あらすじ
ヒトラーが突如、現代に甦った!周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディアンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作。本国で250万部を売り上げ、映画は240万人動員、世界42言語に翻訳された空前のベストセラー小説。著者による原注付き。
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映画を見たので原作を読んでみた。映画とは内容がずいぶん異なっている。(サヴァツキは利発な若者ということになっているし) 映画とは違ったオチが待っているのか、下巻が楽しみ。
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ヒトラー?あの、アドルフ・ヒトラー!!スリラーかと思いきや、そうでない。現代社会で浦島太郎のような体験をしているようです。現代社会をもし、ヒトラーが体験したとしたら?
私から、一言二言。電車で読まないほうがいいかもしれません。ヒトラーの皮肉センス、鋭くて笑えました。
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※上巻だけを読み終わった気持ちで。
面白い。という論調で感想を書いてもよいものか、むねがざわつく。
2011年の「現代」に蘇った総統は技術の進歩に感嘆しつつ社会の腐敗に憤る、ナチズム的に筋が通ったやり方で。一方、周りの人間はこれをメソッドとしてキャラとして消費する。このズレが可笑しみの基本線には違いない。
ただ、単純なズレだけで処理できない部分が何箇所か出てくる。プーチンや国防大臣の件などはもちろんだが、民主主義のちょっと怪しいところに対する極論など、多少なりとも共感できる部分が出てくる。しかしそれと同時に、ナチズムに共感してしまった自分自身への怖れが現れるから、胸がざわつくざわつく。
人類史上最悪(という事になっている)ヒールをこういう描き方をする事で、ただの娯楽SFに終わらず多層な深読みをもたらすものになっている。
復活から約10年、ポピュリズムが跋扈する2020年にこの本を読むのもまた味わい深い。
下巻の展開はどのようになるのか。たぶん問うていくんだろうな。
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ヒトラーが現代に生き返ったらどうなる?という話。ヒトラーのモノローグなんだけど、文体とかヒトラーのものをよく研究している。70年前の人々が現代に現れたら何をどう思うかというのもよく考えている。
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ヒトラーがヒトラーの姿のまま現代に甦るので、彼を見た人は彼をコメディアンだと勘違いした。
ヒトラーになりきった物まね芸人だと。似ているのは当たり前、だって本人だもん。でも誰も本人だとは思っていない。これも当たり前。だから滑稽なのだ。
そこで、この物語の続編を勝手に想像してみる。
コメディアンとして人気が出てきヒトラーはメディアの寵児となる。彼の威勢の良い演説に感化された人々は、彼の語る未来像に期待を抱き始める。彼の言うことは尤もだ。彼は我々の不満を代弁してくれている。彼を支持する人は瞬く間に増えていった。
視聴率を稼ぎたいメディアは彼をどんどん登場させる。そしてメディアを味方につけたヒトラーは知名度を武器に、いよいよ政界に進出することになった。彼の武器はその演説力だ。彼を危険視する評論家もテレビ討論の場でこてんぱんにやっつけてしまう。街頭演説ではものすごい数の聴衆が集まる。勇ましい彼の姿に国民は熱狂する。そしてとうとう彼は、弱小政党ながらも党首として連邦議会でも発言できるまでになった。
彼は更なる権力基盤をかため国家元首に上り詰めることはできるのか…
たぶん、できない。
理由は簡単。だってヒトラーの格好しているんだもの。ヒトラーは史上最悪の独裁者だと誰もが知っているし。どこかでそのスタイルを変えないと無理でしょ? だからこの先の展開って想像できないんだよね。
これ、ヒトラーを笑いの種にしているからコメディとして安心して見れるけど、ヒトラーが絶世のイケメンに転生していたら笑いにならない。なぜなら彼の演説の中に潜む巧妙なレトリックを見抜くのは難しいからだ。ヒトラーが言ってることだから、と最初から疑心暗鬼で臨めるから、レトリックには騙されたとしても、信用できないと頭でっかちにその考えを跳ね除けることができる。
でもこれがイケメンだったらどうなのさ。めちゃくちゃ美人だったらどうなのさ。
信じちゃうね、たぶん。少なくともはじめに拒絶することなどはしない。まずは耳は傾けてみようとするはず。
悪魔が悪魔の格好で出てきたら、ああ、悪魔だとわかるけど、そんなにわかりやすい悪魔なんていない。シリアルキラーになるようなサイコパスには魅力的な人が多いんだから。
本文中でテレビのディレクターがヒトラーに対して注文をつける。
「ユダヤ人を冗談の種にしてはいけない」
ヒトラーは答える。
「もちろんだ、ユダヤ人は冗談の種にはならない」
この違い、わかる?
