赤坂真理のレビュー一覧
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本屋で『ある晴れた夏の朝』を見かけ、その内容が“アメリカの学生が原爆投下の是非をディベートするお話”と知り、じゃぁ『東京プリズン』と合わせて読んでみようかなと。
『東京プリズン』は、このなんともホラーな表紙wのせいもあり、出た直後から知っていた。
日本の女子学生が、“第二次大戦において天皇に戦争責任はあったのか?”を米国の学生とディベートするお話と知って、読んでみたいなーとは思ったものの。
ただ、ま、他に面白いミステリー小説があったんだろうね(^^ゞ
結局、読まなかったw
ていうかー、こういうお話だとわかっていたら、当時は絶対読まなかっただろう。
それこそ、本屋で『ある晴れた夏の朝』を見て。どちらも第二次大戦について学生がディベートするお話だから、「合わせて読んでみるか」と酔狂起こさなきゃw、絶対読まない本だと思う(^^ゞ
というのも、これって、そのディベートの部分も含めて、著者のインナースペース(内的宇宙)を巡るインナートリップ(今は「マインドトリップ」の方がわかりやすい?)のお話なのだ。
簡単に言えば、陰鬱な「ファンタジー?」みたいな。
そーいえば、『ある晴れた夏の朝』は、ミョーにキレイな、カラッと明るいお話だったけど、だからって、これは『裏・ある晴れた夏の朝』なんだと言うには陰鬱すぎる。
もしかしたら、著者自身、これは他の人に読んでもらう小説というより、自らのインナースペースを旅することで、日本とはなにか?、日本人とはなにか?、日本語とは何か?といった自らの疑問と向き合う…、みたいなことの方が目的だったような気がするかな?
とはいえ、著者って、結構エキセントリックな作家らしいから。
もしかしたら、そもそもこういう作風なのかもしれない。
そこはわからない。
『ある晴れた夏の朝』も日本語の特性(特異性?)が一つの主題になっていたけど、これは、そのことがもっと内容に関わっている。
ストーリー的には、その辺りが語られる、真ん中よりちょっと前くらいから面白くなった。
といっても、すぐにまた、インナートリップしちゃうし。
ニッポン人からするとゲンナリしちゃうw、アメリカのティーンエイジャー特有の価値観や、アメリカの保守的な価値観に染まった人たちと主人公の陰鬱なコミュニケーションにウンザリって感じ(^^ゞ
「最終章」で、やっとそのディベートが始まるので、ストーリが進むこともあり、面白くなるのだが、でも、また途中でインナートリップ┐(´д`)┌
そういえば、この小説にあるインナートリップの描写を「村上春樹を思わせる」みたいな感想を書いている方が何人かいたけど、そこは全然気がつかなかったこともあり、「なるほど!」と。
「そうか。村上春樹の小説にあるファンタジー要素って、たんにインナートリップとして読めばいいんだな」って、そこは大いに気づかされた。
でー、肝心の「天皇の戦争責任」をめぐるディベートだけど。
『ある晴れた夏の朝』を読んだ時は、このディベートの内容って、第二次大戦が歴史の教科書の出来事になっちゃった今、高校生はともかくも、小学高学年〜中学生くらいだとどこまで理解出来るんだろうか?と思ったけど。
ここで語られる歴史認識や歴史解釈は、一般的な大人ですら、どこまで理解が追いつくんだろう?という感じ。
自分は、第二次大戦のことを系統だててわかっているわけではないタイプ…、つまり、大人になってから中途半端にいろいろな本を読んで、中途半端にいろいろ知っているというタイプだから、このディベートの内容になんとかついていけている……、のかな?wという感じだ(^^ゞ
ここで語られていることは、たんなる世界史だけじゃなくて、「その世界史」が書かれた政治的な背景(国の思惑)にも触れている。
そうなってくると、高校で「世界史」を選択したくらいじゃ、ちょっとキツイんじゃないのかな?と思うんだけどどうなんだろう?
だって、それなりに近代史に興味を持っている日本人でも、「東京裁判」の詳細となると結構盲点だと思うのだ。
ただ、自分は「世界史」を選択していないので、その辺はなんともだ。
ていうか、ここでは歴史だけでなく、(今も昔も変わらない)一般的アメリカ人が信仰するキリスト教の当たり前(その非論理性による自らの欺瞞を正義とするために、合理的に利用する)までもディベートの内容に入ってくるので。
その辺となると、普通の日本人だと全く想像の外だと思うのだ。
例の「トランプ現象」があったことで、億万長者のトランプ氏を「中間層」とは名ばかりの中西部の貧乏白人層が支持するその背景の意味不明さを知りたいがために色々本を読んでいく内に、どうやらそこには、キリスト教を盲信する「アメリカの伝統的価値観」が大いに関わっているらしいとわかるけど。
でも、(この本にも出てきたけど)アメリカといったら、NYと西海岸、テイラー・スウィフトはファッションアイコン、今日も大谷翔平がホームラン!というのがアメリカだと思っているのもニッポン人だ(^^ゞ
もっとも、「天皇の戦争責任を学生がディベートする」なんて内容の本を読むのはそういう一般的ニッポン人じゃなくて、ちょっとエキセントリックな人なのかもしれないけどね(爆)
著者の史観?
