無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
文章が綺麗でほぅ…ってため息をついた。本自体古くて字が小さいから読むのをやめようか考えるんだけれど、独特の美しい言い回し、流れるような文体に魅せられてつい読んでしまう。
表題作である「ヴァージニア」よりも次の「長い夢路」、それよりもさらに「霊魂」が好きだけれど、ヴァージニアという名を冠していながら処女性の欠片もないヴァージニアにはすがすがしさを感じる。安易に美少女にしないところも好き。淀みの表現が上手くて、こんな陳腐な感想しか書けないのが申し訳なくなるほどに素敵な文章だった。
「霊魂」は淫靡で甘美でとろけるような読み心地。捧げられるものならすべてを、のいじらしさに切なくなって、ラストは少し恐ろしくて、でも希望に満ちている。残されるもののことなど考えない身勝手さが若くてまぶしい。
娯楽を求めて好きな小説読み漁るのもいいけど、たまにこういう作品を読むとなんだか自分が洗われたような気分になる。いい読書をした。
Posted by ブクログ
「ヴァージニア」「長い夢路」「霊魂」の三作品を収録しています。
「ヴァージニア」は、アメリカに留学している「わたし」とヴァージニアというクラスメイトを中心とする物語です。「わたし」から見て、ヴァージニアには「クレイジイなところはある」ものの、それはストーリーを推進していくような力をもつものではなく、彼女との会話ではアメリカと日本の文化のちがいに多少の偏差をつけくわえるくらいの意味しかもっていません。彼女との会話では、結婚についての考えかたのちがいがテーマになりますが、そのことが「文学的」な主題に昇華されることなく、ただ断片化されて会話のすれちがいというかたちで作品中にばらまかれています。
「長い夢路」は、死の床に就いている歯科医の父親と、長女のまり子をはじめとする家族の物語です。父親の幻想的な思いは、能の世界を参照することを通じて、夢と現実のあわいを行き来します。
「霊魂」は、「わたしが死んだら、わたしの霊魂をおそばにまいらせますわ」といいのこしてこの世を去ったMと、その婚約者のKの物語。Mの霊魂は、肉体のくびきから解き放たれたことで個人的な人格をうしない、そのMの霊魂との交流をつづけるKもおなじ道をたどることになります。
Posted by ブクログ
初期の短編三編、久々~の再読。
■ヴァージニア
著者アメリカ留学時にアイオワ大学で親しくなった
スウェーデン人女性との交流について述べた作品だが、
エッセイという生(ナマ)な感じはしない。
心の隙間を埋めるために複数の男性と性的関係を結ぶヴァージニアの生活ぶりは、
当人の知性レベルと矛盾しているようで、
人間ってのはつくづく不可解な生き物だな、といったところ。
体(たい)を表さない(笑)なんとも皮肉な名前だが、
彼女は本当にVirginiaという名だったのか、それとも著者による「改変」なのか。
■長い夢路
病臥し夢現に死を待つ歯科医の父と、死に目に遭うべく外遊先から帰った長女、
それぞれの心情。
父の夢は謡曲や娘から聞いたギリシア神話の筋をなぞった内容になっている。
著者が歯科衛生士であったこと、著者の父が歯科医であったことが反映されてか、
患者の「抜去歯牙」を自宅の庭に埋めるという、夢想の中の情景が不気味。
■霊魂
婚約者が予言どおり、死後、霊として男の許を訪れる話。
無力だった女が肉体を失った後、文字通り身軽になり、
しかも、媚びと傲慢さを露わにする。
初期の倉橋作品によくあるパターンの、
キャラクターの名がK,Mというアルファベット表記の小説。
ちなみに「ヴァージニア」の中では、それについて、
「Kは小説をdevelopするための独立変数」
「MはSを愛するような女」と述べており、Mが愛するSというのは
「social animalで(中略)self-advertisementの本能を持った男」なのだそうだ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