アダム・グラントのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
過去のトラウマから抜け出せない人、もしくはこれから起こるであろう心の傷の対処の仕方を学びたい人には必読書です。
そうでない人も、読めば一瞬でも優しくなれる本です。
またこの本を、経済的に恵まれた家族のある喪失物語として読んではいけません。
どんなにリッチであろうが、心の傷は万人に平等だからです。
もちろん、周りの環境や交友関係の違いから、彼女の体験が万人向けではないことは確かですが、それを考慮してもなお、他人には隠しておきたいようなプライベートな話をせざるを得ないにもかかわらずこうした本を書いた彼女の勇気と頭の良さに敬意を表します。
そして今もなお、こうした悲しみに打ちひしがれている人たちのために社会活動を継続していることも含めて。
本書で印象的なエピソードがありました。
夫が亡くなって1年後、彼女の会社で大手クライアントを招いた夕食会の主催者としてふるまわなければならないのに、その前に参加した息子の音楽会で感じた寂寥感(自分の息子には父親がいない)が抜けず、涙が止まらなかったとき、息子が彼女に言った言葉。
「そのまま行けばいいよ。泣いたっていいじゃない。僕らに何が起こったかみんな知っているんだから。ママ、みんなにも多分泣きたいことがあるはずだよ。だからそのままでいいんだよ」(P178)
そう、何の慰めにもならないかもしれないけど、不幸を背負っているのは自分だけじゃないという現実に気づくだけでも自分だけが悲劇のヒロインだと思っていた心が軽くなるはずです。
もう1点、我々も参考にできるルーティンがありました。
夕食のテーブルで、その日のベストとワーストの瞬間をひとりづつ順に発表するという儀式です。(P35)
その後、「感謝できること」も付け加えたようですが、家族が今何を思っているのか、何を悩んでいるのか、どういうことに興味があるのかなど把握できるチャンスですが、忙しければ週1でもやることに意義がありそうです。
転ばぬ先の杖、家族のことをいつも気にかけていることを知らせることで、一人で問題を抱え込まず疎外感から解放される、それは子供の為だけの問題ではなく、夕食会のエピソードのような親が子供から勇気をもらえることだって可能です。
読む人によって、こうした様々な気づきが発見できる良書です。 -
Posted by ブクログ
様々な分野のプロたちが綴る、問題解決をテーマにしたインタビュー本。面白いなと思ったのは、ヤン・チップチェイスの話で、あるルワンダの女性が電気が通ってからというもの自分の家にはアイロンがあるということを魅せつけるために、外出の頻度が高くなったというもの。表面的に見栄えのするものを消費者は買い、自分の社会的地位を高めているのだ。企業側は消費者の内面を知り、純粋な動機や欲に焦点を当てて商品を生み出すべきだ、と彼は語る。政治や流通など、様々なものはトップダウン方式で一般人に還元されるので、我々が”バカ”であればあるほどトップ側は得をするという現状を改めて知り、純粋に怖いと思った。
また、アニタ・エルバースの話では、スターバックスがコーヒー1杯に4ドル払うことを普通だと感じるよう消費者を訓練した一方、音源1つに彼らは1ドルかけることに抵抗を感じていることを例に取り、顧客が「もう少し安くあるべき」と感じる産業は、その産業自体が危機にあると見なければならないとしている。スターバックスが消費者を訓練したという表現が新鮮である一方、的を得ていると感じた。1企業が消費者の価値観を変えうるという非常に興味深い事実である。
全体を通して、インタビュアーの質問は的確で、彼ら(?)の知性をのぞかせている。おそらく、この原版は韓国のものであり、日本とズレた質問や例が散見された。ウォンを日本円に換算するぐらいはしてもいいのでは?と思った。