嵯峨静江のレビュー一覧
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スケルトン探偵ギデオン・オリヴァー・シリーズ12作目の本作は従来のシリーズキャラクターである妻のジュリーはもとより、FBI捜査官でギデオンの友人であるジョン・ロウも登場する。
このシリーズにおいて一ファン、一読者として期待するのは新たなシリーズ展開だとか転機だとかではなく、いつもように骨に纏わる出来事が発生し、それにギデオンが関わる事で意外な事実が発覚していくというマンネリズムだ。このマンネリズムこそ、本作が安心して読めるシリーズ物の王道である事を表しているといえる。
今回の舞台はハワイのハワイ島。確か以前にも舞台になっていた記憶がある(『楽園の骨』だったかな?)。
ハワイの地で牧場を始め、一財を成したスウェーデン移民の子孫の間に残された遺産問題が今回のテーマになっている。
前作『骨の島』の時には骨を検証する事の必然性と事件との関係が乖離しているかのような印象を受けたが、今回はそれは解消されていたものの、かつての作品に見られた骨から解る事実は過去の事件を疑うきっかけとなっているだけで、メインではない。
まあ、骨をテーマにした本作であるからネタにも限界があるのだろう。シリーズ物の宿命として受け止めるしかない。
本作は年末に行われる各誌のベストテンやオールタイムベストに挙げられるような派手さのある作品ではない。
しかし、一読者としては前にも述べたように、このマンネリズムが心地よいのだ。出版社が刊行を止めない限り、私は読み続けていこうと思う。 -
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【トミー&タペンス】
クリスティー32歳。
デビュー作の次に書かれた2作目。
トミーとタペンスが生き生きしていて魅力的だけど、やっぱり冒険ものが苦手でミステリーじゃないと途中挫折しそうになる…。
すると面白い出来事が出てきて、クリスティーに「頑張るのよ!」と励まされているかのように、またぐいぐい読める。
世界の命運を握る秘密文書の行方を若者素人探偵が探すという、どうにもあり得ない設定。
それについては、あ〜そうなんだ程度に深く考えない方が良さそうだ。
「一体誰が黒幕なのか?」というミステリーの犯人当てのような楽しみ方がわかると、一気にものすごく面白くなってきた。
2人が若さに溢れていて明るく魅力的。
そして今までのシリーズにはないドキドキ感!
冒険もので初めて最後まで楽しく読むことができた(゚∀゚)
クリスティーの幅広い作品のおかげで、私の狭い偏った好みを徐々に矯正してもらってる感じがする。
思い返せば、あんなにカタカナ名前が苦手だったのにいつの間にか慣れたし、文化は違っても人間の本質は同じなんだと外国の壁も取っ払ってくれた。
クリスティーのおかげで読書の楽しさが大きく広がった。私にとってクリスティーはもはや先生。
自分のクリスティー読書50冊目は、冒険ものに初めて踏み出して楽しめたので、忘れられない1冊になった。
クリスティーの作品は100冊あるので、これでやっと半分まできた。
色々なジャンルがあるので、全然飽きないどころか、読めば読むほど愛が強まってしまうのがクリスティーのすごいところ。
杉江松恋さんの解説がとてもわかりやすくて、自分がどうして『ビッグ4』を途中で挫折してしまったのか理由がわかった。
この解説を読むと、クリスティーのことも作品のこともより深く知ることができて、より作品が面白くなる。こういう解説が大好きだ。
★3.5 -
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ネタバレ<トミー&タペンス>シリーズ。第一次世界大戦終結後のロンドンで再会した幼馴染のトミーとタペンスは、失業中でお金が無いし退屈だからと軽いノリで「ヤング・アドベンチャラーズ」なる万屋みたいな会社を起こすも、怪しげな依頼をきっかけにヒッチコック映画さながらの陰謀騒動に巻き込まれてしまう。
