倉橋由美子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
短編集。全10話。
誰もが知っている古典や童話などになぞらえて、独自の物語を紡ぎ出しています。
人間の心の深層を鋭くえぐり取っていて、さすがは倉橋さんだと感嘆しました。
人間の醜い部分・・・誰もが持っていて、されども秘匿していたい醜悪な部分を、彼女独自の世界観で解釈され作られた物語の中で、忌憚なく表現しています。
人間誰しも漠然とは分かってる。心のどこかにはとっても卑怯で、利己的で、驕慢だったりする部分があるって。普段は克己心という名の殻に包まれてて外からは見えないんだけど、時折ひょっこり顔をだす、そういった嫌悪しつつも決してなくすことのできない部分。
そういったところを穿つ鋭い感性 -
Posted by ブクログ
怪奇短編が20編おさめられてます。
玉石混淆って感じかなぁ(~ヘ〜;)読後、背筋がす〜っと寒くなるような怖い短編集。
玉石の「玉」の方(笑)の中でも特におもしろかったのは、
『オーグル国渡航記』かな(’-’*) ここにでてくる「ジョナサン・ツウィスト作『ガニバー旅行記』」は、明らかに、ジョナサン・スウィフト作『ガリバー旅行記』をモチーフにしてますね。
でも、この話にある、
「彼が『アイルランド貧民児童の処理に関する一私案』という書を書いて、貧民の子供を食用に供すべしと提案した」
という記述は、確か事実だと思う。はっきり思い出せないけど、阿刀田高さんの作品にも似たようなことが書いてあったし