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自分に自信のない若手僧侶・仁心は、岩手の寺の住職・田貫の後継としてはるばる高知からやってきた。田貫は供養の為ならゲームもやるし、ぬいぐるみ探しもする少々変わった坊さんだった。面倒に巻き込まれつつも師として尊敬しはじめる仁心だが、田貫には重大な秘密があり……。後悔のない人生なんてない。「今」を生きるための力をくれる物語。
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Posted by ブクログ
自分に自信のない僧侶が、四国から東北の地へやってくる。 住職が余命宣告を受け、その後継として。 自信のない僧侶が、だんだんと成長していくストーリーかと思っていた。 が、半ばからガラリと雰囲気は変わる。 何度も何度も驚いた。 自信のない僧侶の過去。 その僧侶の師となる余命宣告を受けた僧侶。 まさか...続きを読むあんな展開があるとは。。 人はいくつになっても変われる。 そんなメッセージをこの本から受け取った。
主人公の成長と周りの人の変化が魅力的。 後半は少し謎解きもあってなるほどなと心から。 ラストシーンは涙が流れてしまった。 亡くなった人に 人生が幸福だったかを聞くことはできないし 自分がこの世をさった時,幸せだったと思えるのかわからないから 自分も相手も幸せな時を過ごせるよう 今から生きていきたい...続きを読むな
東日本大震災から10年 その被災地で、若手僧侶仁心が先輩住職恵快から僧侶としての在り方を学んでいく単純なストーリーかと思ったら、もっと複雑でした。さすが名取先生。相当な伏線が張り巡らされて、この物語にも没入してしまった 名取作品の構成力には毎回感心させられてしまいます
余命幾許かの住職・恵快の後継として岩手に来た若手僧侶・仁心を中心に話が進みますが、一回読んだ後もう一度振り返るとまた違った感想になるなと思いました。 後悔があったり、人を許せなかったり、誰もがあることをそれでも大丈夫って思わせてくれる物語でした。 あとご飯が美味しそうでした。生きること死ぬことが書か...続きを読むれているから一層食べることが際立っているのかなと。 お寺のことや仏教の教えも少し教えてもらえました。
書店の文庫コーナーで購入。令和3年10月の初版発行と書いてあり、増刷されてないのかよ?!とびっくり。こんなに良い本が世に埋もれてるのだとしたら勿体無い。 おそらく「東日本大震災」「住職」「檀家」などのキーワードが重いからだと思うけど、それらに馴染みがなかったり、何もできていない自分に後ろめたい罪悪...続きを読む感があったりした私が一気に読み切れたぐらい、優しくてあたたかくて、生きることを頑張ろう、と思える作品でした。高知弁と岩手弁がミックスされているのも面白かった。 ガチガチの説法小説でもないし、住職(先代と、主人公の2代目の両方)が人間臭いので、説教されてる感じでもないし、自己を投影できるのもまた良し。1年を通じた季節が盛り込まれてるので、どの季節に読み初めてもオッケー。そろそろお盆なので、夏の一冊にもぴったり。人生に迷った時に読み返したい本ができました。
タイトルから、もっとほのぼのした話かと思っていたけれど、命や人や人生に向き合うことの難しさとか、大切さとか、いろいろと考えさせられたり、感じさせられることの多い話だった。 お寺が舞台の話だけに、仏教の教えが折りに触れ出てくる。難しく教えを説いている訳ではなく、仁心という一人の若者の人生のとある...続きを読む期間に寄り添っている話なので、宗教や仏教に造詣が深い人でなくても、胸を打たれるような言葉も多いのではないかと思う。 仁心の心の中には鬱屈したものがあって、それが仁心が僧侶であることに自信をもてない理由でもあるんだけど、それ故に、仁心の言動に理解し難いところもあるのだけれど…。徐々に変わっていき居場所をみつけていく様に、あぁ、僧侶も一つの職業であって、人間なのだと、当たり前のことに気づかされる。 小説そのものの感想からはちょっと逸れるけれど… 舞台となるお寺は、岩手県にあるという設定で、東日本大震災も物語のキーになっている。 未だ見聞きするのも辛いという人もいるたろうけれど、次の世代にどのように伝えていくことができるのか。 時間が経つにつれ、マスメディアで報じられる機会が少なくなっていくことは避けられないのだろうけれど、こういう形で残し、伝えていくという方法もあるかと。 リアルタイムに知らない人に、震災の記憶を繋いでいくという意味でも、ぜひ読んでもらいたい一冊。
