あらすじ
ヴァイブレータ――振動するもの。あたしの中身は震えつづけている。アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターのあたしは、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。『東京プリズン』で母と娘の物語を完成させた赤坂真理の代表作。映画も多くの賞を受賞。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
最初に赤坂真理さんに触れたのは「ヴァイブレータ」の映画版だった。頭の中の複数の声や幻聴に悩まされて酒と食べ吐きに逃げる主人公の、徹底した一人称目線の映画で、映画でここまで一人称目線を徹底できるのかと驚いたと同時に、その描き方故かあまりにも幻聴や幻視的なものが近くに感じられて恐ろしかった。
原作を初めて読んだけど、映画は驚くほど原作に忠実だった。あとがきにも書かれていたけど、最初に原作を読んでいたら、私も「これは絶対小説にしかできない」と感じていたと思う。
言葉の崩れ方や去り方があまりにもリアルだから。
Posted by ブクログ
解説の寺島しのぶが「20代最後の宝物」なんて書いているものだから、読んでみた。
『東京プリズン』とは重みの違う彷徨。
でも、その人にとっての彷徨の重さなんて、関係がないのだと思う。
何かがあるような気がして、何かから目を閉じたくて、でも本当の終わりにはしたくなくて、結局は何かを求める。
食べては吐いて、ぐっすり眠る。
満たしては失って、明日を迎える。
コンビニでふと触れた見知らぬ男を追いかけて、彼女はトラックに乗り込み、彷徨する。
この男が、格好いい。
随分な過去を持っているけど、優しい。
触れること、求めること、拒むこと、どんなことにも応じてくれる。そんな人がすぐ目の前にいたら、やっぱり自分の彷徨に付き合わせてしまうような気がする。
20代最後の宝物。
その意味は分かる気がする。