赤坂真理のレビュー一覧

  • 東京プリズン

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    小説の力、言葉の力を存分に味わえる傑作。豊潤なイメージに満ち、読者を迷宮へと誘い込む。純粋に小説として読めるならば、この作品の完成度の凄さにひれ伏したくなってしまうほどだ。ただし、天皇制の是非などという政治的な要素に囚われる人にはこの小説はまったく響かないであろう。
    東京裁判を模したハイスクールでのディベートを軸に、「私」の意識は過去と現在、母と娘、「I」と「people」、昔住んでいた家と森、鏡のあちらとこちらを縦横無尽に移行する。「大君」とヘラジカの存在も印象深い鍵となる。アメリカの地で日本人である「私」を突き詰めていくうちに、日本とは何か、そこにある天皇とは何か、という根底に行き着く物語

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    2020年01月01日
  • 東京プリズン

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    戦後に生まれ、戦争のことを知らないまま、アメリカに留学した、高校生のマリの物語。
    アメリカン・ガヴァメントという授業で、天皇の戦争責任について、進級をかけディベートすることになる…という話は、この本が話題になった頃に知った。

    複雑な物語で、どう言っていいかわからない。

    たった一人で、カルチャーショックの中、母を国際電話で呼ぶ。
    その回路が、2010年前後の、現在のマリに繋がり、二人は母子を演じながら会話する。
    二人のマリは、両親の戦中、戦後を追い、バブル前後の自分たちも振り返る。
    こういう、日本の近代史を見返していく部分がある。

    その一方で、マリが留学中に地雷を踏むような形でアメリカ人の

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    2019年11月22日
  • 東京プリズン

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    ネタバレ

     『愛と暴力の戦後とその後』が素晴らしくて、それを読んで以来憲法改正には慎重な立場となった。それからずっとこちらの小説も気になっていて参院選の機会に読んでみたのだけど、けっこうしんどくて投票までに読み終わらなかった。

     高校生なのに頭が良すぎる。外国語でディベートをするのもすごいし、それ以前に知識と知能がめちゃくちゃしっかりしていて、そんな子を落第させるなんて、アメリカの先生どうかしている。今50歳のオレの人生のどこを区切っても16歳の彼女より頭がよかったことなんかない。そういう意味ではあまり現実味を感じないほどだった。

     時空と人格を超えて通信する場面は面白かったけど、ほかの幻想的な描写

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    2019年07月24日
  • 東京プリズン

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    天皇の戦争責任のことを
    日本人の少女が
    アメリカで弁明する
    というあらすじに惹かれて手に取ってみた。

    これまで深く考えようと思ったことはなかったけど、確かに天皇って、世界に類を見ない不思議な存在だ。
    生と死、男と女、戦争と平和、傀儡と主体、人民と統治。
    色々な概念を総合して考えても、答えの出せない人?神?

    だから、この小説は正直とてもわかりづらい。
    色々なところへ飛んでいき、これはあれだと思った。
    難解な演劇によくあるやつ。
    ひとつの空間を色んなものにみせてくかんじ。
    演劇みたいな読書体験。
    でもこれはそうしないと、伝えられないからなんだ。
    それくらい、私たちは複雑に屈折したものを抱えてい

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    2019年07月08日
  • 東京プリズン

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    東京裁判における天皇の責任という問題を、アメリカ留学中の高校生マリがディベートで追訴する。自分の土壌でない場所で、相手のルールで物事が進めらていく極度のストレスは経験からかなり共感するところがあった。母娘関係、第二次世界大戦の振り返り、戦後の日本人の思考方法など様々な重い問題が何層にも書かれていて、正直読んでて気が重かった。だがそれらを束ね、振り分けて小説にうまく取り込み、主人公の30年の虚無感に救いを見出して示してくれた作者には拍手を送りたい。

