名取佐和子のレビュー一覧
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装丁の店を確かめに江の島に行きたくなった。近くにいるのに行くことはほとんどない。たまには行ってみようかな。すみゑから麻布へと脈々と続くねこもりという血。ねこもりという役目はないけど、オイラも親父とお袋からこれでもかっていうほど良くも悪くも血を引き継いでいる。若いときはあんなふうになりたくないと思っていたけど、今となってはしっかり似ていると思うし、昔ほどの嫌悪感はない。なんでだろう?溶子が庄二郎を許し認めるのはちょっとわかるような気がする。「半分亭は猫とお客さんに助けられてつづいてきた店だ」を世代を越えて守る佐宗一家のひとりであることを誇らしく思えるようになったからこそだと思う。今日は母の日。お袋に電話をして、人一倍元気な身体に産んでくれたことを感謝した。喧嘩もするけど家族っていいよね、ってあらためて感じさせてくれる温かい物語だった。
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Posted by ブクログ
ねこもりって何だろう。
江の島とねこもりのタイトルに魅かれて読んでみた。
江の島に住む半食堂半民宿を営む女性たちの物語。
代々江の島の野良猫たちの世話をする役目を
受け継いでいる女性たちである。
「ねこもりさん」と呼ばれる彼女たちは毎日猫の世話をしている。
お返しに猫に不幸がこないように守られるような生活である。
物語は2002年、高校生の麻布がねこもりのとき、
大負債を背覆って江の島から一家が夜逃げする話から始まる。
次の章は1915年、すみゑがねこもりのとき、
島で知り合った少女からある預かり物をし、
きっと取りに戻ってくるからという約束をかわす。
1963年、ねこもりは筆。
1988年、ねこもりは麻布の母である容子と、
麻布の曾祖母の代からの話しが現代へと続いている。
2017年、麻布たちは島から夜逃げして松島に移り住んでいた。
麻布は預かり物を手にして再び江の島を訪れてみる。
そこで、半世紀以上たっての奇跡的な再会を果たすことになった。
ねこもりの女性たちの運命が変わろうとするとき、
きまって関わってくる、島の猫がいる。
背中に太い5本のトラシマ模様をつけた茶トラの猫。
ねこもりの代が変わるように
縁の深い5本のトラシマ模様の茶トラ猫も
代々変わっているようだが、
その縁は受け継がれているようである。
野良猫だが、
ねこもり一家を陰で見守る不思議なトラ猫。
江の島への故郷愛とともにねこたちへの愛情も十分に感じられた。
果たして江の島に「ねこもりさん」は本当にいるのだろうか。
それ以前に江の島は本当に猫の島なんだろうか。
作品内容も面白かったが、
そういう疑問の方が印象深い作品だった。 -
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ネタバレいきなりお店を放棄して夜逃げになったときにはどうなることかと思った。
何か、ファンタジーなどんでん返しがあるとか、いきなり救世主が現れて救ってくれるとか…
冒頭からそんな事は起きませんでした。
江ノ島の「山二つ」にある、「半分亭」は、横に並んで三つの入り口があり、一番左が民宿、真ん中が食堂、右は家族の母屋の入り口で、この部分だけが二階建て。
突然、何もかも捨てて去らなくてはならなくなった、佐宗麻布(まゆ)一七歳。
半分亭は『猫とお客さんに助けられてつづいてきた店』
佐宗家にはなぜか女しか生まれず、その女たちは、代々「ねこもり」を引き継いできた。
ユエ、すみゑ、筆、溶子、麻布と続いてきた、女性たちと、彼女たちと江の島との様々な思いと歴史が語られる。
懐かしい昔と、決して平たんではない彼女たちの道でしたが、それぞれの青春があったのだな、と。
麻布も…もしかしたら麻布が一番苦労をしたかもしれない。
甘いだけでない、でも希望の持てる結びで良かったです。 -
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あの人と過ごす
何気ない「おやつ」の時間が、
今日を乗り切る力をくれる。
おいしいものを愛する作家陣が贈る、
心とおなかの空腹をあたたかく満たす連作短編集。
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好きな作家さんが多く参加されていて購入しました。
これもかなり前に読んだので記憶が曖昧ですが。
ぱらぱらページをめくると少しずつ思い出してきました。
島本理生さんの「楽園の代わりのカッサータ」が好きでした。
議員と不倫という不毛なことと、
切ないけどなんか爽やかな部分もあって。
他の作品も同級生や親子等で、
忘れられない瞬間と食べ物が。
読後が良いアンソロジーでした。 -
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“美味しいおやつが食べたくなる”ようなものではなく、おやつを通して気持ちや人生の揺らぎを描いたアンソロジーだった。
作中のおやつは、ただ甘いものではなく、それぞれの登場人物が踏ん張るための“小さな支え”や“カンフル剤”として描かれていた。
自分らしく生きる道を見つけるきっかけになったり、本と一緒に孤独や空腹を埋める青春の思い出になったり、懐かしい味が安心へ繋がったり。
特に4話目の子育ての話は、自分ではない誰かの人生に関わり続けることの大変さが強く伝わってきた。
迷ったり悩んだりしながらも、その子自身を信じていくしかない。
だからこそ、ほんの少し息をつける“おやつの時間”が必要なんだろうなと思った。
複雑な感情を呼び起こすものだったとしても、それで踏ん張れるなら、その人にとって大切な支えなんだと思う。
5話目では、選択することの難しさが描かれていたけれど、周りの雑音や不安があっても、自分が本当にやりたいことを素直に選びたいし、きっと選べるんだと思えた。
海外児童文学のエピソードと一緒に語られるおやつも素敵で、ただ「美味しそう」だけでは終わらない余韻があった。
まっすぐな道だけが正解じゃなくて、遠回りでも、自分の目指す場所へ向かおうとしているなら、それはちゃんと人生と向き合っていることなんだと思わせてくれる作品たち。
帯にあったようにおやつはまさに“今日を乗り切る力をくれる”ものだった。 -
Posted by ブクログ
なんだかんだ言っても不倫なんてろくな
もんじゃない、何で不倫をするんだろうと
思っていたんですが、スリルや刺激を求める
ためなんて言われたら勝手にしてくれと
作品の趣旨と違う感想を持った島本理生さんの
「楽園の代わりのカッサータ」。
受けた恩というか優しさって相手が
思っている以上に大きなものだし
その優しさを自然とできる彼・・・素敵だ
と思った織守きょうやさんの
「ファースト・アンド・オンリー」。
両親を亡くした悲しみから救い出してくれた
瀬戸内の島でいっしょに暮らす叔父との
素敵な時間とジャムに心ひかれた友井羊さんの
「春とマーマレード」。アイドルって見た目の
華やかさとは裏腹に大変な職業だと思った
畑野智美さんの「アンパッサン」。
子供ってなんだかんだ言ってもその子の
ペースで大人になっていくそして親は
成長した子供のことも認識するけどまだまだ
心配が尽きないって感じた伝わった
名取佐和子さんの「ドーナツ息子」。
有りがちなが言葉だけど、「何かをするのに
早いも遅いもない。ただ、始めるだけさ」
がほんとにそうだよねと心に刺さった
伊吹有喜さんの「ストロベリーの歌」。
どの話も面白かったけど、個人的には
「ファースト・アンド・オンリー」と
「ドーナツ息子」が面白かったかな。