嵯峨静江のレビュー一覧
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本書は、サタースウェイト氏というセレブ(うん、多分セレブ)なお爺さんを主人公にした連作短編が12話収録されていますが、もう、タイトルそのまんま“謎のクィン氏”という感じです。
行く先々で“ドラマ”(というか、痴情のもつれ)に関わることになるサタースウェイト氏のもとに、どこからともなくクィン氏がやってきて、問題や事件へのアドバイス的な示唆をして、どこへともなく去っていく・・というパターンです。
言うなれば、クィン氏は“謎のナビゲーター”というところでしょうか。
そんなクィン氏がサタースウェイト氏は大好きなようで、明らかに不自然な場所でクィン氏に会っても「やあ、クィンさん!」とすごく嬉しそう。挙句 -
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トミー&タペンスもの
クリスティー作品は、最近だとミス・マープルものばかり読んでいたのですが、ちょいと気分を変えて本書を手に取りました。
幼馴染のトミーとタペンスが、とある機密文書を託されたまま失踪した女性を巡る陰謀に巻き込まれていく冒険活劇です。
本書は、クリスティーお馴染みの本格ミステリとは趣が異なる感じで、若い男女コンビが繰り広げるアクションに、ドキドキハラハラしながら読みました。
(注:この“ドキドキハラハラ”は、二人の行動が危なっかしくてハラハラしていたという意味です 笑)
で、“謎の黒幕”が誰か?という事も、話の展開で怪しい人物が挙がってくるのですが、「この人か?・・あ、でもこの -
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再読だか。再々読だか。。
以前は良さがよくわかりませんでした
ポワロほど派手ではなく、マープルほど
緩急自在な訳でもなく。
そもそも探偵役とワトソン役がぼやけて
あいまいで
しかしこの霧の中のようなファジィな感じが
今は心地よいことに気づきました
サタースウェイト氏も素敵なところもある反面
厭らしいところももちあわせていて、
クィン氏も優しいのかと安心していれば
牙を見せつけてくるような怖さもあり
炎がゆらめくと影が変わるような
夢幻の暗い世界観です
クリスティの小説に出てくる人物は
たいてい類型的です。
でもこの二人は例外です
ミステリというより雰囲気を楽しむ短篇集 -
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Posted by ブクログ
<スケルトン探偵>ことギデオン・オリバーのシリーズ。
ワシントン大学の人類学の教授で、人体の骨の特徴から年齢・性別・体格などなどを割り出すという考古学みたいなものが専門のアマチュア探偵ものです。エルキンズが骨格人類学者だったそうで、すごく専門的で緻密だけれど素人もついていける丁寧な解説と推理で読ませるという他には似たものが無い独自のシリーズです。あまりポピュラーじゃない専門的な骨格に対して尋常じゃない興味を示してあきれられるギデオンですが、それ以外はいたって普通の人物です。時間が経って傷や痛みなどの生々しさが風化している骨は平気だけど、死体なんかは恐ろしくてとても冷静に検証したりできない、とい