森内薫のレビュー一覧
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様々な研究成果を引用して悲観脳と楽観脳の違いを説明している。とても面白かった。
結論、悲観脳を楽観脳に変えることができるということで、その方法も書かれている点は、悲観脳の私にとって大変参考になり励みになった。
なお、遺伝子の働きを調べる方法には、関連タンパク質から遺伝子に当たりをつけ、実験によってその遺伝子の機能を推察する方法と、大規模な遺伝子解析によって調べる方法があるということは初めて知った。祖先を辿るなどの遺伝子解析キットが売られていて、大規模遺伝子解析が唯一の信頼できる方法なのかと思っていたが、強いストレス下など特定の状況下で有効に働く遺伝子などもあり、それは大規模遺伝子解析では検出で -
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クオリティランドでは、全ての人が自動的にレベル付けされて、収入や社会貢献などのステータスに直結している。(一桁台だと社会のお荷物扱いをされてしまう)
また、日用品、食事、各種サービス、結婚相手まで様々モノがレコメンド(ユーザーの身体、思考を読み取り、好みに合わせておススメ商品を紹介される世界。偶然などはもはや存在せず、ユーザーが欲しいと思った次の瞬間には商品を持ったドローンが近くに到着している。
スクラップ工のピーターは、あることがきっかけでレベルが一桁台になってしまう。
ある日届いた品物は全く自分の欲しいものとかけ離れていたため、販売業者に返品しようと奮闘するが…
もう一方では、史上初の -
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HONZノンフブックガイドから。勧められなければ、自分ではスルーしてしまいそうな本。装丁から、巷間に溢れる健康本の一つかな、と思わされてしまう。でもそれ、目を引くということではあるし、結果、良質な作品だったら言うことなしってことだけど。本作は、そういう意味では、内容を伴う”アリ”な一品。巻末の膨大な参考文献も、内容の担保に一役買っている。見たい方向を優先してる?って思える部分も無きにしも非ずだけど、そのあたりは、自分の中で情報の重さ程度を判断すれば良い話。ざっくりまとめると、いわゆる健康に良いとされていることが、テロメアに対しても効果的ですよ、ってことかな。そういう意味では、テロメアを切り口に
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前作がとてもためになったため、本書にも興味を持ち購読。
著者は本書執筆目的として
「経済のシステムにより生じた精神的・実在的な深淵へと読者を案内するため」
と述べている通り、過去と現在の経済動向を心理学や哲学を絡めて解説している。
『予言』をテーマにした項が、コロナ禍に加えて政権の暴走で疲弊する日本の現状を表しているように感じた。
「人間は何かに理由を求めたがる」
「国家の非常時には国民が低俗な情報を信じ、誇張して伝える」
怒りに満ちたネットニュースへのコメントや、根拠の乏しい陰謀論。論理的にこういった現象を紐解いていくと、現状がアホくさく見えて来てしまう。
これからも読む経済本はよ -
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本当に面白かった。
アウシュビッツで生還した収容者の物語。ホロコーストはなかったとか信じる奴らに対しリアルな経験を物語る。まあでも普通文明人が一つの民族を根絶やしにしようと考えるなんてありえないって考えてもおかしくないよな。事実は小説より奇なり。
ゲットーの物語、アウシュビッツでの苦痛など現実味が溢れていて、ノンフィクションの惨劇にめまいがする。ユダヤ人嫌い嫌いになるぞ。わずか4歳でアウシュビッツ入りする子供に同情するし、そこで子供を守るために全力を尽くした母と祖母に涙が出る。父は賄賂という方法で同胞を救ったが、言うなればこれは救えない人間を選ぶということでもあるから心が傷んだろうと感じた -
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以前に一度読んだことがあったことを、読み始めてから気がついた。
ただ、『アウシュビッツの図書係』の後に読んだことで、重なる部分を違う視点で見ることができて、より立体的なユダヤ人迫害像に迫ることができた。
この本の前半は住んでいた街でのゲットーの始まりからアウシュビッツでの生活に至るまでを描き、後半ではアウシュビッツを出てからの生活を描いている。
アウシュビッツを出てからの生活についてはあまり読んだことがなかったので、興味深かった。
また、この本の冒頭で述べられていたように、すでにこの経験から長い年月が経っており、記憶していることが、本当のことなのか、そのように想像していたのか定かではないため、 -
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幸福になれるには;ポジティブな感情や笑いを数多く経験、生きるのに積極的に取り組む、今日明日でなく長期的な視野で人生に意義を見出すこと
楽観的;ただ楽観視するのでなく、良いことも悪いことも受け入れることでメリットがある。出来事に対して自分が影響を与えられると考える→人生に積極的に取り組める。健康、諦めずに課題に向き合う、成功の可能性が高い。同じ経験をしても解釈が違う。左側を多く使えている、快楽中枢の興奮を維持出来る(悲観的でも興奮は同じくらいする)
ヒトは楽観的で、自分のことを平均以上だって思う
大抵の人はポジ;ネガ=2;1で体験している。3;1とポジな感情を多く見出すようにする事が幸福になる方 -
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最後まで面白かった。
タイムスリップものSFなわけですが、イデオロギー、プロパガンダ、メディア、ポピュリズムなど、勝手にあれやこれや考えさせられてしまう。それがこの作品の一番すごいところではないか。
現代に帰ってきたヒトラーがナチズムを繰り出す事で、ただただ困惑する人、ジョークとして消費する人、ジョークとして消費する事すら禁忌であるとする人、ジョークとして扱われる事を嫌悪する人(ナチ)、いつの間にか本気で傾倒していく人、があぶりだされる。これは作者が描くヒトラーの主張にある程度共感できる部分があったり、おかしみを含めてとても魅力的であるからだ。その結果、作品を描く作者、それを読む自分、そし -
Posted by ブクログ
・「ペーター問題」
全てはペーター問題に集約される。
人間がアルゴリズムに追従するようになった未来。鏡の世界。
もう来ているのかもしれない。
ゾッとする文章だった。
・フェザツ
油と塩と砂糖だけで出来ている食べ物。
ちょうどこの本を読んでいた時にグミを食べまくっていたのでびくっとした。
だってグミ美味しいんだもの
・全体的に
一章一章が短くて読みやすい。全部数ページくらい。
でもそれぞれ厚みを失っていないし、
全体としても読みやすい。交錯するストーリーがすっと頭に入ってくる。
・皮肉や下ネタが現実感ありありで飽きない。
Twitterから引っ張ってきたようなネタばかり。リアル。 -
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※上巻だけを読み終わった気持ちで。
面白い。という論調で感想を書いてもよいものか、むねがざわつく。
2011年の「現代」に蘇った総統は技術の進歩に感嘆しつつ社会の腐敗に憤る、ナチズム的に筋が通ったやり方で。一方、周りの人間はこれをメソッドとしてキャラとして消費する。このズレが可笑しみの基本線には違いない。
ただ、単純なズレだけで処理できない部分が何箇所か出てくる。プーチンや国防大臣の件などはもちろんだが、民主主義のちょっと怪しいところに対する極論など、多少なりとも共感できる部分が出てくる。しかしそれと同時に、ナチズムに共感してしまった自分自身への怖れが現れるから、胸がざわつくざわつく。
人類史