名取佐和子のレビュー一覧
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戦前から続く老舗旅館・凧屋。ここには古書ばかりの海老澤文庫があり、若女将が「お客様と同じにおい」を纏った本をお客様に勧める。そんな旅館があれば、泊まりたい。私はどんなにおいがするのだろう?
5つのストーリーからなり、それぞれ1冊ずつ取り上げられている。知っている作家さんばかりだけど、夏目漱石の『こころ』以外は読んだことがない。
1冊目:川端康成『むすめごころ』
恋愛
2冊目:横光利一『春は馬車に乗って』
夫婦
3冊目:志賀直哉『小僧の神様』
親子
4冊目:『藪の中』
学生、先生
5冊目:『こころ』
友
第5話はお客様ではなく、若女将に関わる物語。若女将に様々な -
Posted by ブクログ
私の理想とも言うべきものが全て兼ね備えている1冊 むちゃくちゃいい本。コンセプトから古書のチョイス、綺麗でまっすぐな文体、時折刺さる表現、ショートストーリー仕立ての展開、はたまた表紙のデザインと全て品があり、間違いない本。
刺さった文章を2つ。
光の射す方へと、お進みください。
豊かな気持ちのおすそ分け
1つ目の文章は個人的に好きなバンドの歌詞の一部でもあったことから、そもそもピンと来た部分はあったかもだけど、日常で出合いやすい言葉でもないから、この出合いと表現に感謝と感嘆を。
2つ目の文章は、読書の醍醐味はまずは自分の心を豊かに出来ることであり、次はそれをおすそ分けすることだと思ってる。
読 -
Posted by ブクログ
書店の文庫コーナーで購入。令和3年10月の初版発行と書いてあり、増刷されてないのかよ?!とびっくり。こんなに良い本が世に埋もれてるのだとしたら勿体無い。
おそらく「東日本大震災」「住職」「檀家」などのキーワードが重いからだと思うけど、それらに馴染みがなかったり、何もできていない自分に後ろめたい罪悪感があったりした私が一気に読み切れたぐらい、優しくてあたたかくて、生きることを頑張ろう、と思える作品でした。高知弁と岩手弁がミックスされているのも面白かった。
ガチガチの説法小説でもないし、住職(先代と、主人公の2代目の両方)が人間臭いので、説教されてる感じでもないし、自己を投影できるのもまた良し -
Posted by ブクログ
タイトルから、もっとほのぼのした話かと思っていたけれど、命や人や人生に向き合うことの難しさとか、大切さとか、いろいろと考えさせられたり、感じさせられることの多い話だった。
お寺が舞台の話だけに、仏教の教えが折りに触れ出てくる。難しく教えを説いている訳ではなく、仁心という一人の若者の人生のとある期間に寄り添っている話なので、宗教や仏教に造詣が深い人でなくても、胸を打たれるような言葉も多いのではないかと思う。
仁心の心の中には鬱屈したものがあって、それが仁心が僧侶であることに自信をもてない理由でもあるんだけど、それ故に、仁心の言動に理解し難いところもあるのだけれど…。徐々に変わっていき