赤坂真理のレビュー一覧

  • 別冊NHK100分de名著 「日本人」とは何者か?
    斎藤環の河合隼雄「中空構造日本の深層」を軸に繰り広げられる一種曖昧論の推奨が面白い。単に良しとはせずに入り込まれる隙ともなると言う指摘もうなずける。コミュニタリアズムと同調圧力の議論にも似て、空気の研究、言葉の自動機械化という宮台の言説ともほぼ近いのでは。
  • 愛と暴力の戦後とその後
    偉そうだが「東京プリズン」という小説はそもそも小説技術において稚拙だった。個人的感情を含めての近代史論を展開するには小説は本来もってこいの手法だったはずだが、技術が惜しくも追いつかず作者の思惑が十分に表現できなかったように思う。翻って本作は、エッセイとしていわば「東京プリズン」のサブテキスト的に読ん...続きを読む
  • 東京プリズン
    作者の自伝的な小説。最後の留学先でのディベートは圧巻!恐らく実際に作者の留学時代の事実ではないだろうが。
  • 東京プリズン
    小説という武器を使って、天皇と日本、戦争と暴力の出自をむき出しにする、その手腕に脱帽。ある意味著者のバイオロジーを剥き身にして晒す。「愛と暴力の戦後とその後」とパリティにして読むと腹に落ちる。
    読者に新たな日本人観、世界観の構築を促す力作。
  • 愛と暴力の戦後とその後
    東京プリズンとパリティになっている。

    現代に至る「日本」というキーワードで隠語として隠されているものをむき出しにする感覚。まるで曼荼羅の様に読者個人の日本人観を再構築させる感覚を持った。
  • 愛と暴力の戦後とその後
     著者の曖昧なことをそのままにしておくのが、耐えられない感じがすごくいい。「戦争放棄をしていながら朝鮮戦争やベトナム戦争の特需で経済発展」「自民党は保守といいながらアグレッシブに改革する」「学生運動での共産主義が流行ったのは他に反体制の受け皿がなかったから」などなどこれまでモヤモヤしながらもそんなも...続きを読む
  • 愛と暴力の戦後とその後
    アメリカ的近代民主主義に対する戦後日本のラカン的受容(「他者の欲望」の欲望)を指摘し、これを外来の概念を内実の理解を伴わないまま「外来語」としてそのまま受容してしまえる日本語の特質に帰するあたりの言語感覚はさすが。論旨の流れにとっ散らかった印象を受けないではないが、高度成長期から東日本大震災に至るク...続きを読む
  • 東京プリズン
    天皇と戦争責任。今でも連綿と続くこの問題に挑んだテクスト。何故、タブーとされるのか。そして誰しもが天皇はひとなのか神なのか、あるいは、戦争を始めた主体が誰なのか議論し、責任問題を清算できていない背景には何があるのか。そのルサンチマンを徹底的に抉り出した作品だ。必読の一つ。
  • 愛と暴力の戦後とその後
    同い年の人が書いた文章は歩みが違っても共感性が高くなる。これが同時代性というものか。ただ同時代を生きながら、その中心にいるのではなく、辺縁を歩いているからこそ共感できるのかもしれない。この本のテーマは「物語」か思う。著者の問題意識は、「私たちの現在は、明治維新と第二次世界対戦後と、少なくとも二度、大...続きを読む
  • 東京プリズン
    赤坂真理『東京プリズン』
    ムムム。解説の池澤夏樹の言葉を借りれば「小説にはこんなこともできる」。姉妹書の『愛と暴力の戦後とその後』と併せて読むと、小説の本書の方が解説的で新書の姉妹書の方が情緒的描写的ですらある。それなのに、やはり、本書はすごくパーソナルな視点と感情から時代を描いた"小説"。内容と形...続きを読む
  • 愛と暴力の戦後とその後
    凄まじい。
    プロローグ、第一章「母と沈黙と私」と読んですでに「確かにあったのに、誰も語らなかったこと」が横溢している。
    第三章「消えた空き地とガキ大将」は、単独で優れたドラえもん批評。マンガと社会と歴史、現実と願望の関わりに迫った奇跡みたいな評論だ。
    第四章「安保闘争とは何だったのか」 こちらもまた...続きを読む
  • 東京プリズン
    第1章の前に、「私の家には、何か隠されたことがある。そう思っていた。」との文が置かれています。
    「私の家」と同じように、日本にも、何か隠されたことがあります。
    これは私の予想ですが、日本には何か隠されたことがある、と肌で感じることができたのは、筆者の世代が最後なのではないかと思います。

