草水敏のレビュー一覧
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救うvs守る
一部ご紹介します。
・「素人にゃ自分に何が起きてんのかなんてわからねえ。それが自分の人生に食い込んでいようとな。
それは医者も弁護士も同じだろ?薬飲んでようと、手術で内臓切られてようと。
何が起きてんのか、ちゃんとわかってる患者はいない。客と俺たち『先生』との間には、でかい川が流れてる」
・「遺族の弁護士と、病院の弁護士が裏で手を組む。絶対に負けない八百長だ。
岸先生が俺を雇ってなかったら、奴らの思う壺だったぞ」
・「弁護士は法律のプロだ。弁護士法のバグ利用して、灰色にする自信があるんだろうな。
一応、弁護士自治っていう自治制度はあるんだ。不正を犯した弁護士を裁く。
だが、それ -
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弁護士の文法
一部ご紹介します。
・「自分で解決する。全てを説明して、遺族の誤解を解くだけだ」
「医者と患者だけならそれでいいんだがな。相手が弁護士雇ってんなら、話は変わるぜ?
弁護士は武器だ。相手が持つなら、あんたも持たなきゃ戦えねえよ」
・「自己都合で手を引くとは言えない。そんな事務所だって他の客に知れたら損だからな。
それでも相手に落ち度があるなら、それを理由にできる。
なんでもいいんだ。暴言とか、非協力的な態度だとかな。
な?常套手段なんだよ。怒らせて、欲しい言葉を引き出させる。
岸先生は利用されたのさ。まんまと口車に乗って、藤紫は勝ち逃げだ。弁護士のやり方は、弁護士にしかわからねえ -
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創薬
一部ご紹介します。
・「今の時代、この業界で正論を押し通そうと思うなら、力だ。
結果を出せない労力に意味はない。無駄骨なんだよ」
「…トライアンドエラーは創薬の基本です。
凡人と常人の製薬会社社員たちは、たった0.0004%の創薬成功率を目指して、結果につながるかわからない労力を惜しみません。
私も、患者誰もが必要とする圧倒的な性能の薬を創る。私たちは本気で信じて作るんです。
病気を治すのは医者じゃない、薬ですから。
それが製薬会社社員の誇りです。守ってくれてありがとうございました」 -
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未来
一部ご紹介します。
・「やれることがないと思ってる奴に、チャンスなんか見えねえよ。気付ける奴だけが利用できる。機が来たと思ったら躊躇しない」
・「いるしかできないなんて言わないで。それって郁さんにしかできないことなんだ。
患者さんは医者(僕)の声がだんだん聞こえなくなっていく。
でもね、誰でも最後の瞬間まで、家族の声は分かるんだよ」
・「創薬は、遺伝子研究をする全ての者の義務だ。どんな言葉であれ、それを揶揄することは許さない。
はっきり言わせてもらう。私たちは命を懸けて薬を作ってる。遺伝子検査を悲劇の技術のままにはしない。
一日でも早く、その矛盾を解決するために。だから、効くか効 -
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遺伝子検査
一部ご紹介します。
・「新しい技術は、新しい問題も引き起こします。遺伝子研究は、病気になる未来をも見えるようにしてしまった」
・「この現実と闘う方法は二つ。いかに早く発症を見つけるか。今ある薬でどう戦うか」
・「近眼も病気も、遺伝子が弾を込め、環境が引き金を引く。これが遺伝子と病気の関係です。
遺伝があっても、必ず病気になるわけじゃありません。
癌は遺伝子の病気です。最初は一つの細胞、それが無限に増殖して、臓器を壊す。
車のアクセルが壊れて踏みっぱなしになった。そのうえ、サイドブレーキとフットブレーキも壊れてしまったら?暴走が始まる。
アクセルは癌遺伝子、ブレーキになる癌抑制遺伝 -
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緊急手術
一部ご紹介します。
・「毎日クソ忙しいし、患者はクソ我儘だ。現場は疲弊して、医者の献身頼り。
医者の血搾り取って、患者を救えって空気がまかり通ってる。
小さなミスしたくらいじゃ誰も怒らねえ。こんな状況、明日は自分がミスるかもしれねえんだ。
