中野雅至のレビュー一覧
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エリート官僚という言葉はもはやなくなりつつあることはなんとなく感じている。あぁ、やっぱりか、、と再認識した。
ほぼ全ての業界で人手不足であるが、官僚まで人手不足を訴え始めたらいよいよ国が回らなくなってしまうのではないか。「厚生労働省改革若手チーム緊急提言」、そりゃ若手はやめてしまうよな。5年未満の退職率は10%を超えているらしい。
もはや国のために働くというやりがいだけでは人は集まらない時代になっている。考え方のアップデート、アップデートを間違えたらダウングレードを繰り返し、模索していくしかない。動かなければ成功も失敗もない。
「明治時代以来、政策形成と権力の中枢に位置してきた官僚だが、あえて断言すると、復権することはない。」252 -
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ネタバレ1勝100敗! あるキャリア官僚の転職記~大学教授公募の裏側~ (光文社新書)2011/12/16
キャリア官僚からの大学教授転身記
2014年7月10日記述
中野雅至さんのキャリア官僚から大学教授への転職体験記。
1964年奈良県大和郡山市生まれ。
1988年同志社大学英文科卒
ミシガン大学公共政策大学院公共政策修士号
新潟大学大学院現代社会文化研究科博士号を取得
本人は大学落ちまくったし自分より偉い人はいっぱいいると謙遜している。
ただ実際はアメリカ留学もするくらいだし国家公務員一種試験合格してるわけだし超優秀な人である。本書は極めてハイレベルな転職記である。
中野雅至さんは昔たかじんのそこまで言って委員会で
岸博幸氏と一緒に出たの見たのが初めてだ。(当時アゴとハゲと呼ばれてた)
当時は既に兵庫県立大学教授だった。
そんな彼もTV画面に出てくるまでに相当の苦難があったんだなと勉強になる。
まず大学教授に転身するという人もそれほど多くないだろう。
具体的に何をやって大学教授になっていくのか知りたい人には参考になるに違いない。
要点をまとめると
1 博士課程を卒業し多くの学術論文を書き実績を積むこと。
2 なるだけ新しい学問分野を狙うこと。
3 日本全国多くの大学を受けること。
4 良い指導教官を持つこと(著者の場合は新潟大学の藤井隆至教授)
→良いアドバイスを得る。アカハラを避ける意味でも。
レポートと学術論文の違いについてなどはなるほどと眼から鱗だった。
先行研究をどれだけ調べているかどうか・・学者の書く文章体って独特だなと思っていた原因が少しわかった気がする。
(論文内容への検討もないまま提出した当時の自分の大学卒論は完全に単なるレポートに過ぎなかったと反省)
大学教授というものが公募されるようになっていたというのも何だか不思議。
ただ外部出身者を増やそうとする動きは今後も活発化しそうだ。
本書は大学教授へのなりかたを示した(それも具体的な)貴重な本となっただろう。
霞ヶ関での激務。論文の書き進め方。
心理面での葛藤。
転職しようとする人間の心の揺れを上手く書いていると思う。
あと1人採用だとやはり本命採用になってしまい難しい。
複数採用だと冒険心も出て違う人間にもチャンスが生まれる
(これは民間企業でも同様だろう)
あと就職では採用する方の意図次第。能力評価も曖昧な世界なのだから自分ばかりを責めずメンタル面を維持することも転職において大事なことだ
と思う。落ちた理由がはっきりしない場合も多いのだと思うくらいで良い。
もちろん気づいた点は次回以降必ず改善しといた方が良いだろうけど。
ただ実際に面接に進んだのは5校だけ。
100校ほど受けてほぼ書類選考落ちなので
それだけ厳しい世界だと分かる。しかしちょっと偏りもあるように思う。
著者の落ちた大学・学部一覧を見ていて自分の母校の大学・学部・科目が
記載されていて驚いた。
一歩間違えれば中野さんの授業だったのかもしれないと思うと不思議な気分。 -
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■民間原理の導入は主に三つの側面で役所や公務員にインパクトを与えた
①仕事のやり方
・コスト重視
②役所の組織そのものの変化
・役所本体のスリム化
③公共の多様化
・公を担うのは役所だけに限らない
■公務員の仕事の哲学が曖昧な四つの理由
①あまりに多種多様
②「全体の奉仕者」という曖昧性
③国民側も公務員を見る目が一定していない
④ウチ向きの哲学がない
■「全体の奉仕」ばかり強調されて公務を通じて公務員自身が能力を伸ばせるかどうかを考えることがタブーとされてきた。働き甲斐を求める公務員が増えている今,この問題を深堀することがなければ,公務員のモチベーションは高まらない。
