黒柳徹子のレビュー一覧
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ネタバレかつて、往年の芸能人の葬儀にて森繁久彌さんが遺される身を嘆きながら弔辞を読むのが恒例になっていた時代があったが、今は徹子さんがその役割を担いつつあるのだろうか。
本書では、その森繁さんも含む、往年の演じ手、歌い手、書き手、演出家、そして無名の一般人まで、徹子さんの人生に大きく影響を及ぼした人々についての回想が綴られている。もちろん久米宏さんのようにご健在の方との交流に関しても筆が割かれてはいるが、ほぼ、いわば徹子さんの筆になる「蓋棺録」の体をなしていると言って良いと思う。
どの章も、有名無名を問わず取り上げられた人々と交わした言葉、耳にしたエピソードなどが、あたかも目の前にその人達が蘇って展開されているかのように生き生きと描かれていて、徹子さんの筆力の高さとともに、先立った人々への思いの強さを感じた。
個人的には沢村貞子さんの愛と意志とを貫き通した凛とした最期、そして賀原夏子さんの毒親に苦しめられた半生と、余命宣告を受けた後の壮絶な役者魂と穏やかな臨終とに、心にずしりと響くものがあった。
特に賀原さんの、末期がんに苦しみながらも自分を慕い守る劇団員達に感謝し、
「いま、生まれてはじめて、私は幸福な人間だと思ってる。人生で一番、しあわせよ。」
と口にするエピソードと、それに対する徹子さんの地の文、
「賀原さんは、人に親切にすることはあっても、人から心を開いて、やさしくしてもらった事が、あまりなかったのかもしれない。」
は泣かずにいられなかった。
本書はそんな人生の締めくくりについて深く考えさせられてしんみりするエピソードと、徹子さんのヌード撮影やらニューヨーク武者修行やら、上野動物園初代パンダ初来日時の動物園入り待ちやら清水寺本堂無断侵入事件やらと言った、面白かったり破天荒だったりのエピソードとが、普通に混じっている、かなり侮れない一冊でもある。結構、おすすめです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ徹子さんのとても読みやすい語り口と田原総一朗さんのとても論理的な語り口で交互に綴られる二人それぞれの戦争体験と二人が共に深く関わるテレビと戦争への想いが熱く私の胸に響いた。そして平和の大切さ、かけがえのなさを改めて心に刻む。徹子の部屋で戦争体験を語る有名人を取り上げたパートでは特に芦田伸介さんの言葉が突き刺さった。「戦争に向かう巨大な力の前では、私たちは無力だったかもしれないが、だからどうすることもできなかったではすまされない。戦争は大きな罪だが、戦争というものに無力だった自分にもなにがしかの責任があるのではないか。それは無力の罪というものではないのか」徹子さんも言う。子供の頃出征する兵隊さんを見送れば貰えるスルメ欲しさに万歳と無責任に見送った行為が自分にとっての戦争責任だと。無力の罪という言葉の重さに私は今怯える。
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Posted by ブクログ
テレビの創成期から関わったトットちゃんの回想録。
「窓際のトットちゃん」の続編のようにも思える。
「窓際のトットちゃん」で幼い頃のトットちゃんを知り、テレビで活躍する黒柳徹子さんを知っているので、この本を読み始めてすぐ私の頭の中で好奇心旺盛で早口のくるくると動く「トット」が簡単に出来上がった。
どのように記録されていたのか記憶されていたのか、NHKを受験するいきさつから合格して失敗しながらも第一線で活躍するまでがほんとうに細やかに描かれている。
NHKの生放送の様子も今では考えられないコントのような有様だが、そこにいたトットが語るものだから臨場感があり面白い。状況だけでなくそのときトットが考えたこと、抱いた感情、周りの人に対する観察力。ともえ学園で育まれたトットの感受性は大人になってもとても豊かで素直。それゆえに失敗したり傷つけられたりすることも多い。というか、この本はそういう話ばかり。しかしそれがあのトットのキャラクターで展開されるのでコミカルにさえ思える。逆にトットの感受性ゆえに哀しみが増す場面も。トットの装いを見ても素敵な暮らしをされていたのだろうと思う。
