倉橋由美子のレビュー一覧

  • アマノン国往還記

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    はやりのデストピアの世界かユートピアか?と読みましたが、1986年に書かれた作品なので、その後を過ごしているわたしたちには、現実とダブりました。

    著者もこの小説で言っています「食べても食べても飽きないお菓子」さらさらと読めたのはさすがです。

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    2023年09月01日
  • ポポイ

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    ネタバレ

    桂子さんシリーズ。再読。
    入江晃さんがテロリストに会い、何かを話した。テロリストは自決し、入江さんは脳梗塞に。で、そのテロリストの首を婚約者から預かったのが、孫の来栖舞さん。首は装置につながれて生きている。首にポポイという名をつける。
    桂子さんは健在。聡子さんは明さんと結婚している。舞さんの恋人は従弟の翠くん。天才らしい。
    あいかわらずの倉橋ワールド。桂子さんシリーズもっと書いてほしかったなぁ・

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    2022年10月12日
  • シュンポシオン

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    ネタバレ

    1985年。桂子さんシリーズ。再読。
    元首相の入江さん。の横にいるのは桂子さん。祖母になった桂子さん。だから、、、2030年くらい?
    ソ連と戦争しそうな日本。おそらく三浦半島あたりの旅館にやってきた耕一さんと後妻の子の明さん。妻に死に別れ、桂子さんの孫の聡子さん(智子さんの娘)と恋仲に。その旅館、入江さんが買い取ったものだが、普通に泊まれる。明さんの妹夫妻(雅子さん)、死に別れた妻(なほ子)の妹かをり、ゆき子、最後に加わった異例の経歴の増田くんが、ひと夏を一緒に過ごし、語らう。
    何が事件が起こるわけでもなく、海行ったり、猿島行ったり、飲み屋で飲んだり。シンポジウムは勘弁だけど、シュンポシオンは

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    2022年10月02日
  • 城の中の城

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    ネタバレ

    1980年。桂子さんシリーズ。再読。ここらあたりから旧かなづかひの文体となる。
    山田信さんと結婚し、智子、貴を育てている桂子さん。片手間に翻訳?の仕事などしている。桂子さんのお父さん牧田圭介さんは出版社の社長だし。
    山田さんがキリスト教の洗礼を受けたことから戦争勃発。それって桂子さんにとっては離婚理由にもなりうることなのだ。結局、洗礼はなかったことになり、桂子さんは3人目の子供を授かるのだが。
    ちなみに耕一さんとまり子さん離婚。裕司さんと美津子さんも離婚(美津子さんが入信したから)。そして牧田圭介さんなくなり、山田さんが出版社に関わることになる。いずれは桂子さんも。
    付録がついてて、作者へのイ

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    2022年09月28日
  • 偏愛文学館

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    ネタバレ

    倉橋由美子さんのお眼鏡に叶った本の数々。読みたい本が増えました。
    かなり辛辣だけど倉橋先生の審美眼なら信頼できます。倉橋先生もわりとジャンル拘らず乱読されてるな。
    全くの未読なので吉田健一作品が気になりました。

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    2022年07月03日
  • P+D BOOKS 交歓

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    桂子さんシリーズは出版された順だと今作の前に「シュンポシオン」があるのだが、時系列としてはこちらの方が先だったから、飛ばして先に読んだ。超上空飛行という感じで、もはや下界の下々の生活など眼中にない、という態度が逆に清々しい。一種の教養小説。

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    2022年06月14日
  • P+D BOOKS アマノン国往還記

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    不思議な感じで面白かったです。エピローグは良くわからなかったのでググったらなるほど、という感じでした。

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    2021年10月16日
  • スミヤキストQの冒険

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    スミヤキストとは「炭焼き党」から連想される革命を起こすのが目的のある団体から、ある他の団体にスパイ&工作のため派遣された「Q」さんの物語。「Q」とはクエスチョンからきています。

    書かれたのが昭和44年(1969年)ですからなにがなし全共闘が暴れた時代を彷彿させますが、そんなことは今となっては懐かしい昭和の時代の懐古調です。しかし、この小説は歴史的な詮索は関係なく「正義と信じたものを引っ提げて、硬直した集団の中でのひとり活動はコッケイでもあり、勇ましくもあり、果たして本人が信じているものがいいことなのか?とあれやこれや悩むのが人間というものだ、という落ちになるのでしょう。

    とにかくこれぞ文

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    2020年02月12日
  • 老人のための残酷童話

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    読み終わって、「うわーー!!残酷ーー!」って感想がまず出た笑
    不思議な老人が出てくる不思議なお話たち。ファンタジーというより童話。(童話とファンタジーは同じか?)
    不思議な話なのに随所に出てくる性描写が人間味があって良い。
    個人的には『天の川』が一番美しく不思議で好きです。

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    2019年09月22日
  • P+D BOOKS アマノン国往還記

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    「国家」や「宗教」という概念に対する皮肉がそのまま本になったような作品。あらゆる方面に冷笑を浴びせながら物語が進行していって、読んでいる側としては正直ヒヤヒヤする。エッセイ集「毒薬としての文学」を読んだ時にも思ったけど、倉橋由美子は本当に物事への見解が鋭いし厳しい人だ。文学そのものや世の中に対する強烈な悪意さえ感じるレベルである。頭が痛くなるけど反論はしづらい。不勉強なもので巻末の著者紹介を読んで初めて既に鬼籍であることを知った。この人はどんな気持ちで臨終を迎えたのだろう。彼女なら、こんな風にあれこれ考察されることもまた一笑に付すだろうな...