クリスティーが本作のような冒険小説を発表していたこと自体に驚かされた。ポアロやマープルや『そして誰もいなくなった』のようなミステリー小説のほうが馴染み深いぶん読むのに苦労したが、楽しめた。ただトミーとタペンスの向こう見ずでお金に意地汚い部分は少し苦手。 -
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クリスティは、中学生くらいのころに『そして誰もいなくなった』を読んで大衝撃を受け、それでミステリーにどハマりした…というような歴史認識でいるわりに、(その後も有名どころを何冊か読んだはずだが、)何も覚えていない。ミス・マープルやポワロもアンソロジーでちらほらとしか読んでおらず、要するにクリスティ初心者なのだが、トミーとタペンスという男女バディものの冒険小説的なシリーズがあるとブク友さんに教えてもらい、なんだか楽しそうだぞと思い読んでみることに。
第一次大戦後のロンドンで、お金に困った若い二人の男女が久方ぶりに再会し、何でも屋とでもいうような会社を設立するところから物語が始まる。そんな無鉄砲な、と序盤から思ってしまうのだが、そのあと実際に仕事が舞い込んできて、依頼人との初めの面会でいきなりの大ピンチ。そこでタペンスが咄嗟にかますはったりが大当たりと、いきなりタペンスがかっこいいではないか。その後、やや押され気味かと思われたトミーも、ときに大胆に、ときに冷静に、様々な困難を掻い潜っての大活躍。
正直、話のあんこである国家存亡の危機に関する策謀の細かいことは、頭がこんがらがってよく飲み込めなかったのだが、敵か?味方か?のハラハラ感や、トミーとタペンスの冒険とロマンスでじゅうぶん楽しめた。
解説によるとこのあと二人の登場作品は四作あり、最後は七十代の老境が描かれるらしい。楽しみだ。 -
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トミー&タペンスもの
クリスティー作品は、最近だとミス・マープルものばかり読んでいたのですが、ちょいと気分を変えて本書を手に取りました。
幼馴染のトミーとタペンスが、とある機密文書を託されたまま失踪した女性を巡る陰謀に巻き込まれていく冒険活劇です。
本書は、クリスティーお馴染みの本格ミステリとは趣が異なる感じで、若い男女コンビが繰り広げるアクションに、ドキドキハラハラしながら読みました。
(注:この“ドキドキハラハラ”は、二人の行動が危なっかしくてハラハラしていたという意味です 笑)
で、“謎の黒幕”が誰か?という事も、話の展開で怪しい人物が挙がってくるのですが、「この人か?・・あ、でもこの人ちゃうか・・」と、見事にクリスティーに翻弄されてしまいました。
という事で、クリスティーのこのような冒険小説も楽しいですね。今後、“トミー&タペンスもの”制覇したいと思いました。
※余談ですが、今回はいつもの古い方のクリスティー文庫ではなく、新訳の文庫にしてみましたが、個人的に表紙のデザインは古い方(左上に“マーク”がある方)の、クリスティー文庫が好みかな。と思った次第です。 -
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<スケルトン探偵>ことギデオン・オリバーのシリーズ。
ワシントン大学の人類学の教授で、人体の骨の特徴から年齢・性別・体格などなどを割り出すという考古学みたいなものが専門のアマチュア探偵ものです。エルキンズが骨格人類学者だったそうで、すごく専門的で緻密だけれど素人もついていける丁寧な解説と推理で読ませるという他には似たものが無い独自のシリーズです。あまりポピュラーじゃない専門的な骨格に対して尋常じゃない興味を示してあきれられるギデオンですが、それ以外はいたって普通の人物です。時間が経って傷や痛みなどの生々しさが風化している骨は平気だけど、死体なんかは恐ろしくてとても冷静に検証したりできない、という、とても率直なおじさんです。
これは去年旅行で行ったハワイ島が舞台で情景がリアルに思い浮かべられたので余計に楽しんで読めました。