「普通じゃない」ことに苦しむトットだが、自分を曲げてまで「普通」になろうとしないことがトットらしい。「窓際のトットちゃん」を読んだ時に、「普通じゃない」トットちゃんを育てたパパとママが素晴らしいと思ったが、本作を読んで改めてそう感じた。 -
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トットちゃんの本は,持っているんだけど,大きな絵本版を見つけて買っちゃいました。
いわさきちひろの絵が大きく載っていること,文章が短くなっていて,子どもに読み聞かせしやすいことなどを考えてのことです。
この絵本は,とても丁寧に作られています。なにせ,ちひろの絵が大きく載っているページには,ページ数が打ってないんです。これって,すごい配慮です。
原作もそうですが,このちひろの絵は,「トットちゃん」の出版に合わせて書かれたものではありません。原作が書かれた頃は,すでにちひろは亡くなっていました。作者の黒柳さんの強い希望で,息子の猛さんが,文章に合う絵を選んでくださって,本ができあがったそうです。
この絵本版を見ると,いわさきちひろの絵の力が,ぐいぐいと伝わってくるようです。
いい本ですよ。
原作をもっている方も,是非,手にとって頂きたいと思います。 -
Posted by ブクログ
先日ラジオのゲストとして出演されていた黒柳徹子さんが、「わたくし、なるべくいつも良い顔でいるように心がけております。」という意味のことを仰っていた。天然なイメージのある黒柳さんだったので意外だったが、やはり努力なのだなと尊敬の感情が高まった。
サザビーオークションでのお話しも面白く、言わなければならないことを言う、という易しそうで難しいことをする黒柳さんが、とても好きになってしまった。
キャサリン・ヘップバーンの小物入れか何かを落札しようと張り切っていたら、男の人との競り合いになり、突如立ち上がった黒柳さんは、「こんなことして高い値で取引されるのは、キャサリンさんは望まないと思います。」と仰ったらしく、その場は大爆笑で「競り合いの時にそんな事を云うのはあなたが初めてだ」と言われ、めでたく黒柳さんが手に入れたとか・・
この本は全部おもしろかったけれど、特に好きなのは「赤い松葉杖」と、「アイボ・グレーちゃんと暮して」と、「お父さんからお母さんを引く???」だ。
赤い松葉杖には、トットちゃんの優しさや賢さに感動した。
アイボのくだりには、なんでこうなるの???と思ったが、持つ人によって「物」でもこういう風になるんだなあ、いや、「物」とは思わず、「物風の犬」という感覚なのだろうなあと、つくづく黒柳さんのユニークさに惹かれた。
ユニセフ大使になったいきさつは、当時国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが「窓際のトットちゃん」を読んで、黒柳さんを親善大使にふさわしいと判断したという。
リベリア、コソボ、アフガニスタンのくだりには、恵まれた国に暮らしている自分たちにできることはなんだろうと、つらくてたまらない。エイズになろうがどうしようが、今日食べるもののために売春する少女や、一千万個の地雷、十歳の少年兵・・
先進国の子どもたちは、地球上では13%、残り87%は途上国の子供たち。その87%の中の何%がお腹いっぱいのご飯を食べられるのだろう。申し訳ない・・
とにかく、万人にお勧めしたいと思った本です。 -
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『小さい頃に置いてきたもの』を読んでこれは!と思い、購入。こちらも大変おもしろかったです。トットちゃんは依頼された原稿ではなく、大好きだった校長先生のことを忘れてしまわないように、自分のために書いた、のだそうです。ユニセフ親善大使のお仕事の話から、ご自分の失敗談、大人になってからトットちゃんを読んだ研究者らが<黒柳徹子はLDだった>と推論しているのを知ったときのこと、そこからLD(Learning Disabilities:日本語訳は学習障害)は何かと言うのを調べたりして思ったこと、などなどが、黒柳さんの名調子の文体で綴られています。主演舞台があるときに怪我をしてしまって傷を縫うことになった話は、特に面白かったです。ご自身の欠落しているところとか、他の人と違うような性質とかを、良し悪しや価値判断などとは関係なく、ただ単にそうである、と、あっけらかんと書かれていて、読んでいてとても気持ちが良かったです。