形ばかりの改善点出して一件落着。教訓を得て、はい次の患者どうぞ。
そうじゃねえと、回んねえんだよ、こんな現場は。そんなだと人間つい楽をしちまう」
・「怒ったり、褒めてくれる人間が必要だったんだ。現場にはいなかった」
・「粘ることを自分に課してから、勘が当たるようになったんだ。
でも信心とか信仰とかで言ってるんじゃない。土壇場の経験値が上がった -
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チーム医療
一部ご紹介します。
・「想像力は豊かなほうですか?ガイドライン通りの年数を待つことのできない患者が、彼女が今まで何を経て生きてきて、これからどう生きることになるのか、あんた想像できますか?」
・「腎不全の一番大きな合併症は、永遠に続く自制。何もかも一線を越えないように生きなくてはならない」
・「ありがとうございます。一緒に考えてくださって、臨床の先生と組んで向き合ってもらえてよかったと思えて。
…病理1年目で、岸先生みたいに信用してもらえてなくて、失敗もしてしまって、怖くて。
もう愚直にでも全部、臨床の先生に伝えて話し合ってもらうしかないって、ここに来たんです」
・「約束したのに、 -
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ちゃんとした病理医
一部ご紹介します。
・「三原先生の診断に今まで私は逆らうことができませんでした。慈教大病院の中で私は完全にお荷物です。仕事もできない。世渡りも上手くできない、不器用な男なんです」
「『不器用な男』ねえ」
「そんな私が、岸先生と宮崎先生と話して、ちゃんと診断ができる、ちゃんとした病理医になりたいって初めて思ったんです。
東山さんの肝臓は、私には悪性の癌に見えました。私ももう間違えないでいきたいんです。
でも、今の環境じゃどうすることもできなくて。だから東山さんをセカンドオピニオンに…」
「『環境』ね。能力抜きにしても、あんた病理医として問題あるでしょ。
一柳教授の検体不適正騒ぎを起 -
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10割の診断
一部ご紹介します。
・「伍代先生、先ほどの言い分ですと、先生は癌を見逃しても構わないと思ってらっしゃる?」
「100%の正しい診断なんてありませんから」
「ありますよ」
「人間のやることに絶対なんてない」
「そりゃ、あんたが病理診断をただの絵合わせゲームだと思ってるからです。見た目だけじゃ白黒つけられない診断なんていくらでもある。
だから病理医は言うんです。『何故そう思った』『これではわからない』『確かめよう』『証拠を探そう』。臨床医と怒鳴り合いもする。
そして最後に、必ず病理医も臨床医も納得する診断にたどり着く。これが10割の診断です」
「それでも間違うこともある。どうしても -
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嘘がもたらす不幸
一部ご紹介します。
・「生きてて楽しかった。少なくとも悪くはなかった。彼にもそう思ってほしいんだよ」
・「噓をついても最後の瞬間には必ずバレるんですよ。そのことをずっと、後悔することになる」
・「嘘は人を不幸にするんだよ。親も医者も、みんなが君を助けようとしているのに、君は自分で遠くに追いやった。ひどいやつだな」
「うん。…ひどいね。みんなに謝らなきゃ」
・「本当に取り返しのつかないこと、そんなのこの世に一つしかない。最後に私は何もできなかった」
・「ハル君も嘘つきなんだよ。お父さんやお母さんに心配かけないようにとか、医者や看護師や同室の仲間にも、その瞬間、誰もが笑っていられるよう -
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告知
一部ご紹介します。
・「自分の症状を知らない患者に何をどう話せばいいんだろう。
もう使える抗癌剤はない。再発した小児固形癌は根治が難しい。
遠くない死を受け入れて、大事な時間を延ばすために治療をする。
僕は彼に本当のことを伝えるべきだと思う。
最後にみんなに嘘をつかれたと思ってしまうかもしれない。
たどり着けないゴールに走らせちゃだめだ」
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責任
一部ご紹介します。
・「なんで患者が死んだ後のことまで、医者がフォローしなくちゃならないんですか?
