倉橋由美子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ1985年。桂子さんシリーズ。再読。
元首相の入江さん。の横にいるのは桂子さん。祖母になった桂子さん。だから、、、2030年くらい?
ソ連と戦争しそうな日本。おそらく三浦半島あたりの旅館にやってきた耕一さんと後妻の子の明さん。妻に死に別れ、桂子さんの孫の聡子さん(智子さんの娘)と恋仲に。その旅館、入江さんが買い取ったものだが、普通に泊まれる。明さんの妹夫妻(雅子さん)、死に別れた妻(なほ子)の妹かをり、ゆき子、最後に加わった異例の経歴の増田くんが、ひと夏を一緒に過ごし、語らう。
何が事件が起こるわけでもなく、海行ったり、猿島行ったり、飲み屋で飲んだり。シンポジウムは勘弁だけど、シュンポシオンは -
Posted by ブクログ
ネタバレ1980年。桂子さんシリーズ。再読。ここらあたりから旧かなづかひの文体となる。
山田信さんと結婚し、智子、貴を育てている桂子さん。片手間に翻訳?の仕事などしている。桂子さんのお父さん牧田圭介さんは出版社の社長だし。
山田さんがキリスト教の洗礼を受けたことから戦争勃発。それって桂子さんにとっては離婚理由にもなりうることなのだ。結局、洗礼はなかったことになり、桂子さんは3人目の子供を授かるのだが。
ちなみに耕一さんとまり子さん離婚。裕司さんと美津子さんも離婚(美津子さんが入信したから)。そして牧田圭介さんなくなり、山田さんが出版社に関わることになる。いずれは桂子さんも。
付録がついてて、作者へのイ -
Posted by ブクログ
スミヤキストとは「炭焼き党」から連想される革命を起こすのが目的のある団体から、ある他の団体にスパイ&工作のため派遣された「Q」さんの物語。「Q」とはクエスチョンからきています。
書かれたのが昭和44年(1969年)ですからなにがなし全共闘が暴れた時代を彷彿させますが、そんなことは今となっては懐かしい昭和の時代の懐古調です。しかし、この小説は歴史的な詮索は関係なく「正義と信じたものを引っ提げて、硬直した集団の中でのひとり活動はコッケイでもあり、勇ましくもあり、果たして本人が信じているものがいいことなのか?とあれやこれや悩むのが人間というものだ、という落ちになるのでしょう。
とにかくこれぞ文 -
Posted by ブクログ
「国家」や「宗教」という概念に対する皮肉がそのまま本になったような作品。あらゆる方面に冷笑を浴びせながら物語が進行していって、読んでいる側としては正直ヒヤヒヤする。エッセイ集「毒薬としての文学」を読んだ時にも思ったけど、倉橋由美子は本当に物事への見解が鋭いし厳しい人だ。文学そのものや世の中に対する強烈な悪意さえ感じるレベルである。頭が痛くなるけど反論はしづらい。不勉強なもので巻末の著者紹介を読んで初めて既に鬼籍であることを知った。この人はどんな気持ちで臨終を迎えたのだろう。彼女なら、こんな風にあれこれ考察されることもまた一笑に付すだろうな...
-
Posted by ブクログ
初期の短編三編、久々~の再読。
■ヴァージニア
著者アメリカ留学時にアイオワ大学で親しくなった
スウェーデン人女性との交流について述べた作品だが、
エッセイという生(ナマ)な感じはしない。
心の隙間を埋めるために複数の男性と性的関係を結ぶヴァージニアの生活ぶりは、
当人の知性レベルと矛盾しているようで、
人間ってのはつくづく不可解な生き物だな、といったところ。
体(たい)を表さない(笑)なんとも皮肉な名前だが、
彼女は本当にVirginiaという名だったのか、それとも著者による「改変」なのか。
■長い夢路
病臥し夢現に死を待つ歯科医の父と、死に目に遭うべく外遊先から帰った