感情タグBEST3
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女性だから、というより倉橋さんだからこそ書けた小説。磨きぬかれた端整な文体と毒を含んだパロディ(結構露骨な)が見事に調和している。こんな面白いのに発禁とはもったいないねえ。
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いくつもの宗教が共存し、華やかで洗練されながらも、どこか子どもっぽい文化が花開き、男性の姿は、宦官以外はほとんど見ないという驚異の女性の国。それがアマノン。どこにあるか知らないけれど、どこかで見たことのあるような国。
種子島への鉄砲伝来や16世紀のキリスト教伝来を思わせる導入部から、ニヤニヤ笑いがとめられない。政治家や経済界のトップたちなど、いわゆるVIPが10代の美少女を秘書(≒愛人)にする風習や、ブッダ教の尼僧・ムイン師によるアマノン国の宗教事情の説明、それに、社会的地位が高いほど、言葉遣いが馴れ馴れしくぞんざいな感じになるところなど、どうにもおかしくて笑ってしまう。とくに忘れ去られていながらも、一応畏れられているらしいエンペラ(しかも女性国にあって男性)との謁見のくだりは秀逸。
この本が出版されたのは1989年だが、まるで現在のまま時間を重ねた場合の将来の姿を暗示しているような。おもしろおかしく茶化しながらも、手ごたえのあるジャブが繰り出されている感じ。最後がちょっと、尻すぼみな感じがするのが残念。
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はやりのデストピアの世界かユートピアか?と読みましたが、1986年に書かれた作品なので、その後を過ごしているわたしたちには、現実とダブりました。
著者もこの小説で言っています「食べても食べても飽きないお菓子」さらさらと読めたのはさすがです。
Posted by ブクログ
大真面目に悪ふざけが展開するSF……
と言ってしまっていいだろうか。
女が支配する国と化して久しいアマノンを
本来あるべき形に戻そうと、
元々そういうつもりで乗り込んだワケじゃなかったのに、
図らずも奮闘する羽目になってしまったモノカミ教団の宣教師P。
しかし、布教と称して実際に行うのは――うーむむむ(苦笑)。
Posted by ブクログ
大学1年、電車通学に片道1時間半かけていた頃に書店で装幀が気に入って購入。
澁澤龍彦『高丘親王航海記』の女人国の部分を長編にした感じの小説でした。
澁澤の親王にくらべると、いささか作家の社会に対する政治的な意志が表にでている気がしないでもない。