名取佐和子のレビュー一覧
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調べたところ2026年は、賢治の生誕130年にあたることがわかりました。
2025年第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書の中で、高校の部の課題図書の一つが宮沢賢治がサブテーマになっている作品です。
テーマは「ほんとうの幸いって、何だろう?」
宮沢賢治の作品を紐解きながら、現代に潜む自分よがりなSNSによる発言の恐ろしさと、それによって狂わされる人たち、恐ろしさを知り世の中との壁を作ってしまった高校生の苦しみを解明し、今を大切に生きようとする若者のリアルな姿が描かれています。
私自身、ある程度宮沢賢治の作品は読んでいましたが、かなり年数が経っているので深いところは忘れていて、「 -
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凧屋旅館という古い旅館にある海老澤文庫。
海老澤という人が、寄贈してくれた文庫とのことで、戦前戦後の作品を中心にとりそろえている。
その宿の若女将は、本が読めないという体質だが、鼻がたいそうきくので宿泊客と同じ匂いのする本を文庫から選んで勧め、その本の感想や内容を宿泊客から聞くのを楽しみにしている。
短編集のように進むのかと思っていたので、最後のお話では文庫の謎もとけてすっきり・・・?
内容としては悲しいつらい秘密だったわけだが、なんというか、結局死んだ人をこれ以上恨めないということなのだろうと思う。
女将の三千子が、70代前半で認知症で介護がないと生活できないような状態であることもかわいそ -
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大雑把に言うなら、旅館の若女将が悩める宿泊客にピッタリな一冊を薦める話。
里見蘭さんの『古書カフェすみれ屋〜』によく似てるが、こちらを最初読みづらいと感じたのは、主人公の本が読めないという設定と、若女将としての立ち居振る舞いが、少し浮世離れしている様に思えたからかな。
5話から成り立つ本作。
なのでもう少し、と2話、3話と読み進めると物語全体の奥行きを感じる様になる。
…あれ…ちょっと、印象が変わってきた。
4話で少し風向きを変え、ラストの5話。
主人公の日常から始まる5話は、最初に感じた浮世離れ感を払拭させ、再び訪れる宿泊客によって、奥行きだと感じた種が紐解かれて行く。
ほぼ記憶にない -
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凧屋旅館、行ってみたい。若女将の円さんの心遣いが素敵。文庫で出される飲み物と食べ物がまた惹かれる。
一冊目から四冊目までは旅館を訪れるお客さん目線、最後の五冊目は円さん目線の物語。
川端康成「ゆめごころ」
葉介の迷いや不安が描かれる。“普通”が良いと思うのは悪いことじゃないけど、“普通”が人の数だけあることは忘れずにいたい。打ち明けないという選択もあるんだ。
「春は馬車に乗って」横光利一
このお話好きだった!則子さんが美容院で髪を切って染めたところ、かっこよかった。自分を喜ばせること、大切にすること、忘れたくないなぁと思った。
「小僧の神様」志賀直哉
自分にとっての事実と相手にとっての事 -
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『ひねもすなむなむ』
名取佐和子
『ペンギン鉄道』シリーズや『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』などの著書のある名取佐和子さん、令和3年の作品になります。
ひらがなのタイトルと表紙のイラストから、ほっこりとしたお話を想像しましたが、ちょっと違っていました。最近お寺が題材となったコミカルな要素のラノベから日常の謎解きと愉しんできましたが、名取さんの本はまた一味違った人間味の深い小説でした。
25歳の独り身の僧侶仁心は、自身の居場所を求めるように、高知のお寺から岩手のお寺へ移ります。約1年を通して、僧侶として学びながら人としても成長していく中で、周囲の人々や仁心のそれぞれ