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Posted by ブクログ
お久し振りにこの作者さん。
「金曜日の本屋さん」シリーズで色々な本を絡めたお話を楽しんでおり、今回はタイトルに「図書室」とあるのでどんな話になるのか楽しみにしていたが、なかなかいい話だった。
校内が体育祭を控え沸き立つ中、怪我のためメインイベントのダンスに参加できなくなり、友人に代わって図書当番を引き受けた百瀬。
そこで10年前に貸し出されたままだった1冊の本「飛ぶ教室」を偶然見つけ、それに挟まっていたメモの謎を解こうと、一緒に当番をする図書委員の朔太郎を巻き込んで…というところから始まるお話。
そこに、それぞれの事情で図書室に逃げ込んできた美樹や生徒会長の翠子が抱える悩みの解決など色んなことが重なっていくが、手際よく捌かれていく話に引き込まれる。
謎解きにのめり込まずに逡巡しながらも誰かのためになると信じて行動する百瀬や朔太郎の人柄の良さに気持ちよく読むことができ、二人に限らず敵役も含んで登場人物の誰もがひとつの芯を持っているところも、また周りの大人たちの見守り方もいい感じ。
話が進むにつれ序盤に描かれた様々なことが繋がっていくが、高校の伝統行事のあり方を巡って現在と過去がリンクしていく展開に加え、思いがけなくもLGBTやいじめの問題までが絡んでくる筋書きがお見事。
再三『みんなで楽しむためには、みんなが楽しめる環境を整える必要がある』という言葉が登場するが、サラリとそれぞれの人にとっての“正義”とか“自由”ということにも考えさせられる語り口がまた良い。
登場してくる本のどれもに気を惹かれ、巻末のリストが嬉しいが、とりわけ「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」という歌集は興味深く、「火星の話」も読んでみたいと思った。
「飛ぶ教室」はBOOKOFFに在庫があったので早速注文した。
Posted by ブクログ
この本、初めて読むのに懐かしい感覚になった。高校生主人公だけど、周りの大人の立ち位置がよくて、これは中高生のときに読んでいてもおもしろかったと思える作品。
第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書高等学校の部「銀河の図書室」の原点の物語って、帯に書いてあるので、高校生ターゲットであるのかもしれないのだけれど。
学校司書の伊吹さんのあれこれが好き。三池満輝央は私の頭の中では、落合陽一さんになっている。(万博のニュース見た後のせい)設定的にもっと若いはずだけど。
高校演劇になっても面白そうな作品かな…。いや、このままがベストか。(高校演劇部出身)等と、いろいろ楽しめた一冊でした。
Posted by ブクログ
主人公である百瀬は、女バレ一本で頑張ってきており体育祭、そして高校の華のイベントでもある「土ダン」にも参加するつもりだった。しかし、部活の際の怪我のために体育祭そのものに参加できず、みんながお祭り騒ぎとして盛り上がる中、クラスの友人の図書当番を代わりに引き受ける。
そんな中、10年前に貸し出されたままのはずの「飛ぶ教室」があることに彼女が気づく。そこには謎の暗号文もはさまれていた…。
1冊の小説をきっかけに、現在の高校生の青春と、卒業生の道筋が絡みあい、きらめくまぶしいようなかけがえのない時間が紙の上を走る。
図書室を舞台として体育祭から全校生徒を巻き込む、青春ミステリー。
本書を読んで印象に残ったのは、10年前の本が発掘されたこと、暗号文が隠されているなどのミステリー要素満載なのに、登場人物の葛藤がしっかり描かれていて、そのうえちゃんと芯を持って行動しているところでした。ミステリーでもありますが、それよりも高校生らしいような青春の物語のように感じられたことです。
そして、進んでいくごとに、10年前の高校生の物語も同時に進んでいくような感覚になり、ページをめくる手が止まりませんでした。それぞれの章の表題も「月曜の本」「火曜のパソコン」と始まり、「土曜のダンス」「日曜の図書室」と収束していきます。読みながらなるほど、と思わされるタイトルで途中から先を読むのが楽しみでたまりませんでした。
高校生というのは青春、という言葉で語られることが多い、多感な時期であり、変化していく時期であると思います。特に何も思い出がなかった人もいれば、苦い思い出がある人も当然いると思います。学校というのは不思議なところで、そこで一つの社会が完結しているように感じられます。高校の中での生活が順調なら順調な人生、何か躓きがあればつらい人生、のように考えがちです。
