風間賢二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルは一見おどろおどろしいが、"怪異"といい"猟奇"といい、日常普通のことではないと考えれば、ミステリーやホラーの領域と言っても良いだろう。
本書は二部構成で、前半は欧米篇。ゴシック小説の始祖『オトラント城』から始まり、ゴシック・ロマンスの代表作家アン・ラドクリフの紹介(折しも最近『ユドルフォの城』が翻訳された)。terror(心理的恐怖)とhorror(生理的、肉体的恐怖)との違い。ポーとイギリスのセンセーション・ノベルの流行。スピリチュアリズムとオカルト探偵の登場。進化論の対概念の退化論の流行とロンブローゾの生来性犯罪者説、観相学、骨相学さらに優生学へ。
後半は日本篇。黒岩涙香の翻案小説。ホームズとルパンの紹介と捕物帖。SFチックな政治小説。谷崎、春夫、芥川等の探偵小説と乱歩の登場。
大正末のこの時期に〈変格〉ものが受けた文化的背景として、"変態心理"、"変態性欲"があるとする。不健全なものを好む性向。特にうなずかされたのは、乱歩が好んで描写した、死体を切断され晒される猟奇殺人事件の被害者、モダンガール。父権制社会の反逆者モガは見せしめのために虐殺されるのだ。
夢野、小栗等の戦前の探偵小説黄金時代を紹介した後、最終章は〈新本格〉からパラミステリー?へ。
〈新本格〉以降の日本作品はほとんど読んだことがないこともあり、正直この辺りの記述は駆け足過ぎて良く分からなかった。
ブックガイドの役割は十分あると思うが、欧米篇と日本篇の関係も切れてしまっていて、あまりこの分野に関心がない読者には分かりづらそうだ。 -
Posted by ブクログ
原著2015年刊。収録作のそれぞれの初出は2009-2015年。『わるい夢たちのバザール』という原著を、邦訳では2巻に分けたようで、そのうちの1冊目に当たる。
スティーヴン・キングの短編集だが必ずしもホラーではない、普通小説っぽいものも結構あるし、何と詩も入っている。どのジャンルにおいてもキングの語り口は健在で、本当にそれは比類無い「読ませる」マジックなのである。
とはいえ、やはり私にとってはホラーっぽいもの、ないしスーパーナチュラルなものが良かった。本巻のなかでは「マイル81」「悪ガキ」「UR」が好きだ。
各編の冒頭にキングのコメントが入っていて、これもなかなか興味深い。 -
ネタバレ
各短編へひとこと感想
マイル81、それまでの描写に比べて終わり方があっさりし過ぎていて拍子抜けした。
プレミアム・ハーモニー、ホラー要素なしと思っていなかったのでこちらもあれっと思いました。カーヴァーにインスパイアされたらしい。
バットマンとロビン、激論を交わす、認知症の描写がリアルで、読後感がとても爽やか。好き。
砂丘、オチのひねりが好きな人は好きかも。
悪ガキ、キングらしい不滅の悪。アウトサイダーに繋がるテーマを感じた。
死、もっと長いバージョンも読みたい。
モラリティー、面白かったです。キング作品にたまに出てくる、勇気を持てなかった側の人間の哀れさが染みる。歳をとってこういう利用される側の悲哀も理解できるようになった。こっちの方がカーヴァーっぽさを感じるような。
アフターライフ、どっちにも転びそうな終わり方がミストみたい。匙加減が絶妙。
UR、11/22/63みたいな恋情と、メルセデスシリーズみたいなバディ感を楽しめる作品。黄色いコートの男たちはアトランティスのこころか何かに出てこなかった?