赤坂真理のレビュー一覧
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バブル期の頃に多感な時期を迎えた少女が、アメリカ留学先の学校の授業で、天皇の戦争責任についてディベートを行う。その準備の際に、今まで考えたことのなかった敗戦国日本;天皇、戦勝国アメリカ;キリスト教等の対比について考え、感じ取っていく。
バブル期に父親の事業不振で、「電気の川(送電線)」の流れる高井戸から、醜悪に開発された本当の郊外への転居し、環境適応の端緒を失いかけた少女。母親の意思でアメリカ留学、それも環境厳しいメーン州の田舎へ遣られる。風土やカルチャーが全く異なる中でマイノリティ、エスニック、さらに敗戦国の人間として彼女はますます疎外を感じる。その様子は、ハンティングでヘラジカを殺し食す描 -
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だいたい日本史はマッカーサーと天皇の写真のあたりで教科書の記憶は消えています。戦後史は公的な歴史とならないままでまた69回目の終戦記念日を迎えます。本書の題名にある「…戦後とその後」は象徴的でただひたすらに時が積み重なる戦後という物語に対するモヤモヤの表明で、ある意味、ま逆の立場の安部首相が戦後レジームの総決算を希有するイライラ感にも通底するものだと思いました。ただ自民党のそれがひたすらにマッチョへの願いであるのに対して著者のそれは、もしかしたら女性ならでは皮膚感覚で語られていて「違和感の戦後史」と言えるものになっています。その違和感も言葉の定義という根本的な原則からのものであって(憲法とか、
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太平洋戦争、ベトナム戦争、バブル景気、震災。それぞれの「戦後」に人々はどう向き合ってきたのか。自分はどう向き合うのか。主人公アカサカ・マリが依り代となって、それらを重層的に語る。正直な話、読みにくい。自分を取り巻く大きな歴史と自分のごく個人的な歴史とに同時に向き合わなければ、この問題について真摯に考えたことにはならない、ということか。それにしても入り組んでいる。内容はもちろん違うが、昔読んだ加藤典洋『敗戦後論』の入り組んだ議論を思い出した。娯楽にならないことは覚悟した上で、少し我慢してでも読む価値はあると思う。あと、留学体験というのはやはり強烈なものなのだろうなと思った。
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こんな幻想的な内容だとは思っていなかったので、
なかなかに衝撃的だった。
そして、ちょっと受け付けない。
それでも、すごい作品だと言うことは分かる。
どうしてこんなものが書けたのだろう。
主人公は2010年に50前、つまり親世代の少し下。
私にとって一番謎な世代。訳が分からない人々。
こんな思いを抱えているからなのだろうか。
戦争の影を隠して生きる親に育てられ、
自分のアイデンティティーを求めずにはいられない。
私には到底理解できない。
初めて知ったことがたくさんあった。
それでも、それを知って、私は主人公ほどの衝撃を受けない。
知ってはいなくても、そうだと知れば納得できてしまう。
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Posted by ブクログ
天皇の戦争責任や、日本人にとって天皇の存在とは等、ベトナム戦争やキリスト教をも引き合いに出しながら、タブー視されてきたテーマに真っ向から取り組んだ、意欲的な作品。
前半は、夢かうつつか時間も空間も散り散りのシーンの挿入に、どこでつながるのか方向性が見えず、読みづらさが先行した。が、バラバラだったエピソードの関連性が見えてきてからは、読み応えもありじっくり楽しめた。
ただ、重いテーマの裏で主人公が15才で渡米した理由や、母親の過去、母子関係など、物語の設定に関しては思わせぶりに引っ張った割には未消化のまま終わっていて残念。もっと書き込んでほしかった。
作者と主人公が同じ名前というのは、意味がある