【感想・ネタバレ】帰ってきたヒトラー 上のレビュー

あらすじ

ヒトラーが突如、現代に甦った!周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディアンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作。本国で250万部を売り上げ、映画は240万人動員、世界42言語に翻訳された空前のベストセラー小説。著者による原注付き。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 真剣に国と国民のことを考えるヒトラーと、彼の言動をギャグだと受け取る現代ドイツ人。というすれ違いギャグのコメディ。
 上巻は芸人としての第一歩を踏み出したところで終章。
 独裁者を作るのは行き過ぎた愛国心だというのをどこかで読んだが、この作品のヒトラーはまさにそんな感じ。なんでそんなポジティブに前進できるの。
 結構失礼なことも言うが、言い方と彼の態度が言われる側を笑わせる結果になっている。
 ユダヤについては、「ユダヤの陰謀!」と彼が考えることはあっても、ユダヤをあからさまに罵倒・差別する言動はない。
 後ろに結構な数の注釈が乗っている。

 一緒に仲間がタイムスリップしてきてないかなあ、とウロウロしたり、当時の仲間や妻のことを考えて少し落ち込むシーンのヒトラーは人間臭くて好き。

0
2018年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻。
表紙が秀逸。あれだけで誰だかわかるんだから。
おもしろくてどうしようって困った本は初めて。
翻訳本にありがちな読みづらさもないし、脚注が充実しているから知識がなくてもわかりやすかった。

過去からタイムスリップしてきた男が当時と現代のギャップに右往左往しながらも、コメディアンとして世間の注目を集め、そして政治家へ。
彼のなんとまあ魅力的なこと。たまに会話が噛み合わないこともあるけれど、真面目で紳士的で理知的でウィットにとんでいる。それに子供と動物好き。
そりゃ過去だって今だって国民が彼を、ヒトラーを選ぶのは不思議じゃないよねって思わせる話。
下巻で暴漢に襲われて、目が覚めたら過去に戻っているのかと思いきや最後に出てきたあのスローガン。
なにこれ、歴史は繰り返すってこと?ってぞくっとした。

近代以降の戦争は一人の絶対悪がいて嫌々周囲が巻き込まれていくわけじゃない。
ヒトラーだって、武力で政権を乗っ取った訳ではなく、彼自身が言うように国民に正当に選ばれた存在だったんだよね、と思うと自分が“ヒトラー”を選ばないとは言い切れないから恐ろしい。
幸か不幸か、今時こんなに魅力的な政治家はいないだろうけれど。

サヴァツキ君とクレマイヤー嬢の子供、ソートーにあやかって~とか言ってアドルフとか名付けるんじゃないかと心配になった。

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2017年10月26日

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