森内薫のレビュー一覧

  • クオリティランド

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    ドイツ発の愉快・痛快・爽快ディストピア小説。
    ディストピアというジャンルでこんなに明るくてポップなコメディ小説は初めて読んだ。非常に読み易くて設定にどんどんハマっていった。
    GoogleやYouTubeのおすすめニュースフィードを見ていると僕らの生きるこの世界もクオリティランドまであと数歩といったところかもしれない。
    やっぱり我らがジョンが最高なんだけど、最後はどっちだったんだろうか。彼は全てを見通した上で受け入れていたのか?
    そしてプレゼントの中身はイルカ型バイブレーターなのか、それともそうでないのか?非常に興味が尽きないラストだった。

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    2022年05月04日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ヒトラーが現代に現れたらどうなるのか?フィクションながら非常にリアリティのある風刺小説。ヒトラーをどこまで笑いものにできるのか?著者にとってはいわば挑戦的な主題だったと思うが、個人的にはよく出来た作品だと思った。攻めた表現描写も見受けられるものの、「2度と繰り返してはならない歴史」が現代社会に起こりうる予感を抱かせ、今日の社会情勢にも通づることからその危険性に対して警鐘を鳴らす。読み込めば読み込むほど

    一方で多くの批判もなされているように、批判検証の余地もあるように感じる。ヒトラーに少し人間味があるような描写だったり、ポップすぎる振る舞いには多少違和感も。

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    2022年02月13日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーが時代を超えて現代に突如現れるという話。現代の生活に順応していくヒトラー。周囲の人間も本物だとは思っていないが、彼の人間性に徐々に魅せられていく。ヒトラーがYouTubeでアクセス数70万回超えとか、ちょっと映像で観てみたい。訳が上手いのだろうか、スラスラ読めて、最初からストーリーに入り込める。後半の展開に期待。

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    2021年05月24日
  • 4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した

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    ユダヤ人の主人公ボーンスタイは、4歳の時に「死の収容所」と呼ばれるアウシュヴィッツから奇跡的に生還した。過去を語ることを避けていたが、ホロコースト否定論者たちに幼少期の写真が使われていると知り、証言を残そうと決意する。本書は、彼の断片的な記憶を、家族・親戚の証言や歴史資料で補強しながら、一つの物語として展開していく。

    彼はナチス支配下のポーランドのゲットーで誕生した。父がユダヤ人社会の有力者であったことから、当初は収容を免れていたが、終戦近くに収容所に移送された。子どもや女性たちが移送後すぐに命を奪われる中、祖母が彼を守り抜き、奇跡が重なったことで命をつなぐことになる。

    戦争の意味さえ知ら

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    2021年05月25日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    もしヒトラーが現代のドイツに蘇ったとしたら、、という設定の仮想小説。復活後戸惑いながら日常生活をしているヒトラーが、ひょんな流れからテレビ番組のディレクターの目に止まり、お笑い芸人としてデビューすることに。その過激な発言が(本人の意図とは別に)ブラックジョークとして視聴者に受け、国民的人気を得る。マスコミも味方につけ、ふたたび政治家として一歩を踏み出そうとするところで小説は終わる。
    著者によるとドイツではヒトラーをコメディの題材にすることは大タブーであり、本書も多大な批判にさらされながら刊行されたそうだ。作品中でも、お笑い芸人として人気を得たヒトラーに対し、「お前がしているのは芸ではなく人種差

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    2021年01月03日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ヒトラーがタイムスリップして現代ドイツに現れたらという風刺映画。ヒトラーはコメディアン扱いでテレビに登場して沸かせるが、とても面白いのは、現代ドイツにおける行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発する形で共感を得ていく。ヒトラーは民主主義で選ばれたことを強調するが、ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎて息苦しくなると、扇動の余地が出てくるということも表現している。現代ドイツの世情(行ったことが無いから見たことが無い)が理解できるのも秀逸な点。別の文化・社会の話なので完全に理解できたわけでは無いが面白かった。