著者がこの本で書いている(ディベートとして出てくる)、大日本帝国を戦争に暴走させてしまった原因は、うろ覚えだけど渡部昇一の史観と似ているように思った。
そういえば、石破さんも「戦後80年の談話」として、あの戦争の原因として最初に大日本帝国憲法を挙げていたけど。
渡部昇一は、大日本帝国憲法の不備を元老がカバーしていたんだけど、最後の元老である西園寺公望という“重し”がいなくなったことで、軍部による統帥権干犯が発生。それによって、軍部の暴走したことであの戦争に突っ走っていいってしまった…、みたいなことを書いていて。
渡部昇一というと、「左がかった目で物事を見ることが正しいこと!」になっちゃった今のニッポン人からすると「右」の人になっちゃうのか(某日本の首相と比べたら全然ニュートラルなのにね)、最近はあまり語られなくなっちゃった人だけど。
(ていうか、2017年に亡くなっていたんだなぁ…)
決して、極端な国粋主義者というわけではなく、ある意味合理的な視点で歴史を見ていた人だと思う。
もちろん、合理的に視点で歴史を見ることで戦前戦中の日本を擁護しすぎた面もあるのだろう。
でも、たんに耳障りがよさだけで、左がかった「今の正しい」を盲目的に信仰する人たち、あるいは、その逆の「過剰に日本正しい!」に陥っている人たちに溢れている今のニッポンの論理と比べたら、渡部昇一の合理的な歴史の見方というのは全然公正だし。
なにより、中道だ(^^ゞ
ただ、中道というのは、当たり前のことだから退屈で。
左がかった「今の正しい」や「過剰に日本正しい」みたいなデタラメの極論の方が面白いから、そっちを信じて、お祭り騒ぎしたいのはわからなくもないんだけどね。
でもさ。
いつの時代も、どんな国でも、国がおかしくなるのは国民の極論好きから始まるんだよ。
ディベートの中で、天皇の仕事は「恋をすること」というのが出てくるが。
確か、渡部昇一も『日本史から見た日本人』で、その辺りのことも書いてなかったかな?
(違うか? それは『逆説の日本史』だったか? 忘れたw)
ていうか、これは日本人である著者が書いたフィクションだから、アメリカの学生が「天皇の仕事が恋をすること」と言っても不思議はないのだけれど。
もし、アメリカ人のフツーの学生が本当にそれを理解出来ているのだとしたら、かなりビックリだ(^_^;)
たぶん、著者は自らの知識でそれをアメリカ人の学生に言わせているんだとは思うけど、いずれにしてもニッポン人はもっとアメリカ人のことを知ったほうがいいのは確かだろう。
この『東京プリズン』と『ある晴れた夏の朝』、どちらも★3つにしたのは、それぞれ帯に短し襷に長しなんだよなぁーと思ったから(^^ゞ
誰か、今っぽく左寄りでもなく、今っぽい右寄りでもない、ちゃんとモノの見える人が、これらの中間くらいのものを書いて欲しいかなぁーと思う。 -
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「天皇の戦争責任」「東京裁判」と題材はよかったのだけど、話が行ったり来たりして、追いついていけないというか、理解ができない部分も多くて‥。
「人はどんなに長く生きても人生に時間が足りたと思うことはないのだろう」
カリキュラムは卑弥呼から始めて明治維新あたりで時間切れになるようになっている。確かに‥正直、卑弥呼だの縄文だのってこれから生きていく上で必要だろうか?ならば近代日本史をもっと学ぶべきだし、戦争のあり方について、過ちについて学ぶべきだと思う。
それと終戦記念日について。なぜ「敗戦」ではなく「終戦」なのか?なぜ負けたのに「記念」するのか?考えたこともなかった。でも言われてみれば、そうだよな!って。 -
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ネタバレなんでしょう。なんかわかる。
2007年初版。17年前の本。
当時は、もう子育て真っ只中(子どもたちは小学生)でしたので、前線離脱していましたが、結婚に向かう女子の気持ちや、それを煽るファッション誌の記事への解説。
なんかわかる。
「FRAU」記事…
〜私が決めるというプライド〜
20代女子、「望む時期に相手にプロポーズさせた」ことかプライド。
30代女子、「とにかく年下で、低収入がある男性を狙おう」と決めた。「家探しと一緒です。2つ以上の条件を望んじゃダメですね」自分が決めるがプライド。
著者は、この特集を男友達に見せると…
・昔のホットドッグプレスみたい。
・男のナンパの基本は数撃て!数撃ちゃいつか当る!ナンパ理論の「ヤレる娘」と同じ。
・偏差値を見て志望校を下げる合理感覚と同じ。「不遜な考えを持って謙遜して事に当たる」目的のために感情を抑えるのは、男らしい!
