あらすじ
倍率数百倍。公募突破に必要なのは、コネ? 実力? それとも運? 本邦初、大学教員公募の実態をセキララに描く。非東大卒キャリア官僚による、トホホ公募奮戦記。筆者がすべった大学一覧付き。【章見出し】第1章 崩壊する「霞が関帝国」の中で、大学教員への転職に目覚める/第2章 本を出版すれば、世の中から注目され、教授になれるほど、人生は甘いか?/第3章 戦略を整えた新潟出向時代(以下略)【光文社新書】
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Posted by ブクログ
1勝100敗! あるキャリア官僚の転職記~大学教授公募の裏側~ (光文社新書)2011/12/16
キャリア官僚からの大学教授転身記
2014年7月10日記述
中野雅至さんのキャリア官僚から大学教授への転職体験記。
1964年奈良県大和郡山市生まれ。
1988年同志社大学英文科卒
ミシガン大学公共政策大学院公共政策修士号
新潟大学大学院現代社会文化研究科博士号を取得
本人は大学落ちまくったし自分より偉い人はいっぱいいると謙遜している。
ただ実際はアメリカ留学もするくらいだし国家公務員一種試験合格してるわけだし超優秀な人である。本書は極めてハイレベルな転職記である。
中野雅至さんは昔たかじんのそこまで言って委員会で
岸博幸氏と一緒に出たの見たのが初めてだ。(当時アゴとハゲと呼ばれてた)
当時は既に兵庫県立大学教授だった。
そんな彼もTV画面に出てくるまでに相当の苦難があったんだなと勉強になる。
まず大学教授に転身するという人もそれほど多くないだろう。
具体的に何をやって大学教授になっていくのか知りたい人には参考になるに違いない。
要点をまとめると
1 博士課程を卒業し多くの学術論文を書き実績を積むこと。
2 なるだけ新しい学問分野を狙うこと。
3 日本全国多くの大学を受けること。
4 良い指導教官を持つこと(著者の場合は新潟大学の藤井隆至教授)
→良いアドバイスを得る。アカハラを避ける意味でも。
レポートと学術論文の違いについてなどはなるほどと眼から鱗だった。
先行研究をどれだけ調べているかどうか・・学者の書く文章体って独特だなと思っていた原因が少しわかった気がする。
(論文内容への検討もないまま提出した当時の自分の大学卒論は完全に単なるレポートに過ぎなかったと反省)
大学教授というものが公募されるようになっていたというのも何だか不思議。
ただ外部出身者を増やそうとする動きは今後も活発化しそうだ。
本書は大学教授へのなりかたを示した(それも具体的な)貴重な本となっただろう。
霞ヶ関での激務。論文の書き進め方。
心理面での葛藤。
転職しようとする人間の心の揺れを上手く書いていると思う。
あと1人採用だとやはり本命採用になってしまい難しい。
複数採用だと冒険心も出て違う人間にもチャンスが生まれる
(これは民間企業でも同様だろう)
あと就職では採用する方の意図次第。能力評価も曖昧な世界なのだから自分ばかりを責めずメンタル面を維持することも転職において大事なことだ
と思う。落ちた理由がはっきりしない場合も多いのだと思うくらいで良い。
もちろん気づいた点は次回以降必ず改善しといた方が良いだろうけど。
ただ実際に面接に進んだのは5校だけ。
100校ほど受けてほぼ書類選考落ちなので
それだけ厳しい世界だと分かる。しかしちょっと偏りもあるように思う。
著者の落ちた大学・学部一覧を見ていて自分の母校の大学・学部・科目が
記載されていて驚いた。
一歩間違えれば中野さんの授業だったのかもしれないと思うと不思議な気分。
Posted by ブクログ
中野先生,これは凄過ぎます(笑)
デフォルメもあるのでしょうが,リアリティが溢れています.
同じ職に就いているのが申し訳ない気がします.
でも,そこまでしてなりたい大学教員というのは一体何なのだろうと考えさせられます.
白川先生のあとがきも素晴らしい.
この普通の大学教員には分からないであろう凄さを私の中で大切にさせていただきます.