この些細に見える違いにも悪魔の牙が隠れている。
そこに気づける賢さを身につけたい。
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設定はSF的だが内容は笑いながらも考えさせられる。現代から歴史を見るのが通常であるなら、本書は過去のある視点から現代を見ている。多面的に現代を捉える一助になる。ドイツの細かいことは日本人にはわかりにくい。
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ヒトラーといえば冷徹な化け物のような印象だったがこの本では心細さを感じていたり、とにかく人間味がすごかった。当時の人が化け物に投票したのではなく魅力があり強い推進力を持った希望を託せるような人物に投票したという点が理解でき、自分が投票する際も人間的魅力だけに流されないよう気をつけないといけないと思った。
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ヒトラーが現代にきたらどうなるのかをコミカルに描く。
ヒトラーにざっくりとした知識しかない私だったが、詳しく知っていたらもっと面白いのだろうなぁと読みながら感じた。
戦争をしていた時代と現代との価値観によるギャップと、その中でヒトラーの持つ価値観を通していくという内容が面白い。
読み進める中で自分というものについて、改めて価値観を考えてしまった。
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ヒトラーが時代を超えて現代に突如現れるという話。現代の生活に順応していくヒトラー。周囲の人間も本物だとは思っていないが、彼の人間性に徐々に魅せられていく。ヒトラーがYouTubeでアクセス数70万回超えとか、ちょっと映像で観てみたい。訳が上手いのだろうか、スラスラ読めて、最初からストーリーに入り込める。後半の展開に期待。
Posted by ブクログ
もしヒトラーが現代のドイツに蘇ったとしたら、、という設定の仮想小説。復活後戸惑いながら日常生活をしているヒトラーが、ひょんな流れからテレビ番組のディレクターの目に止まり、お笑い芸人としてデビューすることに。その過激な発言が(本人の意図とは別に)ブラックジョークとして視聴者に受け、国民的人気を得る。マスコミも味方につけ、ふたたび政治家として一歩を踏み出そうとするところで小説は終わる。
著者によるとドイツではヒトラーをコメディの題材にすることは大タブーであり、本書も多大な批判にさらされながら刊行されたそうだ。作品中でも、お笑い芸人として人気を得たヒトラーに対し、「お前がしているのは芸ではなく人種差別的政治活動だ!」というような批判がされていたが、本書の発売においても同様の「政治的正しさ」と「表現の自由」をめぐる議論があったもよう。そういった「表現の自由」をめぐる論点とは別に、ヒトラーがふたたび国民的人気を得るということそのものが、戦後ドイツにおいて重大な意味をもち、また社会に対する大きな挑戦であるとも言えるのだろう。現代社会を痛烈に罵倒するヒトラーはたしかに刺激的で魅力ある人物のようにみえるし、それだけでもこの小説を読む価値はあると思う。しかしその他の内容には中途半端な部分が多く、いささか尻すぼみな感じで最後まで読み終えてしまった。
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ヒトラーがタイムスリップして現代ドイツに現れたらという風刺映画。ヒトラーはコメディアン扱いでテレビに登場して沸かせるが、とても面白いのは、現代ドイツにおける行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発する形で共感を得ていく。ヒトラーは民主主義で選ばれたことを強調するが、ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎて息苦しくなると、扇動の余地が出てくるということも表現している。現代ドイツの世情(行ったことが無いから見たことが無い)が理解できるのも秀逸な点。別の文化・社会の話なので完全に理解できたわけでは無いが面白かった。
Posted by ブクログ
面白い。マインスイーパを地雷撤去と言ったり、単語やら政治の話やら歴史の事実やらを全てヒトラーの目線で面白おかしく(さらにヒトラーは何も面白おかしいと思ってない)ところが秀逸。
さらに歴史の勉強になる。分からないとこは気になって調べるし。もっと歴史的背景とか知ってればさらに面白かったんだろうなあ。
Posted by ブクログ
上下巻合わせての感想とする。
知識が足りず難解なところも多かった。
ヒトラーが時代錯誤な言動を繰り広げるのを笑っていたはずが、いつの間にかヒトラーと一緒に笑っていた。
「なんだ、まともな事言ってるじゃないか」とすら思った。
キャッチコピーの「笑うな危険」にモノの見事に陥ったものである。
映画で大きく構成を変えたのは、思いの外皮肉が通じず本当に「悪いことばかりじゃなかった」って方に転びそうで脅威をより分かりやすくしたのかな?
