名取佐和子のレビュー一覧
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満足感の高い素敵なアンソロジーでした。
*島本理生さん
良いなぁ。最初は朧げな印象の主人公が、いつの間にかしっかり地に足をつけて、「凛」とした雰囲気をまとうように。
『楽園には住めなくても、楽園のようなものはいつか見つけられるはずだ。私の中に』
の言葉が心に残りました。
*織守きょうやさん
あらあら、どうしましょ。こういうの好きなんです。織守さんは短編集しか読んだことがないので、長編も読んでみたい。
*友井羊さん
両親を亡くし、島に住む叔父さんの元へ引き取られた中学生の蒼。そこでの日々は穏やかで人の温もりがあって、シーンのひとつひとつが心地よくて味わい深い。こういう作品好きです!
*畑野智美さん
アイドルの密着取材ドキュメンタリーを見ているようでした。ちょっとやるせなくも爽やかな読後感。
読みながら、佐原ひかりさん「スターゲイザー」を思い出しました。
*名取佐和子さん
上京する息子とその母親。離れて暮らすことになる息子との思い出に、色々な感情が湧き上がってきて思わず涙。
『子育ての道は、こんな夢のような奇跡を拾い集めて歩けるよう広く長くなっているのだろう。』
何だか感慨深い。
*伊吹有喜さん
まさかの「なでし子物語シリーズ」!!
舞台は東京、不登校の美也が主人公です。懐かしい面々にまた会えました。彼女たちのティータイムは、まるで異国にいるみたい。爽やかで洗練された雰囲気。シリーズをまた読み返したくなりました。
短編集でこの満足感はすごいと思う。
ご褒美シリーズは好きなので、次作も読みたいなー。発売したら絶対読む!
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Posted by ブクログ
主人公である百瀬は、女バレ一本で頑張ってきており体育祭、そして高校の華のイベントでもある「土ダン」にも参加するつもりだった。しかし、部活の際の怪我のために体育祭そのものに参加できず、みんながお祭り騒ぎとして盛り上がる中、クラスの友人の図書当番を代わりに引き受ける。
そんな中、10年前に貸し出されたままのはずの「飛ぶ教室」があることに彼女が気づく。そこには謎の暗号文もはさまれていた…。
1冊の小説をきっかけに、現在の高校生の青春と、卒業生の道筋が絡みあい、きらめくまぶしいようなかけがえのない時間が紙の上を走る。
図書室を舞台として体育祭から全校生徒を巻き込む、青春ミステリー。
本書を読んで印象に残ったのは、10年前の本が発掘されたこと、暗号文が隠されているなどのミステリー要素満載なのに、登場人物の葛藤がしっかり描かれていて、そのうえちゃんと芯を持って行動しているところでした。ミステリーでもありますが、それよりも高校生らしいような青春の物語のように感じられたことです。
そして、進んでいくごとに、10年前の高校生の物語も同時に進んでいくような感覚になり、ページをめくる手が止まりませんでした。それぞれの章の表題も「月曜の本」「火曜のパソコン」と始まり、「土曜のダンス」「日曜の図書室」と収束していきます。読みながらなるほど、と思わされるタイトルで途中から先を読むのが楽しみでたまりませんでした。
高校生というのは青春、という言葉で語られることが多い、多感な時期であり、変化していく時期であると思います。特に何も思い出がなかった人もいれば、苦い思い出がある人も当然いると思います。学校というのは不思議なところで、そこで一つの社会が完結しているように感じられます。高校の中での生活が順調なら順調な人生、何か躓きがあればつらい人生、のように考えがちです。
本書は体育祭に参加できない、というせっかくの高校生活一大イベントに参加できずに鬱屈とした思いを抱えてしまいそうな主人公は、目の前に出てきた謎に飛びついたところから物語が始まります。
日常はそんな簡単に全校を巻き込む謎が転がっているわけではないし、高校の華と呼ばれるイベントでも何か例年と違うことが起きるとは限りません。
でも、本作では特別なことは起きるけれども、主人公たちはやっぱり高校生なのです。それぞれの考えを胸に、時に衝突しながら大人たちに見守られて確実に1歩踏み出していきます。
そんなところが自分自身の過去の高校生活ともリンクして楽しく読める1冊だったのだなと思いました。
シリーズ2作目もあると知り、ぜひ読みたいなと思ってます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおやつをテーマにした短編集。
6名の作家さんが1つずつお話を書いてくれていて、こういうのをアンソロジーというらしい。
タイトルに「やるせない」とついてるだけあって、どのお話にも切なさが漂うけれど、甘いおやつがそれを癒してくれたり、前を向くきっかけになったりして、読後は優しい感動に包まれる。
「楽園の代わりのカッサータ」は、映画みたいなおしゃれな雰囲気。