■ウチ向きの哲学とソト向けの哲学が二つそろって「仕事の哲学」になる。
・自己実現,成長,やりがいなど内部に向かうもの
・社会貢献や他人を助けるなど外部に向かうもの
■課長→局長→事務次官→大臣→総理とレベルが上がっていくと,許可を得ること自体が一大仕事になり果てる
■内務官僚だった大森鐘一が官僚になろうとした息子のために作成した心得(「長男仕官に就き与えたる訓戒の書」)
①高潔で,どんな種類の批判にもさらされるようなことがあってはならない
②私情を交えず,公平に任務を遂行する
③常識を養い,中道を重んじる
④他人の意見に耳を傾け,出しゃばり過ぎてはならない
⑤最新の注意を払い,額に汗して働くことを惜しんではならない
⑥言動を慎む
⑦約束を守る
⑧質素な暮らしをする
⑨質問することを恥ずかしいと思ってはならず,また,他人には進んで教える
⑩上司にへつらわず,同僚には忠実に接する
⑪趣味に溺れない
⑫滅私奉公を旨とする
⑬公務を口外しない
⑭公務に満足しなければならず,それ以外の事項を望まない
⑮神仏を敬い,孝の精神で年長者を敬う
⑯制度にせよ地域にせよ,自己の管轄の歴史を学ぶ
⑰平静にものごとに対処する
⑱公務について学び,高い学習水準を身に付ける
⑲党派的な争いを慎む
■国民の多くは公務員以上に苦しい状況で働いている。
■ウチ向きの哲学は公務員自身が自らの手で作り出さなければいけない。
■民間は積極的で公務員は消極的だと批判されるが,それは官民の構造的な違いも背後にある。
・役所は民間企業と比べてはるかに制約が多い
・企業のステークホルダーはそんなに多くないが役所のステークホルダーは無限
・全体のバランスを常に考える必要がある
・個々人に裁量権がない
・人事評価がネガティブチェック
⇒「できない」「難しい」という発想から入る。
■調整仕事を通じて人脈が形成されていくが,人脈こそ官僚の専門知識の神髄だとみなされる時期が来る。
・「企画立案能力」と「調整力」の二つが専門知識の中身
■労働条件よりも仕事の中身で悩むキャリア官僚
①仕事の中身(膨大な作業や非効率的な仕事のやり方)
②仕事量(膨大な残業時間)
③仕事の成果(専門知識が身につかない,キャリアにならない)
④行政システムの不合理性(各省折衝,予算要求,法制局審査など非効率的なシステム)
⑤政治との関係で抱える不合理
■「部分利益」に立ち向かう勇気
■地域活性化や改革には「ワカモノ,バカモノ,ソトモノ」が必要。 -
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中野先生,これは凄過ぎます(笑)
デフォルメもあるのでしょうが,リアリティが溢れています.
同じ職に就いているのが申し訳ない気がします.
でも,そこまでしてなりたい大学教員というのは一体何なのだろうと考えさせられます.
白川先生のあとがきも素晴らしい.
この普通の大学教員には分からないであろう凄さを私の中で大切にさせていただきます.
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なぜか、どこかから突然出てきたので、じっくり2回目を読んだ。
中野先生、妙なキャラをつくっているが、やはり面白い。
これを書いた当時は、更に私立大学に転職するとは思っていたのか思っていなかったのか・・
やはり、私は非常に特殊なケースなのだということを再認識した。
(2015年3月22日) -
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著者の職務経験を踏まえて,今後起こり得る公務員を取り巻く環境変化が記されている。我々地方公務員に関しては,これからも人件費の圧縮が要請され続けるだろうが,今後は職員全体のモチベーション低下を招く「一律削減」の方法で応じるのではなく,これまで以上に能力主義と実績に基づく評価が徹底され,特に事務系を中心に処遇の凹凸が明確となり,二極化がますます進んでいくだろうとの指摘。
「最後の聖域」として,非営利法人などの今後の見通しについても触れてあったが,債務超過の三セクワースト100(H20総務省調査)に,広島市の三セクが4社も入っていたのには驚いた。広島市民の一人として少々恥ずかしい。
著者の本は数冊読んだが,巷間ありがちな「公務員=悪者」の図式で書かれたものではなく,冷静な指摘がなされており面白い。 -
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本書の著者の中野さんは就職浪人を経て故郷の市役所で公務員になり、その後、厚生労働省のキャリアになったと言う一風変わった経歴の持ち主です。