Posted by ブクログ
なかなか面白かった。
2010年ごろにヒトラーがよみがえり、TV等のエンターテインメントに活躍する物語。
なかなか読んだことがないシリーズだったため、面白かった。
ヒトラーの発言はかなり歴史が色濃く、ヨーロッパの人たちがよめばもっと違う印象になるのかな。
この本を通してヒトラーの印象はよくなったのだが、実際に被害にあった人たちからすると別だろうな。
戦争敗北国が悪である印象がもたれがちなんだろうなっと最近思う。
実際に悪いこともあるだろうが、そういう洗脳がある程度ある感じてしまうな。
Posted by ブクログ
2012年にドイツ出張に行ったとき、フランクフルト空港駅の本屋に山積みされていて気になっていた本。
2011年8月、突然路地裏で目を覚ましたアドルフ・ヒトラーは、キオスクに置かれた新聞を見て驚愕する。ものまね芸人と誤解されつつテレビに出たところ、たった1回でネットで話題となり、人気者になってしまうのだが…。
筒井康隆か小松左京か半村良か、他の作家にでもありそうだが、なんだか読んだことのあるプロットをベースに、軟弱化した現代の生活を斬るというストーリー(少なくとも上巻は)。過去に読んだ戦国武将だかが復活する話だと、周りの人間が主人公だが、本作はヒトラー自身が主人公である。
しかしこのヒトラー、66年ぶりに復活して、いわゆる「ファーストコンタクト」が連続するのだが、あっという間に順応していく。とてつもなく新しくなった自動車を見ても、インターネットに触れても、枚数の制限があるのかもしれないが、すぐに使いこなして慣れてしまう。そこんとこでもう少し話は広げても良かったのではないかと思うが。
海外のベストセラーで、訳者や編集の気合の入り具合が尋常でないため、訳も読みやすく、文語調のヒトラーと口語調の現代人のコントラストなども素晴らしい。巻末の注釈は、文章を読みながら読むもんではないだろうが、ややふざけていてそれだけでも楽しめる。原作はもうちょっとふざけてんじゃない?
上巻では、離陸してすぐという感じなので、快進撃もSF展開も問題も、まだまだ起こらない。下巻に期待したい。
一つ難を言えば、この厚さなんだから、2巻に分けずに1巻で良かったんじゃないのか?「我が闘争」だって、もともと2巻だったものが1巻化されているではないのか?売れるからと多数巻にするのは、河出書房の軟弱さの表れではないのか?(ネタ)
Posted by ブクログ
真剣に国と国民のことを考えるヒトラーと、彼の言動をギャグだと受け取る現代ドイツ人。というすれ違いギャグのコメディ。
上巻は芸人としての第一歩を踏み出したところで終章。
独裁者を作るのは行き過ぎた愛国心だというのをどこかで読んだが、この作品のヒトラーはまさにそんな感じ。なんでそんなポジティブに前進できるの。
結構失礼なことも言うが、言い方と彼の態度が言われる側を笑わせる結果になっている。
ユダヤについては、「ユダヤの陰謀!」と彼が考えることはあっても、ユダヤをあからさまに罵倒・差別する言動はない。
後ろに結構な数の注釈が乗っている。
一緒に仲間がタイムスリップしてきてないかなあ、とウロウロしたり、当時の仲間や妻のことを考えて少し落ち込むシーンのヒトラーは人間臭くて好き。
Posted by ブクログ
書店でタイトルと宣伝文句「東大京大第1位 日本の頭脳にいちばん売れてる本!」を見た時は買う気しなかった。というか絶対買わないなと思った。
ところが長男(21)が持ってて、暇つぶしに読み始めたら…、
おもしろい!!