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なぜか、どこかから突然出てきたので、じっくり2回目を読んだ。
中野先生、妙なキャラをつくっているが、やはり面白い。
これを書いた当時は、更に私立大学に転職するとは思っていたのか思っていなかったのか・・
やはり、私は非常に特殊なケースなのだということを再認識した。
(2015年3月22日)
Posted by ブクログ
厚生労働官僚から大学教員に転職した中野雅至氏の転職までの顛末記。いわゆる「天下り」ではなく、真っ当に大学院に通い、論文を書き、公募に応募し続けて、やっと大学教員になれたいきさつが、赤裸々に面白おかしく書かれている。
コネや大実績なしでの一公務員(サラリーマン)から大学教員への天職が不可能ではないことを教えてくれ、大学教員への転職を考えるなら、参考になること請け合いである。
また、非常に人間味あふれる中野氏の姿には共感を覚え、一種の小説を読んでいるような気分だった。中野氏にはもともと文才があったのは間違いないだろう。
Posted by ブクログ
霞ヶ関のキャリア官僚が大学の准教授になるまでの険しい道のりを綴ったエッセイ。何度失敗してもめげないメンタルには脱帽する。ただ、人やネット、本をもっとうまく利用して情報を集めれば(彼の専攻は応用情報科学である)、もっと効率よく就活できたんじゃないかとも思う。注意してほしいのは、これは人文科学系の特定の分野の話だということ。とくに自然科学系の分野では参考にならない。それでも、こういう人生があることを示したという点では良い本だと思う。巻末には自分がこれまで受けて落ちた大学名がリストアップされている。
Posted by ブクログ
転職活動について知りたくて手に取った。大学で教える仕事に就けたらなぁと思うけれど、自信もないので、この中野さんのケースがいい方が悪い方かはわからないが現実を知れてよかったと思う。
博士号を取得し、論文を何本も書くということがいかに大変か、学生時代に先輩たちを見てきて感じていたので、並の努力ではなかったと思う。しかし、テーマ選びや学会選びなど、少しでも競争を減らす裏技もあり参考になりました。働きながら、次の目標のためにどう動くかよく考えようと思います。
Posted by ブクログ
労働省から大学教員へ「公募」で転職した筆者の実録。
実録系はやはり生々しさがあってけっこう好きだ。その時々の感情がリアルで、自分が同じ立場にたったらそうなるんだろう、いや、そうならないんじゃないか、と想像するのは楽しい。
仕事でもそうだが、苦境にたたされたときに大事なのは、「初心に帰ること」と「なんくるないさ」の対極にあるふたつの思いだと思う。こうなりたいからがんばれるんだ!というプラスの力と、まぁなんとかなるし、おれがいなくても世界は回るさ、という若干諦めに近い境地。このふたつで乗りきれるんじゃないかと思っている。
いつか転職がリアルになったときには、中野さんの奮闘を思い出そう。
あと、知識として言えば、理系研究者と文系研究者の根本的な違いを少々でもしれたのは面白かった。
Posted by ブクログ
読み物として面白かったし、論文投稿や博士号取得についての実体験については、大学院で勉強するものとして興味深かった。
著者は一見自信過剰気味な論調で語りながらも、自らを貶めるエピソードを盛り込むなど、どこか憎めない大学時代に一人はいたタイプであるなあと感じた。
帯にあるように「ドラマ化・映画化希望」が実現したらいよいよエンタメ業界はネタ切れではないかと思ってしまう。
Posted by ブクログ
地方公務員から公務員一種に受かったものの将来性の限界を感じ、大学教授を目指すものの、なかなか受からなかったというお話。
公務員一種の方が給料高いような気がするけど、そうでもないのかな?
どちらにしても、若くして公務員から大学教員への転職はレアなケースそう
Posted by ブクログ
物語として読むと、それなりに面白い。
そんなに深い内容ではないです。でも転職経験のある私から見ると、懐かしく思うとともに、大学の先生に民間からなるのは大変だな~、ということがよく分かりました。
Posted by ブクログ
100校に教員へ申し込んで、やっと転職できた顛末、気づき。トライし続ける気力がすごい。そこまで出来るモチベーションは自分には?だったけど。ただ、気づきの大半は大学院生だったら普通は知ってそうなことだった。
Posted by ブクログ
●内容
・すさまじい向上心で市役所→旧労働省→大学教授という転身を果たした著者。
40代前半での転身なので、「天下り」でもなく実力勝負。
・前半は教授への公募過程や論文の書き方など、詳細なテクニックの紹介
・後半は著者の心情。100敗でもメンタルを保ったことが最大の「強み」
・教授志望でなくても、読書の方法論が参考になる。
●感想
・著者の特質、100敗でも折れないメンタルが素晴らしい。
そして合理的な割り切り。「現実は一朝一夕に変化するものではない。それぞれにあわせて戦略を練るしかない」
これが目的に向かって着実に進む原動力になったのだろう。
(引用)
・100敗しても、「自分が悪い」と思わない。
転職や就職がうまくいくかは、採用する側の意図に大きく左右される。(うまくいかない場合は)縁がなかったと思っておけばいい。
・文科省が悪いとか博士号取得者の待遇を改善せよとか、もっとエリートの労働市場を流動化させろ、とか、主義主張はいくらでもできる。改革の必要性もあるだろう。しかし、個々人が直面する現実は一朝一夕に変化するものではない。それぞれにあわせて戦略を練るしかない。
●これやってみよう
・関心のある分野で、「先行研究を精緻に幅広く研究した論文」を探す。→「読むべき本」の把握