話好きです。
    最後はうるっときちゃいます。お勧め。

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    2017年06月01日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    どのお話も読んでいて心温まりました。
    特に好きなのは「ファースト・アンド・オンリー」と「春とマーマレード」、「ドーナツ息子」です。
    それぞれのお話に出てくる食べ物がどれも美味しそうで、食べたくなります。表紙のスコーンも美味しそうです。お茶のお供に読むのにぴったりです。

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    2026年09月21日
  • 図書室のはこぶね

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    中高生向けなのかなぁと思いつつも
    青春ミステリー感に魅かれて購入。

    だいぶ重めな小説を読んだあとだったので
    サクッと読みたい気分で手に取ったが、
    良くも悪くもあまりにも軽過ぎて最初は目が滑ってしまった。
    一旦中断しようかとも思ったが、堪えて読み進めるうちに先が気になってしまい結局一気読み。

    ミステリーの結末は予想外にどっしり。
    高校生たちの悩み、葛藤を想像すると苦しくもなったが、前向きなラストにとても爽やかな気持ちになった。

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    2026年09月19日
  • 図書室のはこぶね

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    文章がとても上手で、すっと頭に入るような書き方でした。ドキドキ、ハラハラの展開と言うよりは、じっくりと物語が進んでいく感じです。中高生が読んだら楽しいんじゃないかな。

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    2026年09月17日
  • ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ

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    ネタバレ

    おぉ。
    久しぶりに読んだけど、1巻目から、空気感変わらず!

    いい感じですぐにワールドに戻れました。
    2巻目の方が、世界観の説明に分量がいらない分、読みやすかった印象。
    そして、まさかのこちらはわりと重い話になっていました。まさかのそういう決着がつくとは!!
    いろいろしんみり驚きまして、短編の解決としてもとてもよかったと思います。

    そして、まさかのすべてが同日の出来事とは!

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    2026年09月02日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    ネタバレ

    ドーナツ息子が良かった。上京する息子を想う母親の気持ち。幼かった頃の息子と一緒に食べた思い出のドーナツ屋さんを見つけて子育てに苦労したことや、ここまで成長してくれた息子を想う。上京してうまくやっていけるだろうかと、これからの息子を心配するやるせない気持ちと一緒に息子が買ってきてくれたドーナツをまた一緒に食べる最後の場面があたたかい気持ちになった。

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    2026年08月23日
  • 文庫旅館で待つ本は

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    その人と同じにおいのする本がある、というのがおもしろい。風情ある旅館が趣深く訪れたくなった。

    昭和の名作文学について全く知識がなくても楽しめる。

    特に最終章は読み応えがある。
    見事に伏線回収された感。

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    2026年08月22日
  • 図書室のはこぶね

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    ミステリと青春模様とどちらも面白いし、クライマックスの熱が伝播してく感じが良くて目頭熱くなった。

    主人公二人の関係性も恋愛恋愛してなくて爽やかにかつちょっと甘く終わる感じも大変良い。
    いいよな、高身長女子

    作中に登場する本や続編?の銀河の図書室も読みたくなった

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    2026年08月22日
  • 寄席わらしの晩ごはん

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    2019年出版、文庫で286ページ。「座敷わらし」ならぬ「寄席わらし」。言うまでもなくファンタジーで、表紙のイラストは本文の描写よりも格段に可愛く描かれている。
    視点の中心人物となる青年の名前が出て来ず、噺家見習として得た名のみで描かれる所に、著者の思い入れを感じる。落語は (詳しい訳では無いが) 結構、非現実的な設定も有ると思うが、その許容度の高さも含めて小説にした感じ。終盤は、ちょっと都合良さ過ぎ?とか、停電していても調理は可能だから換気扇とか関係無しにガスコンロ長時間使うとか??な部分もあるが、まぁ面白かったから良い事にする。

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    2026年08月11日