「本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作」に納得。慎重な書きブリながら笑いをとり、考えさせられる。上巻を読む限りヒトラー礼賛も見受けられる。
さ、下巻を読もう!
Posted by ブクログ
訳者があとがきで書いているように、研究書ではないので長い注を書けず、と。
そのおかげで、彼がブレイクするきっかけとなった芸人がトルコ系であるということも途中まで気づかず。
最後に、ヒトラーが恋心をいだく看護婦は、もしかしたらユダヤ系を示唆する名前なのだろうか。
Posted by ブクログ
テーマは、ポピュリズムの危うさ。
現代にヒトラーが生まれ変わっても、同じように熱狂を受けてのし上がってしまう恐怖。
しかし、トランプやBRIXITなど、
常に人々は変化を求めていて、
間違った選択や危険な選択をする可能性は高い。このヒトラーが持ち上げられていく様を誰が笑えるのか。
Posted by ブクログ
ヒトラーが2011年のドイツに、どういうわけかよみがえる。
人々は最初当惑しながらも、そういう芸風のコメディアンだろうと「善意に」捉えていく。
70年近くのブランクがあって、突然やってきたヒトラー自身も、現代社会に大いに戸惑っているのだが、実は読んでいる自分自身も相当戸惑った。
抱腹絶倒のコメディ、らしいのだが、ドイツの状況がよく理解できていないため、今一つ乗り切れない。
翻訳者の森内さんが苦心に苦心を重ねたヒトラーのモノローグも、ああ、きっとそんな風な言葉遣いになるんだろうな、と思うばかり。
そのミミクリーを楽しめるほど、こちらが成熟していないというか。
それでも、途中で読みやめようとは思わなかった。
ヒトラーがお笑い芸人になってしまうというストーリーはなんとなく知っていたにもかかわらず、だ。
彼が何を言い、周囲の人がどう反応するのかが気になってしまうからかも。
Posted by ブクログ
映画を先に観て面白かったし、原作だと結末などが違うと聞いたので読んでいます。
現代に蘇ったヒトラーが文明の利器に翻弄されてるさまはなんだかかわいらしくみえて笑えます。
ですが、やはりヒトラーはヒトラーですから思想が相容れないというか恐ろしいところがある。
暴走運転は良くない、など真っ当にいいことも言ったりするのですが、どうも戦争や民族のこととなるとやはり怖い。
なので小説として面白いは面白いのですが、面白いと言ってしまっていいのか困ります。
あと、私にもっとドイツの戦争時代と現代の知識があればさらに楽しめるんだろうなと思って自分の知識不足が悔やまれます…。
なんにせよ下巻も楽しみです。
Posted by ブクログ
まずはとにかく、なんと言ってもおもしろい。とくにヒトラーが眼を醒ましたあと、現代の社会に順応するまでのくだりはまるでアンジャッシュのすれ違いコントを見ているようで、腹が捩れるかと思ったほど。「マインスイーパー」にハマるなど、ときどきどうしようもなくお茶目な部分が垣間見えて、そこがまたすごくおもしろい。ただ、本作は単純なコメディではない。元来が政治家を扱っているだけあって、やはり全体的に諷刺の雰囲気が流れている。ヒトラーの演説内容にしても、今日では的外れだったり、またいかにも「ヒトラー的」だったりする、差別的言辞に満ちたものももちろんすくなくないのであるが、しかし、現代になってもちっとも古びていなくて、ドがつくほどの正論と思えるものも散見されてドキリとしてしまう。今日ではヒトラーについてはすこしでもポジティヴな評価を与えることはタブー視されているが、もともとその政策面については先進的なところもあったというのは以前から指摘されているところで、本作ではそういった事情も踏まえているから、われわれはヒトラーをたんなる独裁者、大量殺人の元凶というような一方的な見方で片づけることもできない。ヒトラーのそういった実態についてじゅうぶんに眼を向けてこなかった、ドイツをはじめとする世界に対しても、痛烈な皮肉となっているのである。