なんで家族の面倒まで見なきゃいけないんですか?一銭にもならないんです。今の制度下では医者の仕事じゃないってことですよ」
・「医者の仕事の半分は、無事に旅立たせることですよ。僕の仕事です」
・「プレッシャーにビビって退いちゃう病理医なんてゴミでしょ」
「…それは結局、病理医が自分に負けてるってことだ。患者もそんな病理医に命預けたくねえよ」
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推察
一部ご紹介します。
・「蹄の音が聞こえたなら、おそらく馬だ。シマウマのような珍しい動物じゃない。一番ありふれた病気から考えていけ、ということです」
・「患者は病気とどう戦ったか。もっと早く気づけなかったのか。剖検で分かることが、家族へのフォローになる事もある」
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次世代に向けて
一部ご紹介します。
・「感謝されたい、結構なことじゃないですか。きちんと仕事をこなしていれば、あなたの夢だの、心の中だの、患者にはどうでもいいことですよ。存分に感謝されればいいんです」
・「我々がどんな奴らで、何を大事にして仕事をしているのか、病理医を知ってもらうだけでも意味がある」
・「病理医に謝意を示してくれるのは、臨床医です。
いつか病院を出る患者さんと違って、臨床医は毎日病院にいます。じっくり何年もかけて、病理医は彼らと関係を作る」
「だから深い信頼が得られる?」
「そうなれたらいいですね。深い信頼を集める指針に私はなりたいです、って私なんかが偉そうですけど」
「…私、病 -
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セカンドオピニオンの弱点
一部ご紹介します。
・「最初から無理だったんです。今の話だって、半分くらいしか理解できていません。そんな私が、先生方の意見を比べて判断するなんて」
「分からない事はいくらでもご説明します」
「そういう事じゃないんです」
・「あなたのおっしゃる通りですよ。結局、今の主治医の治療を受けるなら、要らない波風立てる必要はない。
それとも転院しますか?知ってる大学病院を紹介しましょう。
また初診からになり、治療は当然停滞しますが。骨髄バンクも登録し直しです。
また申請費と、ドナーの検査代で200万円くらいかかります。何のメリットもありませんね。
これは、息子さんの診断が今まで正しかった場 -
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告発
一部ご紹介します。
・「副作用の隠蔽、誰だってわかる、やってはならないことだ。
だがしかし、アミノ製薬はリスクを承知で手を染めた。なぜか?罪を犯すリスクに倍するリターンが彼らには見えたからだ。
アミノ製薬だけじゃない。副作用の隠蔽が露見した製薬会社は、5社や10社ではくだらない。
そう、この事例はよくあることなのです。今、この瞬間も世界中の病院で、同じことが進行中だ。
この症例では患者は死亡しました。死後に剖検して、初めて見える壊死組織の冷たい色、苦しみに耐えながら患者が何を願っていたのか、アミノ製薬の連中は想像もできないのでしょう。
グローバル化による開発費の高騰、大手メーカーで -
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答え合わせ
一部ご紹介します。
・「レアケースっていうのは、逆に言えば、”いつか必ず起こる”ということだからね。大事なのは、目の前の無駄に医者が心を折らないこと。
間違いは小さいうちに直せばOK。無駄と思われることを続けるのは大変だけど、やっておいてよかったと思える時が必ず来る。そう思えば、徒労に思える時間も君のためになる」
・「剖検するのは、医者を採点するためだ。答え合わせといってもいい。
診断は正しかったか、見落としはなかったか、治療は正しかったか、診療行為自体が患者の命を縮める結果にならなかったか。
臓器は雄弁だ。検査値やCTなどよりずっとな。だがね、もう何をやろうが、患者自身が生き返るわ -
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見切り発車
一部ご紹介します。
・「病理の診断がつかないと治療に入れないんですよ」
・「状況証拠はそろっていると思われませんか?」
・「もう一回別の部位の組織を取れとおっしゃるわけだ?もう三回もやっているんですよ。検査自体も患者の負担になる」
・「…もう一回やりましょう」
「すいませんね、頭が固くて」
「ですが、患者は刻一刻と悪化の一途をたどるんです。迅速に治療に入れるように準備を始めます。…悪評通りでしたね。あなた、少しひどいよ」
・「これは提案ですが全身検索してみませんか?予想外の部位に大元の疾患がある可能性を、先に潰しておきたいんですよ」
「岸先生、もう患者にはクローン病の治療を始め -
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後悔
一部ご紹介します。
・「後悔するのは、今だったらもっとうまく出来るからですよ。その進んだ分を積み重ねたのが人生なんだって」
・「自転車に二人乗りしたの楽しかったです。秘密を明かし合うなんて恥ずかしい事したことなかった。癌になんてなりたくなかったけど、でも、いいこともありました。緩和に移るんです。その前に直接お礼を言えてよかった」
・「よくわかりませんけど、これからだって医者になれるんじゃないですか?それでも今の仕事を辞めないのは、今を気に入ってるからなんじゃないですか?」
・一曲だけ曲を書いた。あの子を助けた。たった一人だけど友達ができた。どうだい、十分でしょ?