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    2020年10月15日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    ヒトラーがタイムスリップして現代ドイツに現れたらという風刺映画。ヒトラーはコメディアン扱いでテレビに登場して沸かせるが、とても面白いのは、現代ドイツにおける行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発する形で共感を得ていく。ヒトラーは民主主義で選ばれたことを強調するが、ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎて息苦しくなると、扇動の余地が出てくるということも表現している。現代ドイツの世情(行ったことが無いから見たことが無い)が理解できるのも秀逸な点。別の文化・社会の話なので完全に理解できたわけでは無いが面白かった。

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    2020年10月15日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    今までは極悪な独裁者としてのイメージしかなかったヒトラーが、1人の人間として書かれている。しかも魅力的な。
    良くも悪くも歴史に名を残すような人物はやはり人を惹き付ける魅力があるのかな。
    ドイツの歴史や戦争当時の状況を学べばもっと楽しく読めると思います。

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    2020年09月03日
  • 脳科学は人格を変えられるか?

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    過去から現在までの様々な知見を集めて楽観脳と悲観脳を考察し、アフェクティブ・マインドセット(心の姿勢)は訓練やその他の方法で修正可能であることを丹念に綴っている。
    ちなみに私は緩やかな楽観主義者で、刺激追及尺度は低く(年齢相応(笑))、人生の満足度尺度は平均点、神経症尺度は平均点以下だった...。

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    2020年08月23日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    面白い。マインスイーパを地雷撤去と言ったり、単語やら政治の話やら歴史の事実やらを全てヒトラーの目線で面白おかしく(さらにヒトラーは何も面白おかしいと思ってない)ところが秀逸。
    さらに歴史の勉強になる。分からないとこは気になって調べるし。もっと歴史的背景とか知ってればさらに面白かったんだろうなあ。

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    2020年05月08日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    上下巻合わせての感想とする。
    知識が足りず難解なところも多かった。
    ヒトラーが時代錯誤な言動を繰り広げるのを笑っていたはずが、いつの間にかヒトラーと一緒に笑っていた。
    「なんだ、まともな事言ってるじゃないか」とすら思った。
    キャッチコピーの「笑うな危険」にモノの見事に陥ったものである。
    映画で大きく構成を変えたのは、思いの外皮肉が通じず本当に「悪いことばかりじゃなかった」って方に転びそうで脅威をより分かりやすくしたのかな?

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    2020年03月20日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    上下巻合わせての感想とする。
    知識が足りず難解なところも多かった。
    ヒトラーが時代錯誤な言動を繰り広げるのを笑っていたはずが、いつの間にかヒトラーと一緒に笑っていた。
    「なんだ、まともな事言ってるじゃないか」とすら思った。
    キャッチコピーの「笑うな危険」にモノの見事に陥ったものである。
    映画で大きく構成を変えたのは、思いの外皮肉が通じず本当に「悪いことばかりじゃなかった」って方に転びそうで脅威をより分かりやすくしたのかな?

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    2020年03月20日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    なかなか面白かった。
    2010年ごろにヒトラーがよみがえり、TV等のエンターテインメントに活躍する物語。
    なかなか読んだことがないシリーズだったため、面白かった。
    ヒトラーの発言はかなり歴史が色濃く、ヨーロッパの人たちがよめばもっと違う印象になるのかな。
    この本を通してヒトラーの印象はよくなったのだが、実際に被害にあった人たちからすると別だろうな。

    戦争敗北国が悪である印象がもたれがちなんだろうなっと最近思う。
    実際に悪いこともあるだろうが、そういう洗脳がある程度ある感じてしまうな。

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    2020年02月28日
  • クオリティランド

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    面白いんだけど、感想書くの怖い。こういう本、自身の知的ユーモアのペラい感じ浮き彫りになるよね。
    未来の世界なのか、現代の別の視点なのか、「現在」のことなのか?その点でまずはらはらする。機械を支配する人間により支配されてる人間。あ、世界は人間度ランクがあって、一人一人行動の制限がある。知性もその一つの要素だけど、人間よりはるかに知性があり、進化もできる機械が人間の意志によってスクラップにされる。んー、時代は変わっても、テーマは変わらない。便利=不便。自由=危険。仕事とアタシどっちが大事なのよ!

