倉橋由美子のレビュー一覧

  • ポポイ

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    「数日前、雨が降った。茸を取りに山に行かなければならない。でも行かれない。首が来るので家で待たなければならない」
    生首を預かる舞と、生首の日々。
    なんとも言えない生首との生活と、様々な感情
    倉橋さんらしいと思われる艶めかしさもある
    ただ、肝心の事件の解決をも求めてしまう自分がいますが‥
     倉橋さんの小説ははじめて読みましたが、季節や、風景の表現がなんだか素敵すぎて何度も読んでしまいました。

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    2024年10月25日
  • パルタイ・紅葉狩り 倉橋由美子短篇小説集

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    徹底的に観念で言葉を操っているように感じた。虚構が凝縮されて、現実の模倣というよりも、もうひとつの世界を実現させているように思う。しかしこうした倉橋の作風は短編ごとで同じように結実しているわけではなく、解説でも書かれている通り、さまざまな手法が用いられ、ストーリーやテーマのタイプも異なる。だが彼女がやっていることは、小説という言葉の津波で、現実をさらってやろうということなのだろう。特に「囚人」に関しては、戦後社会を見事に神話化させ、鋭利な、磨き上げられた、見事な作品に仕上がっているように思えた。

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    2023年02月07日
  • P+D BOOKS 交歓

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    よかった。なんだかなめるように読んでしまった。(ちょっと下品かしら)
    それほど私の趣味にあっていたのである。というよりこの私の年齢にしてわかる本なのかもしれない。

    しかし、文学が好きな方には是非お薦めしたいと思う一冊に間違いない。私が太鼓判を押す。

    *****

    倉橋由美子といえば昔1975年、横浜に住んでいた頃に取っていた朝日新聞の連載記事のひとつが忘れられない。

    「神奈川50年 文学の風景」として神奈川を舞台にした文学作品、住み付いた作家が与えてくれたもの、感じたものの意味を探る、というコラムだった。沢山の作品、作家の中で倉橋由美子の記事に私は瞠目した。

    伊勢原市大山のふもとに移り

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    2021年09月12日
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇

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    やはり倉橋さんの怪奇小説は最高に面白い。
    “大人のための童話”って感じがする。
    夜の深い時間に無音の中読むのを薦めたい。

    神話や伝説、昔話を題材にしたものから
    SFちっくなお話までジャンルが幅広く、
    作者の知的な部分が至るところで垣間見える。

    設定や展開が斬新で、結末が最後までよめない
    ところもよかった。
    オチもいい意味でサッと終わっててよい。

    文章の書き方も、重厚で文学的な文章から
    ライトな語り口のものまで自由自在。

    個人的に、カボチャのような顔の元首相の話と
    長風呂しすぎて骸骨化する男の子の話が好き。

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    2017年01月07日
  • ヴァージニア

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    三篇の短編集。これくらいの薄さ・軽さはとても持ちやすい。

    「ヴァージニア」
    裏表紙の説明から、『聖少女』のようなクレイジーな女の子の話かと思いきや、
    きちんと分別もある大人の女性の話だった。
    精神の飢餓。

    「長い夢路」
    これがすごい小説。
    死にゆく歯科医の内省。
    夢の中で、卵白状の半透明の嚢に包まれた肉塊を切り裂くと、頭がなく手足もなく、女の裂け目だけ……という悪夢、
    非常に印象深い。

    「霊魂」
    恋人の霊との交歓、そして飽き。

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    2016年07月14日
  • ポポイ

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    母から薦められて読む。
    おもしろかったです。美少年の首を飼うなんて幻想の極み。SFのにおいもさせつつあまりある幻想感が好きです。
    ちょっと前に読んだんですがいいなぁ、またもう一度読み直したい。

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    2012年11月21日
  • シュンポシオン

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    タイトルは英語のシンポジウムの語源になったギリシア語で
    「共に飲む」の意。
    桂子おばあさまの孫である美貌の才媛・和泉聡子さんと、
    桂子おばあさまの元恋人で双方結婚した後も交際が続いた
    宮沢氏の後妻の息子である明さんとの恋を主軸に、
    ハイソな人々が終末の予兆に彩られた海辺の宿で、
    ひたすら喰って飲んで喋って戯れるというお話が展開します。
    本筋とは関係ないけど、何故か
    諸星大二郎「アリゲーター」に言及した箇所があって笑った。

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    2014年04月26日
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇

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    ドロドロした怖い話が冷ややかに語られていて、むっちゃ面白い。
    何度も読み返していますが、
    今回一番心に引っかかったのは「首の飛ぶ女」。
    人を愛することさえしなければ――という、
    語り手の決意が哀し過ぎ。

