あらすじ
近ごろキャリア官僚を見直す動きが高まっている。不景気を背景とする1990年代後半からの官僚バッシングもあってキャリア官僚の印象はよくなかったが、民主党政権の体たらくや財務省主導体制の復活もあって、官僚を見直す動きが徐々に強まっているのだ。
リーマンショック以降、ベンチャー起業家や外資系企業に魅力がなくなったこと、大企業でさえ不安定なことから、官僚という職業が「安定感あるエリート」として見直されていることもある。実際、2009年から国家公務員試験受験者数は下げ止まり、反転している。
さらに最近は現職官僚や元官僚の本がよく売れているだけでなく、『米国製エリートはどこまですごいのか』(東洋経済新報社)、『官僚に学ぶ仕事術』(マイコミ新書)、『財務官僚の出世と人事』(文春新書)などの“エリート本”の類も売れている。官僚(エリート)そのものについての関心度が高いことを物語っている。
本書では、厚生労働省の元キャリア官僚であり、官僚の実態を知り尽くす著者が、日本のトップエリート・キャリア官僚の仕事力を徹底解説。彼らが組織の一員として、また個人としてどういう仕事力を持っているのかを通じて、生々しい霞が関の現場をも知ることができる。
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Posted by ブクログ
文書にしてしまうと、なるほど、こんなもんかと感じますが、中央官僚の仕事振りはほんとうにすさまじいものがあります。限られた時間の中で、ある一定の品質のアウトプットを出す彼らの仕事のやり方は目を見張るものがあります。この手の著書があまりない中、手法を参考にできる貴重なものかとおもいます。
Posted by ブクログ
他の業界を知らんけど、とりあえずおれのいる組織と仕事のやり方は似てるから参考になる。
情報を集め、分析、処理してアウトプット、根回し力だとか調整力とか相場観とか、そうゆう資質が大事。ムリな締め切りの話とか、付箋のこととか、英文の読み方とか、あぁそうだよなって思うことが多かった。若いうちに積極的に仕事を引き受けて相場観を身につけたほうが得ってのは今のおれへの戒めになりました。
Posted by ブクログ
官僚に必要な仕事力とはなんぞや。
と今更思って手に取りました。課長補佐まで勤めた厚生労働官僚の方が書いた本だからか、経験に裏打ちされ、なるほどと思う点が多かったです。
Posted by ブクログ
普段あまりなじみのない官僚の仕事について、元官僚の視点からリアルに語られている。
とても読みやすく、官僚の仕事の実態や出世の厳しさがわかり面白かった。いくつかの仕事術は自分も参考にしていきたいと思う。
Posted by ブクログ
官僚について書かれた本を初めて読んだので、
とても楽しかったです。
キャリアとか、ノンキャリアとか、
よく言う表現だけど、いまいち、わかっていなかったし、
そう言う何となく勝手に理解していた官僚というものを、
ある程度大雑把にですが、わかれてよかったです。
Posted by ブクログ
本書で紹介されてる官僚の仕事の流れとかは、特に真新しくもなく見方が変わったというようなことはないけど、ところどころ参考になるところはあった。
わからないまま悩むより、上司に相談に行けってこととか、「◯◯はどうすればよいか」と尋ねるのではなく「◯◯はこのような方向で進めていこうと思いますがよろしいでしょうか」というのが良いとかいうのは、特に前者は某学校で、わからないまま悶々として周囲に迷惑かけるより、指導受けで自分が何度も怒鳴られたりする方がどんなにマシかってことを実感したし、後者についてもこれだけは覚えておけと座学でもいってたけど、うちの組織特有のやり方ということでもなかったんだな。
付箋やクリアホルダーの活用は実践してみたい。
Posted by ブクログ
一時期流行った、官僚の仕事術系の一冊。著者は、厚生労働省のキャリア官僚から、大学教授に転身した人物。官僚の仕事の中核はインプットとアウトプットを繰り返す知的業務であるなど、官僚の日常や仕事の進め方がよくわかる。
ただ、肝心の仕事術については、他の類書と比べて、あまり参考になるような点は少なかった。そのなかでも、仕事のスケジュール管理として、仕事の締切を短期、中期、長期に分けてそれぞれ、付箋、クリアホルダー、チューブファイルorノートで管理するという手法は参考になった。また、「書くために読む」というアウトプットを意識した読書や調査という姿勢も見習いたいと思った。
あと、官僚の優秀性を強調しているが、本書を読んでも、正直、どういう点が優秀なのかがあまり伝わってこなかった。官僚の仕事の非効率さはよくわかったが。
Posted by ブクログ
副題は「秀才たちの知られざる実態と思考法」
ベールに包まれた官僚仕事の実態と、その思考法や仕事術の詳細を異色の元官僚が解き明かす。
序章 官僚仕事はブラックボックス?