本書は体育祭に参加できない、というせっかくの高校生活一大イベントに参加できずに鬱屈とした思いを抱えてしまいそうな主人公は、目の前に出てきた謎に飛びついたところから物語が始まります。
日常はそんな簡単に全校を巻き込む謎が転がっているわけではないし、高校の華と呼ばれるイベントでも何か例年と違うことが起きるとは限りません。
でも、本作では特別なことは起きるけれども、主人公たちはやっぱり高校生なのです。それぞれの考えを胸に、時に衝突しながら大人たちに見守られて確実に1歩踏み出していきます。
そんなところが自分自身の過去の高校生活ともリンクして楽しく読める1冊だったのだなと思いました。
シリーズ2作目もあると知り、ぜひ読みたいなと思ってます。
Posted by ブクログ
以前読んだ「銀河の図書室」のシリーズ1作目だった。
知らなくて読み始めたが、何処かで目にした高校だ、そうだイーハトー部だ、って気がついた。
土ダンも出てきたし、司書の伊吹さん、そして郡司先生(「銀河の図書室」は奥さんの方)も登場した。
部活でケガをして目の前に迫っている体育祭に参加できそうにない花音が友達の代わりに1週間図書当番をすることになる。そこで「飛ぶ教室」の2冊目をカウンターの横から見つける。そしてその本には「方舟はいらない 大きな腕白ども 土ダンをぶっつぶせ」と書かれたメモが挟まっていた。いったい誰がこの本の持ち主なのか?ここから、花音と図書委員の朔太郎の持ち主探しと、メモの謎解きがが始まる。
謎解きとともに、図書室へ次々に駆け込んでくる1年生や生徒会長を巻き込んで体育祭をみんなが参加できるものにしていこうとする二人。
10年前の図書委員も巻き込んで壮大な展開となっていく。
高校の体育祭と言えば青春そのもの、と言う感じがするが、その中でみんなと同じように出来ないジレンマを抱えている生徒もいる。そういう生徒達が図書室に集まって来て、何かを変えようとする。
体育祭と言う大きな波に呑み込まれそうになりながらも、自分を見失うまいとする生徒達、それを支える大人達、体育祭に真っしぐらに進む生徒達、みんなそれそれの立ち位置で体育祭を成功させようとする姿が爽やかで羨ましくなった。
花音と朔太郎のこれからも気になるところ。
シリーズ3作目があるのかなぁ。
Posted by ブクログ
青春ミステリーということで、中高生向けなのだろうか、平易な文章で色々な要素を詰め込んだ小説。
10年前に貸し出された図書。突然、発見された図書に挟み込まれた謎の文章。この高校で絶対的に全員実施される土曜日のダンス(土ダン)。この「土ダンをぶっつぶせ」という不穏な内容。誰が何の目的で、ということで高校生男女2人の調査が始まる。ガードされたデータに非合法にアクセスしたり、次々と事実が明らかになる。土ダンは、1週間以内に開催されるので、展開が早い。土ダンを絶対視する体育会系と変革を求める一部の生徒達。これに生徒同士の淡い恋が挟み込まれる。結末はそっちか、と意外なものだったが、色々楽しめた。
Posted by ブクログ
『金曜日の本屋さん』に負けず劣らずの面白さ。
一見、「図書室で起きる爽やかな青春ミステリー」と思わせて、その実、神話や古典の名作、歌集、小説を織り交ぜ物語にフィットさせた贅沢な作品。
物語は十年前に貸し出されたままだった『飛ぶ教室』がなぜ今になって図書室に戻ってきたのか?本に挟まれていた謎のメッセージの真相を探っていくのだが……。でも、それだけではない!著者の隠された仕掛け(裏レイヤー)があって、読めば読むほど「宝探し」のように面白さが増す構成が実に巧みで唸らされてしまう。
タイトルに『はこぶね』とあるように、高校の名前も「神話の方舟」に因んだ学校名。
図書室という「はこぶね」のチケットを持っているのは何者にもなれない『あすなろ』であり、学校の選別から溢れてしまった生徒達。
月曜日から始まる一週間は体育祭という同調圧力「洪水」のカウントダウンで乗り越えるための準備期間。要所要所に登場する本には全て意味があり物語とリンクしているのが面白い。
「皆が楽しむためには皆が楽しめる環境を整える必要がある」この言葉を胸に今と10年前の大きなわんぱく達が奮闘する姿に胸が熱くなる。
そしてラストはキラキラした眩しいほどの青春と嵐を乗り越え新たな世界へと「はこぶね」は導いてくれる。
シリーズ二作目の「銀河の図書室」の切符を手に入れ新たな図書室を読んでみたい。
次はどんな景色と仕掛けがあるか楽しみでたまらない。
名取作品ファンあるあるなんだけど、著者の作品の最大の罪は読みたい本が雪だるま式に増えてしまうこと。
積ん読タワーがまた更新されてしまう。
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