あとは…
ファッション誌のあり得ない設定で、憧れさせる。まあ、商品を売るための雑誌なのでしょうがない。
ライフスタイルを憧れさせる。
中身無く、ファッションや仕草で男心を掴む。
そんな中、突然、出産を特集さた「FRAU」。2007年12月号。
仕事も子育ても完璧!
一時期、問題になってたね。
雑誌に踊らされて、仕事も子育ても完璧にこなさない私はダメ。って、落ち込む女性が増えている。と。
そんなん出来るわけないじゃん!
まあ、そもそもそんなに流行の先端を行こうと思っていない私は、美容院でファッション誌を見るくらいです。たまに、気合いを入れて服を買おう!ヘアスタイルを変えよう!と、思った時だけ、ファッション誌を買います。
そのファッション誌を見て、娘曰く
「え〜ママこんな服着るの〜おかしい!私でも着られる!」と。
40代向けのファッション誌のコーデでも、20代で着れるのもあります。20代向けのファッション誌のコーデで、40〜50代の着れるコーデもありますよね。
これ、本と全く関係ないですね。
あと、最後。面白かった点。
著者が、高校でアメリカ留学していた時に、美術の先生に言われたアドバイス。
「あなたは日本語のアクセントをなくしてはだめよ。でないと、あなたの特徴がなくなる。アメリカ人はあなたが英語をはなすのも当然に思ってしまうからね」
発音がネイティブ並みなのは、単にネイティブスピーカー社会の下層に入れるだけ。
なまじ発音がネイティブ並みだと、何かミスコミュニケーションをしたとき、言葉の技術的な事かもしれないと考えてもらえなくなる。 -
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【箱の中の天皇】
赤坂真理
「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の2つの短編小説が収録されている。前者は現・上皇様の退位に関する「お言葉」の話も絡め、主人公のマリが戦後間もない頃の日本でマッカーサーと関わっていく幻想に入り込んでいく話。天皇制という制度に関する在り方を一人の人間を見つめる目線で投げ掛けている。
後者は東日本大震災の四年後の福島を舞台に新聞記者の主人公がやはり幻想に入り込んでいき、震災当日の感覚を体験する。後半はほぼ全編が詩で書かれたような不思議な世界観だ。そしてどちらの話も、かつてうまく向き合えていなかった父の存在が根底にある。
流し読みをしてしまったので雰囲気を味わったくらいなのが正直なところだが、特に後者の話はかなり幻想的に、生と死の狭間で人が見るであろう風景を悲惨な中にも美しく描いていたと感じた。 -
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難しいな
それが最初の感想だった。
捉え所のないような……。
著者の心の中、頭の中を泳いでいるような印象だ。
わかるような、わからないような。
他人だもの、それは当たり前だ。
だって私は、私でしかないから。
どんなにわかろうと思っても、どんなに共感しても、私は私のフィルター越しにしか他人を見ることしかできない。
それは決して無駄ではないけれど、完全に混ざることはない。
それを悲しいと取るか、面白いと取るか。
どちらにも言えるから、私は自分を、他人を、知りたいと思う。
ロックバンド、Queenと映画ボヘミアンラプソディと、フレディ・マーキュリーが何度も語られる。
私は映画は見ていないのでわからないが、たしかにQueenの曲は多感な少女だった私を震わせた。
それから、性について。
愛おしい触れたいと募る思いだけではなかった。
あの人にもっと愛されたかった、どうでも良い、そんな思いもあった。
叶えてしまえば消えてしまう欲、だからその直前までが好きだった。
この本は心にしまってあったものを探し当てる。
開いてみたら、手当てした絆創膏を大事にしまってあっただけだったり、また奥深くにしまいたくなったりするものもある。
読みながら感じる私の存在。
好きではないのに。
だがその一方で狂おしいほどに私自身は愛おしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半は天皇と日本国民の関係などを夢や幻想で比喩として表している部分が多く、読み進めるのがとても辛かったです。
後半は三島由紀夫の小説が引用されていることに象徴されるように、右翼的な(親米ではない)目線で物語は展開されていきます。東京裁判であまりにも不当に日本を裁いたアメリカへの批判はもちろん、戦後そのアメリカに何の反発も持たずに憧れすら抱いている日本人を痛烈に批判している様は見事です。
しかし総合すると、前半や後半にもたびたび出てくる夢や幻想の部分が私にはどうしても合わず、このような評価となりました。それがなければ星4つでした。