赤坂真理のレビュー一覧
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自伝と東京裁判、さらにアメリカと日本各論、戦前戦後の日本人の意識変革分析などを織り交ぜる着眼はとても興味深かったのだが、作風なのだろうか、リアルと幻想がシームレスで織り込まれるために悪い方向に幻惑してしまう。修辞のつもりだろうが多用される指示代名詞、無駄な倒置法、作為的な体言止めを繰り出すものだからどうにも読みづらい。はっきり言って文章がへたくそなのだ。英語での憲法原文や、アメリカ人気質など、興味深い点は多いのだけれど。
度々飛躍する幻想ないし夢描写であっても小説ならばのロジックが入りそうなものだが、ユングやフロイトあたりを持ち出して解釈しても、意味が不明な箇所が多すぎる。他人の夢の話ほど退 -
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ネタバレ小説の面白さは素材選択の時点であらかた決まるようです。
「天皇の戦争責任」という重いテーマを、戦勝国の米国で、そして理詰めだけの議論競技「ディベート」という場で、さらに日本人一人という孤立無援の状況で展開されるストーリーの着想は秀逸です。
とはいえ、付随して展開されるサブストーリーは私には意味不明で、この小説の素晴らしさを減じたように感じました。
そして私がこの小説から気づかされた点が2箇所ありましたので、紹介します。
キリスト像はなぜ磔の図であるのか、なぜ拷問の果てに死んだ救世主の図を崇め、その後に復活した彼の方に興味を持たないのか?
それは、イエスを教会が神の一人子として独占するた -
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ユニークな観点からの戦後史。1964年生まれの著者の視線から、70年代以降の連合赤軍事件、オウム事件、日本語、日米関係、どらえもんやサザエさん。そして遡って60年・70年安保などを説明していく。非常に自然な平易な語り口であるが、結構鋭い戦後の政権批判も含まれている。「どらえもん」のジャイアンのガキ大将としての分析、空き原っぱの存在が消えたとの文章、「さざえさん」に見る家族の仄々とした温かさも失われたなどは成程!かつて学区の存在が未知の世界との境界線だったという感覚は懐かしい!そこからだんだん世界が広がっていった。60年安保は反米ではなく、胡散臭さの象徴である岸信介首相への反対であったと喝破する
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昨今、戦後70年というフレーズをよく耳にしますが、そのような年月を経ても正面切って取り上げられない日本人にとってタブーとも言えるテーマ、「天皇の戦争責任」をこの小説は取り上げています。この小説は、作者の赤坂さんの体験を下地にして書かれたものだろうと思うのですが、15歳でアメリカに留学して受けたディベートの授業を軸にした私の天皇論がダイナミックに展開されています。読む前は、史実に基づいた家の系譜だろうと見当をつけていたのですが、様相は違ってファンタジックな雰囲気もまとった物語に仕上がっています。期待は外れたものの、これはこれで、読ませる内容でした。
A級戦犯を裁いたという東京裁判で母が通訳してい -
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留学先のアメリカメイン州の小さな町で、日本人を代表してマリは「天皇の戦争責任」について弁明することになる。アメリカ国民がイメージしている天皇ヒロヒトとドイツの独裁者ヒトラーの違いが分からない。日本国民にしてもまた、天皇を語ることを良しとしない風があり、その起源は神話に頼らざる負えない。
終戦後、天皇ヒロヒトの責任を日本国民が問わなかったことを奇異に感じているアメリカ国民と、戦後の被災地を巡る天皇ヒロヒトを歓迎した日本人の感情に大きな開きがある。韓国の前大統領が天皇に戦争責任ありとし、日本に謝罪を求めたとニュースに流れたときに、日本人として憤慨を覚えた方は多かったはずである。 -
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はじめて読む作家さん。
書店で見て、タイトルで購入を決めた。
アメリカの高校に通うマリ。
進級をかけたディベートのテーマは、天皇の戦争責任についてだった。
正直言って、想像したものとは違う展開だった。
マリが幻覚とも言える夢のような世界に度々引き込まれるのだが、そこの部分がわかりにくい。
幻覚に現れるものが、リトル・ピープルだったりしたときは、村上春樹みたいだなと思ったりした。
それ以外に、第二次世界大戦の英霊や、ベトナム戦争の枯葉剤による奇形児、マリの暗い記憶としてのヘラジカなど、物語に必要で象徴となるものも出てくるので、この幻覚のシーンは必要だということはわかる。
それでも、今のマリが -
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ネタバレ「16歳の少女マリがたった一人で挑む「東京裁判」」という帯など諸々の情報から、地道に東京裁判について調べる、という小説かと思っていたので、(その側面は確かにあるのだけれども)それ以外のある種妄想的要素を含む部分についていけませんでした。それ全部いらなくね?と言ってしまうのは簡単なのだけれども、天皇とは日本人にとってなんなのかというテーマを作者が扱うにあたって、それこそが重要なんだろうなと。なんだろうなとは思うのだけれど、もう少し読者に“媚びて”いただけるとありがたい。ちょっと自分ワールドが広がりすぎていて、消化不全です。
ラストのディベートはなかなか圧巻ですが、それまでの主人公マリの英語のつた