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    2019年06月26日
  • 箱の中の天皇

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    「箱の中の天皇」
    「東京プリズン」の時も思ったけど、攻めるなぁと。
    こういう小説は赤坂真理さんにしか書けないのではないか。
    ちゃんと読めたかどうか全く自信はない。自信がないのでネットで書評を読もうと思ったが、数が少ない上にあまりピンとこない。中島京子さんの読みたいのに何行かしか読ませてもらえない。
    小説の感想にはならないが、この小説を読むことによって、天皇についていろいろ考えた。
    今の天皇が誰にもよくわからない「象徴」という意味を考え、行動、実践されてきたことに対し、敬意を改めて持てた。誰にでもできることではないと思う。
    本来なら私など「天皇制反対」みたいな方に行きそうなのだが、あのお二人を見

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    2019年04月16日
  • 東京プリズン

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    「シン・ゴジラ」評がとてもおもしろかったので、著者の小説をしっかり読みたいと思っていた。

    イデオロギーにまみれて日本ではまともな議論の成り立たない「天皇の戦争責任」。著者は、アメリカの高校でのディベートという舞台設定と、さながらシャーマンのように過去の人びとやときには野生動物と心を通わせられる主人公の組み合わせで読者を土俵にとどまらせる。

    ベトナム、ネイティブアメリカンの人びと(あるいはその精霊)との対話は、ともすれば「米国だってお互い様」という主張の準備のようにも受け取れる。が、それはとりもなおさず日本もまた加害者である、という歴史から目を背けられないことも意味する。

    主人公のマリが東

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    2019年04月07日
  • 箱の中の天皇

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    天皇論。今上帝が退位されるこの時期、なんとなく思っていた事を文章で読み、思ってもいなかった事を指摘され、読み終わる頃には、頬を叩かれ目を覚ませと言われたような気分でした。あと一遍は、3.11に関する物語。

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    2019年03月31日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    近現代史ってよくわからなくないですか?
    なぜ太平洋戦争が起きたか、
    それ以前に、なぜ大東亜共栄圏のもと、
    満州や朝鮮、台湾などを支配していたか、
    についても、その動機や当時の民衆の考え方や空気が
    イマイチつかめなかったりしますし、
    そういう方ってけっこういらっしゃるのではないですか。

    ぼんやりした近現代史のとらえかたで生きているからこそ、
    現在に生きるぼくらの精神構造に少なからずその影響があり、
    よくわからない矛盾や苦悩が、
    意識上か意識下か、そのすれすれのボーダー付近から生じたりする。
    本書は、そのような、ぼんやりとしかわかっていないひとの多い近現代史を、
    自らもぼんやりとしかわかっていな

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    2018年01月14日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    硬直的でないのは、著者が自分の良心に誠実に向き合って出てきた言葉を紡いでいるからで、そこにちゃんと迷いや葛藤がある。重心の置き場は読者と違うかもしれなくても耳を傾けられるのは、ちゃんと自分の意見を冷静に見つめる視座があるからだと思う。なかなか大っぴらに提示しにくい問立てだけれど丁寧に自分を語ることから入って様々なことを考察する。面白かった。

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    2017年12月18日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    私小説というか,ルポというか.
    著者が内面を掘り下げながら戦後を総括している.
    感情的な語句が多く,こういう種類の新書はあまり読むことがなかっただけに,言葉を飲み込むのにとても時間がかかる.しかしながら,引き込まれる感覚があった.
    戦後日本を振り返るならば,誰も責任を取らなかったし,責任を取ることを避ける世の中であり続けたし.また責任を取ることとはいったい何なのかという問いをもたらしているにもかかわらず誰もそこを直視しない現実が有り続けているということを,思考から導き出している.その思考が果たして正しいかどうかは置いといて,それでも圧倒的に深く考えて表現しているものになっていることは間違いない

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    2017年04月21日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    ネタバレ

    日本人の国家観や出来事評価、政治観について、「普通の人」の感覚で調べ考えたもの。憲法について、天皇について、政治について、原発事故について、なぜ何も言う言葉がないのか、その理由の根幹を考えたという本。確かに、多くのことに共感をもった。

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    2017年02月21日
  • 東京プリズン

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    ネタバレ

    作者マリが米国留学時に経験した天皇の戦争責任の有無のディベートを題材としているが、母と娘、祖母と母、自分と母、肉体と精神、時空を超えた超常的な対話が起こり構造が複雑。
    東京裁判について日本人が誤解している2点を米国人から指摘させている。A級戦犯とは平和に対する罪のことで、犯罪の程度による分類ではないこと。真珠湾攻撃はハーグ陸戦法規定の不備もありだまし討ちではなくアクシデントと認定されていること。日本では近代史を教えないことが繰り返し出てくる。戦後の日本をどう解釈するのかを問う大作。