第1章 官僚の実態
第2章 官僚の仕事体力
第3章 官僚仕事はスケジュール観が肝
第4章 霞が関に学ぶ最強の文章術
第5章 官僚の発想力
第6章 官僚は相場観で勝負
第7章 難攻不落の相手を落とすプレゼン術
第8章 情報分析は官僚の真骨頂
帯には「最高峰の仕事術を盗め」とあるが、実用的な面での効用は少ない。 あとがきを読むと、官僚に対するバイアスを少しでも取り除きその仕事を理解してもらう事を目的としているという。
本書を読むと官僚がどのように仕事をしているか垣間見る事が出来る。官僚を目指している人が読む事が一番実用的であろうか。
Posted by ブクログ
元官僚が書いた、官僚の生態および仕事のやり方について書いた本。
仕事の上で参考になることが多いのだけど、のっけから事実誤認がある。現在の官僚の試験制度(国家総合職)は、二次試験後に官庁訪問を行うはず。この辺の爪の甘さには残念である。
だが、いい本だと思う。
Posted by ブクログ
●内容
・元労働官僚が官僚のワークスタイルを語る。
・膨大な情報を処理して企画書にまとめるホワイトカラースキル
・合意形成のためのフットワーク。
・想定問答作りで鍛える相場観。
官僚にとって事務仕事ができるのは当然で、その上で「相場観」の有無が出世を分ける、という説。
●引用
(出世)
・課長から上の部長・審議官→局長→事務次官となると、仕事ができても人格が疑わしいような者は出世しない。国家議員や業界団体など外部との利害調整の機会が多くなると、事務処理に長ける秀才というだけでは対処できなくなる。課長から上のポストになると、頭でっかちの者はある程度排除されるのだ。
・相場観と学歴には相関関係がない。場数がものをいう。つまり、どれだけ幅広い仕事を多く経験してきたかに大きく依存する。…出世コースでは、幅広い仕事を経験できるうえに、周りにもできる同僚がたくさんいる。
(仕事力)
・(トラブルの際に)必要とされるのは、瞬発力とそれを支える「相場観」。どんな質問を投げかけられても、躊躇せずに即答できるのが瞬発力。それを下支えするのが、「詳しいことまでは即答できないが、過去の経験をベースに、こんなラインの回答をすれば納得してもらえるだろう」という相場観だ。
・相場観とは、仕事の段取りを着想する能力とも言える。「現状→問題点→課題→解決策」という一連の流れをごく短時間で思い浮かべられる能力といってもいい。
なぜ相場観のある人は出世するのか。まず相場観の持ち主は、トラブルに会っても冷静に判断できる。それだけの腹の据わりがある証拠ともみなせる。どんな職業でも、究極的には「腹の据わり」が重要になる。
Posted by ブクログ
友人から進めれて読んだ一冊。
副題に「秀才たちの~」とか帯には「優秀な官僚に学ぶ」とあり、そういう決め付けもどうかという気がしてしまいます。
ただ、特殊な環境で働くキャリア官僚の仕事術は、官民問わず参考になるべきこともあります。特に文書の作成やそこにいたる情報収集、またいわゆる根回しといったものは、悪く言われる面もありますが、不要になることはありません。
どのような仕事であっても、他に応用できないものはありません。少しでも盗み、活用したいところです。
もう少し具体的な仕事術を紹介してくれるとよかったかなという気もします。こういう職場にいれば自然に鍛えられます、という結論になってしまうと、学ぶところもなくなってしまうような。
最新情報の調査
・マスコミの情報もいいが、情報の確実性や分析力などを加味すると大学がよい。年配の権威ある教授ではなく、脂の乗り切った若手の准教授
真面目な部下ほど締め切りギリギリまで自分を追い詰める。できる上司はそういう受験秀才の気質をよく知っていて、仕事の質よりも締め切りを強調する
情報の検索力
・関連分野の新書を読む。新書は専門書とは違い、広い読者層を対象にわかりやすく書かれていることが多い。
・新書を読み土地勘がついたら、巻末に啓指されている少し難しそうな文献を読む。
・次に、その文献に記載されている参考文献から、もっと難しい学術論文を選んで読む
・このように文献をたどっているうちに、何度も目にする文献にでくわす。
・一般書籍や学術書ではなく、関連団体の報告書を中心に読む。組織が公表している報告書には権威付けがあり、引用しても言い訳になる
文書の読み方
・まず目次を読む。文書全体の論理展開を端的に表している
・目次から仕事との関連性の強いところを的確に判断し、そこを重点的に読む。そうすればすべてを熟読することなく仕事に役立てられる
文章作法
・報告書と小説は違う。必要な情報が必要な箇所に論理的にきちんとはめ込まれていればいい
・大切なのは文章の全体像。報告書や企画書の方向性、「タイトル」を明確にすること
・新たな情報に触れるインプットの機会を積極的に得る
・タイトルの決定、これが全体の方向性を決める。
・目次の決定、目次は本文の設計書。
・帰納法を用いること
・抽象と具体を使い分ける
・接続詞の有効活用
・文章の最初と最後をきちんと書き、読み直すこと
相場観:「仕事の段取りを着想する能力」。「現状→問題点→課題→解決策」という一連の流れを短時間で思い浮かべられる能力
<この本から得られた気づきとアクション>
・職場環境が違うということで、仕事の仕方が別物と思ってしまうのはもったいない。よいところは自分の仕事に取り入れたい。そういう意識を持つことが大切
・文章作成や参考文献の探し方、関連資料の読み込み方は、自分なりに実践して活用してみたい。
<目次>
序 章 官僚仕事はブラックボックス?
第一章 官僚の実態
第二章 官僚の仕事体力
第三章 官僚仕事はスケジュール観がキモ
第四章 霞が関に学ぶ最強の文章術
第五章 官僚の発想力
第六章 官僚は相場観で勝負
第七章 難攻不落の相手を落とすプレゼン術
第八章 情報分析は官僚の真骨頂