    この小説は...続きを読む
  • 東京プリズン
    一度書いたレビューが飛んでしまったので長く書く気力はないが
    大傑作。ただ、1度読んだだけでは消化しきれない。
    わからないのではなく、立ち止って考えるところが多すぎて。
    マリ・アカサカは作者と同じ名だが作者自身ではない。
    そこが重要。自身の名をあえて作中に用いることで宙づりにしている。
    それはテーマに...続きを読む
  • 東京プリズン
    妄想のところはわかりづらかったが、少なからず日本人としてのアイデンティティを揺さぶられる。
    帯にもあるように、外国語に翻訳して世に問うてもいいのではという作品だった。
  • 東京プリズン
     エンターテイメントでは、ない。
     複数の時間を往き来し、複数の人物が重なりあう。
     人びとの曖昧なアイデンテイを、表現するための文学的な方法としては、それほど珍しいものじゃない。
     リアルな小説ではないんだから。
     考えることの無かった、まさしく真空地帯に、楔を打ち込んだ。その時に、私たちは、何...続きを読む
  • モテたい理由 男の受難・女の業
    どうして人はモテたいのか?モテたい「理由」を通して、男女の感じ方・生き方の違いがわかる本。

    よく言われているけど、男はシングルタスク・女はマルチタスクなんだとか。
    女性は変化に強い。それはホルモンのバランスで毎月時期によって体調が変化してしまうから。
    ただし画一的な労働を求める近代社会におい...続きを読む
  • モテたい理由 男の受難・女の業
    男も女も、読むべき。という書評で読んだが、
    まさにその通り。男も女も、読むべきだ。

    実に鋭い。
    その鋭さは、世界を見事に、
    特に女と男の世界を包んでいる
    虚大な皮をすっぱり斬り捨てて、核をあらわにする。
    それだけに、痛みを感じる。
    虫歯菌が強固なエナメル質を溶かして、
    神経に達したように。

    世界...続きを読む
  • モテたい理由 男の受難・女の業
    爆笑、そして痛快。
    社会を観る筆者の観点が、痒いところに手が届く感じ。
    なんだか自分まで頭がよくなった気がするのは、豪儀な論のためでしょう。
    宇宙のような、女の子の頭の中。
    女はわからん、という男の子が一度読んでみるといいんじゃないかしら。
    一番響いたセリフは、男が戦争に行くときの覚悟の話。
    「“父...続きを読む
  • モテたい理由 男の受難・女の業
    〜抜粋
    女が最も達成感を感じるとき
    「女の喜び・・・、グループの中で自分が一番多くの異性目を集めながら、最高の(自分の意中の)一人から(ステディあるいは結婚の)プロポーズをもらえること、自分は餌を撒き(体のラインを強調してみせたり胸の谷間をほのめかしたりする、など)、獲物を待つ。そして目当ての獲物が...続きを読む
  • 東京プリズン
     『愛と暴力の戦後とその後』が素晴らしくて、それを読んで以来憲法改正には慎重な立場となった。それからずっとこちらの小説も気になっていて参院選の機会に読んでみたのだけど、けっこうしんどくて投票までに読み終わらなかった。

     高校生なのに頭が良すぎる。外国語でディベートをするのもすごいし、それ以前に知識...続きを読む