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    2019年02月17日
  • スミヤキストQの冒険

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    ある意味ダークホラー、暗黒小説。グロテスクな世界観が圧倒的な筆力で描かれていて、読み切るまで陰鬱な気持ちになりました。ドグラマグラより精神蝕まれる作品じゃないかと思いました。設定されている世界観や話の構成がパーフェクトなので、なんとか最後まで読みましたが、かなりキツかったです。好きな人にはハマる小説かもしれませんが、私は☆3つの評価が最高得点です。

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    2014年05月27日
  • ヴァージニア

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    初期の短編三編、久々~の再読。

    ■ヴァージニア
     著者アメリカ留学時にアイオワ大学で親しくなった
     スウェーデン人女性との交流について述べた作品だが、
     エッセイという生(ナマ)な感じはしない。
     心の隙間を埋めるために複数の男性と性的関係を結ぶヴァージニアの生活ぶりは、
     当人の知性レベルと矛盾しているようで、
     人間ってのはつくづく不可解な生き物だな、といったところ。
     体(たい)を表さない(笑)なんとも皮肉な名前だが、
     彼女は本当にVirginiaという名だったのか、それとも著者による「改変」なのか。

    ■長い夢路
     病臥し夢現に死を待つ歯科医の父と、死に目に遭うべく外遊先から帰った

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    2012年11月28日
  • 偏愛文学館

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    冷やかしで手に取ったが、なかなかどうして短い文章に言いたいことがピシッと詰まった旨い文章を書く人である。川端の「山の音」を書いた文章も切れ味があり、批評作品としても申し分ない。壺井栄「二十四の瞳」を懐かしく再読しようとさえ思った。

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    2012年08月26日
  • スミヤキストQの冒険

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    主人公が超のつくポジティブ至高。
    それか単にマゾヒストなのか。
    結構グロいけどどことなく笑えて楽しかった。

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    2012年06月15日
  • スミヤキストQの冒険

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    『聖少女』、『暗い旅』と来て、『人間のない神』の次にこの一冊。あんまり難しいことを考えずに読みたいが…。この後は『夢の浮橋』、『アマノン国往還記』の予定。今年はしばらく倉橋由美子祭りでいきます。

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    2012年02月19日
  • ヴァージニア

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    まず表紙がとてもいい。
    話としては、表題作よりも長い夢路の方が好き。
    人間の生と死、そして愛への執着についてを、理知的で、堅い文章で描いています。

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    2012年02月16日
  • スミヤキストQの冒険

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    作者初期の代表的長篇。
    グロテスクな内容なので、繊細な方にはお薦めできない……かな。
    読者としては主人公であるQに感情移入するしかないんだけど、
    読み進むうち、決して彼が善で
    対する院長らが悪ってわけでもない気がしてきます。
    なんかどうでもよくなっちゃうっていうか(笑)。
    作者の狙いもそこら辺の「相対化」にあったのでは。

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    2012年01月15日
  • アマノン国往還記

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    大真面目に悪ふざけが展開するSF……
    と言ってしまっていいだろうか。
    女が支配する国と化して久しいアマノンを
    本来あるべき形に戻そうと、
    元々そういうつもりで乗り込んだワケじゃなかったのに、
    図らずも奮闘する羽目になってしまったモノカミ教団の宣教師P。
    しかし、布教と称して実際に行うのは――うーむむむ(苦笑)。

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    2012年08月12日
  • 老人のための残酷童話

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    『大人のための残酷童話』よりも自由な枠組みで書かれたブラックな寓話。結構どれも好きだけど、「天の川」の張騫がなんかかっこいい。「老いらくの恋」が一番不気味かも。「臓器回収大作戦」、脳移植時代のジレンマ、ホントにそういうことになりそう・・・ 「地獄めぐり」おじいさんがかわいそう。

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    2011年10月23日
  • 毒薬としての文学 倉橋由美子エッセイ選

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    吉田健一への追悼文が載っていて、これを読むと、著者が吉田の文体模倣を意識的にやっていたことがわかる。自ら模倣を認めてしまうのがこの著者の得意技で、食えないところ。模倣で収まらないところを承知しているから、堂々と開き直れるのであって、その意味で本質的な皮肉屋、嘘つきである。

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    2011年07月31日