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Posted by ブクログ
あんまりむつかしくなくて、気分が重くならなくて楽しい本が読みたい、、、と本屋を物色していたら黒柳さんのエッセイが文庫化されていました。大好きで昔から研究していたというパンダのこと、ユニセフ親善大使として訪問した先々で出会った子どもたちのことや思ったこととか、渥美清さんや赤塚不二夫さん、向田邦子さんなど、昭和を代表するような方々との思い出や、お母さまのお話などが、ざっくばらんに綴られています。すごく面白かったです。上品であれこれ気配りが行きとどいて居ながら、とてもくだけた雰囲気の独特の文章で、まるで黒柳さんが喋っている声が聞こえてきそうな感じでした。この本より前に『小さいときから考えてきたこと』というタイトルのエッセイも出ているそうなので、探して読みたいと思います。『窓際のトットちゃん』もまた読みたくなりました。
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Posted by ブクログ
とてもいい本を読んだな~と思った。
「赤い松葉杖」:「大切なことは、自分自身の子どものころと、破壊されていない、破壊されることのない接触を持ち続けること。おとなが、子どもと同じ人間だったことは、自明でありながら、不思議なことに珍しくなっている。」
これを基本に書かれたエッセイたち。
子どものころのことをよーーくよーーく覚えているから、ユニセフ親善大使として子どもたちにあんなにも愛を注ぐことができるのだろう。
「リベリア報告」「ほんとうの幸せとは?」「アフガニスタン報告」あたりでその活動について書かれているのだけど、世界の子どもの87%が発展途上国の子どもたちで、先進国の子どもたちは13%しかいないということは、本当に知らなかったし、本当に驚いた。
ハイチで、売春をする12歳の女の子。
黒柳さんと同行するカメラマンに、「私を買ってよ」。
日本円で42円でいいという。
「エイズ、こわくないの?」と聞くと、
「エイズになっても何年かは生きていられるでしょう?わたしの家族は、明日食べるものもないの」
黒柳さんは、「この子は、42円で家族を養っている。私は言葉が出なかった」と書いている。
ほかにも、アフガニスタンの、地雷で足を失って義足で歩けるようになり「また羊を暮らせます。うれしいです」と目を輝かせる子ども、勉強を禁止されているなか、「先生になりたい」と希望を失わない子どもたち…
読んでいたら涙が出てきてしまって、困った。
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「わたしの母さんわたしの兄ちゃん」では、親しい人を亡くした悲しみが胸を打つ。
P284 私は、この40年間、外国に行った時、必ず二枚の葉書は、出した。どんなに苦労しても、出した。それが、母さんと、兄ちゃんだった。この秋、仕事でニューヨークに行き、絵葉書屋さんの前で、私は立ち止まった。唇を噛んだまま、しばらく動けなかった。」
ここなんて、今引用のために書いていても、涙がこぼれてしまう。
この前の章に「グリーティングカード」というのがあり、黒柳さんがどれだけグリーティングカードをお好きなのかがわかるから、余計に。
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また自身がLDだったことを認めていて、その「欠落ぶり」の記述がまた、面白い。
たとえば「グリーティングカード」の、「たくさん買ったグリーティングカードが「封筒の糊がくっついてしまい、中を見ようとビリビリ破ったりしているうちに、なんとなく消滅」(P193)とか、
「芝居の旅」の、ゆで卵と生卵を間違えた事件(P224)とか、とろろこんぶを口からたらしたまま下車し取材された事件(P226)とか…これはやはり普通の大人ではしないだろうなと思わされる。本当に面白い。
本当に純粋な、裏表のない、愛すべき素敵な人だと思う。