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”老人のための童話”っていう形容矛盾を、敢えてタイトルに据えた本作。全10編からなる短編集で、味わいはいずれもブラックユーモア。もう色んなパターンのこういうオチを見てきたせいもあってか、斬新さはほぼ皆無でした。中学時代に読んだ星新一の諸作品に対する驚きは感じさせられず。そんな思いとともに、本作者の他作品をとは思わず、久しぶりに星新一を読みたくなる、という感想を残すことになりました。
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【本の内容】
鬼に変貌していく老婆を捨てた息子と、その嫁の意外な末路とは…。
「姥捨山」や、織女と牽牛の「天の川」といった、有名な昔話をベースにしながらも、独特の解釈で綴られた10の物語。
大ベストセラー『大人のための残酷童話』の著者が、性欲や物欲、羞恥心といった、人間の奥底にひそむ感情を見事に描きだす。
[ 目次 ]
[ POP ]
「姥捨山異聞」「子を欲しがる老女」「臓器回収大作戦」など、おどろおどろしいタイトルが目立つ、10の残酷童話集。
昔話がベースだが、ほのぼのした温かさは皆無だ。
老人になるのが怖くなる-いえいえ、ここまで毒の強い話をすべて読破すれば、怖いものなんてなくなりそう!
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
倉橋由美子の老人のための残酷童話を読みました。大人のための残酷童話の続編でした。童話をモチーフとした倉橋由美子の世界が描かれていきます。物語の展開や描写の仕方が倉橋由美子らしくて、ひさしぶりに堪能しました。「天の川」などの女性の描き方も倉橋由美子らしくてエロティックな中に怖さも描かれていて嬉しくなってしまいます。倉橋由美子も既に鬼籍に入り、新しい小説が書かれることはないんだなあ、と思うと一つ一つの物語を大切に読んでいきたい、と思ってしまいます。
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読み終わって、「うわーー!!残酷ーー!」って感想がまず出た笑
不思議な老人が出てくる不思議なお話たち。ファンタジーというより童話。(童話とファンタジーは同じか?)
不思議な話なのに随所に出てくる性描写が人間味があって良い。
個人的には『天の川』が一番美しく不思議で好きです。
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『大人のための残酷童話』よりも自由な枠組みで書かれたブラックな寓話。結構どれも好きだけど、「天の川」の張騫がなんかかっこいい。「老いらくの恋」が一番不気味かも。「臓器回収大作戦」、脳移植時代のジレンマ、ホントにそういうことになりそう・・・ 「地獄めぐり」おじいさんがかわいそう。
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老人の出てくる不思議なお話10篇。
ハッピーエンドなお話はなく、「残酷」なラストが多い。死に行く老人に覚悟をさせる為の小説なのだろうか。
「老いらくの恋」と「地獄めぐり」が好み。
Posted by ブクログ
短編集。全10話。
誰もが知っている古典や童話などになぞらえて、独自の物語を紡ぎ出しています。
人間の心の深層を鋭くえぐり取っていて、さすがは倉橋さんだと感嘆しました。
人間の醜い部分・・・誰もが持っていて、されども秘匿していたい醜悪な部分を、彼女独自の世界観で解釈され作られた物語の中で、忌憚なく表現しています。
人間誰しも漠然とは分かってる。心のどこかにはとっても卑怯で、利己的で、驕慢だったりする部分があるって。普段は克己心という名の殻に包まれてて外からは見えないんだけど、時折ひょっこり顔をだす、そういった嫌悪しつつも決してなくすことのできない部分。
そういったところを穿つ鋭い感性と、それを表現する巧妙な筆致。素晴らしいですね、ほんと。