倉橋由美子のレビュー一覧

  • パルタイ・紅葉狩り 倉橋由美子短篇小説集
    徹底的に観念で言葉を操っているように感じた。虚構が凝縮されて、現実の模倣というよりも、もうひとつの世界を実現させているように思う。しかしこうした倉橋の作風は短編ごとで同じように結実しているわけではなく、解説でも書かれている通り、さまざまな手法が用いられ、ストーリーやテーマのタイプも異なる。だが彼女が...続きを読む
  • P+D BOOKS 交歓
    よかった。なんだかなめるように読んでしまった。(ちょっと下品かしら)
    それほど私の趣味にあっていたのである。というよりこの私の年齢にしてわかる本なのかもしれない。

    しかし、文学が好きな方には是非お薦めしたいと思う一冊に間違いない。私が太鼓判を押す。

    *****

    倉橋由美子といえば昔1975年、...続きを読む
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇
    やはり倉橋さんの怪奇小説は最高に面白い。
    “大人のための童話”って感じがする。
    夜の深い時間に無音の中読むのを薦めたい。

    神話や伝説、昔話を題材にしたものから
    SFちっくなお話までジャンルが幅広く、
    作者の知的な部分が至るところで垣間見える。

    設定や展開が斬新で、結末が最後までよめない
    ところも...続きを読む
  • ヴァージニア
    三篇の短編集。これくらいの薄さ・軽さはとても持ちやすい。

    「ヴァージニア」
    裏表紙の説明から、『聖少女』のようなクレイジーな女の子の話かと思いきや、
    きちんと分別もある大人の女性の話だった。
    精神の飢餓。

    「長い夢路」
    これがすごい小説。
    死にゆく歯科医の内省。
    夢の中で、卵白状...続きを読む
  • ポポイ
    母から薦められて読む。
    おもしろかったです。美少年の首を飼うなんて幻想の極み。SFのにおいもさせつつあまりある幻想感が好きです。
    ちょっと前に読んだんですがいいなぁ、またもう一度読み直したい。
  • シュンポシオン
    タイトルは英語のシンポジウムの語源になったギリシア語で
    「共に飲む」の意。
    桂子おばあさまの孫である美貌の才媛・和泉聡子さんと、
    桂子おばあさまの元恋人で双方結婚した後も交際が続いた
    宮沢氏の後妻の息子である明さんとの恋を主軸に、
    ハイソな人々が終末の予兆に彩られた海辺の宿で、
    ひたすら喰って飲んで...続きを読む
  • 城の中の城
    30歳、二児の母である美貌の人妻・桂子さんが、
    夫がいつの間にか勝手にカトリック信者になっていたことを知り、
    棄教か離婚かの二択を迫るのだけど――でも、あくまで優雅。
    本筋とは関係ないけど、一番笑ったのは
    桂子さんの長女・智子さん(六歳)による
    「古池や人が飛びみ土左衛門」……でした☆
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇
    ドロドロした怖い話が冷ややかに語られていて、むっちゃ面白い。
    何度も読み返していますが、
    今回一番心に引っかかったのは「首の飛ぶ女」。
    人を愛することさえしなければ――という、
    語り手の決意が哀し過ぎ。
  • 暗い旅
    初めて読んだのは中学生の時。よくわからないまま引き込まれ、最愛の愛読書となりました。今もまだおそらく理解はできていませんが、時々読みたくなる本です。
  • スミヤキストQの冒険
    スミヤキ党員Qが遭遇する冒険がグロテスクに描かれています。諧謔・風刺がいっぱいの物語でした。konnokのお気に入りの1冊です。
  • ヴァージニア
    固く緻密な狂気を当初感じていたのだが、読後色々と思い返しているうちに、奥底で眠っていた自分の中の狂気が覚醒し、徐々に荒ぶってくるような感覚に陥った。でもそういう内容じゃない。
    で、表題作「ヴァージニア」でmake loveという言葉が頻繁に使われていて(しかも英語表記)、薄ら笑いを浮かべた叶姉妹(特...続きを読む
  • 妖女のように
    個人的には表題作もさることながら「結婚」が好き。「パルタイ」などカフカの影響を受けた作品群に連なる笑劇的な運びと、それに反して「どこでもない場所」をすら思わせる結末。感傷的といえば感傷的だけれども、終盤の「黒い舌がはためいた」という表現は秀逸。
  • ポポイ
    裏庭に頭が落ちてました…ではじまる不思議譚。
    倉橋さんのお話はなんだかふわふわとしていて
    読んでいて気持ちいいので好きです。
    ポポイは短くてあっという間に読み終わるので
    興味ある方は試しにどうぞ。
    桂子さんシリーズです。
  • アマノン国往還記
    女性だから、というより倉橋さんだからこそ書けた小説。磨きぬかれた端整な文体と毒を含んだパロディ(結構露骨な)が見事に調和している。こんな面白いのに発禁とはもったいないねえ。
  • 偏愛文学館
    著者が愛でる文学作品を端整な文章で紹介する。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いでいいじゃないという姿勢に共感が持てる
  • パルタイ・紅葉狩り 倉橋由美子短篇小説集
    この短編に熱狂的だったという伝説。
    そんなもんかねぇ、
    なぜかと問いたくなるような時代だったということでしょうか。
    不思議な時代もあったもんですね。

    冷めたまなざしにあこがれる気持ちは、わかりますけどね。
    クールで寡黙な先輩像ってあこがれ。
    (でももう無理とわかってます)
  • 掌の読書会 桜庭一樹と読む 倉橋由美子
    1980年代、倉橋由美子は文学好きの女の子にとって必読の書だった。今よりも更に様々な制約が多かった若い女性には、その自由さが眩しく素敵に見えたのだ。桜庭一樹が選んだというのも、なるほどという感じ。今読んでも、唯一無二の人と感じさせる。
    でも読み終わって虚しさだけが残るのは、グローバリゼーションも東日...続きを読む
  • 掌の読書会 桜庭一樹と読む 倉橋由美子
    『合成美女』と『人魚の涙』と『事故』が好み。
    短くて分かりやすく、奇妙で、どうなるの?と思う話は楽しく
    人にも気軽に、読んでみてと言えそうな小説だった。
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇
    大人のための残酷童話が面白かったのでこれも読みました。
    古典とかの元ネタが色んなとこに入ってる幻想小説で、エンターテイメント系なのでめちゃくちゃ読みやすかったよ。大人のための残酷童話もそうやったけど、多分わざとクセのないあっさりした文章で書いてるよね。
    話もどれも面白かった。元ネタは分からないのもた...続きを読む
  • スミヤキストQの冒険
    本来なら35年くらい前に読んでても不思議ではない本。
    (読んだ気もしたけど読んでなかった(^^;))

    もっとも、当時読んでも猟奇系サイドカルチャー小説くらいにしか思わなかったかも知れないので、結局本というのは「読んだ時が旬」でいいんじゃろうね。

    1970年の安保闘争の前年、國民(年若い学生が主だ...続きを読む