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    2016年06月23日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    戦前、戦後についての考察は社会学としても、私がこれまでに聞いたことも考えたことのないもので非常に印象深かったが、この国を覆う閉塞感については個人の経験による考えが強くあまり同意できなかった。たた、我々が恣意的に忘却を選ぶ民という考え方を総論的な本書の読み取りとして感じ、この考えには同意できた。ひょっとしたら忘れないことは罪にさえなるのかもしれない。社会という眼前に広がるものに恐怖と絶望を感じた。それでも、立たねばならぬだと思う。

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    2015年12月12日
  • 東京プリズン

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    なかなか理解が難しい作品であったが、終盤のディベート最終弁論が良かった。天皇の想いが活字になって蘇ってきたように感じた。
    キリストと天皇の対比も面白い視点だった。アメリカという国の不合理さもわかる気がした。
    作品中でも指摘があるように太平洋戦争とそこに至る歴史を本当に教えられていない。歴史認識が叫ばれる昨今、他国も含めて理解しなければならないと思う。

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    2015年11月06日
  • 東京プリズン

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    高校生でアメリカに単身留学し、ホームステイをしながら、メイン州の小さな町で勉強する。冬はとても寒くL.L.Beanの本社があって町に住む人のハンティング・ブーツはみなL.L.Bean。機能的で暖かい。とても素朴な留学生活ですが、進級するためのディベートのシーンがとても苦しかったです。学校で唯一の留学生かつ日本人に「天皇に戦争責任はある」を議題に、リハーサルでは否定/弁護し、本番では肯定/訴える立場に立つという課題がでる。たくさんの内なる声を聞いて、混乱し、私とはかけ離れた存在になっていくようでした。天皇とイエス・キリストを比較したり、わたしという一人称で戦争責任を語ることの困難さが伝わり、息苦

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    2015年08月25日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    近代というもの、戦後とはいったい何だったのか、学術的な話ではなく、筆者が身近に起こったことを起点にそれについて考察されています。戦後の特殊な一時期にあって、現在にはなくなってしまったもの、その一つに「ガキ大将」などの暴力があり、それが大切だったということを感じさせてくれます。そしてその暴力を、今の私たちは分かることができなくて、その時代の人にしか理解できないものなのだなと感じさせてくださりました。その文脈から、この間の原発事故、オウム心理教のこと、決してて他人事ではないということ、改めて教えられました。

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    2015年08月16日
  • 東京プリズン

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    日本には「隠されたこと」が確かにある。
    敗戦の空虚を隠さざるを得なかったのは、誰もが信じる空虚を守るためか。
    ものすごく読みづらいし文章も苦手、だけど、読まないと気付かなかったことがたくさんある。
    日本のアイデンティティーって結局何なんだろうな…

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    2015年08月14日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    東京プリズンの作者

    私の国には、何か隠されたことがある。

    天皇が近代にどう作られたかと言う問題。
    なぜ、彼は罪に問われなかったのだろう、なぜそれを、もういけないような空気があるのか、

    戦争犯罪人、A級平和に対する罪、B級、通常の戦争犯罪、例えば捕虜の虐待や民間人の殺戮、C級、人道に対する罪、

    物語の作り方は神の作り方に似ている。
    1大和物語に縛られ逆に物語に操られてしまう存在でもある、人は自己のよって立つ物語がなければ行きにくい。
    世界の宗教の歴史はそれを教えていないだろうか、上とは物語フィクションの最たるものかもしれない。

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    2015年08月13日
  • 愛と暴力の戦後とその後

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    「がんばろう東北」ではなくて「嘆いていい、東北。あなたたちのために私たちはがんばる」と東北以外の人が言うのが、筋なのではないだろうか?
    に納得。それ以外の言葉は、気持ちの真相に挟まった感じですぐには出てこない断片になって我が身に入った。

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    2015年02月20日