現在は兵庫県立大学大学院教授としてメディアなどに登場する機会もあり、著者の事をご存じの方も居られるかと思います。
本書は、この中野さんが以下の政治家と財務官僚の関係の変化の歴史に触れつつ、両者の関係性や財務官僚の強みと弱み、限界等、彼らの実態を解説しながら財務省支配論、陰謀論とは具体的にどの様な物であるかを解明している一冊です。
¨拒否権¨を握った政治家が、政策や予算案の立案などを行う官僚を最終的にコントロールしてきた自民党政権絶頂期から、バブル崩壊後には、官僚とWin-Winの関係を築く余裕が無くなった彼らが官僚を攻撃して自らの利益をはかったWin-Loseの時代へと変化した。
その後の民主党政権の成立に伴い、子供手当て等の予算案成立、財源確保、事業仕訳への協力を行った財務省は他の官庁とは違い組織保全に成功。
そして、自失を重ねた民主党政権が自民党政権崩壊に伴なって発生した力の真空地帯の穴埋めに失敗した事により、代わりに財務省が影響力を強め、彼らを中心としたかつての¨霞ヶ関¨の再建を目指している
そして、巻末ではそれまでの解説内容に基づき、日本の将来予測を行っています。
著者は巻末において、
この現状に対して閉塞感を強めている民意は、政治家はもとより彼らを支える官僚、その他のエスタブリッシュメント層をまとめて排除する方向へと動くのではないか。
しかし、彼らを排除して出来た真空地帯を埋める存在はなく、その為、社会が不安定化し、これにうんざりした民意は再び安定を求めて過去回帰へと向かうのではないか。
と予想し、大切なのは政治の質により如何様にも姿を変える財務省を使いこなす事であり、その様な政治の基礎は国民であると結んでいます。
アメリカの大学や大学院でインテリジェンスの教科書として使われている「インテリジェンス―機密から政策へ」と言う本によれば、
政策担当者がインテリジェンス提供側に対して、優先順位(テロ対策が最優先なのか、核拡散防止が最優先なのか等)を的確に伝えないと、インテリジェンス提供側は政策担当者の領域へと踏み込み、独自に優先度を設定する様になる。
との事。
また、本書によれば、現在、財務省はその予算策定の歴史に伴なって各省に張りめぐらされた情報入手路から得た情報を分析・加工し、政権運営に役立つインフォメーションパッケージ、つまり政権運営の為のインテリジェンスとして民主党政権に提供しており、
民主党の「政治家自身が決める事なのに何も決められない」と言う現状も考慮に入れると、財務官僚の影響力の拡大は必然的と言えるのかも知れません。
加えてロシアを例としてあげると、
旧ソ連では共産党がKGBをコントロール化においていたが、ソ連崩壊後の共産党政権の崩壊、そしてその後のエリツィン政権の混乱により生じた権力の真空地帯を、プーチン大統領を始めとするFSB(KGBの後継機関)出身者が埋めている。
これは、共産党と言う重石がなくなり、またそれに代わる物も誕生しなかった事により、それまで頭を押さえつけられていたKGBが自らの力を拡張させたと言う側面がある。
との事で、自民党政権崩壊により、族議員と言うこれまで財務省の頭を抑えてきた存在が消滅した事により、財務省の影響力が拡大されたと言う側面もあるのではないかと思います。
とは言え、財務官僚が法制度を自らの拠り所としている以上、同時に同じ制度により彼らの限界も定められており、政治家の力が回復すれば必然的に財務官僚の影響力も減少していきます。
しかし、政治家側の統治能力が強化される兆しはありません。
更に、規制改革を押し進めた小泉政権への反動として誕生した民主党政権は、規制改革の長所と保護政策の長所の良い所取りを希求しており、その為、小泉政権よりも複雑な事を実施する必要が有ります。
つまり、かつて盛んに言われていた「脱官僚」に反して、元々官僚を必要としたと言う事になります。
加えて、最近読んだ「中国化する日本」と言う本によると、(私の記憶違いでなければ)
日本では、強力な自由化が進められた明治時代への反動として大正時代以降、保護政策が進められ、この流れを引き継いだ戦前の東條内閣は両者の良い所取りをしようとした結果、何も出来なくなった
との事で、規制改革と保護政策の良い所取りは失敗の可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
この様に考えると本書の結言通り、現状の問題を解決するには政治の復活しか方法が無い様に見えます。
いずれにせよ上記考えの妥当性に関わらず、余り目にする機会が無い官僚と政治の関係性について率直に解説している本書は中々貴重な存在ではないでしょうか。
一読をお薦めします。