倉橋由美子のレビュー一覧
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よかった。なんだかなめるように読んでしまった。(ちょっと下品かしら)
それほど私の趣味にあっていたのである。というよりこの私の年齢にしてわかる本なのかもしれない。
しかし、文学が好きな方には是非お薦めしたいと思う一冊に間違いない。私が太鼓判を押す。
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倉橋由美子といえば昔1975年、横浜に住んでいた頃に取っていた朝日新聞の連載記事のひとつが忘れられない。
「神奈川50年 文学の風景」として神奈川を舞台にした文学作品、住み付いた作家が与えてくれたもの、感じたものの意味を探る、というコラムだった。沢山の作品、作家の中で倉橋由美子の記事に私は瞠目した。
伊勢原市大山のふもとに移り -
Posted by ブクログ
革命をめざす前衛党に所属するQは、H感化院の練士に就職し、そこで「スミヤキ党」の教義にもとづく活動をおこなうことをもくろみます。ところが、彼には仕事らしい仕事はあたえられず、ほかの練士にならって院児たちの「巡回」をおこなうものの、その方法も目的もまったくあいまいでした。Qは、彼の奉じる唯物論の立場において、活動の足場となるべき「労働」の実態すらも明確につかむことのできません。そればかりか、感化院では院長の体剃りをはじめ、常識はずれの奇妙な慣習と規律が行きわたっており、Qはそれらの事態に対して教義にもとづく解釈をくだし、活動の方針を定めようと、むなしい努力をつづけます。
やがて感化院では、院児