風間賢二のレビュー一覧
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ジョー・ネッター『ブッカケ・ゾンビ』扶桑社ミステリー。
久し振りの赤背の扶桑社ミステリー。2009年刊行のエログロB級スプラッターホラー。原題は、そのままの『Zombie Bukkake』であった。Bukkakeは世界共通語なのか。
何故にゾンビとブッカケAVなのか。それどころか現役市長のカニバリズム嗜好まで描かれ、兎に角やりたい放題の驚愕のかなりぶっ飛んだ作品。
良い子は読んではいけません。
主人公のフォーリー・テラキューズは、美人妻と可愛い娘と満ち足りた生活を過ごしていたが、家族の目を盗んでネットでエロ動画を楽しむという悪癖があった。
ある日、フォーリーがネットでエロ動画を検索し -
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スティーブン・キングの短編集の続き。
「夏の雷鳴」が切なくて美しい。
そして、決してあの世界が絵空事でない雰囲気があるのが怖い。
うん。コロナ過の今、それはないことでは決してないのだ。
ワンコがかわいそうで、かわいそうで…。
花火合戦は、楽しかった。
まぁ、おいおい、ではあるのだけど、でもなんなんだろう。も、絶対後退できないってことって、多分人にはあるんだよ。その愚かさが、人を楽しませたり、悲しませたりするんだよ。
そして、ギング版「デスノート」ww
まぁ、デスノートっぽいなって思ったし、これは決して幸せにならない物語だと思ったら、キングらしさで打ちのめしてくれたよ。
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Posted by ブクログ
抜き差しならない状況に追い込まれた恐怖を描くことで人間の本性をあぶりだすのがキングという作家。キングの描く「抜き差しならない状況」というのは死に直面することだ。自分の命が危うい恐怖からさらにエスカレートして、相手の命を奪わなければならない状況に陥ったら・・・汗。
勧善懲悪の時代劇でもなく現代は法治国家であるなかで、この本に納められている2編では最終手段をとってしまう。相手はそうされても当然なのですが、なにか引っかかる描き方。どんな理由であれ、相手の命を奪った者が味わうことになる恐怖は「FullDark,No Stars」前半を収めた「1922」に描かれています。これで、無間地獄のようにもとに -
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前に読んだ『1922』の分冊。「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」の2編収録。
「ビッグ・ドライバー」は講演の帰りに大男に拉致され暴行を受けた作家が復讐を決意するという話。「素晴らしき結婚生活」は30年近く連れ添った夫が連続殺人鬼であると知った妻の行動の描く話。
どちらも普通の生活を送っていた女性が突如異様で狂気に満ちた状況に身を落とすという点で共通している。そしてどちらの女性も自分ひとりで決断し、きっちり行動に移す。
超常現象はないしホラー要素にしてもさほど強いわけでもない。その分、異様な状況におかれた人間の姿が濃密に描かれていて圧倒される。良い具合にキレのあるキングだった。 -
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久しぶりに,一日で読み終えなかった本。キングは昔から好きだが、これはキングが精神がかなり上にいったのでは?と思うくらい。私の歳くらいだとバンバン出てくる映画やらなにやらは、すっと出てくるが、あまり見ない人は比較が?になりそう。でも多分誰でも知っている範囲とは思うが…
一編一日ずつ読んだ。なかなかえぐさもあるのだが、多分現実からはそう遠くない感情だろう。映画やドラマじゃきれいごとになりそうな。しかし、ヒントを得たところがそれぞれあるとはいえ、これはフィクションだし。私が特に感心するのは、キングが男なのにここまで女性心理を書けること。わかったつもりで書く作家は多いがその域を出ない人がほとんどの中、 -
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風間さんの『ダンスする文学』が出たのは一九九三年。当時十代後半の私は、一読、その熱に感電した。何度メモをとりながら読み返しただろう。あの本は、海の向こうに視野を広げさせてくれ、また、国内の、文学に過剰に思想を重ねようとする風潮を痛罵するものでもあった。ところがどっこい、この本は、最初はオーソドックスに海外の怪奇ミステリ(いわゆる奇妙な味)に焦点をあてながら歴史を辿っていくふりをして、それ(奇妙な味)が国内に与える影響をつらつらと述べていくという、我が国への帰還をしているのであった。つまり、己の姿は他者の目を通してしか見えないように、自国の文学や怪奇は、海外の目を通してしか見えないのだ。
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Posted by ブクログ
いわゆる変格物に焦点を絞ったミステリ史。
前半は「オトランド城」を嚆矢とした西洋編で、後半は明治期の黒岩涙香らによる翻案物の隆盛から江戸川乱歩、新本格へという流れ。扱う範囲が広いため記述は教科書的かつ語り口の軽さもあってすいすい読めるのは良いが、扱っている題材と文体とのギャップに若干の戸惑いを感じないでもない。例えば、ウォルポールの紹介が「ケンブリッジ大学で学んだのち、親の七光りで国会議員になります。しかし、政界と頭角を現すことはなく、好きな古物収集や芸術にもっぱら精を出しました。いわゆるディレッタント。今日風に言えばオタクです。」とまぁこういう具合で、ゴシックロマンスの雰囲気とはほど遠い。
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Posted by ブクログ
原著2015年刊のキング短編集の2分冊目。
1分冊目よりも「ホラー以外」の、普通小説的な作品が多いが、やはり語りの面白さは変わらない。キングの大好きな野球の話に、犯罪要素が絡んでくる「鉄壁ビリー」が最も印象的だった。
キングの小説を読むとき、ストーリー展開に惹き付けられながらも、文章の味わいに同時に浸らせられる。地の文の、とりわけ登場人物のモノローグの部分に魅力があって、そこに醍醐味を感じるのだが、従って読むスピードは遅くなる。日本のこんにちのエンタメ小説を読むのよりも、ずっと遅いのである。
ストーリー展開に的を絞り、描写は最低限に抑制する作法がエンタメ系では常識的であり、この面では東 -