本作はいろいろな立場から読むことはできるが、ヒトラーと自分を同一視することはもちろん危険だし、かといってひたすら眼を背け続けるのもまた違う。誰の視点に立ったところで、それぞれ問題があって、じつに難しい決断を迫られることになる。ヒトラーはむしろ現代の複雑な世の中を象徴するような、そんな諷刺に満ちた存在なのかもしれない。なお、余談だがこの飜訳者の言葉遣い、漢字表記には気に入らない部分があって、ちゃんと「禁錮」とか「独擅場」とかを使ってほしかった。そんなことを気にするのはわたしだけかもしれないが。
Posted by ブクログ
ヒトラーが現代に蘇ったファンタジー。いろいろとユーモアたっぷりで、史実を知っていたらより楽しめるのだろう。パターンが同じ感じになってきて、下巻の途中でやめている。
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2011年の世界の、ドイツの常識を1945年のナチスドイツの常識で解釈しようとすることによって起こる齟齬、みたいな下りが繰り返されるのだけど、自分の世界史や2010年頃のドイツに対する知識が足りないせいで面白さが分かりきれていないのが何とももどかしい。
現代に復活したヒトラーの奮闘ぶりに思わずソートー頑張れ!なんて無邪気に思ってしまうので、ナチズムとかホロコーストとか改めて調べてバランスを取らないと
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現代にヒトラーが降臨。
茶化してよいのか、笑って良いのか。史実すらも信用ならないヒトラー像。
コミカルな展開に導かれるがまま上巻終了。
帰ってきたヒトラーはインターネットの世界に足を踏み入れることに…。
下巻へ。
Posted by ブクログ
現代にひょっこり現れたヒットラー。何かのパフォーマンスと思う人々の勘違いをそのままにテレビの寵児になっていく。その演説内容は意外と府に落ちるところもあって、噛み合わない会話が機能している面白さ。ただドイツの歴史にもう少し詳しければもっと楽しめただろう。
Posted by ブクログ
上下巻。
表紙が秀逸。あれだけで誰だかわかるんだから。
おもしろくてどうしようって困った本は初めて。
翻訳本にありがちな読みづらさもないし、脚注が充実しているから知識がなくてもわかりやすかった。
過去からタイムスリップしてきた男が当時と現代のギャップに右往左往しながらも、コメディアンとして世間の注目を集め、そして政治家へ。
彼のなんとまあ魅力的なこと。たまに会話が噛み合わないこともあるけれど、真面目で紳士的で理知的でウィットにとんでいる。それに子供と動物好き。
そりゃ過去だって今だって国民が彼を、ヒトラーを選ぶのは不思議じゃないよねって思わせる話。
下巻で暴漢に襲われて、目が覚めたら過去に戻っているのかと思いきや最後に出てきたあのスローガン。
なにこれ、歴史は繰り返すってこと?ってぞくっとした。
近代以降の戦争は一人の絶対悪がいて嫌々周囲が巻き込まれていくわけじゃない。
ヒトラーだって、武力で政権を乗っ取った訳ではなく、彼自身が言うように国民に正当に選ばれた存在だったんだよね、と思うと自分が“ヒトラー”を選ばないとは言い切れないから恐ろしい。
幸か不幸か、今時こんなに魅力的な政治家はいないだろうけれど。
サヴァツキ君とクレマイヤー嬢の子供、ソートーにあやかって~とか言ってアドルフとか名付けるんじゃないかと心配になった。
Posted by ブクログ
現代のベルリンに突然蘇った?ヒトラーの話。ヒトラー自身の一人称で語られる。
インターネットや携帯電話に驚いたり関心を持ったりする。世間的には新手のコメディアンとして扱われ、テレビに出演していく。
まだ上巻しか読んでないが、これからヒトラーが現代のドイツに如何に影響を与えていくかと言う所が気になる。