不倫はダメだけど、誰かや何かにすがったり、現状を変えてほしいっていう思いには共感した。
しかしこの相手の政治家はひどい男だ。
ピュアなんだけど、結局自分のことしか考えてないんだよね…。
「ファースト・アンド・オンリー」はキュンすぎてまるで少女漫画。
ラストのところ、素敵すぎて読み返しちゃった。
お弁当を差し入れるのも、ピンチを助けるのも、勇気いるのにすごいな。
結局、行動した者が人生を変えるのだ。
「春とマーマレード」のジャムを作るシーンや「ストロベリーの歌」の苺ピクニックのシーンが素敵で憧れる。
どのお話も、登場人物達のその後が気になるな〜。
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Posted by ブクログ
以前読んだ「銀河の図書室」のシリーズ1作目だった。
知らなくて読み始めたが、何処かで目にした高校だ、そうだイーハトー部だ、って気がついた。
土ダンも出てきたし、司書の伊吹さん、そして郡司先生(「銀河の図書室」は奥さんの方)も登場した。
部活でケガをして目の前に迫っている体育祭に参加できそうにない花音が友達の代わりに1週間図書当番をすることになる。そこで「飛ぶ教室」の2冊目をカウンターの横から見つける。そしてその本には「方舟はいらない 大きな腕白ども 土ダンをぶっつぶせ」と書かれたメモが挟まっていた。いったい誰がこの本の持ち主なのか?ここから、花音と図書委員の朔太郎の持ち主探しと、メモの謎解きがが始まる。
謎解きとともに、図書室へ次々に駆け込んでくる1年生や生徒会長を巻き込んで体育祭をみんなが参加できるものにしていこうとする二人。
10年前の図書委員も巻き込んで壮大な展開となっていく。
高校の体育祭と言えば青春そのもの、と言う感じがするが、その中でみんなと同じように出来ないジレンマを抱えている生徒もいる。そういう生徒達が図書室に集まって来て、何かを変えようとする。
体育祭と言う大きな波に呑み込まれそうになりながらも、自分を見失うまいとする生徒達、それを支える大人達、体育祭に真っしぐらに進む生徒達、みんなそれそれの立ち位置で体育祭を成功させようとする姿が爽やかで羨ましくなった。
花音と朔太郎のこれからも気になるところ。
シリーズ3作目があるのかなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
あの人と過ごす「おやつ」の時間が、
今日を乗り切る力をくれる。
おいしいものを愛する作家陣が、
心とおなかの空腹をあたたかく満たす短編小説集。
●作品紹介
妻子ある政治家と逢瀬を重ねる画家の朱莉。
マスコミを避けるため延泊した伊豆の山奥のホテルで回想する、
これまでのこと。
――島本理生「楽園の代わりのカッサータ」
なりゆきから、派手めギャルとして高校生活を送る陽子。
クラス替えで再会した関優征は、かつて放課後をともにした相手だった。
――織守きょうや「ファースト・アンド・オンリー」
両親の交通事故がきっかけで瀬戸内海の島に住む叔父に引き取られた碧。
果樹が茂る庭の手入れをし、
その恵みをいただく中で回復していく少女の物語。
――友井羊「春とマーマレード」
アイドルグループの一員として活動している泉水。
テレビ番組のお題で、まもなく卒業するメンバーの大地と一緒に、
スイーツをプロデュースすることに。
――畑野智美「アンパッサン」
息子の大学進学にあわせて上京した尋乃。
そっけない息子の隣で思い返すのは、
幼い彼とふたりで東京に滞在したときの記憶で……。
――名取佐和子「ドーナツ息子」
休学中の高校を中退して、食の仕事に進もうかと悩む美也。
東京で郷里の友達、瀬里が暮らすシェアハウスに滞在するなかで、
食事とスイーツづくりを担当することになり――。
――伊吹有喜「ストロベリーの歌」
【個人的な感想】
どの話もほっこりするだけじゃない、深い悲しみや辛さが描かれていて読んでいて飽きなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレしずかな波音、やさしい食事、ぬくもる温泉、そして何よりあなたのための1冊を。
文庫旅館かぁ。
いいなあ。
こんな旅館があったら、是非行ってみたいな。
私と同じ匂いがするのはどんな名作だろう?
自分が円におすすめしてもらうなら、どんな本なのだろうか。
そうやって考えているだけでも、面白いものだな。
本作には、下記に記載している文豪の名作が紹介されている。
本作を読めば、これらの本に興味を持つこと間違いなし!
●本編に出てくる文豪の名作●
一冊目 川端康成 『むすめごころ』
二冊目 横光利一 『春は馬車に乗って』
三冊目 志賀直哉 『小僧の神様』
四冊目 芥川龍之介 『藪の中』
五冊目 夏目漱石 『こころ』
※ 『春は馬車に乗って』の中に、「臓物を食べたい」というシーンがあり、『君の膵臓をたべたい』を思い出してしまった。
文豪好き必見の1冊!
短編集で読みやすいので、ぜひオススメです!