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    2019年12月30日
  • 帰ってきたヒトラー 上

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    2012年にドイツ出張に行ったとき、フランクフルト空港駅の本屋に山積みされていて気になっていた本。

    2011年8月、突然路地裏で目を覚ましたアドルフ・ヒトラーは、キオスクに置かれた新聞を見て驚愕する。ものまね芸人と誤解されつつテレビに出たところ、たった1回でネットで話題となり、人気者になってしまうのだが…。

    筒井康隆か小松左京か半村良か、他の作家にでもありそうだが、なんだか読んだことのあるプロットをベースに、軟弱化した現代の生活を斬るというストーリー(少なくとも上巻は)。過去に読んだ戦国武将だかが復活する話だと、周りの人間が主人公だが、本作はヒトラー自身が主人公である。

    しかしこのヒトラ

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    2019年10月23日
  • 4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した

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    1940年にドイツ占領下のポーランドに生まれたマイケルは、家族の愛を一身に受けながら成長するも、状況は悪化し、わずか4歳でアウシュビッツに送られた。
    労働力にならない子供や老人は真っ先に殺されていったなかで、彼は6ヶ月後、奇跡的に生還を果たした。運もさることながら、母親や祖母、まわりの大人たちの、必死な努力での生還。
    幼子の目に映った収容所でのむごい出来事、生還できたとはいえ、そのすさまじい体験は一生背負って生きることとなる。
    今年もまた、もうすぐ敗戦の記念日がやってくる。
    余所事とか、他人事ではなく、ひとりひとりが考えていただきたい。

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    2019年08月11日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    面白い企図。読者はヒトラーの時代の恐ろしい所業をすでに知っている。しかし全編通してヒトラーの視点で描き出された現代社会と彼の思想を読んでいると、「こいつ面白いやつじゃん、なんか純粋でいい人やん、確かに言っていることは一理ある」と思ってしまう。ごく自然に彼が現代社会においてもスターになっていくことが受け入れられる。

    ヒトラーとナチスが台頭してきた時代もきっとそうだった。こうやって民主的に独裁恐怖政治が選ばれていくんだとわかる。

    ファシズムは最初から恐ろしい顔をしていない。ごく当たり前のように隣に存在するんだという事を知って恐ろしくなる。

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    2019年07月13日
  • 続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析

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    前書は、経済を「善と悪」の視点からその西洋における歴史と成長の要因を検討・分析したが、本書では、現実の経済を人に見立ててその精神分析をしようというものである。本書の内容について著書の中で触れているのでそれを引用してみよう。
    「この本は経済を心理学的な視点から見ようという本だ。だから、心理学がするような質問を次のようの問いかけてみたい。システムとしての経済はいつになったら、なんの世話も助けも借りずにやっていけるようになるのか? いつになったら自分自身と、そして自分自身の問題と折り合いをつけられるのか? 経済という肉体は、いつ成長を止めるのか? いつ大人になるのか? 健康な子どもがすくすく

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    2019年06月24日
  • 帰ってきたヒトラー 下

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    ヒトラー本人が現代のドイツで目覚める。
    最初は戸惑うも徐々に現代に順応していくさまはよくあるタイムスリップもの。
    一発ネタかと思ったら意外と面白かった。
    映画も面白く、難しいことを考えないで見るには良かった。

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    2018年12月22日
  • 続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析

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    前作『善と悪の経済学』では神話や哲学のなかに経済学の原型を思索し経済学が抱え及ぼす問題点、つまり不足の「不足」を生み出すメカニズムを論じていたが、本作ではバビロニア神話に登場するリリスをトリガーとし人間が内包する「業」に焦点をあてる。精神分析分野を主軸にフロイトやユングを多数引用し、ナルシシズムや躁鬱の側面から現在の経済学を捉える試みは面白いが、内容的には強引かつ散漫な感もあり、面白さでは前作にはやや劣るか。

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    2018年08月24日