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    2024年03月04日
  • 城の中の城

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    30歳、二児の母である美貌の人妻・桂子さんが、
    夫がいつの間にか勝手にカトリック信者になっていたことを知り、
    棄教か離婚かの二択を迫るのだけど――でも、あくまで優雅。
    本筋とは関係ないけど、一番笑ったのは
    桂子さんの長女・智子さん(六歳)による
    「古池や人が飛びみ土左衛門」……でした☆

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    2012年04月16日
  • 暗い旅

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    初めて読んだのは中学生の時。よくわからないまま引き込まれ、最愛の愛読書となりました。今もまだおそらく理解はできていませんが、時々読みたくなる本です。

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    2011年08月30日
  • スミヤキストQの冒険

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    スミヤキ党員Qが遭遇する冒険がグロテスクに描かれています。諧謔・風刺がいっぱいの物語でした。konnokのお気に入りの1冊です。

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    2011年07月28日
  • ヴァージニア

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    固く緻密な狂気を当初感じていたのだが、読後色々と思い返しているうちに、奥底で眠っていた自分の中の狂気が覚醒し、徐々に荒ぶってくるような感覚に陥った。でもそういう内容じゃない。
    で、表題作「ヴァージニア」でmake loveという言葉が頻繁に使われていて(しかも英語表記)、薄ら笑いを浮かべた叶姉妹(特に姉・恭子)の顔がチラつき、大変なショックを受けた。自分の中の狂気が覚醒しはじめているのは、脳内に突如現れる叶姉妹のせいかもしれない。

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    2011年02月24日
  • 妖女のように

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    個人的には表題作もさることながら「結婚」が好き。「パルタイ」などカフカの影響を受けた作品群に連なる笑劇的な運びと、それに反して「どこでもない場所」をすら思わせる結末。感傷的といえば感傷的だけれども、終盤の「黒い舌がはためいた」という表現は秀逸。

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    2010年09月09日
  • ポポイ

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    裏庭に頭が落ちてました…ではじまる不思議譚。
    倉橋さんのお話はなんだかふわふわとしていて
    読んでいて気持ちいいので好きです。
    ポポイは短くてあっという間に読み終わるので
    興味ある方は試しにどうぞ。
    桂子さんシリーズです。

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    2009年11月11日
  • アマノン国往還記

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    女性だから、というより倉橋さんだからこそ書けた小説。磨きぬかれた端整な文体と毒を含んだパロディ(結構露骨な)が見事に調和している。こんな面白いのに発禁とはもったいないねえ。

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    2009年10月04日
  • 偏愛文学館

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    著者が愛でる文学作品を端整な文章で紹介する。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いでいいじゃないという姿勢に共感が持てる

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    2009年10月04日
  • パルタイ・紅葉狩り 倉橋由美子短篇小説集

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    この短編に熱狂的だったという伝説。
    そんなもんかねぇ、
    なぜかと問いたくなるような時代だったということでしょうか。
    不思議な時代もあったもんですね。

    冷めたまなざしにあこがれる気持ちは、わかりますけどね。
    クールで寡黙な先輩像ってあこがれ。
    (でももう無理とわかってます)

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    2009年10月04日
  • P+D BOOKS 夢の浮橋

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    初の倉橋由美子さん
    そして、桂子さんシリーズ第1作目と言うことらしい。桂子さんの物語とも。
    これから桂子さんがどのように年を重ねていくのか楽しみ。小説は読み手の想像力をさまざまに掻き立てる。桂子さんはどれほど美しいのか‥

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    2025年11月28日
  • スミヤキストQの冒険

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    革命をめざす前衛党に所属するQは、H感化院の練士に就職し、そこで「スミヤキ党」の教義にもとづく活動をおこなうことをもくろみます。ところが、彼には仕事らしい仕事はあたえられず、ほかの練士にならって院児たちの「巡回」をおこなうものの、その方法も目的もまったくあいまいでした。Qは、彼の奉じる唯物論の立場において、活動の足場となるべき「労働」の実態すらも明確につかむことのできません。そればかりか、感化院では院長の体剃りをはじめ、常識はずれの奇妙な慣習と規律が行きわたっており、Qはそれらの事態に対して教義にもとづく解釈をくだし、活動の方針を定めようと、むなしい努力をつづけます。

    やがて感化院では、院児

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    2025年01月01日
  • 掌の読書会 桜庭一樹と読む 倉橋由美子

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    1980年代、倉橋由美子は文学好きの女の子にとって必読の書だった。今よりも更に様々な制約が多かった若い女性には、その自由さが眩しく素敵に見えたのだ。桜庭一樹が選んだというのも、なるほどという感じ。今読んでも、唯一無二の人と感じさせる。
    でも読み終わって虚しさだけが残るのは、グローバリゼーションも東日本大震災も気候変動も体験したあとの、今の自分だからなのだろうとも思う。

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    2024年04月18日