暖かい高知県の大きな寺から、岩手の小さな寺の募集広告を見てやってきたのは、仁心(にしん)。 そこは30代後半ほどのすらっとしたお坊さんがたった一人いる寺だった。 檀家総代の桜葉という高齢の元気で押しが強い男が待っていた。 ここで、知らせたのは恵快という名前の住職が余命1年ということだった。 引き継...続きを読むぐために募集したようだった。 乳児院から孤児院育ちの仁心(にしん)は、居場所が欲しかったというだけで僧侶になった。それが故に常にコンプレックスがあった。 高知の寺は有名な大きな寺で、僧侶の人数も多い。 人付き合いが苦手な主人公はそこから逃れるように岩手の小さな寺へ、いわば逃げてきたのだった。 だが、檀家の人々と知り合ううちに、日々の生活を先輩の僧侶と会話が増えるたびに、だんだん変わってゆく。 軽い感じで読めると思っていたが、ページが進むうちにこれは生きること。人生その物だと感じ始める。 読むうちに癒され、暖かいぬくもりを登場人物を通して感じるだろう。
還暦を過ぎてから、仏教が身近に感じる様になった昨今、友人よりこの本を紹介されてたちどころに読んでしまいました。 なかなか感動する本でした。あたしの祖父も岩手の海岸沿いのお寺の住職だったので、時代がだいぶ違うけれど… 興味深く読めました。親戚は絶えてしまいましたが、この本を読んで先祖が眠る岩手のお...続きを読む寺に御墓参りに行かねばと思わせてもらいました。
『ひねもすなむなむ』 名取佐和子 『ペンギン鉄道』シリーズや『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』などの著書のある名取佐和子さん、令和3年の作品になります。 ひらがなのタイトルと表紙のイラストから、ほっこりとしたお話を想像しましたが、ちょっと違っていました。最近お寺が題材となっ...続きを読むたコミカルな要素のラノベから日常の謎解きと愉しんできましたが、名取さんの本はまた一味違った人間味の深い小説でした。 25歳の独り身の僧侶仁心は、自身の居場所を求めるように、高知のお寺から岩手のお寺へ移ります。約1年を通して、僧侶として学びながら人としても成長していく中で、周囲の人々や仁心のそれぞれ抱える悩みが描かれています。 “後悔のない人生なんてない。「今」を生きるための力をくれる物語。“ 読みながら、大人はもちろん、高校生くらいの方にもおすすめしたい本だなぁと感じました。 仁心が移ったのは岩手県のお寺、鐘丈寺(しょうじょうじ)。募集要項には住職候補、住み込み、仕事内容には法要(法事・葬儀・納骨)の実務、事務、檀家・参拝者への対応等があります。(檀家さんに支えられている、お墓のある小さなお寺さんですね。)住職についているのは田貫恵快(たぬきけいかい)さん。38歳の年齢よりは若く見える青年のような僧侶です。早い時点で余命が一年であることが明かされます。そんな住職を側で支えているのは、見た目のイカツイ雰囲気の檀家総代の桜庭虎太郎さん。一切を手伝いながら取り仕切ってくれています。 仁心に対して最初のうちは当たりがキツイところもありましたが…。 高校生の孫娘千蓮ちゃんと二人で暮らす桜庭さん、住職の田貫さん、周囲の人々にも、それぞれに”過去”があり、物語が進むにつれ少しずつ”過去”が解かれていきます。そしてまた、過去にとらわれ固執していた仁心の心も。 東北の震災にも触れているところがあります。その他にも、仁心も15歳で自分の居場所を求めて仏門に入るという選択をした家族背景であったり、深く感じ入るところがありました。(「そうぞ、お達者で」で涙が溢れだしました、) ネタバレにならないようにこの辺りで、、、 最終章「彼岸まで」。 前住職(田貫さん)が、住職となった仁心に伝え遺したことばより。 「”死者を弔うことで、生者を救えるときがある。僕らはそういう仕事をしてるんだ”」 ー未来を見れば、不安になる。過去を見れば、後悔する。今だけをみるといいよ。ー 温もりの感じられる本でした。(合掌) (鐘丈寺には狸のような猫も登場しています。(=^ェ^=)「名無し君」と呼んでいた田貫さん、切ないです、、)
住職は僧侶でなかった…衝撃の事実を彼の死後に虎太郎に告げられ、仁心は動揺する。…住職は「父」ではないかとは想像出来たけど。僧侶として、人として成長した仁心の物語。
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