あらすじ
花火合戦に挑んだ酔っ払いの末路とは――
新たなる黄金時代を迎えた「恐怖の帝王」が短編小説の才能をみせつける短編集その2。
滅びゆく世界を静かに見つめる二人の男と一匹の犬――悲しみに満ちた風景を美しく描く表題作。
湖の向こうの一家との花火合戦が行きつくとんでもない事態を描く「酔いどれ花火」。
架空の死亡記事を書くと書かれた人が死ぬ怪現象に悩まされる記者の物語「死亡記事」他、
黒い笑い、透明な悲しみ、不安にみちたイヤミス、奇想が炸裂するホラ話、そしてもちろん化け物も!
バラエティあふれる10編を収録。帝王自身による舞台裏の解説も楽しい短編集その2。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
スティーブン・キングの短編集の続き。
「夏の雷鳴」が切なくて美しい。
そして、決してあの世界が絵空事でない雰囲気があるのが怖い。
うん。コロナ過の今、それはないことでは決してないのだ。
ワンコがかわいそうで、かわいそうで…。
花火合戦は、楽しかった。
まぁ、おいおい、ではあるのだけど、でもなんなんだろう。も、絶対後退できないってことって、多分人にはあるんだよ。その愚かさが、人を楽しませたり、悲しませたりするんだよ。
そして、ギング版「デスノート」ww
まぁ、デスノートっぽいなって思ったし、これは決して幸せにならない物語だと思ったら、キングらしさで打ちのめしてくれたよ。
キングが読める、今に生きていることに感謝を。
面白かったよ。
Posted by ブクログ
原著2015年刊のキング短編集の2分冊目。
1分冊目よりも「ホラー以外」の、普通小説的な作品が多いが、やはり語りの面白さは変わらない。キングの大好きな野球の話に、犯罪要素が絡んでくる「鉄壁ビリー」が最も印象的だった。
キングの小説を読むとき、ストーリー展開に惹き付けられながらも、文章の味わいに同時に浸らせられる。地の文の、とりわけ登場人物のモノローグの部分に魅力があって、そこに醍醐味を感じるのだが、従って読むスピードは遅くなる。日本のこんにちのエンタメ小説を読むのよりも、ずっと遅いのである。
ストーリー展開に的を絞り、描写は最低限に抑制する作法がエンタメ系では常識的であり、この面では東野圭吾さんの文体および作法が効率性を精緻に追求していて機能的な美をも思わせるものがあるが、スティーヴン・キングにおいては描写や独白など、必ずしもストーリー展開優先の法則に則らない書き方に味がある。
長い長編小説でストーリーがサスペンスフルに盛り上がってくると、先が気になるあまり読む速度を上げたくなるのだが、キングの短編ではそんな「加速の欲求」が起きるまで至らず、最後までじっくりと読むことになる。だからキングの短編集を読むのは、私の場合、比較的時間がかかるのだということに気づいた。
比較的緩慢な速度となる小説ストリームの流れ方は、どちらかというと芸術的(純文学的)なそれに似ている。モノローグが肉薄してきて、その緊迫に捕らえられストリームの生に没入してしまうこの体験は、やはりドストエフスキーや太宰治のような文学と共通しており、それが得がたい時間、衝迫の体験として記憶される。
スティーヴン・キングを読むことは、やはり映画を見ることとは全然違う、あくまでも小説的な出来事の体感だ。
Posted by ブクログ
ハーマン・ウォークはいまだ健在/具合が悪い/鉄壁ビリー/ミスター・ヤミー/トミー/苦悶の小さき緑色の神/異世界バス/死亡記事/酔いどれ花火/夏の雷鳴
異世界の住人たち、この世界の未来の一つ、ゾクゾクする
死亡記事はまるでデスノート。
花火は面白くて笑ってしまった。
最後の生き物になるのはいやだなぁ…
Posted by ブクログ
わるい夢たちが集まっているというのに、一番楽しかったのは花火の話
体の線が全部見えちゃうようなうっすい生地の細かい花柄のワンピースをパツパツに着たママが見えるようでしたよ。
Posted by ブクログ
キングの最新短編集2分冊の2冊目。同じく10編が収録されている。一番気に入ったのは表題作であり、本短編集の掉尾を飾る「夏の雷鳴」かな。他の作品とは比較にならないほど大量の“死”が背景にあるのに、静謐に満ちた世界が描かれている。これだよ、ぼくが読みたかったキングは。