【感想・ネタバレ】倉橋由美子の怪奇掌篇のレビュー

あらすじ

夜ごと体を離れて首だけが恋人のもとに通う娘の怪しげな恋慕と残酷な死「首の飛ぶ女」。長風呂がたたってガイコツになった少年の病名は突発性溶肉症と診断された「事故」。夢の中に現われる世にも醜悪な男のたくらみ「交換」。元宰相ボーブラ氏はいかにしてカボチャ顔になったのか「カボチャ奇譚」など、幻想・残酷・邪心・淫猥な世界を、著者独特の文体でえぐりだす怪奇短編20編。

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Posted by ブクログ

やはり倉橋さんの怪奇小説は最高に面白い。
“大人のための童話”って感じがする。
夜の深い時間に無音の中読むのを薦めたい。

神話や伝説、昔話を題材にしたものから
SFちっくなお話までジャンルが幅広く、
作者の知的な部分が至るところで垣間見える。

設定や展開が斬新で、結末が最後までよめない
ところもよかった。
オチもいい意味でサッと終わっててよい。

文章の書き方も、重厚で文学的な文章から
ライトな語り口のものまで自由自在。

個人的に、カボチャのような顔の元首相の話と
長風呂しすぎて骸骨化する男の子の話が好き。

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2017年01月07日

Posted by ブクログ

ドロドロした怖い話が冷ややかに語られていて、むっちゃ面白い。
何度も読み返していますが、
今回一番心に引っかかったのは「首の飛ぶ女」。
人を愛することさえしなければ――という、
語り手の決意が哀し過ぎ。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

大人のための残酷童話が面白かったのでこれも読みました。
古典とかの元ネタが色んなとこに入ってる幻想小説で、エンターテイメント系なのでめちゃくちゃ読みやすかったよ。大人のための残酷童話もそうやったけど、多分わざとクセのないあっさりした文章で書いてるよね。
話もどれも面白かった。元ネタは分からないのもたくさんあったかもしれないけど。

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2020年01月02日

Posted by ブクログ

二十編の二十の怪奇掌篇を収録しています。

「革命」は、身体のなかで進行するガン細胞が、革命をめざす前衛党員たちとなって会話しているのが聞こえるようになった男の話です。心理学者の岸田秀が『ものぐさ精神分析』のなかで、まさにガンの進行を革命になぞらえる考えを語っていたことを思い出しました。

「鬼女の面」は、面をかぶるととれなくなってしまう「肉付きの面」のアイディアを借りた話です。面をつけられた女性たちが、死にいたるまでの性の悦びをあじわっていたことを知り、男は自分でも面をつけてみたいという誘惑に駆られます。

そのほか、印象にのこっているものとしては、少年の首のような植物らしいものを拾ってそだてる「アポロンの首」、美青年が醜い悪尉のような面相にとり換えられてしまう「交換」、スウィフトの『ガリバー旅行記』のパロディであり芥川龍之介の翻案による「桃太郎」のようなブラック・ユーモアに満ちた「オーグル国渡航記」などがあります。

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2024年12月26日

Posted by ブクログ

怪奇短編が20編おさめられてます。

玉石混淆って感じかなぁ(~ヘ〜;)読後、背筋がす〜っと寒くなるような怖い短編集。

玉石の「玉」の方(笑)の中でも特におもしろかったのは、
『オーグル国渡航記』かな(’-’*) ここにでてくる「ジョナサン・ツウィスト作『ガニバー旅行記』」は、明らかに、ジョナサン・スウィフト作『ガリバー旅行記』をモチーフにしてますね。

でも、この話にある、
「彼が『アイルランド貧民児童の処理に関する一私案』という書を書いて、貧民の子供を食用に供すべしと提案した」
という記述は、確か事実だと思う。はっきり思い出せないけど、阿刀田高さんの作品にも似たようなことが書いてあったし・・・。たぶん・・・自信ないけど・・・( ̄〜 ̄;)

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2009年10月04日

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